聖闘士星矢の最終回 (テレビアニメ版)

聖闘士星矢(セイントセイヤ)の最終回 (テレビアニメ版)


※ テレビアニメ版は原作中盤「海皇ポセイドン編」で最終回を迎えます。



アテナと地上を救うため、
ポセイドンに挑んだ星矢(セイヤ)たちの戦いは、
まさに熾烈を極めた。
そしてついに、アテナと海皇(かいおう)ポセイドンの
神々の熱き戦いは、
ここに決着の時を迎えたのであった。




輝け友情の星よ!
永遠の少年伝説




紫龍(シリュウ)「星矢。もう一度、俺たちの力を合せるんだ」
氷河「たとえ倒せなくても、ポセイドンを抑えられれば……」
星矢「よし。その間に沙織さんを救い出すんだ。行くぞ、紫龍、氷河! ペガサス彗星拳!!
紫龍「廬山昇竜覇!!
氷河「オーロラエクスキューション!!
ポセイドン「フッ、愚かな者どもよ」

ポセイドンが、三又の鉾から強力な攻撃を放つ。
だが星矢たち3人の拳の威力は、その鉾の威力を突き破る。

ポセイドン「何っ!? わ、わぁ──っっ!?」

ポセイドンが吹っ飛ばされる。

星矢「やったぞ!」
氷河「ポセイドンを倒した!」

そして星矢たちの眼前には、アテナが捕われている海底神殿の大黒柱、メイン・ブレドウィナ。
紫龍が、天秤座(ライブラ)聖衣(クロス)円盾(シールド)を構える。

紫龍「よし…… でやぁ──っ!」

メイン・ブレドウィナ目がけ、円盾が炸裂する。
だが轟音と共に円盾が跳ね返され、紫龍自身に叩きつけられる。

星矢「何!?」
氷河「紫龍!?」
紫龍「ぐわぁ──っ!」
星矢たち「紫龍──!」
紫龍「ば、馬鹿な。天秤座の円盾が、弾き返されてくるとは……?」
星矢「しかもメイン・ブレドウィナには、かすり傷一つついていない」


南大西洋では、一輝とカノンとの激闘が続いている。

カノン「立て、フェニックス! ポセイドンが完全に目覚めた以上、地上は確実に崩壊する。選ばれたもの以外は、ことごとく死に絶えるだろう。もはや俺の野望もこれまで! だが、このカノンの野望を打ち砕いたお前は、絶対に許さん! フェニックス、お前の命だけでも貰っておくぞ!」
一輝「うぅ…… 激しい憎悪に満ちた、この男の拳…… サガに勝るとも劣らん」
カノン「死ねぇぇ──っ!!」

突然、海魔女(セイレーン)のソレントの奏でる笛の音色が響く。
聴く者を死に至らしめる魔の音色。

カノン「う…… セイレーン! お前!?」
ソレント「フェニックスを助ける気などない。だがカノン、あなたをこのままにしておくわけにもいかない」
カノン「何!?」
ソレント「神を欺いたばかりか、多くの同志たちまで…… その罪、死してもなお余りある!」
カノン「う、うぅっ! うぉぉ──っ!」
一輝「待て、セイレーン…… カノンには手を出すな。聞くことがあるといったはず」
カノン「何?」
一輝「忘れたか? ポセイドンを封じる、ただ一つの方法だ」
カノン「馬鹿なことを言うな。眠りから目覚めたポセイドンを抑える方法など、どこにもありはしない!」
一輝「いや、一つだけある。それは、アテナの壺だ」
カノン「何!? アテナの壺?」
一輝「ポセイドンの魂をもう一度、アテナの壺の中に封じ込めるのだ。さぁ言え、カノン! アテナの壺はどこにある!?」


一方の星矢たちは、天秤座の武器をもってメイン・ブレドウィナに挑み続けている。
しかしどの武器も一向に通じず、逆に武器の方がすべて、粉々に砕けている。

紫龍「だ、駄目だ…… 天秤座の武器をすべて使っても、ビクともしない」
氷河「もう時間はない」
星矢「ここまで来て、諦めてたまるか。アテナが、沙織さんが死んでしまったら地上は滅びるんだ…… そうなったら、今まで何のために戦ってきたんだ!? 俺たちは誓ったはずだぜ。命にかえても沙織さんを救い出すと!」
紫龍「星矢!?」
氷河「まさか、お前!?」
星矢「紫龍の廬山昇竜覇。氷河のオーロラサンダーアタック。その2つの威力で、俺をメイン・ブレドウィナに向けて飛ばしてくれ」
紫龍「馬鹿な!? そんなことをしたら、お前の体は粉々になってしまうぞ!」
氷河「そうとも! 星をも砕く天秤座の武器でさえ、この始末なのだ」
紫龍「生身でぶつかれば、お前の体は…… 星矢!」
星矢「聖闘士(セイント)が究極にまで高めた小宇宙(コスモ)によって、砕けないものはない! 今までだって俺たちは、不可能を可能にしてきたはずだぜ、紫龍。2人の力を貸してくれ。俺は必ず、メイン・ブレドウィナを打ち砕いてみせる! そしてアテナを、必ず救い出してみせる」
氷河「星矢……」


ポセイドンの攻撃に倒れた瞬も、力を振り絞って立ち上がる。

瞬「うぅ…… 星矢、僕も行くよ…… 僕もアテナの聖闘士なんだ。小宇宙が燃え尽きるまで、何度でも立ち上がってみせる。自分の力で……!」


一輝「さぁ言え、カノン。アテナの壺の在処を。お前はそれを言わねばならん。なぜなら、お前はアテナに大きな借りがあるからだ」
カノン「何、借りだと!?」
一輝「アテナがこの海底神殿に来てから幾度も感じたであろう、大いなる小宇宙。その小宇宙に覚えがないとは言わさんぞ、カノン」
カノン「あぁっ……!?」
一輝「お前が13年前、スニオン岬の岩牢において幾度も死線をさまよいながら、そのたびに救われた、あの大いなる小宇宙」
カノン「ま、まさか……!?」
一輝「そうだ! お前はアテナの小宇宙によって、命を救われていたのだ」
カノン「馬鹿な。あの当時のアテナはまだ赤子。その赤子に、俺が救われたなどと!? ……フッ、まぁいい。それほど知りたければ教えてやろう。アテナの壺は、この海界で最も強固な場所にある」
一輝「何!?」
カノン「わからんか? アテナとともに、あのメイン・ブレドウィナの中にあるのだ」
一輝「何だと!?」
カノン「あの中にある限り、何人(なんぴと)たりとも手を触れることはできん。アテナと共に未来永劫、眠り続けるのだ。ワッハッハ!」

突然、一輝が背を向ける。

カノン「どこへ行く、フェニックス! 逃げる気か、貴様!?」
一輝「カノン。お前はもはや、戦うにも値しない男よ……」
カノン「何を……!? 待て!」

カノンが、去って行く一輝を追おうとする。
そこにソレントが立ちふさがる。

ソレント「私もあなたと同様、信じたくはなかった。穢れきった地上に君臨するアテナなど、いかほどのものかと思っていた…… しかし、今まさにその命の炎が消えようとしているにもかかわらず、アテナの小宇宙の輝きは一向に失せてはいない…… アテナの底知れぬ小宇宙とは、地上の人々を想う彼女の、とてつもなく大きな愛なのだ。それを奪い去ることは、誰にもできない」
カノン「う……!」
ソレント「それがわからないのなら、カノン。フェニックスの言った通り、あなたは殺すにも戦うにも値しない男だ」

ソレントもまた、カノンを残して去って行く。


星矢「さぁ、早く」
氷河「よし」
紫龍「星矢!」

3人が、気配を感じて振り向く。
倒れいてたポセイドンが立ち上がっている。

紫龍「ポセイドンが再び立ち上がった!」
星矢「しかも、はるかに小宇宙が高まっている」
氷河「あの力…… 一体、どこから?」

しかしそのポセイドンを、一輝が後ろから羽交い絞めにする。

一輝「ポセイドンは俺が抑える! お前たちは早く…… うわぁぁっ!」
星矢「一輝!?」

ポセイドンの小宇宙が一輝を襲う。

一輝「俺にかまうな! ポセイドンを封じ込めるアテナの壺を早くぅっ!」
ポセイドン「何!?」
星矢「……紫龍、氷河!」
紫龍「わかった」
氷河「死ぬなよ!」
紫龍「アテナのために、今こそ……」
氷河「飛び立て! ペガサスよ!」
星矢「アテナ──っ!」
紫龍「廬山昇竜覇──っ!!
氷河「オーロラサンダアタ──ック!!
星矢「うぉぉ──っっ!!」

紫龍と氷河の拳の威力で、星矢がメイン・ブレドウィナ目がけて飛び立つ。
ポセイドンの小宇宙で、一輝が吹っ飛ばされる。

一輝「ぐぉぉっ!!」
ポセイドン「余計な真似を」

ポセイドンが、一輝目がけて鉾を構える。
瞬が割って入り、鉾の威力を受け止める。

瞬「兄さぁん!」
一輝「瞬!?」
瞬「兄さん、今度は僕が助ける番だ! ……わ、わぁぁ──っ!」

ポセイドンが力を込めるや、瞬も一輝も、そして紫龍も氷河もまとめて吹っ飛ぶ。

紫龍「ア、アテナを……」
氷河「アテナを…… 頼んだぞ!」
瞬「僕らに残された、最後の小宇宙よ……」
一輝「星矢に…… 届け!」
ポセイドン「けがれた人間たちよ。メイン・ブレドウィナに手を触れることは許さん」

ポセイドンが星矢を目がけて、三又の鉾を振るう。
星矢を包み込む仲間たちの小宇宙の前に、鉾の威力は弾き返される。

ポセイドン「おぉっ!? 三又の鉾の威力が通じない!?」
星矢「うぉぉ──っっ!!」

星矢が流星のごとく空を駆け、メイン・ブレドウィナの中へと消える。

ポセイドン「消えた……! ペガサスが、メイン・ブレドウィナの中へ!?」

強固だったメイン・ブレドウィナに次第に亀裂が走り、破片が飛び散る。

紫龍たち「おぉっ……!」
ポセイドン「メイン・ブレドウィナが…… 奇蹟を起こしたというのか? 人間であるペガサスが、神であるこのポセイドンの前で!?」

メイン・ブレドウィナが崩壊し、海水が津波のように押し寄せ、海底神殿が崩壊を始める。
星矢が、気を失った沙織を抱きかかえて姿を現す。

ポセイドン「ペガサス!」
星矢「沙織さん……」
ポセイドン「お前たちはどこまで愚かなのだ!? 神が、穢れきったこの世界を創り直そうとしていたのだぞ! それを…… お前たちがしたことは、神への冒涜だ! 許すことはできん!」
星矢「う…… ポセイドンの小宇宙が、さらに強大になった。まるぜ、全宇宙を覆うような凄まじさだ」
ポセイドン「今こそ神の怒りを受けろ!」
星矢「ダメだ…… 俺にはもう、防ぐ力さえ残っていない……」

ポセイドンが星矢目がけて鉾を構える。
その鉾先の光が突如、消える。

ポセイドン「おぉっ!? 鉾の小宇宙が消えた…… この力は!?」

沙織が目覚め、立ち上がる。

星矢「あぁっ…… 沙織さん!?」
沙織「ポセイドン。もはや、あなたの完全なる敗北です」
ポセイドン「むっ、それは!?」
沙織「罪なき人々を苦しめ、殺戮を重ねるあなたに、神の名を語る資格はありません! その悪しき野望と共に、再びこの壺の中で眠りにつくのです!」

かつてポセイドンの魂が封じられていたアテナの壺が、沙織の手にある。

ポセイドン「くっ……」
沙織「さぁ、おとなしく元のところへお戻りなさい!」
ポセイドン「黙れ! お前ごとき小娘の、意のままにされてたまるか! お前こそ永遠に眠るがよい。食らえ!」

ポセイドンが沙織目がけて三又の鉾を放つ。
だが星矢が自ら盾となり、その胸に鉾が突き刺さる。

星矢「ぐ、ぐぉぉ……」
沙織「はっ、星矢!?」
星矢「アイオロス…… あなたの聖衣(クロス)が、沙織さんを守ってくれたぜ……」
沙織「星矢!?」

ポセイドン「よかろう、アテナ。お前とは神話の時代からの宿敵。はるかなる時を経て今、決着をつけてやる」

ポセイドンの放つ小宇宙の攻撃が、次々に沙織に浴びせられる。

沙織「あぁっ──!?」
星矢「沙織さん!?」
氷河・瞬「アテナ!?」
ポセイドン「フフフ…… どうした、アテナ!? 無理もない。武器を嫌うお前には、もはや戦う(すべ)は何も残ってはおるまい!」
沙織「ポセイドン。あなたは、大切なことを忘れています」
ポセイドン「何!?」
沙織「私にはどんな武器にも勝る、アテナの聖闘士たちがいるのです」
ポセイドン「フッ…… そんな死にぞこないどもに、一体何ができるというのだ!?」
沙織「彼らが奇跡を起こすことができたのは、誰よりも地上を愛し、人々を愛する小宇宙があったからです」

降り注ぐポセイドンの攻撃を、沙織は凛として浴び続ける。

沙織「たとえ神であろうと、邪悪の小宇宙しか持たないあなたは、決して敵いはしません! さぁ覚悟しなさい、ポセイドン! あなたの負けです」
ポセイドン「黙れ! 今こそ海皇ポセイドンの名にかけて、すべての小宇宙を放ってくれる。消えろぉぉ! アテナ! これが最後だぁ!!」

星矢たち5人が、力を振り絞って立ち上がる。

星矢「うぉぉ──っ!」
ポセイドン「おぉっ!? 私の小宇宙を跳ね返すこの小宇宙は、アテナだけではない! 聖闘士たちの小宇宙までもが!?」

星矢たち5人の小宇宙が、沙織を取り囲む。

ポセイドン「この海皇ポセイドンを、凌ごうとしている! わ、わああぁぁ──っっ!!」」

星矢たちとアテナの小宇宙に圧倒されたポセイドンから、魂が抜けだし、アテナの壺に収まる。


カノン「ポセイドンの小宇宙が消えた……! アテナが勝利したのか!?」


ポセイドンは再び封印された。
そこには、ポセイドンが肉体を借りていた青年、ジュリアン・ソロが倒れているのみ。
ポセイドンの側近、人魚姫(マーメイド)のテティスが寄り添う。

テティス「ポセイドン様…… いえ、あなたはもう、ジュリアン・ソロ様なのですね……」


星矢たちのもとへ、シャイナと貴鬼(キキ)が駆けて来る。

貴鬼「星矢ぁ──っ! 星矢!」
星矢「あぁっ、シャイナさん!」
シャイナ「星矢……!」

海底神殿が次々に崩壊し、星矢たちな大波に飲まれてゆく。

星矢たち「うわぁぁ──っ!」

沙織のアテナの小宇宙が皆を包み込み、一同は地上へと昇ってゆく、


惨事がやみ、平和に戻った地上で、人々が平和を喜び合う。
紫龍の師匠・老師も、中国で紫龍や星矢たちの勝利に感嘆している。

老師「7つの海に君臨する海皇ポセイドン。その強大なる神が、再び眠りに就いた…… 奇蹟じゃ。まさに少年たちが、奇蹟を起こしたのじゃ」


ギリシア、スニオン岬。地上へ送り届けられたジュリアンが、岸辺に倒れている。
その沖で、一尾の人魚が舞っている。


地上へ生還した沙織と星矢たちが、空を見上げて思いを馳せる。

沙織「この世に邪悪がはびこるとき、必ずや現れるという希望の闘士・聖闘士。私は誓います。これから先、どのような試練が待ち受けていようと、アテナとして聖闘士たちを信じ、ともにこの美しい地上をいつまでも愛し、守り抜くと……」


(終)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2015年04月12日 09:10