イースIV MASK OF THE SUNのエンディング

【あらすじ】
強大な力を生み出す3つの巨大な石板"太陽の仮面""月の仮面""大地の仮面"、それらを制御する3つの宝珠"太陽の瞳""月の瞳""大地の瞳"───。
遥か昔、セルセタ地方に暮らしていた有翼人達は、その力で強大な文明を築き人間達と共存してきたが、いつしか彼らは驕り、人間を家畜にして自身が世界を支配しようと企んだ。
やがて両者の間で戦争が起こり、勇者レファンスはスラノ、タリム、ミーユ、ラディー、トリエの五忠臣と共に立ち上がって争いを鎮め、恐怖の日々に終止符を打った。
レファンスは文明の力が悪用されないように古代都市を地中深くに封印し、全ては広大な樹海に覆い隠された。
仮面と瞳は人類に譲渡され、有翼人は聖域に移り、長い平和な時代が続いた。

───そして時は流れた。

エステリアでの冒険を終えて間もないある日、アドルがホワイトフォーンの砂浜で拾った瓶詰めの手紙から物語は始まった。
その手紙に記されたセルセタ地方は、封印された古代文明の力の復活を目論む者達に狙われていた。
有翼人の最後の末裔・エルディール。彼に従うロムン帝国から来た謎の3人組"闇の一族"のグルーダ、バミー、ガディス。
『大いなる湖水の蒼き色は やがて真紅に染まる 漆黒となる前に、我らを呼べ』という、かつてレファンス公が残した警告が現実となろうとしていたのだ。
フレアと共にセルセタに向かったアドルは、旅の中で太陽と大地の瞳を手に入れ、残る月の瞳は自分を追って遥々セルセタへ渡ったリリアが持っていることを知ったが、彼女はエルディールにさらわれてしまった。
その後、雷雨の聖域の城で月の瞳を見つけ、手紙を海に流した主であるハイランドの少女・リーザの本当の想いを人づてに知るのだった。
彼女はエルディールを世話する役目を担っていたが、優しかった彼の豹変に気付きつつも内に秘めた特別な想いとの間で揺らぎ、手紙を流したのだ。
3つの瞳を手に大長老の元に辿り着き、人間と有翼人の歴史を語ってもらったアドルは、"英雄の剣"と"金の台座"を揃え、レファンス公の魂に導かれて古代都市の封印を解き、それを破壊するために乗り込んでいく。
最初に立ちはだかったガディスを倒すも、3つの仮面は既に遺跡から持ち出されており、仮面復活の生贄にされたリリアはアドルの眼前でバミーの手にかかって命を落とし、更に瞳も奪われてしまった。
"輝きの首飾り"の力でリリアを蘇らせ、ドギ、そしてカーナとレムノスの協力を受けたアドルは、イリスの塔でバミーを倒し、勇気の翼を携えて塔の頂上から黄金の神殿に飛び降り、内部でグルーダと対峙する。
彼はエルディールに従うふりをして利用し、3つの仮面によって古代の力=黒真珠を生み出し、それを奪って世界を征服しようとしていたのだ。
グルーダを倒して神殿の最奥部に辿り着くと、既にエルディールは黒真珠の力を手にしていた。太古の時代のように有翼人が世界を支配するという理想を実現する為に。
レファンスと五忠臣の加護の下、正義と友愛を受け継いだアドルは、蘇らせたグルーダ達を生きた鎧にするというエルディールの奇策にも屈することなく立ち向かっていき、長く苦しい戦いの末、遂に勝利した。


エルディールに止めを刺したその瞬間…。

アドル「ああっ! 英雄の剣がっ!! 英雄の剣が…役目を終えて砕け散ってしまった……。」

太陽の仮面の上に横たわるエルディール。

エルディール「うぐっ…………アドル……私の……負けだ……。おかしなものだな……戦いに負けたというのに……私の心は、安らいでいる……。」

アドルが歩み寄る。

エルディール「私は……先祖のように…力に満ちた存在でありたかった……。」
アドル「エルディール…。」
エルディール「それが私の心に…悪をはびこらせたのだ……。私には、最後の有翼人としての誇りがある……。このままくちはてる事はできない…。そんな時、古代の力を復活させるとグルーダに言われた……。
 封印は破ってはならない……。承知している事だった…しかし…誇りと偉大な栄光へのあこがれが…私に封印を解くことを決意させたのだ
 私は……先祖のように…力に満ちた存在でありたかった……。しかし…私は間違っていた…私の白かった翼は…心の悪を象徴するかのように…ドス黒くなってしまったのだ……。」
アドル「………………。」
エルディール「私につかえてくれた高原の村…いやリーザには…悪い事をした…どんなにつらかったろう…。」
アドル「エルディール、君は…リーザの想いに気がついて……!?」
エルディール「…私は…最後の有翼人の誇りという宿命に勝てなかったのだよ…そんな私に…あの娘は…よくつくしてくれた…しかし…私に何ができるというのだ…?」
アドル「………………。」
エルディール「もう、私は何も残っていない…。この後、私にできる事は……。すでに伝説となっているこの遺跡を…過去の遺物という名の私と共に葬りさる事だけだ…。」
アドル「………………。」
「アドル!!」
「アドルさん!」

ドギとリリアが駆けつけてきた。

リリア「無事だったんですね! よかった。」

アドルに駆け寄って抱きしめるリリア。

ドギ「この娘がどーしてもって言うんで…アドル。捜したぜ。…ん? こいつは…。」
「アドル!」
「アドル!!」

更にカーナとレムノスもやって来た。

レムノス「壁をこわして入ってきたんだよ。はぁ、疲れた。」

カーナがエルディールに目をやる。

カーナ「こいつが悪の親玉ね!!」
「エルディール様!!」

駆けつけるなり、リーザはカーナに体当たりする。

カーナ「何すんのよ!! あんたたちのおかげで、一体何人の人たちが苦しんだと思ってるの。」

アドルが2人の間に入る。

アドル「カーナ。もう、いいじゃないか。彼は、それ以上につらかったんだ…。」
リーザ「…エルディール様……!」
エルディール「みなさん…すまなかった……。リーザ……君にもすまない事をしたね……どうかゆるしてほしい。」
リーザ「そんな…エルディール様……。」
エルディール「たとえ、グルーダたちがいなくても私はきっと同じ過ちを犯した事だろう
 古代セルセタの力を手に入れれば私は偉大な存在になれる。そう思ったとき、私の心には邪悪な物が広がりはじめたのだ。
 すべては、私のせいなのだ……力を完全に発動する前に……それに気がついてよかった。アドル。本当に君のおかげだ……感謝している。」

地震が起こる。

ドギ「げっ、アドルっ! 地震だぜ!!」
レムノス「ここは危険だ!!」
カーナ「レムノス、うろたえるんじゃないわよ!!」
リリア「アドルさん!!」
エルディール「さあ……君たちは逃げたまえ……私はここで幕を閉じるのがふさわしい……。さよならだ、リーザ……。」

ドギが手を差し延べるが、リーザは拒絶する。

リーザ「いや! 私、エルディール様とここにいます! 最後まで、おつかえするんです!!」

カーナがリーザに平手打ちする。

カーナ「いつまでも、わがまま言ってんじゃないわよ!!」
エルディール「リーザ……私にはもう、何もない…君はこれから一人で歩いて行くんだ…強くお生き……リーザ……。」
リーザ「…エルディール様……!」
エルディール「ここから…全てが始まるのだ…さよなら、リーザ……。」

アドル達が光の玉に包まれ、神殿の外へ。

リーザ「エルディール様ぁ!!」

そして、エルディールは崩壊する神殿と運命を共にするのだった…。


6人はプロマロックの広場にいた。

デュレン「よう、終わったようだな。」
アドル「ああ…。」
デュレン「なぁ兄さん、オレは思うんだが……結局さぁ、みんな踊らされていたんじゃねぇのか?
 エルディールとかいう奴だってグルーダたちだって、みんな古代のセルセタの力に惑わされていたのさ。
 気を落とすことはねーよ。これでよかったんだ。」
リーザ「私……つよく生きていきます……エルディール様も…それを望んでいらっしゃいました…。
アドル「リーザ……。」
リーザ「みなさん……ごめいわくをおかけしました。」
アドル「強く、なんて言うんだったらうつむいてばかりじゃいけないよ。しっかり前を見て生きていくんだ。」
ドギ「あんまり前を見すぎて、まわりの迷惑かえり見ずホれた男をおっかけまわしても困るけどな。な、リリア?」
リリア「ド、ドギさんっ。」
ドギ「おめーの気持ちわかるけどあんまりムチャすんなよ。」
リリア「はい、ドギさん。」
リーザ「ふふふっ。」
カーナ「さあ、レムノス。これからは新しいセルセタの歴史が始まるのよ。セルセタみんなの力で、古代文明に負けない、立派な国にしなくちゃね! わかってるの? レムノス!!」
レムノス「カーナに言われなくてもわかってるさ! それに、文明にとらわれて、心を忘れちゃダメだってこともね。」
カーナ「へーっ! いいこと言うじゃない。見直しちゃったわっ!!」
「おーい、アドル!!」

やって来たのはフレア。

アドル「フレア?」
フレア「やあ、セルセタの謎は解いたのかい? 地震があったみたいだが……何かあったのかなぁ?
 まぁ、いいか、いいか。そろそろ帰らないと、ここの医者にさせられてしまいそうなんだよ。
 早く帰ろうよ。実はね、ゼムに船をたのんであるんだ。」
ドギ「まぁったく、調子のいいセンセイだぜ。」
アドル「あははは……。」
リーザ「ふふふっ。」
リリア「アドルさん、あの…一日だけでいいですから…ランスの村に、来てください! お願いします!!」
ドギ「アドル、行った方がいいぜ。また、追っかけられても困るしな。」
リリア「ドギさんったら! もうっ!」
リーザ「うふふふっ。でしたら、港までお送りしましょう。」
カーナ「アドル。私達も帰るわ。こっちに来るような事があったらぜひ、よってね。」
デュレン「俺もおさらばするぜ。情報が欲しいときは、言ってくれよ。」
「じゃあね。」
「元気でな。」
「あばよっ!!」

街の人々も別れの言葉を贈り、解散する。
アドル、ドギ、リリア、フレアを乗せた船は準備を終え、出発する。
それを見送っていたリーザ。

リーザ「さよーならぁーー……」

船が去り、1人残ったリーザ。

リーザ「…エルディール様…。」

エルディールと過ごした日々を思い出す。

リーザ「私、もう、迷いません。アドルさんが…みなさんが…私に勇気を与えてくれました…。私、強く生きていきます……!」


ミネアの港。
アドルを乗せた船が出発準備のところに…。

「アドル!」

ドギがやって来た。

アドル「ドギ。」
ドギ「やっぱり、行っちまうか…。」

頷くアドル。

アドル「ああ。僕から冒険心をとったら何も残らないだろ?」
ドギ「フッ。そう言うと思ったぜ。まぁ、いいや。今日から、俺も一緒に行かせてもらうぜ。」

ドギが船に飛び乗る。

「え?」
ドギ「リリアに、おめーの様子を手紙で伝えてくれって頼まれちまったし…。おめーを見てると、俺の冒険心ってヤツが熱くなってきやがってよ。それに…また閉じこめられたら困るだろ?」
アドル「じゃあ、一緒に行こう! 出発だ!!」

準備を終え、船は行く。
遅れて来たリリアがそれを見送る。

リリア「アドルさん………。」


船上で夕日を見つめるアドル。



アドルの冒険に
終わりという文字はない





【END】

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最終更新:2020年09月15日 18:53