デンガッシャーを振り翳す電王(AF)
イマジンはかわす
「泣けるで!お前にわざと見切らせて…その裏をかいたんや!」
「Full Charge」
「…。」
(どうしたの?)
退くイマジン
「まだ…」
(キンタロス。)
ベルトを外す電王(AF)
「おい、ホンマにさっきのは親父さんやったんか?」
「間違いないよ。」
「そうか…」
「何でイマジンにトドメを刺さなかったのよ?」
「親父さんがどんな思いでイマジンと契約したか、確かめるんや!」
「何、言ってんの!?イマジンが契約を完了する前に倒さないと、大変な事になるのよ!」
「…。」
「分かってんの、あんた!」
良太郎から離れるキンタロス
「あの怪物があたしを襲わせてたのは…お父さんだったのね。」
「…。」
「やっぱりお父さん、あたしの事…。」
「それは…確かめて見ないと分かんないよ…。」
「無駄だよ!」
走り去るカスミ
「帰ってくれ!カスミは親でも子供でもない。」
「まだ12歳のカスミちゃんによくそんな酷い事を…」
「あんたらには関係ない事だろ、帰ってくれ。」
「こないだ、カスミちゃんが怪物に襲われたの見たでしょ!?」
「知らん。」
「その怪物と何か契約したんじゃないの?そのせいでカスミちゃんは…。」
「知らんと言ってるだろ。お前ら、帰ってくれ。」
「カスミちゃんを見守ってくれてる人がいるんです。カスミちゃんは"霞草の人"と呼んでいる。」
「…。」
「僕、霞草の人はあなたじゃないかって思ってました。」
「…。」
一方デンライナー・食堂車
「…。」
「行こう、良太郎。」
店を後にする良太郎
回想
カスミの写真を見るカスミの父
カスミの父の体に砂が零れる
「何だ、お前は?」
「お前の望みを言え。どんな望みも叶えてやろう。お前の払う代償はたった一つ…。」
「まさかあの時の事が?夢だと思っていたが…。」
「それにしても、酷い父親がいたものね。」
「イマジンに自分の娘を襲わせるなんて、世も末ですよ。」
「あんたに言われたくないわよ。」
「で、どうすんだ良太郎?」
「どうしよう…キンタロスは何か考えがあるの?」
「ZZZ…」
「冬眠中だ。」
「何か言うたか?モモヒキ。」
「誰がモモヒキだ!」
「俺は腹決めたで!」
「え、何を決めたの?」
「信じる事や。」
「何をよ?」
「ZZZ~」
「何か悪い予感が…。」
「同感ね。」
「良ちゃん、難しい顔してる。幸せの星が逃げ出しちゃうわよ。」
「ねえ、親と子が突然憎しみ合う事なんてあるのかな?」
「星はね、そう簡単に位置を変えたりしないの。これでも飲んで、元気出して!」
「姉さん、これは?」
「大蒜たっぷりのレモネード。」
飲もうとした矢先、電話が鳴る
「はい。」
「カスミだよ!明日、パリコレに旅立つんだけど、それまであたしの事、お父さんから守ってね。」
「お父さんから?うん。」
「じゃあ、明日。」
「いやあ、僕を選んで貰えて光栄だなあ。本誌記者尾崎正義、トップモデルカスミが世界へ羽ばたく瞬間をお手伝い!身嗜み、決まった!」
「いいから、ちゃんと前見て運転して。」
「分かってるって。」
ワゴンに飛びつくイマジン
「え?」
「カスミちゃん。」
「あいつ!」
車が止まる
「危ない!」
「うわああっ!!」
脳震盪を起こし、失神する尾崎
「来た来た!イマジンだぜ!」
「たまには僕も運動しようかな。」
「どけ!」
良太郎に憑くキンタロス
(キンタロス。)
「どけ!」
「カスミ!」
「俺がやる!」
車を持ち上げる良太郎
「何、やってんの!?」
「親父さんが娘によくない事を契約する筈がない!それを証明したる!」
「は?イマジンに加担しようと?」
(いくら何でも無茶だよ。)
「親父さんはカスミを愛しとる、俺はそう信じるー!!」
「やめて!お願いだからやめて!」
「これがカスミの為なんや!」
車を投げ飛ばす良太郎
「…!」
「ああ!!」
「お前、来てたんか?」
「やっぱり、お父さんがやらせてたの?そんなに私が憎いの!?」
「大規さん、娘を早く空港へ!」
「は、はい!カスミ、行こう!」
「もう遅い。これで娘の仕事は全部潰した。」
「…!」
「契約完了。」
裂け目に飛び込むイマジン
「おい、大丈夫か!?」
「あんた、何て事をしてくれたんだ…」
「何でや?これがあんたの望んだ事なんやろ?」
「違う。プロダクションの社長もスターになれると熱心に勧めてくれていたのに、カスミは家の手伝いでモデルになる事を諦めかけていた。
私はそんな健気なあいつの姿を見ていると、どうしても夢を叶えてやりたくて…敢えて私は娘と縁を切った。そんな時に、あの怪物に望みを聞かれて、カスミに会いたい…。思わずそう願ってしまったんだ。」
「じゃあ、何でイマジンはカスミを襲ったんや?」
「カスミちゃんの仕事を全部潰せばいい、イマジンはそう解釈したわ。でも、これからじゃパリコレは…。」
「私のせいで娘の夢を打ち砕いてしまった…。」
「いや、俺のせいや…。」
離れるキンタロス
カードを翳す良太郎
「もうカスミちゃんと仲直りは無理なのかな?」
「行きましょう。」
「お前がやると仕事の邪魔だ、お前は社長さんの家に住まわせて貰え!」
「そんな事をしたら、お父さん一人になっちゃうじゃない?お母さんが死んでから、ずっと元気ないくせに。」
「親に逆らうような奴は俺の娘じゃない。出てけ!」
家を飛び出すカスミ
デンライナーから降車する良太郎
「待ってました!俺の出番だ!」
吹き飛ばすキンタロス
「またまたかよ…。」
「体貸してくれ!」
(キンタロス。)
「うおおおおっ!!」
「…!?」
走る良太郎
(キンタロス、どうするつもりなの?)
「あ、どこへ行くの?」
「決まっとる!カスミを親父さんに会わすんや!親父さんの本当の思いを分かって貰うんや!」
「駄目よ!戻って!イマジンを倒すの!」
「あかん!こっちが先や!」
バスを追いかける良太郎
「うおおおりゃあ!!」
「キンタロス君、イマジンに加担した上、時の運行を変えようと言うのなら、乗車拒否です。」
「やったー!邪魔もんが減るぜ!」
「彼がいると狭いもんねー、ごもっとも。」
「デンライナーから追放されたら、永遠に時間の中を彷徨うのよ。それでもいいの?」
「俺のせいやからな!」
バスに追いつく良太郎
「カスミ!カスミ!」
窓を開けるカスミ
「バスを降りるんや!」
「あんた、何なの!?」
「俺は未来の友達や。」
「何、言ってるの、馬鹿じゃない!?」
「親父さんともう一回会うんや。」
「あたしを憎んでいる人と会ってもしょうがないでしょ!」
「親父さんはな、お前が夢を叶えられるようにわざと突き放したんや。」
「そんな。」
窓を閉めるカスミ
「親父さんはお前を愛しとる!とことん信じたるんや!もう一度やり直せ!」
「あなたを追放します。」
「おおきに!」
「キンタロス…。」
「いくよ、キンタロス。変身!」
「Ax Form」
電王(AF)に変身する良太郎
「おい!何で俺じゃねえんだ!」
「俺の強さにお前が泣いた!涙はそれで拭いとけ!」
「ふん!馬鹿の一つ覚えが!」
「ごっつ泣けるで…これが俺の、電王としての最後の戦いや!」
吹き飛ばされる電王(AF)
「もっと俺を怒らせろ、その方が燃えて来るで!」
デンガッシャーを投げる電王(AF)
「Full Charge」
張り手を繰り出す電王(AF)
ダイナミック・チョップが炸裂
爆死するイマジン
「ダイナミック・チョップ。」
「やったー!」
「俺の出番なしかよ?」
「まっ、いいんじゃない?熊も見納めだし。」
「…。」
「キンタロス君にはデンライナーを降りて貰います。」
「でも…。」
「これは既に決定事項です。」
「ええて、良太郎、ありがとう。」
「キンタロス…。」
「…。」
「…。」
「…。」
「…。」
「おっと、停止信号のようですね。」
「ここは?」
「良太郎君が初めてカスミちゃんと出会ったそのちょっと前のようですね。」
「カスミちゃん、今度パリコレに行く事が決まった訳だけど。どう?そんなに嬉しい?」
「やっとスタート地点に立てたって感じかな?一度きりの人生、やり直しは効かないし、、けれど…」
辺りを見渡し、走るカスミ
「おい、カスミ!どこへ行くんだよ?」
「お父さん!」
「カスミ!?」
「やっぱり、霞草の人はお父さんだったのね?」
「お前、何でそれを?」
「去年、お父さんの事を信じろって言う人がいたの。」
「親父さんはお前を愛しとる!とことん信じたるんや!」
「信じてよかった。」
「そうか…。」
「私、今度パリコレ行くんだよ。夢を叶える為に頑張ったんだから。」
「ああ、こんな物も必要ないな。」
「そんな事ない。」
「…。」
「でも、これからは霞草の人じゃなくて、お父さんとして私を見守ってね?」
「カスミ…。」
抱きつくカスミの父
「涙はこれで拭いたら?」
鼻をかむキンタロス
「ほんなら。」
「どこへ行くんです?」
「降りるに決まっとる!」
「その必要はなくなりました。」
デンライナーが発車する
「カスミちゃんとお父さんが仲直りした事でイマジンとの契約はなくなり、良太郎君とカスミちゃんの出会いもなくなりました。」
「よくわからないけど、キンタロスの暴走もなくなった?」
「そのようですね。」
「でも、それって変じゃない?」
「二人が出会わなければ、私達が過去へ飛ぶ事もなかった訳だし。」
「そう、変です。だから、時の運行を変えてはならない。」
「…。」
「…。」
「このような事は、これっきりにしてください!」
「ありがとうございます。」
「私は何もしてませんよ~。」
「よかったわね、キンタロス。」
「あ~あ、元竿…じゃなくて、元鞘か?」
「冗談じゃねえぞ!熊公はクビだ!クビ!!」
「いつかまたあんなふうに走りたいな。」
「Z~。」
「キンタロス?」
「おい!こら!寝るな!お前の話をしてるんだ!起きろ!季節はもう春だぞ!!起きろ、熊公!ああ、もう!」
最終更新:2016年07月27日 20:30