暴太郎戦隊ドンブラザーズの第1話

21年前

桃井陣がジョギングしていた。
すると空から何かが川に落ちる。

陣「なんだ? 桃? まさか……」

桃に入っていたのは赤ん坊だった。

陣「嘘だろ?」


現在

鬼頭はるかが取材を受けていた。

記者「はるか先生、冗談社マンガ大賞、おめでとうございます」
はるか「ありがとうございます…… (私は生まれながらの天才だ。漫画の神様に愛されている……)」
記者「デビュー作『初恋ヒーロー』でいきなり最年少での受賞ですが、今のお気持ちは?」
はるか「見に余る光景です」


ドン1話
あばたろう


授章式を終えたはるかはタクシーで帰路についていた。

はるか「(はぁーっ…… つまらない質問ばっかだったなぁ……) ん? あの、運転手さん……信号、青ですけど」
運転手「はっはっは……」

運転手がベニツ鬼に変貌。

はるか「きゃああっ!」

はるかはタクシーから降りる。

はるか「来ないで!」

そこへ何者かがバイクで現れる。
乗用車がベニツ鬼にぶつかり、運転手が逃げてしまう。

ソノイ「なぜ花を散らす? 花は風に散るもの。あるいは人知れず落ちるもの……」
はるか(何? 詩人? ここで詩人か⁉︎」
ソノイ「散るのは、お前だ……」

ソノイが姿を変える。

はるか「えっ? ええっ⁉︎」
ソノイ「散れ……」

ソノイのバロンソードがベニツ鬼を車もろとも切り裂く。
ソノイは花を拾ってはるかの左胸に入れる。

はるか(いたんだ…… 本物のヒーローが)
ソノイ「いい夢を……」

ソノイが立ち去る。

はるか(もしかして、リアル初恋ヒーロー?)


翌朝。
はるかが学校に登校。
生徒たちがクラッカーを鳴らす。

生徒たち「はるか先生、おめでとう‼︎」
生徒「すごいね、マンガ大賞……」「ザクザクのガバガバだね」
はるか「はいはい。皆の衆、苦しゅうない、苦しゅうない……」

すると吉岡が黒板に爪を立てる。

吉岡「いい気になんなよ、鬼頭……」
はるか「よっぴー……」
吉岡「何様のつもりだ!」
花村「やめろよ、吉岡!」
はるか(ここで登場…… 彼氏の花村。タイミングよし!)
花村「はるかの漫画はみんなに夢を与えているんだ……)

吉岡はその場を去る。

花村「あいつ、最近おかしいんだ……」
はるか「よっぴーって、確か花村と同じ卓球部だったよね?」
花村「先月やめたんだ。期待されてたんだけど……」


喫茶「どんぶら」。
はるかが自分のSNSをチェックしていた。
するとスマホの場面が切り替わり、スロットになる。

はるか「なんだ?」

目が3つ揃う。

はるか「げっ、キモ……」

上空にサングラスが現れ、はるかに装着される。
はるかはそのまま倒れる。

客「大丈夫ですか?」
はるか「はい…… えっ?」

客の中に戦闘員、アノーニが混ざっていた。
サングラスを外し、もう1度かける。

はるか「何? 何、何、何?」
介人「………」

はるかは店を出る。
すると街はおかしなことになっていた。

はるか「「えっ? 何これ?」
警官「こんにちは……」

なんと、警官もアノーニだった。

はるか「えっ?」
アノーニ「お前、見えるのか?」

はるかは扉を開け、渋谷に逃げる。

はるか「えっ? 渋谷?」
アノーニA「あいつ、見えてるのか?」
アノーニB「そうみたい……」
アノーニA「対処しよう」
はるか「うわあっ!」

アノーニたちがはるかを追いかけ回す。
そしてはるかを捕まえる。

はるか(助けて、マイヒーロー!)

はるかは再び逃げるが、囲まれてしまう。
さらに、マンホールを踏むと屋上に一気にジャンプ。

はるか「何これ? うわあっ!」

アノーニたちも追いつく。
するとはるかの前にドンブラスターが出現。
はるかをオニシスターにアバターチェンジさせる。

『オニシスター』

オニ「いったぁくない…… ええっ? うわあっ!」

オニシスターはアノーニと互角に戦う。

オニ「すごい!」

ドンブラスターの銃撃がアノーニを襲う。

オニ「やるじゃん、これ……」

アノーニが橋を壊す。

オニ「うわあっ、やばい、やばい、やばい! 落ちる……」

オニシスターは無事に橋を渡りきり、アバターチェンジを解除。

はるか「もうわけわかんねぇ……」


桃井タロウは荷物をアパートに持ってくる。

タロウ「鈴木晴男さんですね? サインお願いします」
鈴木「知るか! お前が書いとけ」
タロウ「それはできない。俺はあんたじゃない……」

タロウは鈴木に無理やりサインさせようとする。

鈴木「ちょっと待て。何してんねん」
タロウ「これで俺とあんたは縁ができたな……」
鈴木「何ゆうてんねん。あとちょっと怖いぞ」
タロウ「どんな小さな縁も縁は縁…… この世では普通のが絡み合い、結び合い、奇跡が生まれる」
鈴木「うっさい。帰れ、帰ってくれよ……」

鈴木が投げたのは司法試験の参考書だった。

タロウ「司法試験か……」
鈴木「あかんねん、俺。何回受けてもあかんねん……」

するとタロウは掃除機をかけ始め、「必勝」と書かれた紙を貼る。

タロウ「ダメなやつなどいない…… 自分を信じるところから始めろ」
鈴木「不思議や…… なんかやる気が出てきた」
タロウ「俺が運ぶのは荷物だけじゃない。幸福を運ぶ……」


出版社。

はるか「えっ、打ち切り?」
編集者「そう…… あなた、盗作したでしょ。これがあなたの『初恋ヒーロー』ね…… でもこれ見て…… キャラもストーリーもそっくり」
はるか「偶然の一致です」
編集者「向こうは裁判も辞さないって…… 販売中の単行本も回収だから」
はるか「ええっ?」


翌朝。
黒板にははるかを罵る内容が書いてあった。

はるか「皆の衆……」

生徒たちが立ち去る。

はるか「なんとか言ってよ花村!」
花村「ママ…… 母さんが『泥棒とは付き合うな』って……」


はるか「(何、何? 転落? いきなり⁉︎) こいつか…… こいつのせいか」

はるかはサングラスを投げるが、強制的に装着。
どこかにたどり着く。

はるか「ここは、どこ?」

何者かが檻に閉じ込められている。

はるか「誰?」

男はなんと陣だった。


卓球部。
吉岡が球をキャッチ。

吉岡「花村…… お前に試合を申し込む」
花村「吉岡…… お前、退部したはずだろ?」
吉岡「俺は変わった……」

吉岡の打った球が花村の顔面に当たる。

生徒「花村!」
花村「ママ‼︎」
吉岡「俺は強い。だがもっとだ……」

吉岡は他校に乗り込む。

吉岡「高校チャンピオンの高木涼、お前に試合を申し込む」

吉岡と高木が食堂で卓球を始める。

吉岡「俺は強い‼︎ だがまだだ」


陣「君は戦士に選ばれた……」
はるか「私が戦士?」
陣「君には4人の仲間がいるが、まずは桃井タロウを探すことだ。彼の前で跪き、忠誠を誓え……」
はるか「桃井タロウ?」
陣「決して嘘をつかないもの。探せ…… タロウを。彼が君を導いてくれるだろう…… そうすれば失ったものを切り戻せる」

はるかは元の世界に戻ってきていた。

はるか「何が起こったの? 桃井タロウって誰?」

するとタロウとはるかがぶつかる。

はるか「すいません……」
タロウ「縁ができたな……」
はるか(何? 怖っ)

タロウが去る。

はるか(桃井タロウ…… あの人だ。多分…… 私が失ったものを取り戻せるなら、町中を全部探してやる!)


吉岡は春日誠のもとにやってくる。

吉岡「元金メダリストの春日誠だな? 試合を申し込む)
春日「なんだ君は?」
吉岡「お前はもう終わった。俺の方が強い…… 俺はもっともっと強くなる。もっともっと!」

吉岡が看板を引きちぎり、ラケットを作る。


はるかに元に再びドンブラスターが出現。

はるか「えっ? また⁉︎」

『オニシスター』

はるかは再びオニシスターにアバターチェンジ 。
そのまま吉岡のもとにワープ。

オニ「ここ、どこ⁉︎ ……あれは、吉岡? 」

吉岡はベニツ鬼となり、春日たちに向けて球を打つ。

ベニツ鬼「もっとだ‼︎」

そこへアノーニが現れ、人々を襲う。

オニ「なんでよっぴーが…… やめて、よっぴー‼︎」
ベニツ鬼「お前、鬼頭か? この俺に何様のつもりだ‼︎」

ベニツ鬼がオニシスターを蹴り飛ばす。
するとソノイがバイクでやってくる。

オニ「来た! 桃井タロウ様、あなたに忠誠を誓います。だから、よっぴーをもとに戻してください!」
ソノイ「お前も己の欲望に負け、この世の静寂を乱すものか……」

ソノイはオニシスターを蹴散らす。

オニ「そんな……」

ソノイが姿を変え、バロンソードでベニツ鬼に斬りかかる。

ベニツ鬼「うわあっ‼︎」
オニ「よっぴー? よっぴー!」
ソノイ「もういない…… 消去した」
オニ「なんで? あなたヒーローじゃないの? 簡単に人を消すなんて…… そんな!」

アノーニたちがオニシスターに迫る。
今度は雉野つよしが現れる。

つよし「何? また戦い?」
オニ「桃色グラス…… ひょっとして。桃井タロウ様、あなたに忠誠を誓います」
つよし「そんなこと言ってる場合?  君もさ、戦士じゃないの? アバターチェンジ!」

『よーっ』『ドン、ドン、ドンブラコ』『アバタロウ』『トリッキー』『キジブラザー』

つよしがアバターチェンジを遂げ、キジブラザーとなる。

オニ「デカっ。てかこいつもタロウじゃないわけ?」
キジ「あっ、ごめん。ちょっと下すぎて聞こえなくて……」
ソノイ「何者か知らんが、貴様たちも消去する……」

アノーニが2人に挑む。

キジ「ほら、きてる、きてる。きてるって!」
オニ「きゃああっ!」
キジ「うわぁ!」

『よーっ』

オニ「えっ、何?」

巫女たちがドンモモタロウとエンヤライドンを乗せた神輿を担ぎながらやってくる。

モモタロウ「やぁ、やぁ、やぁ。祭りだ、祭りだ!」
オニ「今度は何?」
モモタロウ「袖振り合うのも他生の縁! つまづく石も縁の端くれ。ともに踊れば繋がる縁! この世は楽園‼︎ 悩みなんざ吹っ飛ばせ‼︎ 笑え、笑え。はっはっは!」
オニ「タロウ? ああっ、あれはない…… きっとない」

神輿からエンヤライドンが発進。
ドンモモタロウがソノイにザングラソードで斬りかかる。

モモタロウ「さぁ、楽しもうぜ。勝負、勝負!」
ソノイ「楽しむだと? この世の人間はどこまで汚れてるのか……」
キジ「派手だな……」
ソノイ「……貴様も欲望の虜か」

春日が騎士竜鬼に変貌。

オニ「ええーっ?」
騎士竜鬼「俺は金メダリストだ…… 俺が1番強いんだ‼︎」
ソノイ「これ以上は我が剣が汚れる」

ソノイは立ち去っていく。

モモタロウ「手のかかるお共々だ。こいつで」

ドンモモタロウは騎士竜鬼を抑える。

騎士竜鬼「放せ……」
モモタロウ「アバターチェンジ!」

『ドン、ドン、ドンブラコ』『ゼンカイザー』『ババン、ババン、バババーン』『ゼンカイザー』『いよ、秘密のパワー』

ドンモモタロウがアバターチェンジを遂げ、ゼンカイザーとなってアノーニを一掃。

カイザー「もう1丁だ」

そして元に戻る。

モモタロウ「待たせたな…… さぁ、行くぞ」

ザングラソードの刃が騎士竜鬼を翻弄する。

『へい、へい、へい、へい、カモン』

モモタロウ「ザングラソード・快桃乱麻‼︎」

『必殺奥義!アバタロ斬!!』

ザングラソードの必殺技が炸裂し騎士竜鬼を倒す。

キジ「やった‼︎」

すると街の雰囲気が変わっていく。

オニ「どうなってんの?」

倒されたはずの騎士竜鬼が巨大化して騎士竜鬼ングとなって街を破壊し始める。

キジ「危ない! 大丈夫ですか?」
オニ「ちょっと!」
モモタロウ「行くぜ‼︎」

ドンモモタロウがエンヤライドンに乗り込み街に向かう。

モモタロウ「悪縁を断ち切るに限るぜ」

ゼンカイザーブラックがゼンカイジュランギアをセット。

ブラック「ドン全界合体!」

『ドンゼンカイオー』

巨大化したエンヤライドンとジュランティラノが合体。
ドンゼンカイオーとなる。

モモタロウ「よっ、全力全開」

ドンモモタロウがドンゼンカイオーに乗り込み。

モモタロウ「ドンレッグバスター!」

ドンレッグバスターが炸裂。

モモタロウ「ドンゼンカイオー! 正々堂々、剣で戦おうぜ」

ドンゼンカイオーが押していく。

モモタロウ「勝負は俺の勝ちか……」

騎士竜鬼ングの呪文によりビルがドンゼンカイオーに集まる。

モモタロウ「卑怯千万! だけど、盛り上がってきたぜ‼︎」

ドンゼンカイオーはビルを崩していく。

モモタロウ「剣じゃないならプロレスだ!」

騎士竜鬼ングが投げ飛ばされる。

キジ「すっごー……」
モモタロウ「ドン・ゼンカイクラッシュ!」

ドンゼンカイオーの必殺技が炸裂。
騎士竜鬼ングが大爆発。

モモタロウ「はっはっは‼︎ 大勝利!」

『めでたし、めでたし』

キジ「ヤッタァ‼︎」
オニ「勝った」

ゼンカイザーブラックが飛んできたリュウソウジャーギアをキャッチ。

ブラック「まずは1つ……」

街が元に戻る。
春日も地上に舞い降りてくる。

オニ「よし!」
モモタロウ「おおっ、めでたい、めでたい……」
オニ「あなたたちが私の仲間?」
キジ「その件はまた改めて……」

ドンモモタロウとキジブラザーが消える。

オニ「よっぴー……」


戦いを終えたはるかは帰路についていた。

はるか「一体どこにいるの? 桃井タロウ……」
男性「呼んだかの?」
はるか「えっ?」
男性「MOMOI TAROじゃ」
はるか「いえ、すいません…… 桃井タロウ…… タロウ……」

犬が吠える。

女性「ダメよ、タロウ……」
はるか「はぁっ……」



(続く)

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最終更新:2022年03月29日 11:25