ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEYの第1話

※ 前作は本家エンディングドットコムをご覧ください。



1機の円盤が、宇宙空間を行く。
中ではピット星人が、レイのものと同じバトルナイザーを持っている。

「フフフ…… これで宇宙は私のものだわ。ハハハハハ!」

突如、船内に1人の戦士が現れる。
宇宙服に身を固め、顔はヘルメットで隠されている。
その戦士が、ピット星人目掛けて銃撃を放つ。

「ああぁぁ─っっ!?」

ピット星人が、跡形もなく消滅する。

謎の戦士が、船内にも銃撃を放つ。
さらに腕のブレスレット状の装置を操作すると、その姿が忽然と消える。
円盤が大爆発する。

持ち主を失ったバトルナイザーが、宇宙を漂って行く。



#1 レイオイニクスハンター



怪獣無法地帯と化した惑星ボリスを脱出して、
1ヶ月が過ぎた。

満身創痍のペンドラゴンとゴースタードラゴンは
途中、ZAP SPACYの宇宙基地に立ち寄り
ボリスの生存者を地球へ送り届ける役目は
宇宙船モリガンが引き継いだ。

我々は船の修理を待って、地球へ帰還する。


ヒュウガとハルナが、ドックで修理中の艦艇、スペースペンドラゴンとゴースタードラゴンを見つめている。

ハルナ「まだ信じられません。あの恐ろしい惑星から脱出できたなんて」
ヒュウガ「我々の想像をはるかに越えた事件だったからな。レイがいなければ、とても助からなかっただろう」
ハルナ「そうですね。ところで…… 地球本部に、レイの報告は?」
ヒュウガ「まだだ。本部にレイのことを、どうやって理解させるか…… 今しばらく、あのことは俺とお前だけの秘密だ。いいな?」
ハルナ「はい」


クマノとオキが、廊下を歩く。

オキ「でも、良かったんですかね、副長。お兄さんと宇宙船モリガンで、一足早く地球へ帰れたのに」
クマノ「責任感の強い人だからな。正直、ペンドラゴンに残ってくれて俺は嬉しいよ」
オキ「でも、惑星ボリスは僕にとって貴重な体験でした」
クマノ「また始まった……」
オキ「地球では50年も前に絶滅した怪獣たちと出会えたんです。意外だったなぁ~! 実際に見ると、レッドキングの第2頚椎は……」
クマノ「もうたくさんだよ、お前の怪獣講義は。ボスの台詞じゃないが、俺たちは荷物を運ぶのが仕事だ。怪獣退治の専門家じゃない」
オキ「そうですけどぉ」
クマノ「なんなら、お前だけもう一度ボリスに戻るか?」
オキ「とぉんでもない!」
クマノ「ハハハ!」


レイは、基地内の一室で、ベッドでうなされている。

レイの夢の中。
惑星ボリスで最後の死闘を繰り広げた相手、ケイトが現れる。

ケイト「お前は地球の人間ではない。私と同じ、レイブラッド星人だ」
レイ「俺は……人間だ!」
ケイト「その姿のどこが人間だ!?」

レイの姿が、ケイトとの戦いの最中で変身した姿、レイモンと化す。

レイ「あ…… あ…… あ!?」


レイが目覚め、びっしょりと額を濡らす汗を拭う。

机の上のバトルナイザーがぼんやりと光り、生物のような脈動が響いている。
驚いて手に取ると、すでに光も脈動もやんでいる。


ペンドラゴン船内、レイとクマノ。

クマノ「バトルナイザーが?」
レイ「あぁ。ボリスを脱出してから、何か変なんだ。うまく説明できないんだが」
クマノ「でも、俺が調べてかまわないのか? お前の大切な物なんだろ?」
レイ「だからクマさんに頼んでるんだ」

レイがクマノを見つめ、頷く。

クマノ「そうか…… なら、ペンドラゴンのコンピューターで解析してみよう」
レイ「頼む」

コンピューターの画面に、バトルナイザーの内部構造が映し出される。

クマノ「驚いたなぁ! バトルナイザーの内部は、メカと有機体が複雑に絡み合ったハイブリッドだ!」
レイ「ハイブリッド?」
クマノ「あぁ。わかるか? こうしてる間も、内部の構造が少しずつ変化してるだろ? バトルナイザーは、成長してる」
レイ「成長!?」
クマノ「いや、まだ確信があるわけじゃないが…… レイ、こいつは簡単に解析できる代物じゃないぞ」

通信音。

クマノ「はい?」
声「警備班です。開けてください」
クマノ「警備班……?」

レイがハッチを開けると、銃を構えた警備班員たちが現れる。

「君だな? 宇宙船ペンドラゴンの、レイという乗員は」


レイは警備班により、基地内の一室に幽閉される。

レイ「おい、開けろ! 俺が何をした!? おい! 開けろぉ! おぉい! ……くそぉ!」

ヒュウガは通信で、上層部と連絡をとっている。

ヒュウガ「なぜ私のクルーを拘束したのか、説明を願います!」
上層「ボリスの生存者で、現在宇宙船モリガンで帰還中のアトウ科学主任から連絡があった。そのレイという青年は、なんでも怪獣を操ることができるそうじゃないか。本当なのか?」
ヒュウガ「……」
上層「君はなぜ、その報告を怠った? そんな危険な人物を、黙って地球へ連れ帰るつもりでいたのか!? その青年は何者なんだ!?」
ヒュウガ「彼は…… 我々の仲間です!」
上層「仲間ぁ?」
ヒュウガ「彼のおかげで、我々はボリスから無事生還できたんです。もし彼がいなかったら……」
上層「ヒュウガ船長! すでに調査チームがそちらへ向かった。ペンドラゴンの乗員は別命あるまで待機! 以上だ」


レイは、ボリスでのケイトの戦いと、ケイトの言い残した言葉を思い出している。

(レイ『レイモン。お前は、そのすべてのレイオニクスと戦い、勝たなければならない……』)

基地内の片隅に突如、冒頭でピット星人を襲撃した謎の戦士が現れる。
基地の壁面に小型爆弾を仕掛け、立ち去る。

大爆発が起き、基地内に衝撃が走り、警報が鳴り響く。
レイのいる部屋を守る衛兵たちの前に、謎の戦士が現れる。

「なんだ君は!?」「うわぁ!」

何度かの打撃音と、悲鳴が響く。
扉が開き、衛兵が倒れこむ。

レイ「おい!?」

レイが外に出ると、あの謎の戦士が、レイを銃を突きつける。

レイ「貴様、何者だ!?」
戦士「レイオニクスめ……!」
レイ「何ぃ!?」

ハルナが飛び出し、銃を叩き落す
すかさずレイが体当たりし、レイと謎の戦士との戦いとなる。

ハルナ「ボス!」

もみ合いの末、謎の戦士が付けていたブレスレット状の装置がはずれ、忽然と消える。

戦士「はっ!?」

レイが隙をついて、相手を投げ飛ばす。
謎の戦士が気を失う。
ヒュウガたちも駆けつける。

ヒュウガ「レイ! 何者だ!?」
レイ「わからない…… 俺を狙ってきた」

さらに爆発音。基地内が大きく揺らぐ。

通信『緊急退避! 緊急退避! 動力炉は10分以内に臨界点に到達! 全員すみやかに、基地から退避せよ!』

ヒュウガ「よぉし、ペンドラゴンで脱出するぞ!」
クマノ「第7から第13ブロックまで封鎖されてます。メンテナンスチューブを経由して、ドックへ急ぎましょう」

レイは、気を失ったままの謎の戦士を担ぎ上げる。

オキ「そいつをどうするつもり!?」
ハルナ「その男は、あなたの命を……」
レイ「こいつは俺の秘密を知っていた。連れて行って情報を聞き出す」

さらに爆発音が響く。

ヒュウガ「急ぐぞ!」
一同「了解!」


一同がドックに辿り着く。

ヒュウガ「係留プラントを外す。先に行け!」
一同「了解!」

一同がタラップを渡って、ペンドラゴンのもとへ向かう。
ヒュウガも発進準備を済ませて、タラップを走る。
しかし、突然の爆発が起こる。

ヒュウガ「わぁっ!?」

ヒュウガが落下しかけ、かろうじて片手でタラップにぶら下がる。
一同が助けようにも、タラップが爆発で切断され、ヒュウガのもとへ行けない。

オキ「ボスぅ!?」
ヒュウガ「行け! 俺にかまうなぁ!」
レイ「クマさん、こいつを頼む」
クマノ「わかった」

レイが謎の戦士をクマノに預け、大ジャンプでヒュウガのもとへ。

レイ「ボス!」
ヒュウガ「レイ……!」

レイの伸ばす手をヒュウガがつかみ、レイが渾身の力でヒュウガを引き上げる。

ヒュウガ「はぁ、はぁ…… 馬鹿野郎!」

ヒュウガは悪態を突きながらも、レイと笑顔をかわす。

ハルナ「ボス!」
ヒュウガ「ハルナ、俺たちはゴースタードラゴンで行く」
一同「了解!」
クマノ「レイ!」

クマノの放ったバトルナイザーを、レイが受け止める。

レイ「ありがとう!」
ヒュウガ「さぁ、行くぞ」

ハルナたちはペンドラゴンに乗り込む。

ハルナ「ペンドラゴン、発進!」

ペンドラゴンが、宇宙基地を飛び立つ。
レイとヒュウガも、ゴースタードラゴンに乗り込む。

ヒュウガ「ゴースタードラゴン、発進!」

宇宙基地が大爆発する。
ゴースタードラゴンが、炎の中から飛び立つ。

ハルナ「ゴースタードラゴンも脱出したわ」
クマノ「間一髪でしたね……」

ヒュウガ「またお前に助けられたな」

ゴースタードラゴンの目の前で突如、空間が異様に歪む。

オキ「ワームホールだぁ!」
クマノ「ワームホール……!?」
ハルナ「危険です、ボス! コースを変更してください!」

ゴースタードラゴンがみるみる、ワームホールへ引き込まれてゆく。

ヒュウガ「操縦桿が…… 制御不能だ!」

レイとヒュウガが懸命に操縦桿を握るものの、ゴースタードラゴンはどんどん飲み込まれてゆく。
ハルナたちの目の前で、ゴースタードラゴンが忽然と消えてしまう。


ゴースタードラゴンはワームホールに飲み込まれ、未知の空間を流れていく。
レイとヒュウガは、凄まじい衝撃に必死に耐える。

レイ「ボス!」

目の前が光り、ゴースタードラゴンは未知の空間を突き抜ける。
どこかの星の大気圏で、砂嵐が吹き荒れている。
ゴースタードラゴンが墜落し、土砂を上げて不時着する。

ヒュウガ「はぁ、はぁ…… 大丈夫か、レイ?」
レイ「あぁ……」

巨大な足音が近づいてくる。

ヒュウガ「怪獣だぁ!」

古代怪獣ゴメスが現れる。

レイ「もう1体いるぞ!」

さらに、地底怪獣マグラーも現れる。

ゴメスとマグラーの戦いとなる
2体が咆哮を上げつつ戦い合い、マグラーが倒れる。
ゴメスがゴースタードラゴンに目をつけ、近づいて来る。

ヒュウガ「砲撃システムがダウンしている……」
レイ「ボス、俺が行く」

レイがペンドラゴンから飛び出す。
気配を感じて手の中を見ると、バトルナイザーが見たこともない形に変貌している。
驚いて目を凝らすと、手の中には、いつもと変わらないバトルナイザーがある。

そうしている間にも、ゴメスは近づいてくる。

レイ「行け、ゴモラ!」
音声『バトルナイザー・モンスロード』

ゴモラが実体化し、大地に降り立つ。

ヒュウガ「頼むぞ…… レイ!」

ゴモラとゴメスの戦いが始まる。

レイ「負けるな、ゴモラ!」

ゴモラが怪力でゴメスを投げ飛ばす。
マグラーが息を吹き返し、三つ巴の戦いとなる。
ゴモラが2体を相手に奮闘する。

レイ「ゴモラ、超振動波だ!」

ゴモラが角をマグラーに突き刺し、得意の零距離での超振動波を見舞う。
マグラーが爆発四散する。

レイ「よし!」

さらにゴモラは、ゴメスにも立ち向かう。
しかしゴメスは、光の粒子と化して飛び去り、地平線の向こうへと消え去る。
まるで、レイがゴモラたちをバトルナイザーに回収するときのように。

レイ (俺のほかにも…… レイオニクスが!? この惑星は一体……?)


(続く)

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最終更新:2022年07月15日 18:02