関羽「漢軍からの参陣要請?」
劉備「ああ。何でも州境で農民がかなり大規模な反乱を起こしたらしい。
討伐隊を何度か差し向けたが、乱を沈める事、一向に叶わず、結局、大将軍の何進自ら軍を率いて出てくる事になったのだが、我らの活躍がその耳にも届いたらしく、
朝廷に尽くさんとする志あらば、我が陣に参ぜよとの事」
張飛「漢王朝の偉い人達も、やっと鈴々達の凄さに気づいたって事なのだ!」
馬超「成り上がり者の何進の下に付くってのはちょっと気に入らないが・・・この際大暴れして腑抜けた漢軍共の目を覚まさせてやろうぜ!」
張飛「お目々パッチリなのだ!」
関羽「孔明殿はどう思う?」
孔明「そうですね。聞くところによると各地で反乱が続発して、漢軍は今猫の手も借りたい状態とか。大将軍自らの出陣といっても実の所、さほどの兵力では無いのかも・・・」
関羽「成程、それで我らに声を」
劉備「理由はどうあれ、これはまたとない機会だ。
ここで華々しい手柄を立てれば、我らの名は更に高まるだろう!
そうすれば義勇軍に参ずる者も増え、我が軍はより強く、より大きくなれるのだ!
関羽たち「「「・・・・・」」」
劉備「・・・あっ・・そしてそれが多くの人を救う事になる。
それでは出発は明朝。皆早速準備にかかってくれ!」
関羽「はい」
張飛「合点なのだ!」
夜。関羽は一人、風呂に入っていた。
劉備(月、ほうこれは美しい。もっとも、関羽殿、貴女の美しさには敵いませんが・・・)
関羽「そして、それが多くの人を救う事になる・・・か」
関羽と張飛は同じ部屋で寝ていたが、張飛はお腹を出して寝ていた。
翌朝。
張飛は熱で顔を真っ赤にし鼻水を垂らしながらも、行こうとしていた。
孔明「はわわ!鈴々ちゃん、風邪引いてるんだから、ちゃんと寝てなきゃ駄目ですよ!」
関羽「やれやれ」
張飛「鈴々は風邪なんて引いてないのだ!」
孔明「熱があって、咳があって、鼻水垂らしてるんだから、風邪に決まってるじゃないですか!」
張飛「熱があって、咳があって、鼻水垂らしてても・・何とかは風邪引かないって言うから
これは風邪じゃないのだ!」
馬超「何とかって・・・お前・・・」
孔明「何言ってるんですか!馬鹿は風邪引かないなんて迷信です!
馬鹿だって風邪引く時は引くんだから、鈴々ちゃんは風邪引いてます!」
関羽「孔明殿、言ってる事は間違ってないが、もう少しお手柔らかに・・・」
孔明「でも関羽さん・・・」
張飛「鈴々はずっと一緒に愛沙と旅して、戦ってきたのだ!なのに、愛沙が出陣して鈴々だけ置いてかれるなんて絶対嫌なのだ!」
関羽「鈴々、お主の気持ちも分かるが、そんな体で出陣する訳にはいかぬだろう」
馬超「そうだぞ。却ってみんなの足を引っ張る・・・」
張飛「行くったら行くのだ!絶対愛沙と一緒に出陣するのだ!」
張飛が地団駄を踏むも、倒れかけて、孔明に支えられた。
孔明「ほら熱があるのに、暴れたりするから・・・これで戦に行くなんて無理ですよ!」
張飛「そ、そんな事ないのだ!鈴々は愛沙と一緒に・・・」
関羽「張翼徳!お主に任務を与える!我らが出陣している間、ここに残り、村を守ってくれ!」
張飛「あ・・・」
孔明「私も残ります!戦が長引いた時に備え、兵糧を準備しつつ、鈴々ちゃんと一緒に村の守備につきます」
張飛「孔明・・・」
関羽「うむ、劉備殿には私から伝えておく
馬超「村を守るなんて、張飛じゃ荷が重いんじゃあ~?」
張飛「馬超は黙ってるのだ!」
関羽「どうだ?留守を頼めるか?」
張飛「分かったのだ。愛沙がそう言うなら、鈴々は残って村を護るのだ」
関羽「よし、それでこそ我が妹だ!村は任せたぞ!」
張飛「合点なのだ!」
関羽「・・・早く元気になれ」
張飛「うん・・・」
関羽のその言葉を聞いた後、張飛はへたり込んだ。
関羽「鈴々!」
劉備と関羽、馬超が義勇軍を率いて、桃花村から出発していった。
劉備「仕方が無いですね、張飛殿と孔明殿抜きで戦いましょう!」
関羽「申し訳ない・・・」
劉備は笑顔だったが、関羽から顔を離すなり、苛立ちを見せていた。
関羽は桃花村の方を見ていた。
馬超「どうした?関羽?」
関羽「いや、何でもない・・・」
義勇軍が出発する様を一人の盗賊が見ていた。
盗賊「ん?遠征か?」
夜。何進や曹操や劉備達、軍の長はテントに集まっていた。
何進「皆、集まったようじゃな。では、これより軍議を始める。曹操」
曹操「は!反乱軍の籠もる山はまさに天然の要塞。
正面から力押しに攻めてもいたずらに犠牲を増やすばかり。
まずは山を囲み、道を塞ぎ、兵糧攻めにするのが得策かと」
何進「むぅ・・・」
曹操「そもそも此度の反乱は領主の苛斂誅求が原因とか。兵糧攻めで相手の士気を挫けた所でこれまでの施策の過りを認め、降伏した者はこれまでの罪を減ずると言えば大半は山を下るはず。上手くいけば、戦わずして乱を治める事も可能かと」
何進「手ぬるいな!」
曹操「手ぬるいとは・・・?」
何進「朝廷に楯突いた賊共の罪を許すなど、手ぬるいにも程がある!
それにこれ以上時をかけてば、朝廷の威信に関わる!悠長に兵糧攻めなどせず、一気に攻め潰せ!」
曹操「しかし正面からの攻撃は余りにも無謀!」
何進「賊軍など、初戦は烏合の衆。首謀者さえ討ち果たせば、後は何とでもなろう。
どうじゃ?誰ぞ明日の先陣を勤め、敵将の首を上げてこようという者はおらぬか?
功名を立てるまたと無い機会じゃぞ」
劉備「閣下!恐れながらその役目はこの劉備めに」
何進「お主は義勇軍の・・・」
劉備「この劉玄徳、身も心も朝廷に捧げる所存。その朝廷に弓引く例え敵が何万あろうと!決して恐れるものではありません!」
関羽「・・・・」
何進「よくぞ申した!明日の先陣、貴様に申しつける」
劉備「は!閣下の期待に応え、必ずや賊将の首を上げてごらんにいれましょう」
何進「うむ。ふふふ・・・見事、敵将の首を取った暁には貴様を漢軍の将に取り立て、
わらわの側近の一人としよう」
劉備「おぉ!」
何進「期待しておるぞ」
劉備「はは!」
夜。関羽は一人、泉のほとりにいた。
関羽「兄者、世の中を変える方法が見えてきました。どうか、私をお守りください」
関羽が見上げた月に、兄の顔が浮かんだ。しかし、それが劉備の顔に変わった。
関羽「あ・・・」
何進(わらわの側近にしてやろう)
劉備(おお!)
関羽「・・・・」
そこへ劉備が来た。
劉備「関羽殿、そろそろ明日の作戦会議を・・・どうしました?」
関羽「いや、別に・・・」
劉備「関羽殿」
関羽「は、はい!」
劉備「私にはあなただけが頼りです。ずっと傍にいてくれますね・・・」
劉備が関羽の肩に手をかける。
劉備「契りの証を・・・」
関羽「劉備殿・・その・・・」
劉備「さあ」
その近くを馬超が通りかかった。
馬超「ふんふふん・・・え!?」
布団で寝ている張飛に、孔明が緑色の飲み物を出した。
孔明「さっ、飲んで下さい」
張飛「孔明、これ何なのだ?」
孔明「三日草を煎じたもので、熱を下げるのにとても効き目があるんです」
張飛「何か変な臭いするのだ」
孔明「馬超さんのなけなしの精気を吸い取って育った薬草なんですから、有り難く飲まないとバチが当たりますよ!」
張飛がその飲み物を飲んだ。
張飛「・・・か~マズイ!もう一杯!」
孔明「はい!」
チビ「お頭方!念のため、もういっぺん様子を見ましたが、義勇軍の奴ら、本当に出払ってる様ですぜ!」
お頭(ヒゲ)「そうか」
デク「残ってるのは見張りの兵と村人だけで」
お頭(角)「げへへ、やっと好機が来たようだな」
角飾りの付いた兜を被っている頭は、前回、関羽に片方の角を切られていた。
お頭(丸坊主)「根気良く見張ってた甲斐があったぜ」
丸坊主の頭は、前回、張飛との戦いに敗れていた。
お頭(ヒゲ)「ああ、今夜こそあん時の恨み果たしてやるぜ」
無精髭を生やした頭は、前回、孔明の策で義勇軍に砦を奪われていた。
お頭(ヒゲ)「戻ってきたら、砦が奪われてるのは、今度はあいつらの番って訳だ!」
その場には、かかり火をたく盗賊達が多数いた。
劉備「まず関羽殿には張飛殿の隊も率いてもらう」
関羽「はい!」
劉備「その部隊を先陣に馬超隊を・・・我が部隊が」
馬超「えへへ」
関羽「どうした?」
馬超「別に?」
関羽「変な奴」
そこへ、兵が入ってきた。
兵「劉備殿!」
劉備「何事だ」
兵「村が、桃花村が賊の大軍に襲われました!」
関羽・馬超「「!」」
劉備「何だと・・・」
兵「たった今付いた村からの伝令によりますと、相手はかなりの数。
恐らくはこれまで退治した賊の残党が協力して、一気に襲ってきたのではないかと!」
劉備「ち、くそう・・で?」
兵「孔明殿が指揮を取って庄屋屋敷に村人を集め、防戦に務めてますが、いつまでもつか分からない。増援をこう、と・・・」
馬超「何てこった!」
関羽「劉備殿!何をしているのです、すぐに村へ!」
劉備「いや村には戻らない」
馬超「なぁ!?」
関羽「何を言ってるのです!こうやってる間にも村が!」
劉備「大丈夫。堀とやぐらで守備は完璧のはず。きっと孔明殿が・・・」
しかし、その場に傷ついた兵が伝令に来た。
伝令「伝令!賊軍は村の外堀を突破!至急増援を・・こう・・・」
伝令が倒れた。
兵「おい!しっかりしろ!すぐに手当してやるぞ!おい誰か!運ぶのを手伝ってくれ!」
関羽「・・・劉備殿!お願いです!すぐに村へ援軍を!」
劉備「だが我らは明日の先陣を受け賜ってる・・・」
関羽「ですが!」
劉備「明日の戦で功を上げれば漢軍の将になれるんだぞ!それも今をときめく大将軍、何進様の側近に!」
関羽「しかし!今は村を救う事の方が大事では!?」
劉備「確かに拠点を失うのはつらい。蔵に溜めこんた軍資金を賊共に奪われるのも癪だ!」
関羽「私が言いたい事はそんな事ではない!我々が村を見捨てたら村人はどうなるのか考え下さい!」
劉備「関羽殿、そなたの気持ちは良く分かる。だが、世の乱れを正し、多くの民を救うにはより大きな力を手にする事が必要なのだ。大義の為、私の為に傍で尽くしては貰えぬか?」
劉備「村は孔明殿に任せて、我らの輝かしい大義の為に、共に歩んで欲しい。私の事だけを考えて・・・村の事はやむを得ない事と、ここは一つ・・・」
劉備が関羽に顔を近づける。
しかし、関羽は劉備を張り倒した。
劉備「ぐわっ!」
馬超「ひゅ~お見事♪」
そのまま、関羽は出て行こうとする。
劉備「ま、待て!いくらお主が剛の者でも一人では死にに行く様なものだぞ!それよりも大義の為に・・・」
関羽「あなたの大義が何かは知らぬが、私には私の志がある!私の志は真に愛するに足る者を守り抜く事だ!」
関羽が出て行った。
劉備「ま、待ってくれ!」
馬超「あたしも抜けるぜ~」
劉備「ああ・・・」
関羽が一人、馬を走らせ桃花村に向かう。
関羽(鈴々、孔明殿!無事でいてくれ!)
曹操軍のテント。
曹操「全く!何なのかしら、あの劉備って奴!関羽ともあろう者があの様な男を主に選ぶなんて・・・」
夏侯惇「こんな時間に何の様だ!」
馬超「曹操に合わせてくれ!」
夏侯惇「あ、おい!よさぬか1」
馬超がテントに入ってきた。
馬超「曹操!話がある!聞いてくれ」
曹操「成程。それで私にどうしろと言うの?」
馬超「関羽は頭に血が上って一人で飛び出しちまったが、たった一人じゃ殺されに行く様な物だ!だから、頼む!あたしに兵を貸してくれ!」
曹操「嫌よ!愚かな主を選んだ報いよ、助ける義理はないわ」
馬超「・・・この通りだ!」
馬超がその場で土下座した。
曹操「!?」
夏侯惇「あ・・・」
馬超「だから頼む・・・」
曹操「かつては父の敵と命をつけ狙った相手に頭を下げるとは、馬超、何のためにそうまでする」
馬超「友のためだ!」
曹操「くだらないわね」
夏侯惇「華琳様!」
曹操「春蘭、手勢を率いて偵察に出なさい」
夏侯惇「偵察・・・?偵察中に賊に出くわした場合、どうしましょうか?」
曹操「そんな事自分で判断しなさい!いちいち私に聞かないで!」
夏侯棟「分かりました」
馬超「曹操・・・」
曹操「・・・何グズグズしてるの!早く出発しなさい!」
夏侯惇「は!直ちに!」
孔明「これで全員ですね。守りを固めて籠城します!」
「負傷者の救護を最優先に!西のやぐらに増援を!」
?「私が行きます!」
弓を抱えた紫髪の女性が出て行き、張飛も行こうとしていた。
孔明「鈴々ちゃん!まさかその体で戦に出るつもりじゃ・・・?」
張飛「こんな時に鈴々だけ寝てるだけには行かないのだ」
孔明「でも!」
張飛「愛沙は鈴々に留守を頼むと言ったのだ。だから、鈴々は絶対村を守るのだ。
そして、村の子達と一緒にお花見するのだ」
孔明「鈴々ちゃん・・・」
張飛「`朱里`!後を頼むのだ!」
孔明「・・・分かりました!ご武運を!」
盗賊達は丸太で屋敷の門を叩いていた。
お頭(ヒゲ)「後はこの屋敷だけだ。一気に落とすぞ!」
盗賊の丸太は門を破った。
お頭(ヒゲ)「ようし!ん?」
張飛が盗賊ごと丸太を抱え上げて、門から出てきた。
張飛「通せない・・・ここは絶対通せないのだ・・・ふん!」
張飛が盗賊ごと丸太を堀の中へ放り捨てた。
張飛「ここから先はこの張翼徳が絶対通さないのだ!命の惜しくない奴はかかってくるのだ!」
盗賊「あれが張飛か・・・」
お頭(ヒゲ)「おい何をやってるんだ!相手は一人だ、やっちまえ!」
盗賊達が一斉に張飛に向かう。
お頭(ヒゲ)「行け行け!押しまくれ!」
張飛(熱で体が思うように動かないのだ・・・でも負けられないのだ・・・愛沙との約束を果たすのだ・・・村を、何としても村を・・・愛沙との約束を・・・)
お頭(角)の斧の一撃で、張飛の矛が弾かれ、張飛がへたり込んだ。
お頭(角)「その首貰った!」
お頭(角)が斧を振りかぶったが、飛んで来た青龍円月刀がその斧を弾いた。
駆けつけた関羽が投げたのだ。
張飛「・・・あぁ。愛沙!!」
馬がお頭(ヒゲ)を蹴り飛ばし、愛沙が鈴々の傍に降り立った。
関羽「鈴々、良く頑張ったな」
張飛「うぅ・・・」
関羽「妹が世話になったな!礼は10倍、いや100倍にして返してやるぞ!」
盗賊「黒髪の山賊狩りまで来やがった・・・」
お頭(角)「ええい弓だ!遠巻きにして弓で仕留めろ!」
「よし撃て!」
盗賊達が弓を構えたが、上から飛んで来た矢が先に盗賊達に刺さった。
黄忠「弓ならこの黄忠がお相手しますわよ!」
やぐらから矢を放ったのは、先に出てた紫髪の女性、以前関羽達に娘の璃々を助けられた黄忠だった。
関羽「おお黄忠殿!どうしてここに?」
黄忠「話は後!今は屋敷の守りを!」
お頭(丸坊主)「屋敷はまだ落ちねぇのかよ・・・」
お頭(角)「他はあらかた制圧したってのに・・・」
盗賊「敵襲だ!」
馬超「西涼の馬騰が一子、馬超推参!」
夏侯惇「者ども我らの力見せてやれ!」
曹操兵「「「はい!」」」
お頭(丸坊主)「斤馬超に・・・」
お頭(角)「クンケイ・・・?」
お頭(ヒゲ)「何ぃ!曹操軍が!?」
盗賊「その数三十騎!」
?「悪党ども!どうやら年貢の納め時の様だな!」
お頭(ヒゲ)「誰だ!貴様!」
華蝶仮面「ある時はメンマ好きの旅の武芸者、またある時は美と正義の使者、華蝶仮面。しかしてその実態は・・・
関羽「星!来てくれたのか!」
張飛「星?」
華蝶仮面「ん、んん!またある時は美と正義の使者、華蝶仮面。しかして、その実体は!」
華蝶仮面がバタフライマスクを放り投げた。
趙雲「趙山の趙子龍!ここにあり!とう!」
趙雲は盗賊達の中に飛び降り、突破していった。
お頭(ヒゲ)「この大軍の中をたった一人で駆け抜けやがるとは・・・次から次に邪魔しに来やがって・・・こうなったらみんなまとめてやっちまえ!」
関羽「星!背中を預けるならやはりお主だな!」
趙雲「その言葉そっくり返すぞ!」
孔明「反撃に出ます!戦える人は二人一組になって一人の敵に当たって下さい!」
璃々が黄忠に矢の束を渡す。
璃々「うんしょ・・・お母さんしっかり!」
黄忠「うん・・・奪うことしか知らぬ賊どもよ!守るべき者を持つ我が手が放つ矢を受けてみよ!」
馬超「あたしは今燃えに燃えてるんだ!ヤケドしたい奴はかかってこい!」
張飛「よし!こうなったら鈴々も負けてられないのだ!」
盗賊「お頭・・・お頭がやられた!逃げろ!!」
盗賊達は逃げ出していった。
張飛「ざまみろなのだ!」
関羽「って、鈴々。風邪はもういいのか?」
張飛「なんか、一暴れしたら、治ったみたいなのだ」
関羽「はぁ治った!?全くお前という奴は!」
日が昇っていく。
関羽「夏侯惇殿、ありがとうございました」
馬超「本当助かったよ」
関羽「曹操殿には改めてお礼に伺います」
夏侯惇「それは、止めておいた方が良いでしょう。また閨に引っ張り込まれますよ」
関羽「あ・・・」
夏侯惇「引き上げるぞ」
曹操兵「「「は!」」」
関羽「黄忠殿もありがとうございました」
黄忠「いいえ、少しでも恩返しができれば嬉しいです」
張飛「それより、星はどうして華蝶仮面なんかになってたのだ?」
趙雲「うむ。実はお主達とはぐれた後、私は空から落ちてきた光の球に当たって一度死んだのだ」
関羽たち「「「え!?」」」
趙雲「その光の球は、実は天からの使いだったらしく・・・」
天の使い?「申し訳無い事をした、趙雲。その代わり私の命を君にあげよう。
君と一心同体になり、そして天下の為に働きたい・・・」
趙雲「そうして新たな命を与えられた私が目覚めると、枕元にこの仮面が・・・それ以来私はこの仮面を付けて華蝶仮面となり、正義の為に戦っていたのだ」
関羽「何と不思議な・・・」
馬超「趙雲、それって本当なのか?」
趙雲「いや嘘だ」
関羽たちがずっこけた。
関羽「相変わらずだな、星・・・」
劉備率いる義勇軍が村に戻ってきたのは、それから三日ばかり経ってからの事。
元より無謀な策だった上、関羽、馬超の勇将を欠いては成功するはずもなく
無様に敗れた劉備は、朝廷の威信を傷つけたと何進から強い叱責を受けたのです。
結局、曹操の策が入れられ、反乱は見事鎮められたのですが、それは、また別のお話。
劉備が桃花村に帰ってきたが、出迎えた関羽たちは冷ややかな目で見ていた。
劉備「い・・・いやー、皆無事で何より!勢揃いでお出迎えとは痛み入る。ほほう、私の知らない新顔も・・・ん、げっ黄忠!?お主が何故ここに!?」
黄忠「どうして私の名を?その剣、どこかで・・・・」
璃々「・・・あぁ!悪い人―――!」
黄忠「え、何?」
璃々「えっとね、あの男の人前に・・・」
劉備「や、やっべ・・・・」
黄忠「それじゃあ・・・」
劉備「はいよ!はいはいーー!」
劉備は馬に乗って、その場から逃げっていった。
黄忠「こら待ちなさい!」
関羽「黄忠殿、一体どうしたのだ?」
張飛「それに劉備の奴、なんで逃げちゃったのだ?」
黄忠「関羽さん!あの男は娘を、璃々を誘拐して、私に暗殺をさせようとした一味の黒幕なんです!!」
関羽たち「「「ええ!?」」」
黄忠「恐らく、裏稼業めいた悪事だけでは飽き足らず、世の乱れに上じて一旗あげようとしたのでしょう。きっと泰山帝王の末裔というのは真っ赤な嘘。劉備という名すら本当かどうか・・・・」
馬超「良かったな、そんな奴に唇奪われなくて」
関羽「み、み、見てたのか!?」
馬超「もうちょいって所で突き飛ばしちゃうんだからな」
趙雲「何だ何だ、何の話だ」
張飛「教えて欲しいのだ」
孔明「皆さーーん!お花見の準備が出来ましたよーー!」
満開の桃の花の下で、関羽達と桃花村の村人達が宴を始めた。
張飛と馬超が早食いで張り合う。
張飛と璃々に、張飛が仲良くなった村の子供達の一団、鈴々義勇軍が駆け回る。
しかし、その拍子に庄屋達の所の料理を吹き飛ばしてしまい、関羽のおしおきを受けた。
曹操軍。
夏侯惇を留守番に残して、曹操、夏侯淵、筍彧が庭の寝台で花見をしていた。
孫策軍。
筆を持った孫尚香を顔に落書きされた大喬が追いかけ、その後を双子の妹の小喬が追う。
その三人が、海軍を視察していた孫権と甘寧の後ろを通り過ぎ、
孫権が三人の様を見て、微笑んだ。
夜。陸遜が書物を読み、孫策と周瑜が寄り添いながら月を見ていた。
麗羽、文醜、顔良の三人が、何故か熊に乗って宝探しをしていたが、
乗っていた熊が兎を追いかけて、走り出して、三人諸共崖から落ちた。
董卓軍。呂布と華雄が打ち合っている所に、犬のセキトが呂布の胸に飛び込んだ。
華雄はセキトに触れようとするも、吠えられた。
その様を見て、董卓が微笑み、賈詡が大笑いする。
許緒は大食い大会で優勝し、張遼はメイド飯店で働いていた。
机で寝ていた公孫賛が白馬に乗って活躍する夢を見ていた。
孔明の師の水鏡が手紙を見て涙ぐむ。
その横を一枚の花びらが飛んでいった。
そして、宴もたけなわになった頃、張飛は関羽に膝枕してもらっていた。
張飛「愛沙、これからもずっと、ずっと一緒なのだ・・・」
関羽「勿論だ、鈴々。何たってお前は、私の妹だからな」
花咲き誇る桃園で姉妹の契りを新たにした関羽と張飛。そして、二人の元へと集った無双の姫達の行く手には、これから何が待ち受けているのでしょう?
それはいずれまた、どこかで・・・
最終更新:2020年05月30日 06:18