帝国華撃団の活躍により、ブレント・パトリックの野望は潰えた。
大帝国劇場にて
加山「マリアが仕切り等から現れた時は、驚いたよ。帝撃は軍が見張っているから帰れないし、もうどうしようかと思ったよ」
大神「よく匿ってくれた。俺からも礼を言うよ。ありがとう」
加山「皆教えるような考えだったんでね、"敵を騙すにはまず味方から"って言うだろ?」
大神「皆怒っていたぞ。」
加山「いいさ。俺は花組を陰で支える黒子だ、お前とは違うが、俺は俺で花組の皆を…」
かすみ「間もなく休憩時間が終了致します。」
大神「客席で見よう。」
加山「ああ。」
一方、海神別荘の劇中劇が行われていた。
ラチェット「よく来てくれた姫。」
すみれ「どうなさいました?」
さくら「恐ろしいのでございます。」
すみれ「若様、鎧をお脱ぎください。その姿では怖がるのも仕方ありません。」
ラチェット「これを恐れてはいけない!これがある為に私は強い!これのおかげで女官から鮫を助ける事ができた。」
さくら「やっぱり恐ろしい所に来てしまった…」
ラチェット「敵のない国がどこにあるのだ?敵は至る所にいる。勝てばいいのだ!」
鎧が付けられるラチェット。
剣を振るい、向けるラチェット
ラチェット「私は勝つ!この鎧を身に纏い、敵から世界から……あなたを守る!」
さくら「その強さの動きはどこにあるのですか?」
"全ては海へ"を歌うラチェットとさくら
観劇する二人
劇中劇を見守る六人
ラチェット「私は、私はあなたを愛するが故に……殺さなければならない。」
さくら「どうしてですか?」
ラチェット「理由などいるのだろうか?あなたは既に私のものだ。王である、私の意のままにして何が悪い?」
紅蘭「台詞が違うで!」
織姫(もしかして、操られているの?)
剣を向けるラチェット
ラチェット「あなたは今無力だ。その命は私に手の中にある。だから愉快…実に愉快。」
さくら「愛していると言われた方よりこのような仕打ちを受けるとは…もしやあなた様は陸に住む魔王に……お心を支配されているのではありませんか?」
ラチェット「…。」
再度剣を向けるラチェット
紅蘭「まずいで!これはまずいで!リフトを下ろすで!」
スイッチを叩く紅蘭
「教えよう。私は誰も支配を受けない。教えよう。私の心を支配するのは……深い、深い……憎しみの心だ。」
さくら「憎しみの心?何故?全てを持っているあなたが?」
ラチェット「私は全ての力を持っている。しかし、人は私の心を知らず、私から去った。花と咲く、あなたとて同じ!だが私は…生まれながらの王なのだ!全てを持つが故に……全てを失った私の苦しみは誰にもわかるまい!」
さくら「!」
ラチェット「私は誰よりも気高く。そして強く表した。陸の魔王に心を売り渡した自分の誇りを守ろうとした。」
加山「あの人、ラチェット?」
さくら「大きなあの日様を」
ラチェット「」
大神「信じよう。」
ラチェット「私の心も闇に満ちていく。」
さくら「お待ちください!たとえ短い時であっても、あたし達は同じ思いを描きました!」
ラチェット「それがどうした?」
さくら「夢は重ね合わせ、未来になります!」
ラチェット「だから、それがどうした?」
さくら「共に喜び、共に戦い、そして夢を見た。ここはあなたと私の場所。あたしは…あたしは…あなたが大好きです!」
ラチェット「…!」
ライトが照らされる
レニ「公子よ、剣を持たぬ自分の妻を斬って、お心が晴れるのですか?私が相手になりましょう。」
ラチェット「仲間、仲間、仲間・・・ああ、心が凍てつくようだ!この世は敵に満ちているのだ!」
さくら「この場所にいるあなたも既に心は分かつかと。今はこの命を欲しいとあなたが言うのならば、喜んで捧げましょう。」
ラチェット「いいだろう。ならば、私の手に掛かって死ぬがいい。憎しみを自らの力を示す、陸の魔王に通じて。…この世界を乱そうとした!どうせ帰る世界のない。ここでお前を殺して。我も死に逝こう!
姫よ、私を憎むがよい!」
さくら「憎む気持ちはありません。憎しみはさらなる憎しみを生み出します。私はあなたの全てを許します。」
水が流れる
紅蘭「許します。」
アイリス「許します。」
カンナ「許します。」
すみれ「許します。」
レニ「許します。」
織姫「許します。」
マリア「許します。」
ラチェット「騙されんぞ!全ては物語だ!幕を下ろして!全ての物語を終わらせよう!」
さくら「そうでしょうか?幕を下ろせば全ては終わりになるのでしょうか?人が生きる限り……物語の終わりはないのです。」
ラチェット「もういい!私はこの手で物語を殺す!」
剣を振り翳すラチェット
一同「!」
倒れるさくら
ラチェット「!私は…私は…」
目覚めるさくら
剣を捨てるラチェット
ラチェット「私は迷い、仲間を殺す事はできない。」
さくら「あたしが流したのはあなたの血です。憎しみの血は海へと流れ、今、新しい物語が生まれます。」
ラチェット「もうしばらくこの時間が続いては、そう思えた自分が嬉しい。物語は人が生きる数だけより咲き乱れる。」
さくら「花が咲いたのです。今この時、この場所に沢山の夢の花があります!命の限り咲いています!」
幕が下り、拍手が響く。
桜道を歩くさくら
最終更新:2019年11月21日 12:38