サクラ大戦(テレビアニメ版)の第24話

燃え盛る帝都

逃げ惑う人々

「中屋の二等、待ちやがれ!ちきしょう!」
子供を助ける母親
「畜生…」

「誰かー!何とかしてくれよー!」

第二十四話
「絆」


「このまま手を組まないという訳にもいくまい!今は奴らを叩く事が最優先だと我々は判断した。帝都中の蒸気機関を扮装させ、霊魂事、黒之巣会を殲滅させる。」
あやめ「お待ちください!帝都は私達の手で滅ぼすなど、決してあってはなりません!」
「藤枝少佐、君の気持ちはわかる。我々とて辛いのだよ。しかし、米田君は消息不明、銀座も浅草も壊滅。これ以上奴らに蹂躙されるがまま黙っている訳には行かん。」
「帝都全市民の避難勧告も既に報告済みだ。」
あやめ「早まらないでください!帝撃は…花組はまだ…。」
「まだ分からんのか?我々は帝撃を見限ったのだよ!これは決定事項なのだよ、少佐!」

神崎重工川崎工場

応接室

忠義「浅草まで全滅とはのう?重樹も心配しとったぞ。」
すみれ「そうですの?」
忠義「相変わらずじゃな、お前は。」
すみれ「私は神崎の娘としての誇りを守っているだけですわ。でもあの人は、お祖父様の言いつけ通りしか動かないただの技術屋!家族も顧みない人です!ですから私は…。」
忠義「…。」
すみれ「ご挨拶を伺っただけですので、これで失礼致します…。」
忠義「重樹は工場におる、顔を見せてやれ。」
すみれ「お祖父様がそう仰るのでしたら。」
その場を去るすみれ
マリア「脇侍の被害はさらに拡大しています。」
地図の赤い印が拡大する
マリア「隊長。副指令からの連絡は?」
大神「…。」
あやめ「本日、1200になっても、私が戻らなかった時のみ開封し、内容に従うのみ。」
マリア「隊長…。」
大神「米田司令からの指示書だ。」
指示書を見るマリア
マリア「司令代行が!?」
敬礼するマリア、それに応え敬礼する大神
加山「月組隊長・加山雄一。入ります!」
大神「加山!月組隊長ってお前?」
加山「司令代行に正体を隠しておく必要はありませんので。」
大神「…。」

寛永寺にて
叉丹「脇侍に翻弄され、ここに眠るとは。所詮、奴らもその程度って事だ。時は満ちたり。今こそ封印されし怨念を呪われた眠りから解放せん」

一方、神崎重工

さくら「紅蘭、この部品は…。」
紅蘭「おおきに!そこに置いといてや。」
部品を置くさくら
さくら「他に何かありませんか?」
紅蘭「うーん、今はええわ。」
カンナ「そういや、アイリスはどうした?」
さくら「はい、応接室の方で休ませて貰ってます。」
紅蘭「これからずーっと寝てんの?」
さくら「ええ…。」
カンナ「随分、頑張ったからなあ。あの小っこい体でさあ。」
さくら「アイリスがいなかったら、あたし達、逃げ切れたかどうか。」
重樹「おお、大したもんだ!この光武をここまで選別するとは。」
紅蘭「なーに!基本設計がええからですわ。」
重樹「そうか?しかしそれをここまで進化させたのは君の力だ。」
紅蘭「ええんです、そんな事。誰が造ろうとええものはええ。うちはこの子の望む形に仕上げる、そう約束したんです。」
重樹「はっはっはっは!機械に望む形か?正にその通りだ!どうやら君は機械と話ができるようだな。」
紅蘭「はいな!」
さくら「ああ、すみれさん!」
重樹「私は地下に行く。不足している物があるなら、遠慮なく言ってくれ。」
さくら「はい、ありがとうございます!」
目をそらすすみれ
重樹「無事だったよな。」
すみれ「ただ今戻りました、お父様。」
さくら・カンナ「えっ?」
紅蘭「?」
その場を後にする重樹
その場を後にするすみれ
さくら「あの人がすみれさんのお父様?」
紅蘭「工場長か何かと思うたわ。」

一方、大神達

マリア「今の所、脇侍の破壊活動の高速性は見当たりません。」
加山「正に手当たり次第だな。」
大神「あの空白部分は?」
マリア「上野です。寛永寺にはまだ被害に遭っていません。」
大神「寛永寺?」
加山「しかし、そこなら早い段階に調査済みだ。天封石はなかったが。」
大神「もし貴書伝にこんな技術があったら、寛永寺の地下に巨大な遺跡のような物があると。」
加山「おい、まさか…。」
大神「それが本当だとしたら、五つ目の最後の天封石は…。」
叉丹「出でよ!我が導きの元に穢土城!」
地が揺れる
叉丹「はっはっはっはっは!」
地面が競り上がり、穢土城が築く
「これが穢土城、これは要塞ではないか。」
あやめ「黒之巣会の目的は魔神・天海の復活。恐らく穢土城は最後の天封石にして、天海が眠る柩。即ち、天海そのものと思われます。」
「天海そのものだと?」
頷くあやめ
「やはり帝都爆破しかあるまい。このスイッチを押せば、帝都中の蒸気機関が暴走を始め、帝都は壊滅する。」
あやめ「それでは、それでは叉丹が行おうとしている事と一緒ではありませんか!?」
「穢れた魂を滅ぼされるよりは。」
あやめ「そんな…。」
扉が開く
「ん?」
?「それは私に任せて頂きましょう。」
声の正体は米田だった

あやめ「米田司令!」
「米田、お前は今まで何を…。」
「任せろとはどう言う意味だね?」
スイッチを持つ米田
米田「帝都はこの私の手で吹っ飛ばすと申しております。」
「貴様は一体何を考えておる?」
「帝都爆破を貴様のような一軍人如きで…。」
米田「黙って聞け!お前さんらにゃ類は滅ぼさねえ!俺の一存で帝都を吹っ飛ばすってんだ!ガタガタ抜かすな!ただし…俺の育てた子供らが負けたらな。川崎には俺が用意した切り札がある。」

一方、叉丹
叉丹「間もなく、天海が復活する。米田、私の勝ちだ。ふふ、はははははは!」


アイリスに毛布をかける重樹
すみれ「お父様は、その格好…。」
重樹「ここに来てだがな。」
すみれ「神崎代表として自覚を持って頂きたいものですわ。」
重樹「…。」
すみれ「何がおかしいんですの?」
重樹「だんだん雛子に似て来た。」
すみれ「当たり前です、親子ですもの。」
重樹「結局、な。」
ソファに座る重樹
重樹「帝劇に発つお前を見られなかった。」
すみれ「別に、無理に来て頂かなくても結構ですわ。」
さくら「すみれさん、大変です!」
すみれ「何ですの、さくらさん?騒々しい…。」
さくら「ああ、すみません。あら、すみれさんのお父様ですね?あたし、真宮寺さくらと申します。すみれさんにはいつもお世話に…。」
すみれ「さくらさん、何が大変ですの!?」
さくら「あ、はい!上野に大きなお城が現れたんです?」
すみれ「お城?」
重樹「やはり、米田さんの読みは正しかった!?」
大神「穢土城…かつて日本支配を目指した男がこの街で拠点とした施設だ。」
加山「まさか上野にあったとは…。」
大神「これが天封石…いや、天海そのものだろう。帝都を救う為には、これを破壊するしかない!」
紅蘭「こうしちゃ、おられんで!光武の改修を急がんと!」
カンナ「おう!」
さくら「やりましょう!」
その場から去る三人
大神「よし、光武は紅蘭に任せよう。残る問題はどうやって穢土城に突入するかだ。」
マリア「あの高さでは、光武の蒸気噴射でも、届かせるのは至難かと。」
加山「飛行の手段が必要、という事か?」
地下に行くすみれ
重樹「何をやってる!?左舷の蒸気圧をもっと上げろ!愚図愚図するな!」
「はい、分かりました!」
重樹「よし、急ごう!右舷の蒸気圧を… すみれ!」
すみれ「お父様、人手が要りますの。作業員をお借りできないかしら?」
重樹「ああ、光武の改修か?おい、田島!藤田!」
すみれ「…! 7年も前から?」
藤田「ええ、社長自ら陣頭指揮に入って。」
田島「ほとんど休みなしで働いてたよな?」
藤田「おお、大した人だよ社長は。」
すみれ(あの賜物の為に…。)
忠義「川崎工場で密かに現存していた決戦兵器で挑む。米田君の依頼でな。重樹はこの7年間耐えてくれた。大神君、翔鯨丸を役立ててくれ。帝都の未来の為に!」
紅蘭「できたで!光武7体、パワーアップ完了や!」
カンナ「やったあ!」
紅蘭「藤田はん、田島はん。ほんまに手伝ってくれておおきに!」
藤田「いやあ、そりゃ…」
田島「お嬢さんの頼みとありゃ、断れませんや。」
紅蘭「お嬢さん?」
カンナ「すみれの事か?」
?「皆さん!」
紅蘭・さくら・カンナ「?」
すみれ「少尉がお呼びですわ。」
紅蘭「すみれはん、ほんま、おおきに!」
すみれ「地下ドッグへ集合するように、と。」
紅蘭「ふええ…ごっついわ。」
カンナ「こいつは凄えや。」
マリア「皆に報告しておく事があるわ。大神少尉は本日付で帝国華撃団・司令代行に任命された。」
カンナ「司令…。」
紅蘭「代行やて?」
さくら「米田司令は?」
大神「…。」
加山「安心したまえ。司令も今、戦っている。我々とは違った意味でな。」
米田「こんなちっぽけなモンで、帝都がなくなっちまうたぁなあ。怖え時代だよ。奴に"それ、見た事か"って言われちまいそうだ。あやめ君…。もしもの時は、介錯を頼む。
もっとも、帝都を吹っ飛ばした責任は俺のクビぐらいじゃ軽過ぎるかもしれねえがな。」
あやめ「うっふふふ。」
米田「こら、そこで笑う奴があるか!」
あやめ「その時はありませんの。」
米田「さくらが来てから一年か。」
あやめ「皆、立派になりましたね。」
米田「ああ。」

一方、大神達
大神「翔鯨丸の操縦は風組が担当する。」
扉を開ける椿
敬礼する風組
カンナ「何だよ、姿が見えねえと思ったら!」
紅蘭「こんな所におったんかいな!」
さくら「よかった…。」
すみれ「…。」
重樹「両舷の蒸気圧のバランスを保て。時間がないんだ、急げ!」
目覚めるアイリス
アイリス「来た。」
川崎重工に脇侍が現れる
大神「敵襲!」
刹那「こんな所に隠れたって無駄×2!僕達から逃げられないよ!皆ぶっ壊れればいいんだ!」
大神「ついにここまで来たか!」
重樹「連中を思わす。搭乗してくれ。」
大神「さくら君、君はアイリスを!」
さくら「はい!」
大神「他の者は光武の搬入だ、急げ!」
重樹「!」
田島・藤田「社長!」
すみれ「お父様!」
重樹「…!」
すみれ「!!」
アイリスに助けられ、事なきを得る重樹
すみれ「ア、アイリス…。」
アイリス「行っちゃええ!」
大神「行くぞー!」
カンナ「あいよー!」
棒を振るうカンナ
発泡するマリア
すみれ「お父様、お怪我は?」
重樹「ああ、大丈夫だ。」
息切れをするアイリス
すみれ「アイリス、ありがとう。」
アイリス「ううん、だって… だって、すみれの大事なパパだわ?」
すみれ「…。」
大神「でええい!!」
斬撃を繰り出す大神
さくら「はああああっ!!」
横斬りを繰り出すさくら
重樹「翔鯨丸は私がお前達の為に用意した花道だ。」
すみれ「…お父様…。」
薙刀を構えるすみれ
すみれ「来なさい!でやあああっ!!」

降魔を斬り伏せるすみれ

すみれ「神崎重樹はその娘、神崎すみれが、指一本触れさせませんわ!」
重樹「すみれ…。」
すみれ「お父様、私、立派に勤めあげて見せますわ。花組の名に懸けて!」
頷く重樹
重樹「見せて貰うぞ、お前の晴れ舞台。」
紅蘭「光武全機、積み終わったで!」
大神「よし!全員、搭乗!」
すみれ「さ、行きますわよ、アイリス!」
アイリス「うん!」
大神「地上ハッチ、開け!」
かすみ「駄目です!真上に敵が!」
棒を振り回す羅刹
刹那「はーはっはっはっは!」
大神「くそっ!マリア!」
マリア「はい!」
大神「翔鯨丸の指揮は君に任せる!俺が囮になって突破口を開く!」
さくら「大神さん、そんな!」
カンナ「あたいが行くよ!」
大神「駄目だ!」
一同「…。」
大神「破邪の陣は君達、誰一人欠けても駄目なんだ!君達を敵地に送り出すのは俺の役目。そして君達の役目は戦地に赴き、そして勝利する事だ!」
敬礼する一同
それに応え、敬礼する大神
大神「俺は死なん。必ず君達の元に追い着く!花組及び、風組に命令する。翔鯨丸を以って穢土城を殲滅せよ!」
一同「了解!」
大神「これが終わったら、花見でもするか。」
すみれ「は、花見?」
大神「帝撃の皆でさ。勿論、すみれ君の父上や祖父殿も一緒にな。」
マリア「…。」
加山「米田司令にそっくりになりやがった。」
刹那「羅刹、この下に玩具があるよ。やっちゃおうぜ。」
大神「お前の相手はこっちだ!」
そこには光武(大神機)が
刹那「生意気なんだよ!」
弾丸が飛来する
そこには加山が
刹那「お前、どこかで。」
加山「おやおや、忘れたのかい?お前には借りがあってね。」
重樹「出力を最大値まで上げろ。」
田島・藤田「はい、社長!」
かすみ「蒸気エンジン、予備動作確認。」
由里「出力調整、三割五部!点火!」
起動する翔鯨丸
重樹「頼むぞ!」
ハッチが開く
上昇する翔鯨丸
刹那「…。」
マリア「翔鯨丸、発進!」
発進する翔鯨丸
重樹「よし、行け!」
大神(頼んだぞ、皆!)

飛び立つ翔鯨丸を見守る忠義
忠義(己の信ずる正義を示せ、米田の子らよ。)



(続く)

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最終更新:2020年04月17日 12:32