晶「…見てっ」
洸「む」
破壊されたザマンダー・キングから、真の敵であるワーバラオが、巨大な手の姿となって飛び出す。
ワーバラオ「手札が切れた! まさか きさまらがここまでやるとは思わなかった 今回は引き揚げるとしよう! さて 賢明なる諸君はお気付きであろうが この“ワーバラオ”とて 深宇宙に潜む邪悪 真の“ワーバラオ”の末端神経の一部にすぎない」
エリカ「一矢! あ あの怪物の顔」
一矢「ああ! 気付いている 指のひとつが三輪の顔になっている」
巨大な手の姿のワーバラオ、その五指の一つが、一矢らの仇敵である三輪防人の顔となっている。
ワーバラオ「この一度の勝利に たいした意味はない! この戦いは永遠に続くのだから! ははははは また── 来るぞ ははははははは」
洸「の・が・す と──」
晶「おもうか──っ」
ワーバラオ「何っ」
豹馬「超電磁スピンハイパ──ッ!」
健一「天空ハルバ──ト!」
一矢「烈風W正拳突きいっ!」
剣人「流星火炎剣!!」
洸・晶「ゴッドバァァド」
ライディーン、コン・バトラーV、ボルテスV、ダイモス、ダルタニアスの必殺技が再び炸裂する。
ワーバラオの五指が砕かれる。
ワーバラオ「おおおっ!?」
一矢「三輪っ! きさまだけは」
ダイモスの渾身の拳が、ワーバラオの指の一つ、三輪の顔を撃ち砕く。
ワーバラオ「ぎいやああぁ」
ワーバラオが完全に消滅──!!
豹馬「どうだ? ちっとは痛かったろう? 神経!」
晶「ふはっ はぁっ はぁっ」
シャーキン「よく……やったな 晶!」
晶「終った……んですよね?」
シャーキン「ああ── 今度こそな」
晶たちは戦いを終え、四惑星同盟の大使たちのもとへ招かれる。
ボアザン大使「ありがとう 地球の戦士たちよ! 四惑星の代表として礼を言わせてもらおう 君たちには いくら感謝しても足りぬぐらいだ 願わくば これが次なる和平の一歩とならんことを さて── タテ・ケントどの おぬしに会いたいという者がいるので 呼んでよいかな?」
剣人「へ? 俺?」
ボアザン大使「今回の戦闘部隊は四惑星のみならず 広く銀河の星々で構成されておった 彼は銀河中央よりやって来た傭兵団のリーダー」
傭兵団のリーダー、ガスコンIII世が、剣人の前に跪く。
ガスコン「ガスコンIII世と申します タテ・ケント様っ!」
剣人「ひえっ」
ガスコン「私とともに銀河中央に来ていただきたいのです! 銀河中央に栄えし“ザール星間帝国”はワーバラオに滅ぼされました 邪悪であったとはいえ要であった帝国を失い 今は各星々が覇権を争い戦乱が続き 以前にも増してひどい有様になっています! それを──かつてのエリオス王家の血を引くケント様のお名前と この未曽有の危機を乗り越えられたライディーン 並びに超電磁チームのみなさんのお力で! 銀河に平和をもたらす道筋をつけることに 手を貸していただきたいのです! お願いです! 私と共に来てください! 皆さんのお力を── お貸しください!」
剣人「と とにかく頭上げてくんな! 俺は王子だなんだのじゃねぇからよ!」
晶「ははははは なんだかとんでもないことになってきたわねぇ ねぇ! おじさん」
晶たちと共に戦っていたシャーキン、ガルーダ、ハイネル、リヒテルの姿がない。
晶「はっ おじさん?」
エリカ「お兄様!」
健一「兄さんがっ!」
豹馬「へ 行っちまったか ばかやろうどもめ」
晶「ううう どうして! どうして! 何も… ひと言もいわずに… おじさん」
洸「晶── ゆるしてやろう… 彼らには きっと俺たちにはわからない── 彼らなりの生き方があるんだ」
足元に、手紙が置かれている。
晶「これは? シャーキンおじさんの? 置き手紙?」
晶よ──
最後にひとつ 願いを聞いてほしい
それは…
数か月後。
晶が手紙を書いている。
あれから数ヵ月がたちました
みなさんは銀河中央への旅の準備で大忙しですが
することのない私は少しヒマです
この間にいろいろなことがありました
そのひとつは
社長さんが うちの先生にプロポーズしました
晶の学校の屋上で、剣人と早苗。
晶や友人たちは、陰で様子を窺っている。
剣人「あー なんだ? 学校の先生をやめさせられそうなんだって?」
早苗「えぇ… 囀さんの脱出を手助けしたのが やっぱり委員会的によくないらしくて」
剣人「あ~ そうなんだ それでよ あのよ 再就職先のあっせん…てわけでもねぇんだけどよ う 宇宙の王子の…お妃様に ど~ん! と… なってみるっていうのはっ! ど どうかなと…思って…よ あぁ… いっちまった…」
早苗「え ぷ クス クス クス」
剣人「え え え?」
早苗「考えておくわ でも どちらかといえば 私は王子様より ちゃんと選挙で選ばれた人のファーストレディになりたいわ」
剣人「ちぇっ! かなわねぇな! じゃ じいさんには悪いが エリオス帝国はやめて 共和国でもつくるか!」
早苗「あらあら 選ばれる自信あるの?」
剣人「どーして どーして♪」
まずまずは成功のようです(*^ω^)ノ
それと おじさんにたのまれた用事も
先日すませてきました
晶が国連刑務所へ、面会に訪れる。
晶「こ こん にちはっ!」
面会の相手は、晶たちに敵対していたカーク・スクエア。
スクエア「ほぅ? 面会が来るときいてはいたが これは意外な人物だったな ふふふ」
晶「どうも はい! だいたい たぶん はじめまして! どう口をきいたらいいのか まったく…… 最近は いかがお過ごしでしょうか?」
スクエア「どうもこうもないよ あの戦いの時 ライディーンからの放射で幸い 体内の妖魔細胞は消えたらしい 今は心安らかに 裁判の日を待っているといったところだ」
晶「そうですか… よかった」
スクエア「ん?」
晶「い いえ あの お元気そうですし それに あの 思ってたより怖い感じの人でなかったから…」
スクエア「ところで みなとともに宇宙へ行くことを決めたそうだな」
晶「はいっ!」
スクエア「よく家族がゆるしたものだ」
晶「ははは おじいちゃんは もともと… 身元不明の外国人の子供を… 私の父さん シャーキンおじさんの弟…を 拾って育てちゃうような人ですし そうか 行ってこいって さびしいんじゃ…ないかとは思いますけど」
スクエア「だが── なぜ行くことにした? 地球で平和に暮らすことを選べもしたはずだ 今まで以上に危険な戦いに巻き込まれるのがわかっているのに?」
晶「はははは 私たちは戦いに行くんじゃないですよ 話し合いに行くんです でも… きっといろいろな意見の人がいて── 戦いが避けられないこともあったり… ワーバラオも… 言うとおりなら また出てくるかもしれませんね けど… よくわからないんですけど… もし“呼ばれている”のなら 呼んでくれている者があるのなら 行かなければもったいない──って そんなふうに思うんです」
スクエア「ふ」
晶「それって おかしいですかね?」
スクエア「ふ ふ ふ いや? 鳥は── 翔ぶものだ… 地をはえとはいえんよ ふ ふ ふ」
晶「? ?」
スクエア「だが── 今日はそんな話をしに来たわけではあるまい」
晶「はい 今日はシャーキンおじさんたちからの伝言をたのまれて来ました」
スクエア「何?」
晶「“待っている”と! スクエアに それだけを伝えてきてくれと」
スクエア「……そうか ふふ ならば── もし旅の空で奴らに── 再会することがあったら 伝えてくれ! “私も行く!”と 罪の償いをすませたら── 私も必ず おまえたちとともに行く とな!」
晶「──はい!」
おじさん 私は明日 旅立ちます
晶たちの旅立ちの日、盛大な出発式。
友人・ちどりたちが、晶との別れを惜しむ。
ちどり「帰ってくるのが30年後とかだったら承知しないよ!」
晶「ははは 心配ないって! すぐ帰ってくるよ」
ちどり「あんた頭悪いんだから! ついていけなくなるよ」
晶「おいおい」
小介「大丈夫です ぼくもついてますから」
ちどり「あてにしてるよ 小介くん!」
早苗「それに私だってついてますからね!」
晶「まさか担任つきで宇宙に出ることになるとは思わなかったよ」
豹馬「へへ! 正直もうちょっと地球でのんびりしてたかったけどな」
健一「ふふふ まぁ しかたがないさ!」
一矢「さぁ 行こう!」
豹馬「おうよ!」
アール「なんですと! 早苗どのをお妃に? それでは話が違いますぞ 剣人様」
剣人「あー うるさい! うるさいっ!」
母艦マグネバードが、地球を飛び立つ。
荒磯「では 四谷博士」
四谷「もう若い者にまかせると言ったはずだ」
荒磯「え! あ はい で では コホン ニュー・アダルス基地を加えたニュー・マグネバード エンジン点火! 発進!!」
シャーキン、ガルーダ、ハイネル、リヒテルが、地球を離れていくマグネバードを見上げている。
ハイネル「さらば 愛しき者どもよ──」
ガルーダ「さぁ── われらも行くとしよう シャーキン」
シャーキン「うむ」
ガルーダ「未来永劫── 終わらぬ われらの旅に」
リヒテル「すまぬ── エリカ 姿はここにあれど── われらはすでに亡霊だ 親しき者と同じ時を過ごすことはできぬ ともにはゆけぬ」
ハイネル「だが われらはかつて犯した罪を償うため── この宇宙のため── この体で戦い続けてゆくよ 健一!」
シャーキン「ふふふ それも一興 だが晶よ── また運命の糸が交差する時があれば その時は── 再び相見えよう! その時は再び おまえの手をとり ともに いつか!」
行ってきます! おじさん
晶のライディーンが、手紙を詰めた瓶を宇宙へと放つ。
豹馬「あばよ 行ってくるぜ 地球よ! だが!」
健一「忘れないでくれ! 体はそこになくとも」
一矢「いつでも俺たちは 地球を守っているということを!」
宇宙がどんなところなのか 何が待っているのか
私にはまるでわかりません…
剣人「へ」
洸「行くぞ! 晶!」
晶「はいっ!」
でも
晶「…うん!」
決して私は負けません!
晶が得意の、クラウチングスタートのポーズをとる。
洸「晶! え?」
晶がクラウチングスタートから駆け出し、一同の先陣を切って飛び出す。
洸「晶!」
「あぁあああ」
ライディーンに続き、コン・バトラーV、ボルテスV、ダイモス、ダルタニアスが宇宙へと飛び立ってゆく。
最終更新:2020年04月15日 18:19