夜、ビルの屋上で2人の黒服の男が1人の少女を追い込んでいた。
黒服「ようやく見つけましたよ」
「まさか こんな〝辺境“にまでお逃げになるとはねェ・・・」
「しかし・・・鬼ごっこもここまでです」
「さァ!我々と一緒に来ていただきましょうか」
少女「・・・・・・・・」
友人と談笑しでいる黒髪の少女、西連寺春菜。
リト「はあ・・・」「いつみてもかわいいな~西連寺春菜ちゃん」
「あの優しいまなざし・・・サラサラの黒髪・・・おしとやかな仕草・・・
サイコ―だぜ・・・」
(・・・・・・・・・♡)
彼女を見つめている少年が、主人公結城リトだ。
その彼に友人(悪友?)の猿山が軽口を叩く。
猿山「よォリト 今日も昼間っからストーカーかァ!?」
リト「誰がスト―カ―だ クルァ―――!!」
猿山「お 違うっての?」
「いつも通りあこがれの春菜ちゃんを見てたんだろ?」
リト「・・・・・・・・」
「う・・・うっせ―な 今日はただ見てたわけじゃねーよ」
「タイミングを伺ってたんだ」
猿山「タイミング?」
リト「ああ 決心したんだオレ」
「今日春菜ちゃんに告白する!!」
リト(高校に入って春菜ちゃんと同じクラスになれた)
(中二の時以来でスゲ―うれしかった)
(・・・でもこんな事で満足してちゃダメだ)
(オレの気持ちを伝えなきゃ何も前進しない!!)
(伝えてやる)
「やっぱ放課後かな・・・」
(今日こそ春奈ちゃんに・・・)
(オレのこの熱い想いを!!!)
本を読みながら校門から出ようとする春奈をリトが待ち構えていた。
リト(来たッ!!)
(よし・・・言う!)(言うぜ!!) (西連寺 オレ・・・初めて見た時から)
(ずっと君のことが・・・す・・・す・・・!!す・すスス・・・)
春奈「えっ?」「・・・・・・」
しかし春奈が前を見た時にはリトはいなかった。
春奈「気のせいかな ・・・今誰かに呼ばれたような・・・」
植え込みに姿を隠したリトが顔を真っ赤にして口をぱくつかせている。
リト(やっぱダメだ――!!!)
[結城家]
リト「ただいま・・・」
美柑「お帰りィ― リト」
「お父さん 今日も帰り遅くなるってさ―」
そう言う彼女は、リトの妹の美柑だ。
リト「あっそ・・・」(うう・・・情けなくて涙が出るぜ・・・・・・・)
猿山『ギャハハハハ!! そーかァ やっぱり失敗したか!!!』
リト「てめ――・・・ 「やっぱり」はねーだろ」
猿山『ハハっ だっていつものパターンじゃんよ』
『リトって普段強気なクセに恋愛に関しては超ヘタレだかたな』
リトは自分の部屋で猿山と電話で話している。
猿山「その上 水着のグラビア見せただけで気絶するよーな純情クンだし」
リト『なっ!!』
猿山は電話しながらグラビア雑誌を読んでいる。
リト「そ それは昔の話だろ!」「今は違うぜ!!」
猿山『そうかァ?』 『じゃあ春菜ちゃんの水着姿ソ―ゾ―してみ?』
リト「へ?」
リトは水着姿の春菜を想像し、
リト「なっ」頭を沸騰させた。
「ちょっ・・・バ!!何言ってんだっ!!」
猿山『ギャハハハッ やっぱ変わってね―じゃんか』
『リトはもう少し女に対して免疫つけるべきだね』
『告白なんてそれからだぜ』
その後、リトは風呂に入っていた。
リト「あのヤロ~」「自分だって彼女いね―クセに好き勝手言いやがって」
「・・・けどヤツの言う事も一理あるかな~」
「今まで女のコと友達になるどころか会話した覚えすらほとんどね―・・・」
リト(ゲ―ムにサッカ―・・・ドッジボール 基本的に遊ぶ事最優先に生きてきたもんな~)
(春菜ちゃんに出会うまでは・・・)
「いかんいかん!」 「忘れろ忘れろ!」
リト「・・・女に対する免疫・・・かァ」
「どーすりゃいいのかなァ・・・」
湯船に泡が立ち、小さなスパ―クが起こる。
リト「ん?」
そして、爆発したかの様な大きな水しぶきをあげた。そこから・・・
リト「うおっ!!」
「な 何だア!!? ふ 風呂がバクハツし―― た?」
?「ん――っ」「脱出成功っ!」
全裸の少女が出てきた、冒頭に出てきた少女だ。
リト(・・・・・・・。) ?「ん?」
リト「ぎ」「ぎ」「ギャ―――――――――――――――――!!!」
リトの絶叫を聞いて美柑が来た。
美柑「どっ ど―したのリト!?」
リト「フ・・・フロ場に・・・」
「ハ・ハハ」 「ハダカの女が・・・・」
風呂場からよろけ出てきたリトは、ショックで顔を真っ赤にし湯気を立てている。
美柑「は?」「どこにいるって?」
リト「い・・・いるだろ そこに・・・!!」
美柑「どこぉ?」リト「だから浴槽の中!!」
美柑「何もいないんだけど・・・」リト「え!!?」
美柑の言うとおり、浴槽に人影は無かった。
リト「あ・・・あれ!?変だな」「確か今そこに・・・あれ?」
美柑「・・・・・・・」
美柑「リト・・・」「年頃なのはわかるけどさァ」
「妄想と現実の区別くらいつけようね」「妹として恥ずかしいから」
リト「・・・・・・・」
リトは体を拭きながら階段を上る。
リト「う――ん・・・」「っかしいな~ 確かに見たと思ったのに」
「あれがマジで妄想だったとしたら・・・」
「ヤバくね―か?オレ・・・・・・・」
リトが自分の部屋に入る。
リト「でも それ以外考えられね―・・・」
部屋のベッドに当の少女が座っていた。
少女「あ、タオル借りてるよ―」
リトは壁まで後ずさり、目を覆った。
リト「なっなな 何だお前ェ!!?」
少女「私?私ララ」
リト「ラ・・・ララ!?」
ララ「そ!デビル―ク星から来たの」
リト「う・・・宇宙人だってのか!?」
ララ「まぁそ―ゆ―事になるね― 地球から見たら」
リト「・・・・・・」
ララ「おやおや?もしかして信じてない?」
「じゃホラ これ見てよ!」
ララがバスタオルをずらして、
自分のお尻から生えている尻尾(とお尻)をリトに見せる。
ララ「あ 別にシッポ生えてるからって満月見て変身したりはしないからね」
リト「わ わかった! わかったから隠せ!!早く!」
ララ「何で赤くなってんの?カワイ―――♡」
リト「・・・・・・・・」 リトは顔を真っ赤にし、湯気を出している。
リト「ほ・・・本当に宇宙人ならなんでフロからいきなり現れるんだよ」
ララ「ああそれはね コレを使ったの!」
ララの左手首には妙な形のブレスレットが付いていた。
ララ「コレ!!私が作った「ぴょんぴょんワ―プくん」!!」
「行き先の指定はできないけど生体単位での短距離ワープが可能になるの!」
リト「ワ・・・ワープ!?」
ララ「そ!宇宙船のバスルームでこれを使ったらたまたまこのおフロにワープしたってワケ」
リト「宇宙船から・・・?何でそんな・・・」
ララ「・・・・・・・」「追われてるんだ・・・・・・私」
リト「!」
ララ「地球までくれば安全だろうって思ってたけど追手が来ちゃって・・・・・・・」
「ヤツらの船に乗せられてもう少しで連れ去られる寸前だったの このリングを今頃・・」
リト(追手・・・・・・?)「ハッ」
「と とにかく!!さっさと出てってくれよ」
(し 刺激が強すぎる・・・)
?「ララ様―――」
「ご無事でしたかララ様―――っ!!」
部屋にぬいぐるみの様な小型ロボットが入ってきた。
リト「うわ!何だコイツ」
ララ「ペケ!」
「よかった―――!!ペケも無事に脱出できたのね!」
ペケ「ハイ!船がまだ地球の大気圏を出てなくて幸いでした!」
ペケ「ララ様 あのさえない顔の地球人は?」
ペケはリトを指差している。
リト「さえない!?」
ララ「この家の住人だよ」 「そ―いえばまだ名前きいてないね」
リト「あ オレ?」 「リト・・・・だけど」
ララ「ふ――ん このコはね―ペケ」
ペケ「ハジメマシテ」
ララ「私が造った万能コスチュームロボットなの」
リト「コスチュ―ムロボ?」
ララがバスタオルを脱ぎ捨てる。
リト「!!!」「ちょ!!何タオルとってんだよ!!」
ララ「じゃ ペケヨロシク―」ペケ「了解!!」
リト「おいつ」
ペケ「チェンジ!!ドレス形態(フォ―ム))
ペケにより、ララが冒頭の服装に着替えた。
ララ「じゃ―ん!!」
ペケ「キツくありませんか ララ様」ペケはドレスの帽子になっている。
ララ「ん バッチリ」
「よかったぁ 早めにペケがきてくれて!」
「ペケがいないと私着る服ないもんね―――♡」
「どう? ステキでしょリト」
リト「ん?」「あ ああ」(な・・・ なんつ―恥ずかしい服だ・・・・・・・)
ペケ「時にララ様 これからどうするおつもりで?」
ララ「それなんだけどぉ 私ちょっと考えがあるんだ」
ここで、部屋に黒服の2人が飛び込んできた。
彼らにもララと同じ尻尾があった。
ララ「!!!」 リト「い!?」
黒服A「・・・全く困ったお方だ」
「地球を出るまでは手足を縛ってでもあなたの自由を封じておくべきだった・・・」
ララ「・・・・・・・・」「ペケ・・・」
ペケ「はっハイ!」
ララ「私言ったよね くれぐれも尾行には気をつけてって」
ペケ「・・・ハイ」
ララ「も――このマヌケロボ!! ぜんぶ水の泡じゃないのっ!!」
ペケ「ゴメンナサイ~」
リト(あ・・・あれがあいつの言ってた、追手ってヤツか)
(め・・・めちゃくちゃ強そ―じゃね―か・・・)
黒服A「さぁ」 黒服B「今度こそ覚悟を決めてもらいましょう―か」
ペケ「ラ・・・ララ様 もう一度リングを使っては?」
ララ「ムリよ・・・」「あのリングは一度使うとエネルギ―を充填するのに一日はかかるもの」
黒服がララの手を掴む
黒服A「さぁ 行きましょう!!」
ララ「やっ・・・はなして!」「イヤッ!」「はなしてよっ!!」
リト(・・・・・・・ つーか 何コレ?」
(わけわかんねーよ 何でオレの部屋でこんなシリアスな場面が展開してるワケ?
カンベンしてくれよ~~土足でカ―ペット踏んでるし・・・)
ララは黒服2人に必死に抵抗している。
リト(・・・・・・・・)
抵抗する音は下の美柑に聞こえていた。
美柑「リトのヤツ・・・何騒いでんだろ」
黒服A「!!!」黒服Aの腕にサッカ―ボ―ルがぶつけられる。
リト「こっちだ!!」リトがララの手を引き、窓から外へ飛び出した。
ララ「リト!?」
黒服A「待て!!」
ララ「リト・・・・どうして?」
リト「わかんね―よ!!」
「でも 目の前で女の子がさらわれそうって状況で黙って見過ごすなんてできね―だろ!!」
その頃、飼い犬の散歩に出ていた春奈が屋根を走るリトとララの姿を見かけた。
春奈「 あれは・・・・・泥棒・・・!?」
「!?」「ゆ・・・結城くん?」
黒服B「ぬぅん!!!」黒服がトラックを軽々と持ち上げ、
リトの前方にほおり投げた。
リト「!!!」
黒服「ジャマしないでもらおうか 地球人・・・!!」
リト(くそ!逃げ道をふさがれた!!)
「そ!それ以上近づくんじゃねぇ!」「ツバかけるぞコラァ!!」
黒服B「・・・・・・・・・」
黒服A「ララ様・・・」
「いい加減におやめください 家出など!!」
ララ「や―よ!!」
リト「そうそうイヤなこった!!」「ってえ?・・・家出?」
ララ「私 もうコリゴリなの!」
「後継者がどうとかしらないけど毎日毎日お見合いばっかり!」
黒服B「しかしララ様」
リト(・・・・・・・・!?」
黒服A「これはお父上の意思なのです」
リト(家出ェ~~~~~~~~!?)
ララ「パパなんて関係ないもん!」
ララが携帯電話型端末を操作すると、
ララ「電装!!ご―ご―バキュ―ムくん!!!」
タコ型の巨大メカが出現した。
リト「うおっ」
黒服B「!!」
黒服A「まずい!!」「ララ様の発明品だ!!」
ララ「それ!!」「吸い込んじゃえ!!」
バキュ―ムくんが吸引を始める。
黒服A「う!!! うわああああああああ」
リト「!」「おおっ」 黒服「ああああ・・・・
黒服2人がバキュ―ムくんに吸い込まれた。
リト「す・・・すげ―!!」「掃除機か!?」「・・・って」
バキュ―ムくんは、まだ動き続け、公園の木やゴミ箱、ベンチ・・・
それにリトまで吸い込んでいく。
リト「おいィィ~~~~っ!?」
「どんどん強力になってるぞっ 早く止めろ―――――――っ!!!」
ララ「・・・・・・・」
ララはドレスの頭部からウイングを出して、安全圏にいた。
ペケ「ど・・・・・どうしました?ララ様」
ララ「う~ん」「これ・・・」
「どーやって止めるんだっけ?」
ペケ「・・・・・・・」
リト「なァにィィィィィ・・・・
リトがバキュ―ムくんに吸い込まれたところで―
バキュ―ムくんが大爆発した。
翌朝 登校するリトは頭に小さな絆創膏を張っていた。
リト「ちっくしょ~」「昨日はひで―目にあったぜ・・・」
「・・・ったくあの女・・・」
「あんなアイテムがあるんなら別にオレが助けなくてよかったじゃねーか」
昨晩の回想 バキュ―ムくんの爆発に巻き込まれたリトは木に引っかかっている。
ララ「や――ゴメンゴメン!あれ使ったのずいぶん昔だから使い方忘れててさ」
リト「・・・・・」
ララ「でもありがとうねリト 助けてくれてうれしかった!」
リト「いや・・・でもオレの部屋であのタコマシンを使われてたら・・・」
「結果的にはよかったのかもな・・・・」
「何にせよもう二度と関わるのはゴメンだぜ あんな家出宇宙人・・・」
春菜「・・・おはよ結城くん」
リト(!!? は・・・・春菜ちゃん!! うおおおおおお!!春奈ちゃんに声をかけられたァア!!)
「オ・・・オハヨ・・・」(う・・・うれしい~っ こ・・・こんなのいつ以来だよオイ!)
春菜「私 昨日・・・」リト「あ・・・あの!!」
春菜「えっ」
リト(今しか・・・今しかね―――ッ!!!)
「オ・・・オレ」(行け!!)
「オレ・・・」(行け!!!)
(行け~!!!) 「オレ・・・」
春菜はリトを見ている、しかしここで「誰か」が降りてくる。
リト「初めて見た時からキミの事が・・・!!」「好きでした!!!」
「だからその・・・付き合ってください!」
目をつむっているリトはそれに気づかず、告白の言葉を言い切り、頭を下げた。
リト(言った!!) (言った!!!) (言っ・・・・・た・・・)
目を開け、頭を上げたリトの目の前にいたのは、
ララ「へぇ~そっちもそ―ゆ―つもりだったんだ」
「ちょ―どよかった♡」
ララだった。
ララ「じゃ結婚しよ♡ リトっ!!」ララはリトに抱きつく。
リト「はあ!!?」「な・・・なんでお前が・・・」「って・・・」「結婚ん!!?」
春菜は目を見開いて立ち尽くしている。
リト(何でェ~~~~~~~!!?)
地球を見下ろす宇宙船。
その中で傷ついた黒服2人が「上司」に報告していた。
?「・・・そうか」「やはりあの方はお前たちの手に負えないか・・・」
「仕方ない」「次は私が地球へ降りよう」
?「まったく困った姫君(プリンセス)だ・・・」
最後に抱きついてるララと抱きつかれてるリトが写され、
次回へ続く。
最終更新:2014年12月05日 20:28