アールスハイド王国、かってこの地を『魔人』から救った『賢者』がいた。
その賢者が救った小さな命は、前世の記憶を持つ`転生者`であった。
時は流れ、成長した`賢者の孫`シン=ウォルフォードはシュトローム率いる魔人達から世界を守るため、『アルティメット・マジシャンズ』と呼ばれる仲間たちと共に激しい戦いを繰り広げていた――――
しかし!!これから語られる物語は、そんなMSでは語られなかった、
彼らのありふれた日常の物語を一つ一つ描いていく―――
目覚まし時計の音で目覚めたシンは、目覚まし時計の示す時刻を見て慌てだし―――
シンはアルティメット・マジシャンズの皆と共に、学校へ急ぐ。
アルティメット・マジシャンズの―――
`SS`(ショートストーリー)である――――
―――これはシシリーがシンと出会う少し前の話―――
シシリー「うーん、どっちが似合うかなぁ・・・」
シシリーが二つの服を見比べて悩んでいたが、窓に小石が当たり、
窓の方を見た。
マリア「シシリー!準備できたー?」
外にマリアが来ていた。
シシリー「ち、ちょっと待って!!すぐに行くから!!」
シシリーが慌てて降りてきた。
シシリー「おまたせー!」
マリア「じゃあ行こっか。今日は久しぶりのお買い物だからね。アチコチまわるわよー!」
それから、シシリーとマリアは街のアチコチを巡っていた―――
マリア「はーあ、いつか彼氏とこうやって買い物行きたいな~」
シシリー「そう?私はマリアと一緒に買い物するの楽しいよ」
マリア「そりゃ、私だってそうよ。でも憧れるじゃない、買い物デートって・・・」
シシリー「そうなの?」
マリア「はぁ・・・これだからこの子は・・・・」
マリア(初等学院の頃からこの子はこういう話にてんで関心がないのよねえ・・・好きな男子を聞いても)
シシリー「好きってよく分からない・・・」
マリア(だし・・・ま、そこが悪い所でもあり良い所でもあるんだけど・・・)
「そういえば・・・最近王都に戻っていらした賢者様と導師様に男の子のお孫さんがいるの知ってる?」
シシリー「そうらしいね」
マリア「それがなんと私達と同い年で、今度のアールスハイド高等魔法学院の入学試験を受けるらしいわよ」
シシリー「へぇ・・・そ、そうなんだ」
マリア「何よ、気にならないの?」
シシリー「だってその人知らないし・・・」
マリア「私だって知らないわよ。でも、`あの`賢者様達のお孫さんなのよ?どんな人か気になるでしょ」
シシリー「そうかなぁあ・・・?」
マリア「まったく・・・そんなんだから、いつまでたっても好きな男の一人も出来ないのよ」
「あ、これは・・・」
シシリー「・・・だって、好きってよくわからないよ・・・」
「お父様やお兄様に対する好きとは違うんだよね?」
マリア「・・・一緒だったら大問題よ・・・」
シシリー「やっぱりよく分からないなぁ・・・」
マリア「なら、シシリーの理想の人ってどんな人なのよ?」
シシリー「理想?」
マリア「恋した事なくても、こんな人が良いなぁ~ってのあるでしょうよ」
シシリー「・・・うーん・・・優しい人がいいのかなぁ・・・」
マリア「何で疑問系なのよ」
シシリー「むー、じゃあマリアの理想の人ってどんな人なのよぉ」
マリア「私?そりゃやっぱり見た目は格好いいに越したことはないわね」
シシリー「あるんだ・・・」
マリア「それで剣か魔法の達人でー、しかもお金もいっぱい持っててー、それでいて私以外眼中に無い男かな?」
シシリー「そんな人いるの・・・?」
マリア「だから理想なんじゃない!そんな男がたくさんいたらお姉様みたいな独身女なんていなくなるっての!」
シシリー「それ聞かれたら殺されるよ?」
マリア「・・・・・・絶っっっっ対内緒だからね~!!?」
シシリー「えー?どうしようかなー?」
マリア「何でも言う事聞くからおねがい~!!」
シシリー「じゃあ今日のカフェおごりねー」
マリア「ちぇ―――余計な事言うんじゃなかったー」
シシリー「得しちゃったかな?」
マリア「はいはい、そーですねー・・・」
シシリーの笑顔を見て、マリアも口元を緩めた。
マリア「あーあ、いつか運命の人が現れるのかしら?」
シシリー「そうだねぇ、現れるかなぁ?」
マリア「あは、アンタはまず恋を知るところからでしょ」
シシリー「む――――
そんな事を話す二人の横を、馬車が通った。
マリア「あっちで舞台がやってて―・・・」
シシリーは馬車を見ていた。
―――この後、彼女らの人生を大きく変動させる出逢いがある事を―――
二人はまだ知らない
シン「へぇ――――ここが王都かぁ~」
通り過ぎた馬車の中に、シンがいた。
(続く)
最終更新:2020年08月30日 10:40