Welcome to `NewWorld Online` |
VRMMO、`Newworld Online`。
とあるPVP戦の様子が、広場で中継されていて、
掲示板にその書き込みがされていく。
観戦プレイヤーたち「上位のやつやばいな。動きが人間やめてるw」
「でもやっぱ順調に勝ちを重ねてるのはよく聞く名前ばっかだな」
「トッププレイヤーが強いのはそりゃ当然よ」
「なあ、このメイブルって誰?」
大盾を構えた黒衣の少女の後ろに、多数のプレイヤーたちが倒れていた。
観戦プレイヤーたち「は?」
「何こいつ・・・やばくね?」
少女メイブルに大勢のプレイヤー達が突っ込んできたが――――
メイブル「【毒竜】!」
そこからしばし時を遡る。
街で初期装備のメイブルが、行き交う人々の早さについて行けず、目を回していた。
メイブルは噴水の縁に座った。
メイブル「ふー・・・」
(歩いてる人皆速いなあ・・・これも素早さ数値のAGIが0の影響なのかな?)
メイブルは街を出て、森の中に入っていった。
メイブル「他の人いる所だとのろのろしてて恥ずかしいし・・・もうちょっと遠くに行こうっと」
楓「ゲーム?」
理沙「そうそう、これなんだけど。ここ最近急激に売り上げを伸ばしてるVRMMO,その名もNewWorldOnline!!」
「楓の家に起動するハードあるでしょ」
楓「あー、あの理沙に誘われて買ったやつ・・・でもあれ実は全然起動してなくて今埃被ってるし・・・」
理沙「オンラインなら家にいても楓と一緒に出来るし」
楓「ゲームそんな得意じゃな・・・」
理沙「初心者用のメモも用意しといたから」
結局ゲームをやる羽目になる、本条楓「理沙はいつも私を振り回して・・・はあ~・・・でもなんか断れないんだよね。あのキラキラした目を見ると無理なんて言えないよ・・・」
理沙「やるよね、やろう、やって、やろやろ」
楓「仕方ないなあ。設定やりますか!」
楓はVRマシンを着けて、設定画面に入った。
楓「おお~~~」
「まずは・・・名前かあ。カエデっていうのも本名そのままでアレだし・・・どうしようかな。うーん、本条楓・・・楓・・・」
「メイブル・・・っと」
楓「次は初期装備かな。えーと大剣に片手剣・・・メイスに杖に・・・動き回るのあまり得意じゃないからなあ。それに攻撃とか受けたくないし」
「やっぱり杖で魔法使いかな?」
「あっ、大盾と短刀?攻撃力は低いけど・・・防御力はナンバーワン」
「・・・えっ!防御力を上げればダメージって無くなるの?」
楓「装備はこれで次はステータスポイント・・・あー、身長は弄れないのかあ、残念・・・」
「防御力に全部っと」
「設定はこれでオッケーかな、よーし!いざゲームスタート!」
こうして楓は「メイブル」となって、ログインし――――
数ページ前の状況となっていた。
メイブル「ここは・・・えっと、ステータス!」
メイブルは自分のステータスを見てみた。
メイブル「うーんVITは防御力だよね?確か・・・あれ?」
メイブルのステータスは、【STR】(力) 0(+9)
【VIT】(防御力) 100(+28)
【AGI】(敏捷性) 0 【DEX】(器用度) 0 【INT】(知力) 0
となっていた。
メイブル「ゼロがいっぱい・・・・」
「・・・もしかしてやっちゃった?どうしよう・・・理沙もいないし。でもせっかく始めたのに・・・」
「とりあえず町から出て一度戦ってみるかぁ・・・」
メイブルは森にいた。
メイブル「よ~し・・・ここならいけるかな。さあさあモンスターさん、どこからでもかかってきていい・・・よわあっ」
メイブルの前に、角の生えた兎が出てきた。
メイブル「う・・・兎さん?」
「わわわ、動きが速い。あっ、私が遅いのか」
兎がメイブルに突っ込んできた。
メイブル「!!」
「ちょっ!?わっ、ごめんなさい!」
メイブルが短剣を振り上げたが、兎の体当たりがメイブルに当たった。
メイブル「いっ・・・!!!」
「いった・・・」
「っくな~~~い!!おおおっ、すごい、全然痛くないよ!」
「さすがは[VIT]128!!どう兎さん、私の腹筋は?」
メイブル「ほらほら!もっと気合い入れて!」
「そんなんじゃ全然効かないよ」
「君の本当の実力はそんなもんじゃないでしょ?」
「まだまだいける!諦めないで!」
兎はメイブルに体当たりし続けたが、自分のHPの方が減っていき・・・
メッセージ「スキル【絶対防御】を取得しました」
メイブル「ん?何それ。ちょっと待ってね兎さん」
「すごーい!VITが二倍になるんだって!今VITが256だよ。兎さんと遊んでただけなのにね。あれ・・・兎さん?」
兎のHPゲージが0となり―――
メイブル「あ」
兎は砕けちり、消滅した。
メイブル「兎さああああああん」
メッセージ「レベルが2に上がりました」
メイブル「兎さあああああああああん」
メイブル「はあ~~~~~~~~、兎さん・・・何で死んじゃったの。倒す気なんか無かったのに・・・ん?」
「ステータスに割り振れるポイントが5増えてる・・・レベルアップのおかげかな?」
メイブルは兎の墓を建てていた。
メイブル「このポイントを使えば他のステータスが0じゃなくなるけど・・・むむー・・」
「でも今更防御力以外を上げてもなあ・・・うーん・・・」
「決めた!VITに振ろう!!」
「よーし、もっと敵を倒してポイント集めなきゃ」
兎の霊「立ち直り早い・・・・」
その後、メイブルの右足にムカデが絡みついていた。
メイブル「ダメ-ジは無いけどひたすら気持ち悪い・・・・」
メイブルは短剣でムカデを突き刺していく。
メイブル(兎さんが恋しいよう・・・)
メイブルはムカデを倒した。
メイブル「レベルは上がらないかあ」
(時間はかかるし気持ち悪かった・・・もうちょっと可愛・・・弱いモンスターが居る所まで戻ろうかな)
メイブルが空を見上げると、蜂型モンスター・フォレストクインビーが飛んできていた。
メイブル「嘘・・・本当に?」
フォレストクインビーはメイブルに向かってきた。
メイブル「わわっ」
フォレストクインビーはメイブルの首に針を刺した。
メイブル「・・・って全然痛くもないし、くすぐったいよーっ」
「もう少し左側がいいかな~」
メイブルははちマッサージ(?)でくつろいでたが、フォレストクインビーが口から吐いた液体がかかった。
メイブル「んっ・・・・!?これ・・・毒液?」
メイブルのHPが、40から39になっていた。
「HPは1減ってる・・・ってことは防げないのか」
(このまま1ずつ減っていったら・・・)
そう思った矢先に、また毒液がかかりHPが38になった。
メイブル「あっ」
メイブル(死)
メイブル「戦略的撤退!」
「って逃げ切れる訳がないんだった~」
フォレストクインビーはメイブルに毒液をかけ続けていった。
メイブル「ああ・・・HPがどんどん減ってく・・・」
メッセージ「スキル【毒耐性小】を取得しました」
メイブル(HPが減ってない・・・それなら・・・)
メイブルはわざと倒れた。
メイブル「もう、だめ・・・」
フォレストクインビーはメイブルに毒液をかけ続けるが、
そうしてる内に、スキル【毒耐性小】が【毒耐性中】に進化し、
メイブルはニヤリと笑った。
動かないメイブルを見て、フォレストクインビーは突っ込んで行ったが、
メイブルは短剣でフォレストクインビーの頭を貫いた。
メイブル「ふふっ、かかったかかった!私の勝ちだね!」
フォレストクインビーは砕けちり、指輪が落ちた。
メイブルはその指輪を拾った。
メッセージ「スキル【大物喰らい】を取得しました。レベルが8にあがりました」
メイブル「アイテムゲットー!」
フォレストクインビーの指輪【レア】
【VIT+6】
自動回復:10分で最大HPの1割回復
メイブル「おおおお。これ凄い!HP回復だ。レアって事は運がよかったのかな?しかもVITもプラスでおいしい~。道中の羽から箱からグロープも入手したしちゃんとこの下に指輪を装着っと・・・」
「貴重なアイテムやスキルは人に言ったり見せたりしないようにって理沙のメモにあったもんね。へへ~」
理沙(ここゲームに出るわよ)
メイブル「ステータスを・・・あれ?15しかステータスポイントがもらえてない・・・2の倍数の時しかもらえないのかな。これはまあVITに全振り・・・って」
「あとはスキル・・・・毒耐性は強力な毒を無効に。って言ってもそんなに強力って感じじゃなかったけど」
★【毒耐性中】・・・強力な毒を無効化する。
メイブル「もしかしてVITって毒のダメージも減らしてくれる?」
メイブル「大物喰らいでは特定の状況で特定ステータスが2倍・・・」
★【大物喰らい】・・・HP、MP以外のステータスのうち4つ以上が戦闘相手よりも低い値の時にHP、MP以外のステータスが2倍になる。
「今の私はステータスが0だから戦闘では2倍・・・VITは全部で4倍かぁ」
「なんかちょっと分かってきたかもしれない!とりあえずモンスター討伐とレベルアップと。それでもってなるべくVITが上がるようなスキルを身につけないと!」
座り込んだメイブルに大勢のモンスターが群がり、それを見た他のプレイヤーが仰天した。
メッセージ「スキル【瞑想】を取得しました」
メイブル「○△×☆□」
モンスターに気づいたメイブルは絶叫した。
メッセージ「スキル【挑発】を取得しました」
そして、メイブルはモンスター達を倒した。
メッセージ「レベルが11に上がりました」
メイブル「ふー・・厳しい勝負だったね・・・」
「・・・・・ん!ステータスポイントが10もある!ってことは・・・」
「おお・・・・すごーい、ちゃんとゲームしてるっ!」
「はっ。一回だけ戦うつもりだったのに・・・うっかり夢中でやったったなあ」
「疲れたし一度ログアウトしっと・・・」
メイブルはログアウトした。
楓がVRマシンを外した。
楓「め・・・滅茶苦茶楽しんでしまった・・・」
(埃被ってたのに・・・)
「うわっ、すごい時間。明日のプレイに響く。って明日もやる気になってる・・・・」
「まあいいか。次はもっと早く切り上げよ~」
楓はベッドに横になり、即寝した。
ネット掲示板。
NEW 【NWO】やばい大盾使い見つけた
名無しの大剣使い「やばい」
名無しの槍使い「kwsk」
名無しの魔法使い「どうやばいの」
名無しの大剣使い「何か西の森で大ムカデとキャタピラーと数十匹に取り囲まれながら佇んでた」
名無しの槍使い「は!?あり得なくね。普通死ぬだろいくら大盾装備でも」
名無しの弓使い「強力な装備だったとか?そこんとこどうなん」
名無しの大剣使い「見た感じは初期装備だった」
名無しの魔法使い「その状況で死なないのはダメージを無効化してる?としか・・・・」
名無しの槍使い「そんなことできるか?」
名無しの魔法使い「確かβテストの検証だと防御全振りにしても白兎の攻撃を耐えられるだけだったハズ・・・」
名無しの槍使い「ゴミじゃねえか」
名無しの大盾使い「俺多分そいつ知ってるわ」
「プレイヤーネームは知らんが身長150無いくらいの美少女。歩く速度からしてAGIはほぼゼロっぽい」
「ちなみに俺はそいつで一瞬で溶けますハイ」
名無しの魔法使い「やっぱ極振りか?」
「まあ隠しスキルでも見つけたとかかもしれんが」
名無しの槍使い「あーそれっぽいな。っていうか美少女か・・・」
名無しの弓使い「ほうそこに目を付けましたか。俺もだ」
名無しの大剣使い「んーまた追々情報集めるしか無いか」
名無しの大盾使い「おう、また何か見つけたら書き込むわ」
名無しの魔法使い「情報提供感謝します(敬礼)」
一方その頃。
話題のメイブルこと楓はスヤスヤと寝ていた。
掲示板で自分が話題になってる事など知る由もないメイブルであった。
最終更新:2020年06月27日 19:24