ロックマンX(漫画版)の第11話

#11

エックスはDrケインが建てたレプリロイドの墓地を訪れ、
ゼロの墓に花を添えた。

ケイン「のぉ・・・エックスよ・・・やはり一人で行くのか?」
「そうか・・・」

エックスが無言で立ち去っていく。
ケイン「エ・・・エックス!!」
「!?」
「・・・・・・」

エックスは朝日に照らされながら、ケインに微笑みを向けていた。


HIDDEN WEPON(隠された武器)


―――三時間後、南極。
Σ軍の基地の中に、レプリロイドの残骸が散らばり、一体のレプリロイドが逃げていたが、
崖の方に来てしまった。

レプリロイド「ひっ!行き止まり!?」
その後ろに一つの影が迫っていた。
レプリロイド「お、俺達部下を皆破壊してどうする!?少しでも戦力が必要なんだろ?」

剣閃が放たれ、そのレプロイドの頭が崖から落ちていった。
その攻撃を放ったのは、彼らの上官であるはずの、カウンターハンターのアジールだった。
アジール「「戦力」を名乗るなら一撃目ぐらいはかわすんですね。まあ、しょせんは「足手まとい」の集団でしたね」

サーゲス「一万台もいた軍団も今ので最後かい」
アジール「ええ」
サーゲス「足手まといの一掃とはまた思い切ったことをするの~~~~~」
アジール「一万台もいても私のウォーミングアップにもならないとは・・・足手まといというより「カス」ですね」
アジールは自分のビームサーヴァーの刃を舐めた。

アジール「――――で奴はどうしました?」
サーゲス「もう基地に潜入しておるわい。今ごろはあそこへ導きいれらとる」

エックスは基地の中を進んでいた。
エックス「なんだ?敵が一人もいないぞっ。ん?奥に光がある」
「あっ」

エックスが出た先は、コロッセウムとなっていた。
エックス「古代闘技場だっ!!」

コロッセウムの観客席をレプリロイドの立体映像が埋め付くし、歓声をあげた。

エックス「く・・立体映像の見物人か・・・」
バイオレン「け・見物人は多い方がい・いいんだなぁ。お・お前もお・大勢にみ・見送られた方がいいんだろぉ。き・気をつかってや・やったんだなぁ~~~~」
「だから遠慮なくし・死ぬんだな~~~~~っ!!」

カウンターハンターのバイレオンが出てきて、エックスに頭の鉄球を投げつけた。

エックス「なに言ってるんだ!そんなもんつつしんで、遠慮させてもらうぜ!!」
エックスは鉄球にバスターを放ったが、鉄球はバスターを弾き、
エックスの顔面に当たった。
エックス「ぐあっ」

エックスが倒れ、鉄球がバイオレンの手元に戻った。
バイオレン「き・決まったんだなぁ~~~~~」
しかし、バイオレンの腹にバスターが当たった。
バイオレン「ぐっほ――――ぅ!!おっととと―――――ほお~~~~」
バイオレンが尻餅を付いた。
バイオレン「フ―――ホ―――お・・俺の鉄球くらって・・・い・生きてんのはぁ~~~~」
「おめが初めてなんだなかーっ」

エックスはヘルメットをへしゃげさせ、顔面が腫れながらも、立ち上がっていた。
エックス「少しは効くが大した武器じゃないな」
バイオレン「二枚目が台なしなんだなぁ~次はか・顔だけじゃあす・すまないんだなぁ!!」

バイオレンは再度、鉄球を投げたが、エックスはかわした。
エックス「直線の攻撃なんて簡単によけられるんだよ!!」

しかし、鉄球は一旦停止し、トゲの一つからの噴射で軌道を変えて、エックスの腹に当たった。
エックス「鉄球の軌道が変わった!!」

鉄球の不規則な攻撃がエックスを攻め立てる。
エックス「うわっ」
エックスは攻撃に晒されながらも、バスターをチャージしていた。
(次の攻撃に移る一瞬のスキを待つんだ・・待つんだ・・)

やがて、鉄球の攻撃が止んだ。
エックス「今だ!!」
エックスはバスターを放った。

エックス「やった!!」

しかし、バイオレンは上空に飛び上がっていた。
バイオレン「さ・探してるのは・・・・お・俺かなぁ~~~~」

バイオレンは指のマシンガンを連射してきた。
エックス「うわ――――っ!!つけいるスキがないのか!?ぐあっ」
エックスが爆発で吹き飛ばされた。

バイオレン「あ・浅はかな奴なんだなぁ~~~~」
バイオレンが着地した。

エックス「!?」
着地したバイオレンは一瞬止まってから、動き出した。
バイオレン「さ・さぁ~てと・とどめをさすんだな――――」

エックス(なんだ?今の「間」は?)
立ち上がったエックスの顔面に鉄球が当たり、更に鉄球の攻撃に晒された。
エックス(も・・・もしか・・・した・・・ら・・・!)

バイオレン「そぉれそれっ」
バイオレンの顔をバスターが掠めた。
さらにバスターの連射がバイオレンの周りに来た。
バイオレン「お、た、わ」

エックスは更にバスターを連射するが、鉄球が背中に当たった。
エックス「ぐあっ」

しかし、倒れながらもエックスはバスターを撃つ。
エックス「まだまだっ!!」
バイオレン「なぁ・生いきなんだな―っ!!」

エックスが倒れたまま、鉄球の攻撃を受け続ける。

バイオレン「ム~、ぶっ」
バイオレンの顔面にバスターが当たった。
バイオレン「む――――っ、うっとし―――んだな―――っ、こ・こうなったらそ・空から!!」
バイオレンが飛び上がった。

エックス「とんだ!!」

バイオレン「み・乱れうちなんだな~~~~~っ!!!!」
バイオレンのマシンガンの乱射を、エックスはかわしていく。

エックス(チャージしながら逃げ続けるんだっ!!)
(俺の考えが正しければ、着地の瞬間に、あいつの動きは止まる!!)

エックスの読み通りに、着地したバイオレンの動きが止まった。
エックス「思った通りだ――――っ!!」

バイオレン「ぐあっ」
エックスの右腕のバスターがバイオレンに直撃した。

エックス「くらえっ、Wバス・・・」
エックスは左腕のバスターを放とうとしたが、
飛んできた斬撃に左肩を切られ、倒れた。

アジール「バイオレンの弱点――――着地の時にその体重を支えられないで、一瞬足の機能がとまり、無防備になる。一回の攻撃でそこを見破るとはさすがですね」

サーゲスとアジールがバイオレンの加勢に来たのだ。
サーゲス「しかしお主にも弱点はある。折角のWバスターじゃが二発しかうてんーということじゃ」
アジール「そう我々のうち二台を倒したあとの一瞬のスキをつかれる・・・というわけですね」
バイオレン「た・助かったんだな~~~~」

アジール「さあどう闘います!?」
アジール達が一斉に飛び出した。

アジールがエックスの眼前に迫り、ビームサーヴァーを二度振るうと、
エックスの胸に、その名と同じXの形の傷が刻まれた。
エックス(は・・・早い!こんな攻撃をいつまでもかわせないぞ!間合いをとり直して・・・・!

下がろうとしたエックスに、アジールがビームサーヴァーの突きを連打する。
アジール「しゃ―――っ、きしゃ―――っ」
エックス「く・・・よけきれな・・・」
突きをかわしていたエックスの動きが止まった。
バイオレンの鉄球がエックスの脇腹に当たっていた。

エックス「ぐ・・敵は一人じゃ・・なか・・ったんだ・・」
エックスはよろけた拍子に、地雷を踏んでしまい、爆発で吹き飛ばされた。

サーゲス「ふぉふぉふぉ!油断しとるとわしの地雷のえじきになるぞ」

アジール「地雷っていうのは」
バイオレン「こ・こう進むんだ・だな」

アジールは地雷の僅かな隙間をくぐって進み、
バイオレンは地雷の爆発をものともせず突っ込んでいく。

エックス「アジールは地雷をよけて・・バイオレンは地雷をものともしないで突っ込んでくる・・・!!なんてやつらだ!!」

エックス「Wバスタ――――っ!!!」
エックスがアジールとバイオレンにバスターを放ち、アジールはかわし、バイオレンは喰らった。

しかし、サーゲスはエックスの頭上で回転しながら、エネルギー弾を出していた。
サーゲス「先程のアジールの言葉を忘れたのかの~~~~~?」
エックス「え」

サーゲス「Wバスターでは三人目は倒せんとな!!」
サーゲスのエネルギー弾が、エックスの腹に当たった。
エックス「うわっ」

バイオレンのアッパーがエックスの顔面をはね上げ、エックスのヘルメットの左側のヘッドギアがはじけ飛んだ。
そこへアジールが飛び込み、エックスの脇腹を切り裂いた。

観客達が歓声を上げる。

エックス「くそ、やつら楽しんでいるな・・・しかし!!俺はっ」
「ありったけの武器をぶちこんでやる!!」

エックスがこれまでの戦いで得た特殊武器――――
ケインに諫められて、命を奪わずにすんだワイヤー・ヘチマールのストライクチェーン。
エックスに負けたことから逆恨みを燃やして、再戦を挑んできたフレイム・スタッガーのラッシングバーナー。
友であるマグナクォーツを倒された怒りから襲いかかり、死への恐怖から倒してしまったクリスタ―・マイマインのクリスタルハンター。
ストーム・イーグリードの旧友であったがΣに騙されエックスと戦うも、エックスの姿にイーグリードの姿を重ね、その詫びのために命を散らせたソニック・オストリーグのソニックスライサー。
その搦め手で力を奪われながらも可能性を信じて立ち上がり続け、CPUマザーの協力によって倒したマグネ・ヒャグレッガーのマグネットマイン。
再会したマーティとの共同戦線で倒したバブリー・クラブロスのアシッドバブル。
倒してきた敵に心を痛める心の弱さを突かれながらも、それを乗り越えて打ち倒したメタモル・モスミーノスのスクラップシュート。
ゼロに斬られた心の痛みを乗り越えて得たWバスターで倒したホイール・アリゲイツのスピンホイール。
これら8つの特殊武器を撃ち続けたが―――

エックス「た・・・弾切れかっ!!」

アジール「おや?手品大会はおわりましたか?」
サーゲス「まったくハデな奴じゃのぉ~~~」
カウンターハンター達は全くダメージを受けていなかった。

エックス「無傷!?」

サーゲス「ふほほほほ、ブザマな闘い方じゃの~~~~」
アジール「これが連戦連勝の男ですか?」
バイオレン「そ・そうだ!カ・カケをするんだな。みんなで一斉攻撃をして、と・とどめをさした者がか・勝ちなんだなぁ~~~~」
サーゲス「フン!わしらがWバスターでやられたあと、ゆっくりとどめをさすつもりじゃろ」
バイオレン「ゲヘヘっ、ば・ばれた~~~~?」
アジール「いや面白いですね、バスターなどよければいいのですからね!やりましょう」

カウンターハンターがエックスを取り囲んだ。
アジール「賭けの道具になってもらいますよ・・・エックスさん」
エックス「いいだろう・・・俺は俺に賭けるぜ!!」
エックスはWバスターをチャージする。

アジール「そうそう・・・せいぜいあらあって・・・・下さい・・よっ!!」
カウンターハンターがエックスに突っ込んでいった。

エックス「ギガクラッシュ!!」
エックスがボディパーツの能力であるギガクラッシュを発動させ、
カウンターハンターが閃光に包まれた。

アジール「ザコ相手ならいざ知らず、我らがその程度の技で・・やられると思ったのですか!?笑止せ・んば・・・ん!?」
アジールの顔の内部で異常が起こっていた。
アジール(ア・・・・アイセンサーがっ!!あまりの光量で・・・壊れた!?)

アジール達の視界が消えた隙を付いて放たれたWバスターは、
アジールを真っ二つに引き裂き、サーゲスの台座メカを貫き下半身を破壊した。

しかし残ったバイオレンがエックスに突っ込んできた。
バイオレン「バ・バスターの音でお・お前の位置がわ・わ・わ・わわかったんだなっ!!」

サーゲスは上半身だけになりながらも生きていた。
サーゲス「か・・勝った!!奴はチャージが間に合わん!!それではバイオレンの装甲は貫けんわい!!」

そして、何かが激突する音が響いた。

サーゲス「やっと・・・やっと勝てたわい・・・・長かった・・・長かったわ」
「!!?」

サーゲスの回復した視界に映ったのは、
もたれかかっていたアジールの上半身が持っていたビームサーヴァーで
エックスに胴体を貫かれているバイオレンだった――――


(続く)

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最終更新:2023年10月16日 11:40