22世紀の未来。
雨の中、ドラミが列車で街中を行く。
ドラミ「雨か……」
のび太の子孫であるセワシの家。
スクリーンの中で、のび太が犬に追われたり、ドブに落ちたりと、ドジを繰り返している。
セワシ「もう! のび太おじいちゃんは、相変らずだなぁ……」
ドラミがやって来る。
ドラミ「セワシさん! ご用って、何?」
セワシ「ちょっと頼みたいことがあるんだ」
ドラミ「お昼まだなんでしょ。ちゃんと食べなくちゃ駄目よ」
セワシ「ねぇ、その前に、ちょっと」
ドラミが自動調理器を操作し、食事の準備にとりかかる。
セワシ「あっ、魚より肉がいいな」
ドラミ「駄目よ。カルシウムを多くしておきましょうね」
セワシ「とにかくさぁ、ちょっとこれ見てくれよ」
ドラミ「何?」
セワシ「調査ロボットのアララに頼んで、僕のご先祖様たちのレベルを調べて来てもらったんだ」
ドラミ「レベル?」
セワシ「うん。大体同じようなレベルなんだけど──」
セワシが、過去の先祖たちのグラフの、1990年の箇所を指す。
セワシ「ほら、ここんとこがガクンと下がってるだろ。誰だと思う?」
ドラミ「……のび太さん?」
セワシ「うん。ところがもう1か所。負けずに落ち込んでるところがあるんだよ」
セワシがグラフの、西暦1580年の箇所を指す。
ドラミ「本当! 随分昔、戦国時代くらいの人ね」
セワシ「のび平っていう人らしいんだけど、どんな人なのか、もう一度アララに調査に行ってもらったんだよ」
調査ロボットのアララが、時を超えて帰って来る。
アララ「あぁ~、疲れた。大忙し」
セワシ「ご苦労さん。で、どうだった?」
アララ「のび平、ドジ、マヌケ! 見ればわかる」
スクリーンの中で、のび平はイノシシに追いかけられたり、川に落ちたりと、ドジばかりしている。
セワシ「えぇ? のび太おじいちゃんといい勝負だな……」
ドラミ「のび太さん以上かも……」
続きの場面では、のび平が山賊に襲われている。
ドラミ「あっ、山賊に襲われてる! おいアララ、のび平さんはこの後、どうなったの?」
アララ「……アララ、怖い。逃げた」
セワシ「えぇ~っ!? 大丈夫かなぁ? やられちゃったんじゃないだろうな」
ドラミ「セワシさん。私、こののび平さんのところに行ってみるわ」
セワシ「えっ、本当!?」
ドラミ「だって、セワシさんもそのつもりで私を呼んだんでしょ?」
セワシ「へへ、当たり! 僕、今月も成績悪くて、お小遣い減らされちゃってさ。のび太おじいちゃんは相変らずだし。もしかして、こののび平さんをレベルアップさせたら、のび太おじいちゃんも、そして僕も! てな具合になるんじゃないか、なんて思ってさ」
ドラミ「とにかく急いだ方がいいと思うから、早速行ってみるわ」
セワシ「うん! 案内役として、このアララを連れてってよ」
アララ「えっ!? アララ、クタクタ……」
セワシ「向こうへ行ってゆっくり休めばいいよ!」
ドラミ「お昼ごはん、ちゃんと食べてね」
ドラミとアララが出発する。
窓の外は依然、雨が降っている。
セワシ「嫌だなぁ…… 明日はピクニックだっていうのに」
最終更新:2021年03月30日 20:31