暗黒武道「邪心流」の宗家・鬼 一角の屋敷に数名の忍者が忍び込んだ。
忍者たちが一角の部屋へ突入し、刀で布団を突くが、中には誰もいない。
忍者「いない!」「ううむ、逃したか!」
周囲を探す忍者たち。
その頭上から、あらかじめ天井に飛び上がっていた一角が落下する。
たちまちのうちに乱戦になる。
一角「何者だ!?」
忍者たちを率いる覆面男が、刀を手に一角と対峙。
覆面男は問答無用で切りかかっていく。
つばぜり合いの末、覆面男の刀を弾き飛ばす一角。だが次の瞬間、覆面男の眼から強力な光が発せられ、一角の目をくらませてしまう。
隙を突き、覆面男が右腕の鉤爪を一角の喉笛に突き刺した。崩れ落ちる一角。
それを認め、覆面男がおもむろに覆面を外す。男の正体は──秘密結社エゴスのヘッダー指揮官。
一角「ヘッダー…… なぜ、わしの命を……」
ヘッダー「先生と一度、真剣勝負がしたかった」
一角「勝つためには、手段を択ばぬ…… それが、邪心流の極意。見事であった……」
ヘッダーがとどめの一撃を見舞い、一角が力尽きる。
ヘッダーの高笑いが響く──。
エゴス本部──
ヘッダー「サタンエゴス様、邪心流を究めて参りました」
サタンエゴス「お前の師・鬼 一角を超えたか」
ヘッダー「はい。鬼 一角先生は、倉間鉄山以上の実力者です」
サタンエゴス「倉間鉄山を斬れると申すのだな?」
ヘッダー「必ず!」
サタンエゴス「倉間鉄山はバトルフィーバーの頭脳だ。頭脳を斬れば後はガラクタ同然!」
ヘッダー「出発いたします」
サロメ「ヘッダー様」
女幹部サロメがヘッダーに2枚の写真を渡す。
サロメ「この2人──倉間将軍の武術の師・藤波白雲。また、これが兄弟弟子の尾上竜山です」
ヘッダー「フフフ…… 手始めにこやつから血祭りにあげてやる」
白雲の写真にヘッダーの鉤爪が突き刺さる。
山伏に扮したヘッダーとカットマンの一団が東京の街を行く。
一方、白雲が率いる流派「一光流」の道場では、白雲自ら子供たちに剣道を教えている。
白雲「ああ、やたらに竹刀を振り回してはいかん。相手の目を見て、相手の呼吸を読んで打ち込むんじゃ」
そこへヘッダーたちが入室。
ヘッダー「藤波白雲斎!」
白雲「なんだ、君たちは」
ヘッダー「邪心流の者だ」
白雲「邪心流? すると一角の……」
ヘッダー「左様。30年前、お前が破門した鬼 一角先生が編み出した流派だ」
白雲「もはや一角とは何の関係もない! 帰ってもらおう」
ヘッダー「鬼 一角先生は、一光流を恨みながら亡くなられた。先生に代わって、わしが恨みを晴らす!」
白雲が子供たちを促す。
白雲「危険だ。君たちは帰りなさい」
子供たち「はい!」
子供たちが全員退出するかしないかのうちに、ヘッダーが錫杖を振るって襲い掛かる。
竹刀で応戦する白雲。
一瞬の交錯で、白雲がヘッダーの錫杖を叩き落とす。
すかさず両眼を光らせるヘッダー。白雲がまぶしさに目を背けた隙を突き、ヘッダーの鉤爪が白雲を貫いた。
ヘッダーが白雲の亡骸に「邪心流 二代目鬼 一角 参上」の書置きを残して立ち去る。
しばらくして、鉄山が弔問のため一光流道場を訪れた。
白雲の弟子たちがむせび泣いている。
白雲の弟子「先生……」「私たちがいれば、こんなことには……」
竜山「倉間将軍、どうして今頃邪心流が!?」
鉄山「…………」
鉄山将軍は、その時すでに、藤波白雲の死の向こうに、 何かどす黒い陰謀が渦巻いていることを感じ取っていた。 |
エゴス本部──
サロメ「ヘッダー様は、藤波白雲の暗殺に成功いたしました」
サタンエゴス「そうか。倉間鉄山は、火のような行動力と水のような思考力を兼ね併せ持つ男。斬り合いに持ち込むにはまだまだ…… そろそろバトルフィーバーが動き出すぞ」
サロメ「はっ」
サタンエゴス「息子・オニヒゲ怪人よ、今ヘッダーが倉間鉄山暗殺計画を進めている。バトルフィーバーに邪魔させぬよう、身辺警護せよ!」
オニヒゲ怪人「承知!」
と言いつつも、オニヒゲ怪人は自分の髭の手入れに余念がない。
ビッグベイザー内の道場にて、バトルジャパン・正夫とバトルコサック・神、そして鉄山が顔を突き合わせている。
神「邪心流とは、ずいぶん憎悪に満ちた流派ですね」
鉄山「うむ。『勝つためには手段を択ばず』『卑怯もまた兵法の一』…… 鬼 一角はそう主張していた。真の実力を見るには、真剣に限るとな。白雲先生を襲ったのは、エゴスの暗殺団に違いない」
正夫「エゴス……」
顔を見合わせる正夫と神。
鉄山「邪心流の鬼 一角なら、エゴスとつながっていても不思議はない。ただ怪しいのは、その二代目鬼 一角を名乗る男だ」
神「二代目鬼 一角……」
早速バトルフィーバー隊の捜査が始まった。
夜間パトロールを行うバトルフランス・京介とバトルケニア・四郎の前に、山伏に扮したカットマンの一団が立ちはだかる。
山伏カットマンを蹴散らす2人。そこへヘッダーも現れた。
京介「ヘッダー!」
四郎「貴様が白雲先生を!?」
ヘッダー「フフフ……」
京介「ケニア!」
四郎「おう!」
2人が変身しようとした瞬間、ヘッダーの両眼が光る。2人がまぶしさに目を背けた隙を突き、ヘッダーが鉤爪で切りかかった。
傷を負い、倒れこんだ2人を山伏カットマンたちが六角棒で押さえ込む。
ヘッダー「雑魚に用はない」
ヘッダーが果たし状を置いて立ち去る。
ビッグベイザー指令室──
果し状 貴殿の一光流が勝つか 私の邪心流が勝つか 日時、明朝六時 場所、荒野峠 |
京介「まるで時代劇だね」
鉄山「ヘッダーの狙いは、このわしだ」
神「将軍、決闘に応じてはいけません。敵の思うつぼです」
正夫「我々に手を焼いて、将軍暗殺をもくろんでいるんです」
九太郎「逃ゲルガ勝チ、逃ゲルガ勝チ」
鉄山「逃げるが勝ちか…… なるほどな」
鉄山が不敵な笑みを浮かべる。
翌日、荒野峠、午前六時。
ヘッダーとサロメはすでに現場に到着していたが、鉄山は一向に姿を見せない。
ヘッダー「ええい、遅い! 鉄山はいったいどうしたんだ?」
サロメ「あっ、来ました」
バトルフィーバー隊のパトロールカーがやって来る。
まず、今回も山伏カットマンたちが最初に出撃。パトロールカーを取り囲み、ドアを開けるが、中はもぬけの殻。
カットマン「いないぞ!」「逃げられたか!」
ヘッダー「ぬうっ、謀られたか!」
そこへ変身したバトルフィーバー隊が立ちはだかる。
ジャパン「ヘッダー!」
ヘッダー「バトルフィーバー……!」
ジャパン「将軍に代わり、我々バトルフィーバーが相手になる!」
オニヒゲ怪人「待て~! ヘッダー、俺に任せろ」
ヘッダー「余計なことを! 我々の目的は鉄山ひとり。雑魚に用はない、退け!」
ヘッダーたちが撤退。
ジャパン「逃げられたか」
ケニア「ちっくしょう……」
竜山を乗せ、国防省関東本部基地を出発した1台の車が、トラックに道を遮られる。
もちろんエゴスの仕業だ。
竜山「貴様だな、白雲先生を襲ったのは!」
ヘッダー「一光流は、我が邪心流の宿敵……」
ヘッダーが眼を光らせる。まぶしさに倒れ伏す竜山。
ビッグベイザーでは、白装束に着替えた鉄山が出撃の準備を整えていた。
それを必死に止めようとする正夫たち。
正夫「待ってください、将軍!」
鉄山「これ以上奴らの勝手にはさせん!! 尾上はわしの弟も同然だった。許すわけにはいかん!」
正夫「尾上参謀を暗殺したのも、将軍を刺激して決闘をするためです!」
鉄山「ならばわしが応じてやろう」
正夫「いけません!!」
神「将軍!!」
九太郎「逃ゲルガ勝チ、逃ゲルガ勝チ」
鉄山「…………」
神「あなたはバトルフィーバー隊の頭脳だ。頭脳が剣を振り回してはいけないと思います」
鉄山と神がにらみ合う。
神はたとえ一戦交えててでも鉄山を行かせない覚悟だ。
鉄山は引き下がり、ビッグベイザー内の道場で素振りを始める。
恩師に続き、兄弟弟子まで殺されてしまった鉄山将軍の胸は、 張り裂けそうであった……。 |
程なくして、都下で遊んでいた連絡員・ケイコとその弟・マサルがエゴスに拉致された。
ケイコが鉄山に電話させられる。
鉄山「何、修験者の一団に!?」
ケイコ「将軍、そうなんです。マサルも一緒なんです」
ヘッダーが電話を取り次ぐ。
ヘッダー「明朝、荒野峠へ迎えに来い。ただし、1人で来ること」
ヘッダーが電話を切る。
鉄山「もしもし!? おい!! もしもし!!」
四郎「くそぉ、なんて卑怯な奴なんだ! 何もマサル君まで……」
京介「今度こそ逃がさんぞ! 叩きのめしてやる」
鉄山「……明日は、わし1人で行くぞ」
マリア「えっ!?」
神「将軍! ダメです!」
鉄山「これ以上、我慢ができるか?」
正夫「将軍は…… 我々の命です」
鉄山「……命か。命は、大事にせにゃいかんな……」
鉄山が指令室を去る。
マリア「よかった、思いとどまってくれて」
数分後、マリアが鉄山の自室に茶を持っていく。
しかし、そこに鉄山の姿はない。
マリア「将軍!?」
指令室──
マリア「大変よ、将軍が!! 見て……」
一光流の名誉を守るためにも 是非とも邪心流を倒さなければならない |
荒野峠にはケイコとマサルが磔にされている。
サロメ「来るでしょうか、倉間鉄山は」
ヘッダー「来る、必ず来る。命を賭けても子供を救う、そこがあの男の弱点だ」
そこへ白装束姿の鉄山が現れた。堂々たる立ち振る舞いだ。
ケイコ「鉄山将軍……」
ついに鉄山とヘッダーが相対した。
ヘッダー「よく来た、鉄山」
鉄山「あの2人を逃がしてやれ。約束だ」
ヘッダーが無言でサロメに指示を出し、ケイコとマサルを解放させる。
拘束を解かれた2人が鉄山に抱き着く。それを受け止め、マサルの頭を優しく撫でる鉄山。
鉄山「さぁ、早く行きなさい」
ケイコ「でも……」
鉄山「行くんだ! 急げ!」
ケイコ「……はい」
ケイコが泣きじゃくるマサルを促し、物陰へ向かう。
ヘッダーの目配せを合図に、山伏カットマンたちが鉄山を取り囲み攻撃を開始。
鉄山の猛攻に、1人、また1人とカットマンが切り捨てられていく。
鉄山の刀とヘッダーの鉤爪、お互いの視線と視線がぶつかり合う。
鉤爪で腕を傷つけられる鉄山だが、それを気にも留めない。
ヘッダー「かぁっ!!」
ヘッダーが必殺の眼光を放って勝負をつけようとする。
すかさず刀を盾にして、光を反射させる鉄山。
ヘッダーの眼光はヘッダー自身の眼を焼いた。
ヘッダー「うわぁーっ!!」
坂を転がり落ちるヘッダー。
そこへオニヒゲ怪人が加勢する。
ヘッダー「御子! 鉄山は私めが!!」
視力を回復させたヘッダーは、意趣返しに煙球を投げつけた。
鉄山「卑怯な……」
ヘッダー「たわけ! 卑怯も兵法なり、これが邪心流だ!」
目を封じられた鉄山は、耳を頼りにヘッダーの位置を探る。
ヘッダー「死んでもらうぞ、鉄山!!」
鉤爪を振りかざして襲い掛かるヘッダーに、起死回生の一太刀が決まった。
鉤爪を切断され、返す刀で切り伏せられるヘッダー。
しかし、鉄山の肩口にも鉤爪が突き刺さる。
サロメ「ヘッダー様!!」
ヘッダーに駆け寄るサロメ。
サロメ「やれ!!」
カットマンたちが鉄山に襲い掛かる。
そこへコマンドバットが飛来。
ジャパン「バトルジャパン!」
コサック「バトルコサック!」
フランス「バトルフランス!」
ケニア「バトルケニア!」
ミスアメリカ「ミスアメリカ!」
ジャパン「アメリカ、将軍を頼む」
アメリカ「はい!」
バトルフィーバー隊とカットマンの戦いが始まったのもつかの間、巨大なオニヒゲロボットが姿を現した。
ケニア「また出やがった!」
オニヒゲ怪人「弟よ、やれ~!」
オニヒゲロボットの容赦ない攻撃がバトルフィーバー隊を襲う。
負傷した鉄山をかばって走るミスアメリカ。
オニヒゲ怪人も杖を振り回してバトルフィーバー隊を攻撃。
鉄山を退避させ、戻ってきたミスアメリカも戦闘に加わる。
オニヒゲ怪人は放り投げた杖を遠隔操作してバトルフィーバー隊を苦しめる。
バトルジャパンが杖を掴んで投げ返し、飛び蹴りで応戦。
ジャパン「スクラムだ!」
一同「ペンタフォース!!」
オニヒゲ怪人「ぐわぁ──っ!」
合体武器のペンタフォースが炸裂。
オニヒゲ怪人は爆死したが、オニヒゲロボットの攻撃はなおも続く。
ジャパン「バトルシャーク!!」
ビッグベイザーからバトルシャーク、そしてバトルフィーバーロボが出撃。
ジャパン「ジェット・オン!」
5人がバトルフィーバーロボに乗り込み、オニヒゲロボットとの一騎討ちが始まった。
オニヒゲロボットの投げつけた杖を難なく払い落とし、槍「スティックアタッカー」を投げつける。
スティックアタッカーに腹部を貫かれるオニヒゲロボット。
ジャパン「電光剣・唐竹割り!!」
とどめの必殺剣が炸裂。オニヒゲロボットが真っ二つに斬り裂かれて大爆発、もうもうと爆煙があがる。
エゴス本部では、鉄山の剣に倒れたヘッダーが手厚く弔われていた。
一方、ビッグベイザー指令室では、バトルフィーバー隊がヘッダーの鉤爪を調べている。
正夫「見事な切り口だ。さすが鉄山将軍」
神が鉄山の刀を抜く。
神「刃こぼれ1つしてない」
京介「ヘッダー指揮官を斬ったっていうのにな」
四郎「丈夫な刃だなぁ」
鉄山「いやいや…… ケニアの歯には、敵うまいよ」
四郎「それじゃあ俺の歯は、怪獣みたいじゃないですか!」
マリア「怪獣以上でしょ?」
四郎「あ~、泣ける~」
ついに大幹部・ヘッダー指揮官を打ち倒し、ようやく鉄山にもバトルフィーバー隊にも笑顔が戻った。
だが、ヘッダーを失った今、サタンエゴスは次にどんな手を打ってくるかわからない。
バトルフィーバー隊の戦いも、いよいよクライマックスを迎えようとしている。
最終更新:2024年05月29日 01:18