機界戦隊ゼンカイジャーの第1話


それは、突然のことだった……
あらゆる世界がなすすべもなく小さな機械に閉じ込められた。
そして最後に狙われた世界は……



五色田介人がスカイツリーで何かをしようとしていた。

介人「よし」
警備員A「お客様…… 失礼ですが、その荷物は?」
介人「命綱です!」
警備員A「命綱…… 一体何するおつもりで?」
介人「世界初、スカイツリーのてっぺんからバンジージャンプです!」

その後、介人は警備員から締め出されてしまう。

警備員A「はい、てっぺんからのバンジーはご遠慮ください」
介人「じゃあ展望デッキ。展望デッキなら……」
警備員B「困るんですよ。ユーチューバーかなんか知らないけど……」
介人「ユーチューバーじゃなくて、俺は世界初の何かでっかいことがしたいんだ!」

すると空が暗くなる。
そこに現れたのはキカイノイドと呼ばれる生命体だった。

ジュラン「どこだここは?」
介人「もしかして…… 父ちゃんたちが発見した、並行世界の人?」
警備員たち「あっ、おい!」
介人「初めまして。俺、五色田介人! 仲良くしようぜ」



第1カイ!
キカイ世界はキキカイカイ!



レポーター「私たちの世界が並行世界、キカイトピアと混ざってから1ヶ月。この風景も今ではすっかり日常となりました! そもそもキカイノイドのみなさんは移住を考えてたんですか?」
マジーヌ「ぜ、全然! 普通に生活してたらいきなりここにいて、気づいたらキカイトピアに戻れなくなってて、自分としても意味不明で……」
レポーター「ありがとうございました!」


駄菓子カフェ「カラフル」。

ヤツデ「はいよ、はい。また来てな……」
キャスター「五色田功博士と、五色田三都子博士がご提唱した、並行世界の存在説がこんな形で裏付けられるとは思ってもみませんでしたよね……」
ヤツデ「全くだよ…… ねぇ、セッちゃん」

そこへ介人がやってくる。

介人「ヤッちゃん‼︎」
ヤツデ「なんだよ介人、騒々しいね!」
介人「綿菓子。綿菓子ちょうだい!」
ヤツデ「なんでも好きなもの持って行きな、ほら。そこそこ」
介人「あった!」
ヤツデ「お支払いは給料から引いておきまーす!」
介人「了解! 行ってきます」
ヤツデ「天真爛漫に育っちゃったねぇ……」
介人「爆速全開‼︎」


公園で若者がバーベキューを焼きながら踊っていた。

ジュラン「よぉ、青年たち。俺もパーティーに混ぜてくれ! これ使っていいからさ」
女性「マジ? くれんの? いいよ、いいよ。盛り上がろう!」
ジュラン「そうこなくっちゃ…… ヨロシコ」
一同「ヨロシコ‼︎」
ジュラン「イエイ、カモン」
男性「俺さ、キカイノイドとパーティーすんの初めてだわ」
ジュラン「おう、俺なんかぶっちゃけパーティー自体初めてよ。な? 腐ったお偉方はしらねぇけどよ……」


トジテンドパレス。

イジルデ「ははーっ」
ボッコワウス「イジルデ。状況を報告せよ……」
イジルデ「はっ! 偉大なる王、ボッコワウス様…… 全ての世界をトジルギアに閉じ込めるまで残りあと1つでございます。はい……」
ボッコワウス「ひと月前から進んでおらんではないか! 一体どうなってるんだ?」

ボッコワウスの拳でイジルデとバラシタラが跳ねる。

ゲゲ「しかも、その最後の世界、キカイトピアの一部を持っていかれたらしいな……」
ブルーン「ん?」
イジルデ「それが、小生にもよく……」
ブルーン「あのぉ、一部を持っていかれたとはどういうことですか? そこは一体どういう……」

イジルデがブルーンに電流を浴びせる。

イジルデ「掃除係が、失礼をいたしました……」
ボッコワウス「至急原因を究明しろ! 全世界を我が手に収める目前でこの有様、許されると思うなよ‼︎」
ゲゲ「ボッコワウス……」
ボッコワウス「どうした? ゲゲ……」
ゲゲ「このしぶとい世界は、トジルギアにせずに、ストレートに侵略したらどう? 領地も増やせるんだ……」
ボッコワウス「それだ。さすがワシの可愛いゲゲ…… おい、バラシタラ」
バラシタラ「はっ! 小生の出番でありますか? 腕がなるであります」


介人がキカイノイドにたこ焼きをもらう。

介人「これがキカイトピア名物、キカイたこ焼き……」
店主「これが、綿菓子……」
介人「世界初、綿菓子とキカイたこ焼きを交換…… いただきます……」

すると屋台が爆発してしまう。
そこに現れたのはクダックだった。

介人「キカイノイド?」
バラシタラ「たった今からこの世界は、キカイトピアの王朝、トジテンドのものである!」

クダックが人々に襲いかかる。

男性「キカイノイドが、暴れだしたぞ‼︎」
介人「お前…… なんでだよ! 仲良くなったと思ったのに、なのに何で、自分の仲間まで何で?」
バラシタラ「人間もキカイノイドもない…… 我々支配層以外、全て等しく、スクラップである……」

バラシタラは介人を投げ飛ばしてしまう。

バラシタラ「人間とは軽いものである……」
クダイター「やれ……」

クダックたちは若者たちに襲いかかる。

ジュラン「トジテンド? この世界まで来やがったのか……」
クダイター「おい、そこのキカイノイド。この人間どもをスクラップにしろ!」
ジュラン「なんだと? てめぇ!」

ジュランは石をクダイターに向ける。
若者たちはそれを見て怯え、逃げ出してしまう。

ジュラン「いや、俺は…… いや、違う。ただ、俺は…… 違うんだって。おい、ちょ待てよ。まぁ、人間にとっちゃ同じか……」
クダイター「まぁまぁ……」
ジュラン「ありがとよ…… ん? いや、おい!  この野郎!」
クダイター「よく見れば庶民キカイノイドじゃないか。ならば貴様もろともスクラップだ!」

ジュランがゴミ捨て場に投げ出される。


一方、介人も別のゴミ捨て場に投げ出されていた。
クダックがヤツデに襲いかかる。

ヤツデ「来るなって言ってるでしょ!」
介人「やめろ! ヤッちゃん、早く!」

介人とヤツデは店の中に逃げ込む。
そして内側からしっかりバリケードを貼る。

ヤツデ「全く、キカイノイドっていうのは、何がどうなってんだい?」
介人「嬉しかったのに……」
ヤツデ「えっ?」
介人「仲良くなれるって思った…… 父ちゃんたちが見つけた世界と」

セッちゃんを抱える介人。

介人「父ちゃん…… 母ちゃん……」


功「お父さんたちの力作、ついに完成だ!」
美都子「介人の友達、セッちゃんだよ」
介人「わあっ、すごい…… あんなに何回も爆発してたのに」
美都子「だって諦めたくなかったから……」
功「本気でやりたいことはな、結果を出すまで全力全開!」
2人「失敗も挽回! 何回もトライ‼︎」


介人「そうだ…… 俺も諦めたくない。俺、まだ何もできてない…… 決めた。俺は世界を守る!」
ヤツデ「えっ? どうやって⁉︎」
介人「わかんない。でも、結果出すまで全力全開だ‼︎」

するとセッちゃんが動きだした。

ヤツデ「飛んだ!」
セッちゃん「チューニング完了!」
介人、ヤツデ「喋った!」
セッちゃん「ああ、そっち行って」
介人「はい……」
セッちゃん「ゴー!」
介人、ヤツデ「わああーっ‼︎」

2人は隠し通路の中に落ちていく。

明かりがつくとそこは研究室だった。

介人「うわあっ! スッゲェ‼︎ 何ここ?」
セッちゃん「功博士と美都子博士が使ってた研究室チュン!」
ヤツデ「あの子たち…… いつの間に……」
セッちゃん「博士たちが発見した並行世界はキカイトピアだけじゃないチュン。その中に、スーパー戦隊っていう地球を守ったヒーローがいる世界がたくさんあったチュン!」

すると後ろに変身銃、ギアトリンガーの入った棚が出現。

セッちゃん「このギアトリンガーとセンタイギアはスーパー戦隊を参考に博士たちが作ったチュン!」
介人「父ちゃんと母ちゃんが?」
セッちゃん「これを使って侵略者と戦うチュン‼︎」
介人「……やるよ、俺…… 戦う。頑張ろうな、ヤッちゃん!」
ヤツデ「ええっ? やだよ。還暦ばあちゃんにそんなことやらせるんじゃないよ!」
介人「あっ!」

介人は自分とヤツデが戦うイメージを浮かべる。

介人「いや、やろうよ!」
ヤツデ「やだよ!」
介人「一緒に戦おうって!」
ヤツデ「やだ‼︎」
介人「かっこいいから‼︎」
ヤツデ「えっ? やだよ、そんなのもう!」


街ではクダックが暴れていた。
ジュランは1人落ち込んでいた。

ジュラン「どうなってんだ?」
子供「やだ‼︎ やだよ、やだ‼︎」

ジュランが子供に襲いかかるクダックに体当たりをする。
クダックが武器を振るうと、介人がギアトリンガーを連射。

介人「やった…… 倒せた」
ジュラン「なんだあいつ? あっ」

ジュランはさっきのやりとりを思い出す。

ジュラン「悪い。その…… 俺は、ただ……」
介人「助けてくれてありがとう……」
ジュラン「えっ?」
子供「ありがとう!」
ジュラン「お、おう…… この辺ヤベェからあっちへ逃げろ。な? ……お前、よく俺のこと攻撃……」

介人はギアトリンガーをジュランに差し出す。

介人「俺と一緒にトジテンドと戦ってよ」
ジュラン「はぁ? いや、ちょ待てよ。俺もキカイノイドだぜ? ぶっちゃけよく初対面でそんなこと、俺に……」
介人「俺もおじさんと仲良くしたい! だって、あいつらとは違うじゃん……」
ジュラン「えっ? ……ああ、そうさ。あいつらとは違う! おじさんじゃねぇ…… ジュランだ。ヨロシコ」
介人「俺は介人。五色田介人…… よろしく!」

そこへバラシタラがやってくる。

バラシタラ「おや? そこに見えるのはさっきの人間。よく無事だったである……」
クダイター「そこの庶民、今度こそスクラップに……」

するとジュランがギアトリンガーを発射。

ジュラン「よっしゃあ。俺、決まってんなぁ!」
介人「ああ、忘れてた。はい」

介人はジュランにセンタイギアを渡す。

ジュラン「何だこれ?」
介人「スパッと開けて、ジュッと入れて、バーンってやるの」
ジュラン「早く言えよ……」
介人「行くぞ!」
ジュラン「おうよ!」
2人「チェンジ全開‼︎」

『45番』『16番』

ジュラン「なんか聞こえるぞ? おいおい……」

『ババン、バン』『ゼンカイザー』『ゼンカイジュラン』

2人はチェンジ全開を遂げ、ゼンカイザーとゼンカイジュランとなる。

カイザー「秘密のパワー、ゼンカイザー!」
ジュラン「恐竜パワー、ゼンカイジュラン!」
2人「2人合わせて、機界戦隊ゼンカイジャー‼︎」
セッちゃん「やったぁ! 最高、イエー!」
カイザー「行くぜ。全力全開!」

ゼンカイザーとゼンカイジュランがクダックに挑む。

カイザー「おおっ、すげぇ…… もういっちょ」
ジュラン「よそ見厳禁!」
カイザー「おおっ、スッゲェ!」
ジュラン「こいつはいい!」
カイザー「行くぜ」
セッちゃん「介人、ジュラン!」
ジュラン「誰だ?」
カイザー「セッちゃんだ!」
ジュラン「いや、だから誰だ?」
セッちゃん「バックルから別のセンタイギアを出して使ってみるチュン」
カイザー「うん、わかった」

『40番』『ババン、バン』

ジュラン「お前らも誰だ?」

『ジュウオウジャー』

カイザー「ちょっとちょっと、ちょっと!」

ゼンカイザーの背中に翼が出現。
ゼンカイザーが空を飛ぶ。

ジュラン「羽が生えた!」
カイザー「おおっ、飛んだ! なにこれ?」
セッちゃん「動物戦隊ジュウオウジャー、ジュウオウイーグルをイメージした力チュン!」
ヤツデ「ふーん……」
カイザー「イーグルって、鳥か。よーし!」

ゼンカイザーが空中からクダックに銃撃していく。

ジュラン「面白ぇ…… 俺もやりてぇ!」
カイザー「いいよ。ジュランは、これ!」

ゼンカイザーはゼンカイジュランにニンニンジャーギアを渡す。

ジュラン「こいつか…… よーし。入れ替えて…… グルグルグル」

『39番』

ジュラン「いいじゃねぇか、いいじゃねぇか……」

『ニンニンジャー』

ジュラン「燃えてきたぁ!」

ゼンカイジュランが高速でクダックに斬りかかる。

セッちゃん「手裏剣戦隊ニンニンジャーをイメージした力チュン」
ヤツデ「はぁ……」
セッちゃん「ニンニン!」
ジュラン「へぇ、色々あるんだな……」
カイザー「ジュラン、最高だな!」
バラシタラ「面白い技だな…… ならば、これでどうだ! クダイテスト‼︎」

街にクダイテストが出現。

クダイテスト「お呼びですか? クダイテスト、参上!」
カイザー「なにあれ? デカさ全開!」
ジュラン「トジテンドの改造兵だ!」
クダイター「この俺も忘れるな!」
カイザー「忘れてた‼︎」
ジュラン「介人!」

クダイテストが街を破壊し始める。

カイザー「やばい。このままじゃ街が!」
セッちゃん「ジュラン! ギアを裏返して使うチュン!」
ジュラン「わかった! えーっと、裏返して、こうか。グルグルグル…… さぁ、行くぜ。あれ? いやいやいや、やばい、やばい!」

『ゴーゴーゴー! ゼンカイジュラン』

ゼンカイジュランが巨大化を果たす。

ジュラン「ああっ! 何だこりゃ?」
カイザー「すっげぇ! ジュランもデカさ全開だ!」
ジュラン「よくわかんねぇけど、ちょうどいい! 恐竜パワー、見せつけてやるぜ。機界変形! ジュランティラノ‼︎」

ゼンカイジュランが変形してジュランティラノになる。

ジュラン「このデカブツは俺に任せろ‼︎」

ジュランティラノがクダイテストに挑む。

ジュラン「効かねぇよ!」

クダイテストはビームを繰り出すが、交わされてビルに突っ込む。

ジュラン「どうだ、こんなもんよ」
カイザー「じゃあこっちは俺が、全力全開‼︎」

ゼンカイザーはクダイターに挑む。

クダイター「貴様、銃は殴るものじゃないぞ!」
カイザー「そっちこそ、街は壊すものじゃないんだよ!」
ジュラン「こいつはちょうどいい!」

ジュランティラノがゼンカイジュランに戻り、看板に乗り込む。

ジュラン「いい波乗ってるね!」

ジュランソードがクダイテストに斬りかかる。

ジュラン「まだまだ!」
カイザー「ラスト。必殺全開! うおーっ!」
ジュラン「こっちもとどめ全開だ!」

『ヒーロー! スーパーゼンカイタイム!』『ゴッゴー、バンバン!』『大全開!』

それぞれの必殺の技が炸裂。

クダイダーとクダイテストは爆発する。

ジュラン「決まった……」


カラフル。

ヤツデ「いやあ、よくやった!」
セッちゃん「よくやった!」
ヤツデ「2人とも、よくやった!」
ジュラン「いやいや、そんな、そんな…… まぁぶっちゃけそれほどでもあるな……」
介人「ねぇ、俺たち、世界初のすごいこと成し遂げたよね? ねぇ、ねぇ、ねぇ!」
セッちゃん「この世界じゃ、そうかもね……」
ジュラン「よーし! 今夜はパーッと祝勝パーティーだ!」
介人「YES!」
ヤツデ「任せな。私がね、特製ヤツデスペシャル作ってやるよ」
一同「イエーイ!」
ジュラン「介人、介人。ヤツデスペシャルって何?」
介人「それはね……」
ヤツデ「きゃあああっ‼︎」
介人「どうしたヤッちゃん?」

外に出ると人々の頭にキノコが生えていた。

3人「キノコ…… ええーっ?」



(続く)

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最終更新:2021年03月26日 04:14