おとぎ銃士 赤ずきんの最終回(テレビアニメ版)

前回の粗筋
四葉騎士団の活躍により、サンドリヨンは封印された。
赤ずきん達はエルデへ戻って来た。

鈴風家にて
草太の母「草太。」
目覚める草太
草太の母「おはよう、草太。」
草太「おはよう。」
草太の母「ほら、そろそろりんごちゃん、迎えに来る頃よ。」
カーテンを開ける草太の母
草太「…。」


さよなら赤ずきん


りんご「草太!早くしないと、遅刻しちゃうよ!」
草太の両親が応対する
りんご「おはようございます!」
草太の父「おはよう。」
草太の母「おはよう、りんごちゃん。」
麺麭をくわえる草太
草太の母「ハンカチ、持った?」
草太「うん。」
草太の母「宿題は?」
草太「うん。」
りんご「見せて。」
草太「うん。行って来ます。」
草太の父・母「行ってらっしゃい。」
草太「おはよう。」
植物に挨拶をする草太
草太「おはよう。皆、今日も元気だね。」
りんご「そうすえばさあ、最近あいつはどうしてるの?」
草太「え?」
りんご「あんまり見ないよね、赤ずきん達。全然学校に出没しないし。」
草太「うん。それが、毎日早くからどこかへ出かけて行っちゃうんだ。」
りんご「どこへ?」
草太「わからない。」
赤ずきん達の事を思い出す二人
草太「皆、夕方に帰ってすぐ寝ちゃうし。」
りんご「なんか怪しいぞ。」
とある学校にて
りんご「はい、じゃあ次。演劇がいいと思う人?」
「はーい!」
りんご「グレ…じゃなかった、静森さん。何にも手をあげてないけど。」
グレーテル「別に。何でもいい。」
りんご「何でもって事ないでしょ。皆の文化祭なんだよ。」
グレーテル「じゃあ演劇でいい。」
りんご「よし。」
道中にて
りんご「草太、文化祭の演劇の台本、頼んだぞ。」
草太「うん。ねえ、静森さんは文化祭は楽しみじゃないの?」
グレーテル「赤ずきん達から聞いてないの?」
草太「赤ずきんから?何を?」
グレーテル「ううん…何でもない。」
りんご「ちょっと、何の事!?」
走るグレーテル
りんご「ちょ、ちょっと!」
ヘンゼル「やあ。鈴風君に木下さん。」
グレーテル「お兄様!迎えにくださったのですね、お兄様!」
草太「静森さん、さっきの話。」
グレーテル「今日はお兄様と週末の旅行の相談をするの。じゃあね!」
ヘンゼル「じゃ。」
りんご「エルデに来ても相変わらずね。ってそんな事より赤ずきん達、絶対何か隠してるに違いないよ。」

とある服屋にて
白雪「いらっしゃいませ!まずこちらがおすすめ。そしてこちらが先週入荷したばっかりの新作!
こちらが私の一番のお気に入りの一着。どれもこれも、可愛過ぎて迷っちゃう!」

とある庭園にて
居眠りをするいばら
「やれやれ…また寝てるよ。」
「なあ、君。ここの水撒きはもういいから。」
一方、鈴風家
りんご「居候の分際であたし達に隠し事をするなんて!今日は全部白状させてやるぞ。」
?「ただいまですわ!」
りんご「帰って来た!」
白雪「もう眠い、動けませんわ。」
いばら「お腹、空いた。」
りんご「さあ、白状して貰うぞ!毎日、コソコソ何やってるのかな?」
白雪「ええと…その…」
玄関が開く
赤ずきん「ずっきゅーん、ドレミピザだよ!」
ヴァル「30分ジャスト!初めて間に合ったな、赤ずきん!」
赤ずきん「やったね!」
「キャッピピー。」
赤ずきん「あれ?草太、何でここにいるの?」
草太「何でって?ここは僕の家だよ。」
赤ずきん「だって…ここは4丁目の鈴木さんの家…。」
辺りを見渡す二人
赤ずきん「じゃなくて…。」
ヴァル「鈴風さんのお宅ですね?」
りんご「アルバイト?」
草太の母「まあ、赤ずきん達が?感謝ね。」
草太の父「そうだな、働くのはいい事だぞ。」
草太「でも、どうしてアルバイトなんか?」
赤ずきん「ええと…それは…」
白雪「何ででしたっけ?」
りんご「隠し事しない!」
いばら「話してもいいんじゃない?」
赤ずきん「いばら…。」
白雪「でも、それは…。」
いばら「私達、この前皆で放したの。いつも草太やりんご達にお世話になって。何かお礼をしたいねって。」
口を押さえる白雪
白雪「そ、そうですのよ!それで皆でアルバイトして草太さん達を温泉旅行にでもご招待しようかなって。ね、赤ずきん?」
赤ずきん「うん!そうなの。」
りんご「何だ、そうだったんだ?そんな事ならもっと早く言ってくれればよかったのに。で、いくら貯まったの?」
白雪「ええ…。」
財布からお金を出す白雪
赤ずきん「どう?結構頑張ったでしょ?」
草太「確かに頑張ったみたいだね。」
りんご「温泉旅行にはちょっと足りないけどね。」
ヴァル「そうか、この手があったか!」
りんご「一等賞は温泉旅行だよ!」
赤ずきん「いくよ、白雪、いばら!」
白雪「よろしくてよ。」
いばら「絶対に当ててみせる!」
赤ずきん「輝くエレメンタルクローバー!当ててやる。癒しの温泉旅行!1!2!3!銃士~。」
ティッシュだった。
りんご「勢いはあったのにね。」
草太「僕は皆の気持ちだけで嬉しいよ。」
袋に靠れて寝るいばら
白雪「あら、私の素敵な洋服が。あら?これ…。前にコスプレコンテストで優勝した時に貰った物ですわ。」
袋を取り出す白雪
白雪「温泉宿泊ご招待券!?」
りんご・赤ずきん「ええええ?」
とある温泉にて
グレーテル「静かね、お兄様。」
ヘンゼル「ああ。エルデにはこれ程落ち着いた場所があるな。」
?「これがエルデの温泉か!?」
グレーテル「あの声は…。」
温泉水がかかる
?「こら、赤ずきん!」
赤ずきん「ぷはあ。」
りんご「ちゃんとマナーを守らなきゃ駄目だぞ!グレーテル!!」
赤ずきん「何だ!グレーテルもこの温泉来てたんだ!」
グレーテル「どうしてこんなところまで来てあんた達と会わなきゃいけない訳?」
赤ずきん「凄い偶然だね!」
白雪「本当ですわね。」
グレーテル「せっかくお兄様と二人きりでばったりしようと思ったのに!」
いばら「ヘンゼルとグレーテルと?」
ヘンゼル「エルデの温泉は犬でもオーケーなのか?」
ヴァル「何だよ、犬なんて。」
射的を嗜むグレーテル
グレーテル「やった、お兄様!」
いばら「グレーテル、凄い!」
白雪「それに引き換え…」
射的を嗜む赤ずきん
赤ずきん「当たんないよ!」
グレーテル「剣術では赤ずきんに分があるな…。」
ヴァル「射撃ではグレーテルの方が上か。」
草太「頑張って、赤ずきん。」
赤ずきん「よーし!」
?「いて!」
赤ずきん「ん?」
ランダージョ「やっと見つけたのニャ、三銃士、そしてエルデの鍵!」
赤ずきん「ランダージョ!」
ランダージョ「痛いニャ…不意打ちとは卑怯だニャ!」
グレーテル「もしかしてランダージョ…。」
りんご「・・・戦いが終わった事、まだ知らないの?」
ランダージョ「何言ってるのニャ!?今まさに密かにサンドリヨン様の計画は進んでいるのニャ!
そんな事に引っ掛かる我輩ではニャーい!」
ヘンゼル「サンドリヨンは封印された。」
草太「全ては終わったんだよ。」
ランダージョ「そんなわけない!サンドリヨン様は次なる計画の為我輩に内緒で。」
赤ずきん「もうあたし達、戦わなくていいんだよ。」
リュックを下ろす赤ずきん
ランダージョ「そ、そうなのかニャ…。」
赤ずきん「せっかく温泉に来たんだから…。」
白雪「…一緒に遊びに行きましょう。」
ランダージョ「我輩もいいのかニャ?」
一同「もちろん!」
ランダージョ「ありがとうニャ!嬉しいのニャ!」
足湯を嗜む一同
ランダージョ「気持ちいいのニャ。」

ランダージョ「味噌田楽も最高!」
温泉に浸かる草太達
一方、温泉に浸かる赤ずきん達
ハーメルン「ご無沙汰しております、賢者シルフィー。」
草太の母「やめてよ、ハーメルン。ここはファンダヴェーレじゃないから。」
ハーメルン「?」
道中を歩く三人
ハーメルン「賢者シルフィー。あなたには今後ともエルデの鍵の守護をお願いとフェルナンド王が。」
草太の母「そう。わかりました。」
ハーメルン「一つ気がかりなのは…。」
草太「赤ずきん達がこの事を草太に話していない、という事ね?」
ハーメルン「はい。」
草太の父「いいじゃないか。」
草太の母「あなた。」
草太の父「全部あの子達が決める事さ。いつでも忘れ物が取りにこれる場所で行ける。
私達がしてあげられるのはそれだけだ。」
草太の母「そうですわね。」
白雪「ロマンチックですわね、草太さん。」
草太「うん。そうだね。」
白雪「でも…二人きりならもっとロマンチックでしたのに。」
りんご「させる訳ないよ。」
草太「うふふ。」
赤ずきん「草太、そっちからも星、見える?」
草太「うん、見えるよ。綺麗な星だね。」
赤ずきん「不思議だよね。お互いの顔がよく見えないのに同じ物が見えてるなんて。この星空が今、草太やりんごと一緒に見てるんだね。」

数日後
グレーテル「皆と一緒に来て楽しかったわ。」
りんご「ごめんね。せっかくの兄弟水入らずの旅行だったのに。」
グレーテル「ううん…いい思い出ができたわ。どうもありがとう。今度こそ兄弟水入らずなんだから、邪魔しに来ないでよね?」
りんご「はいはい。じゃあ、また明日学校でね。」
グレーテル「じゃあね。」
ランダージョ「我輩もちょっくら寄り道して帰るニャ。ありがとうニャ。」
ハーメルン「あの約束、忘れるなよ。」
ランダージョ「当ったり前ニャ!」
りんご「ハーメルンもたまにはこっちに遊びに来なさいよね。」
ハーメルン「気が向いたら、な。」
会釈をするハーメルン
りんご「明日からまた学校か…。」
白雪「あら、いけませんわ!私お気に入りのブラシを忘れて来たようですわ。」
りんご「え?」
白雪「という訳で、皆さん、先にお帰りくださいな。」
りんご「そんなの自分で取りに行けば。」
白雪「今日じゃなきゃ、駄目ですの。だって、明日になったら、気が変わってしまうかもしれませんから。」
りんご「全くもー…。」
白雪「では、ご機嫌よう!」
いばら「私もちょっと散歩して帰る。」
りんご「また変な所で居眠りして風邪引いても知らないぞ!」
いばら「大丈夫、大丈夫。」
草太を見るいばら
その場を去るいばら
赤ずきん「あたしも用があるの忘れてた!」
ヴァル「おっと、俺様も!」
りんご「何よ、今日って!?」
赤ずきん「ええと…バイト先にお届け物、届けるの。」
りんご「えっ、これから?」
赤ずきん「そうなの!じゃ、気をつけて帰ってね!草太!りんご!」
草太「赤ずきんも!」
止まる赤ずきん
草太「気をつけて。」
赤ずきん「うん。」
りんご「変なの。まっ、いっか。帰りましょう。」

とある公園にて
ヴァル「本当にこれでよかったのか?」
いばら「フェレナンド様も特別の配慮でこの数週間エルデにいさせて貰った。」
白雪「私が魔女に乗っ取られた生まれ故郷を取り戻すという大事な使命が残っていますし。」
ヴァル「そういう事じゃなくてだな。」
そこにヘンゼルとグレーテルが現れる
ヘンゼル「つまり、この場は…。」
ハーメルン「…草太やりんごに何も言わずに行くつもりか?」
赤ずきん「…。」
一方、草太の自宅
りんご「ねえ、赤ずきん達が帰って来たら言っといて。明日は学校に邪魔してくては駄目だぞって。」
草太「赤ずきん達はもう学校には来ないよ。」
草太の母・草太の父「…!」
りんご「何で?だってもうバイトはしなくても。」
草太「ここにも、もう帰って来ないよ。」
りんご「どういう事?」
草太「赤ずきん達、ファンダベーレの人達がいつまでもこの世界にいてはいけないんだよ。きっとそうなんでしょ?お母さん?」
草太の母「気付いてたのね、草太。」
りんご「何よそれ!?赤ずきん達、ファンダヴェーレへ帰っちゃうって事?」
草太「だから最後に皆で楽しい思い出を作ろうとして。」
りんご「そんな…。これきりなの?もうお別れなの?」
草太「しかたないよ。人の心が十分に育まれるまで二つの世界が交わってはいけないんだ。」
りんご「だからって…何も言わずに行っちゃうなんて!」
草太「多分、赤ずきん達は悲しい顔を見たくなかったんだと思う。」
赤ずきん「だってほら、悲しいお別れとか、あたしそういうの苦手だし。最後に凄く楽しい思い出を作れたし。」
白雪「私も今、草太さんに会えば決心が鈍ってしまいますわ。」
ヴァル「草太達はどうなる?何も知らずにお前達が帰ってしまったら…。」
いばら「草太は…恐らく気付いている。」
ヴァル「だからと言ってだな…。」
白雪「それでは草太さんは敢えて何も言わずにいてくれてたのですわ。」
赤ずきん「草太も悲しいお別れをしたくないんだよ。それでよかったんだよ。」
りんご「草太の嘘つき!」
草太「りんご…。」
泣きじゃくるりんご
草太の母「りんごちゃん…。」
りんご「何よそれ!?何わかり合っちゃってるのよ!?あんなに分かり合ってるくせに。…あたしだけが好きだから心が通じてて、それなのに…それなのに…。ほんとに草太はこれっきりで思っているの?」
首を横に振る草太
りんご「だったら…。」
涙が零れる草太
赤ずきん「これっきりでいいなんて思ってない。思ってないよ!」
白雪「だけど…。」
これまでの戦いの事を思い出す赤ずきん
赤ずきん「言えないよ、あたし!」
?「赤ずきん!」
赤ずきん「草太。」
草太に駆け寄る赤ずきん
白雪「草太さん!」
いばら「草太!」
赤ずきん「帰りたくない。帰りたくない!」
草太「赤ずきん。」
赤ずきん「本当はずっと。ずっと、ずっと草太達と一緒にいたいよ!」
白雪「私もですわ!草太さんと離れ離れになるなんて嫌ですわ!りんごさんとずっと口喧嘩していたいですわ!」
りんご「そうだぞ!あんたとはまだ決着をついていないんだぞ!」
接吻するいばら
草太「いばら!」
りんご「草太!どさくさに紛れて何やってるの!」
いばら「エルゼの正式の挨拶。」
白雪「そんなの初耳ですわ!」
赤ずきん「ごめんね。あのね、二つの世界はね、交わっちゃ駄目なの。だからあたし達はね…。」
草太「わかってる、わかってるよ。」
赤ずきん「でもね…どうしても草太にさよならは言いたくなかった。」
草太「さよならは言う必要ないよ。」
赤ずきん「草太…?」
白雪「草太さん。」
いばら「草太…。」
草太「だってそうじゃないか、二つの世界が今は交わってはいないけれど… …それは永遠じゃない。」
赤ずきん「うん、そうだね。」

赤ずきん達はファンダヴェーレへ帰って行った

歩む白雪
それを見届けるフェレナンド

木のそばで昼寝をするいばら

楽器を演奏するブレーメンとハーメルン

お菓子作りをするヘンゼルとグレーテル

封印の地で眠りにつくサンドリヨン

草太(いつか、人の心が育まれた時… …二つの世界が一つになる日が来る。そして、いつか必ず僕達はまた会える。)

帰郷する赤ずきんとヴァル


ThankYou

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2021年02月27日 14:51