登場人物
オテロ:ムーア人、ヴェネチア艦隊の指揮官(テノール)
イヤーゴ:旗手(バリトン)
カッシオ:副官(テノール)
ロデリーゴ:ヴェネチアの貴族(テノール)
ロドヴィーコ:ヴェネチア共和国の大使(バス)

モンターノ:オテロの前任者のキプロス司令官(バス)

伝令使:(バス)
デズデモーナ:オテロの妻(ソプラノ)
エミリア:イヤーゴの妻(メゾソプラノ)

合唱
ヴェネチア共和国の兵士、水夫、ヴェネチアの貴族、
サイプライ人、島の子供



第1幕

第1場
城砦の外
葡萄棚のある居酒屋。背景に斜堤と海。夕方。稲妻、雷鳴、暴風。
イヤーゴ、ロデリーゴ、カッシオ、モンターノ、遅れてオテロ。サイプライ人とヴェネチアの兵士たち。

サイプライ人
見えるぞ(見えたぞ)!見えるぞ!船だぞ!船だぞ!
(稲妻と雷鳴)

モンターノ
獅子の旗だ!

カッシオ
たしかに見える!

(他のサイプライ人達登場)
新しく来た人
聞こえる!聞こえる!
(大砲の音)

全員
大砲の音!

カッシオ
将軍の船だ!

モンターノ
波間に、隠れた…

カッシオ
逆巻く波が。

サイプライ人

雲間と見れば、はや、
逆巻く波の影!

全員
(雷鳴閃光続く)
世の終りか、猛けり、狂う、嵐、
(落雷)
逆巻く、荒波!空もさけよと。
(奥の方で島の女たちが大勢入って来る)
今を限りと、逆巻く嵐、
神の怒りか、この暗さ、あ!
何もかも消える(別訳:燃えるぞ)、地獄の闇に、
燃えさかり、又、暗い闇に、
この世の終りか、全ては暗闇にのまれ、
恐ろしき嵐、響きわたる。
(トランペットの音が聞こえる。島の女達が走り出て海の方へ向かい、怖れと祈りの身ぶり)

神よ、助け給え、
わが守り神よ、
ヴェネチアの旗を
主よ守り給え、
この世も、み空も
しろしめす神よ、
荒れ狂う嵐
を静め給え。

イヤーゴ
(閃光)
帆が破れた!

ロデリーゴ
やっと鍵がかかったぞ。

サイプライ人達(祈る)
助け給え!

イヤーゴ
(ロデリーゴに)
海が奴の墓になればいい。

サイプライ人達
助かった!助かった!

(舞台裏で)
橋けを下せ!
(遠い雷鳴)
綱を引け!そうだ!

サイプライ人達
もう少し、こちらへ!
(波止場の階段を降りながら)

(舞台裏で)
岸は近いぞ(別訳:もうすぐそこだぞ)。

全員
やったぞ、やったぞ、やったぞ!

オテロ
(海岸の石段を水兵や兵士を従え波止場に昇って来ながら)

喜べ!おごれる敵は
海の底、我等は勝利を、
戦いの後の嵐にも!

サイプライ人達
万歳 オテロ!万歳!万歳!万歳!
(カッシオ、モンターノ、兵士を連れてオテロは城中に入る)
万歳!万歳!敵は
全てやぶれ、沈み海の藻屑だ。
万歳!万歳!
敵は全て、波に呑まれ、
底知れぬ奈落に沈む、
うず巻く海は、うず巻く海は
全てを呑み込む。
勝ったぞ!万歳!万歳!万歳!(別訳:勝ったぞ!勝ったぞ!勝ったぞ!勝ったぞ!)
敵は全て、波に呑まれ、敵は全て
敵は全て海の藻屑。
万歳!万歳!
敵は、滅び、万歳!
嵐は静まる。

イヤーゴ
(ロデリーゴに小声で)
ロデリーゴ!おい!どうした?

ロデリーゴ
僕は死にたい…!

イヤーゴ
何と馬鹿な女にふられてか。
(数人の者、薪をうず高く積み上げる群集、物珍らし気に騒ぎながら、その周りに集って来る)

ロデリーゴ
あ!どうすれば。

イヤーゴ
すぐ、今に良い時が
来るさ、デズデモーナはもう、
そのうちには眼も覚めるさ、
もうすぐに、あのイヤラシイ、クロン坊が、
たまらなくなって逃げ出して来るわ。
まあロデリーゴ、俺は友達だ
心配するな、この腕前に任せておけ、
もろい女の心、この頭の
生きている(別訳:動いている)限り、
必ず君の物に
して見せる。まあ聞け、
忠義づらはしているが、いやな奴だ。
(カッシオ登場、兵士の群に加わる)

イヤーゴ
(ロデリーゴに向って小声で続ける)
あいつにも、恨みがある奴だ、見ろ!
(カッシオを指さして)
あのキザな奴が何もかも、横取りした、
(小声で続けて)
この俺は、あまたの戦いに
数知れぬ手がら、
だのにあのオテロ、この私は
いつまでも、ただの旗持ち。
(薪の山から煙が立ち始め、しだいに濃くなる)

だが、見ておれロデリーゴ、
この仇はきっとうつぞ、
恨みは、忘れぬ、このイヤーゴ、
まかせておけ、いいな、
(イヤーゴはロデリーゴを舞台上手に連れて行く。火が燃え始める。サイプラス人達は丸く集って歌い始める。歌の間に居酒屋の給仕が、あずま屋から提燈を取って吊る。兵士達がテーブルの囲りに群ってしゃべったり、飲んだりする)

サイプライ人達
燃え上れ!燃え上れ!
喜びの、火が燃える、
楽しげに!燃え上れ、
暗い夜、照らすのだ!
燃え上れ空までも(別訳:空高く燃え上れ、暗い夜を追払え)
跳ね!光り!跳ね!光り!はじけ!燃えろ!
跳ね!光り!光れ!燃えろ!
跳ねろ光れ、燃え上がれ!
燃えろ、光れ!
光は我が胸に、我が胸に。
赤々と、燃える火に
ゆれる影、なつかし、
娘等は歌いつつ、
ひらひらと、舞い踊る。
声合せ共に歌う、
声を合せて歌う、
かがり火はきらめき
喜びの、歌声は
空高く、漂い、
燃えさかり、きらめいて、
すぐ消える、愛の火。
また、消える、ふるえ!かげり!
燃えて光り消える(消えぬ)、
燃えさかり、きらめいて、
また消える、ゆれ動き、
そして消える、光り消える。
燃えさかり、きらめいて、
きらめいて、愛の火、
きらめいてまた消える、
燃え光り、また消える、
燃えて光り、また消える、
光り、燃えて、消える、
燃えて光り、そして消える、
光り、消える。

(火は、だんだんと消えて行き、嵐も共に止む。イヤーゴ、ロデリーゴ、カッシオなどは、その他の兵士達と共に葡萄酒のある机を囲む)


イヤーゴ
ロデリーゴ、乾杯!さあ君も、カピターノ。

カッシオ
もうだめだ。

イヤーゴ
(瓶をカッシオの杯にかざしながら)
では、これひとつ。

カッシオ
(瓶を押し返して)
いや!

イヤーゴ
今日は、島中があの通り、
飲みあかすのだ!さあ!

カッシオ
いや、頭がふら
ついてもうだめだ。

イヤーゴ
さあ、あの方の為に、
万歳、オテロとデズデモーナ!

サイプライ人達
万歳!

カッシオ
(杯を上げて少し飲む)
あの方がいれば、

イヤーゴ
(ロデリーゴに小声で)
聞いたか!

カッシオ
そこは花園、輝くばかり。

ロデリーゴ
そうだ、そのとおり。

カッシオ
おい、イヤーゴ、君も歌わぬか。

イヤーゴ
(ロデリーゴに小声で)
聞いたか。
(カッシオに)
いや、私はとても。

カッシオ
たぐいなき、あでやかさ。

イヤーゴ
(前と同じ様に、ロデリーゴに小声で)
奴をよく見ろ。

ロデリーゴ
何を(別訳:なぜだ)?

イヤーゴ
(説きつける様に)
奴は、
言葉たくみに、あの女の
心を動かし、お前の仕事の
邪魔をするつもりだぞ、
いいか…

ロデリーゴ
それで?

イヤーゴ
酔わせておいて、
バラせ!
(給仕達に大声で)
おい酒だ!早く!
(イヤーゴ、三つの杯を取り、一つをロデリーゴに、一つをカッシオに。居酒屋のおやじは瓶をもって回る。そばの者達は、不思議そうに見つめながら近よる)
(カッシオに)
杯を満たせ!
さあ飲みほせ!
かさねよ
この杯。

カッシオ
(手に杯をもってイヤーゴに向かい)
これは素晴
らしい酒だ、
このかおりは
こたえられぬ。

イヤーゴ
(一同に)
たとえ何と
言われても止め
られぬ、さあみんな、
共に飲みほせ、
飲みほせ、飲みほせ(別訳:乾杯だ、乾杯だ)、
いざ、飲みほせ、さあ飲め!

全員
たとえ何と
言われても止め
られぬ、さあみんな、
共に飲みほせ、
さかづき、さかづき、
いざ、いざ、いざ、乾杯(別訳:飲みほせ乾杯だ)。

イヤーゴ
乾杯だ、乾杯だ(別訳:飲みほせ、飲みほせ)、いざ!

イヤーゴ
(カッシオを指さして、ロデリーゴに向かい)
もう、あとひと息。

ロデリーゴ
(イヤーゴに)
もう、あとひと息。

イヤーゴ(声を出して)
酒さえあれば、この世は極楽、
悪魔も神も、恐くはないぞ!

カッシオ
(再び飲みながら)
妙なる琴の
調べに
我が心は
高なる。

イヤーゴ
たとえ、何んと言われても、…

全員
たとえ、何んと言われても、…

イヤーゴ
(ロデリーゴに)
もうあとひと息!

ロデリーゴ
(イヤーゴに)
もうあとひと息!

イヤーゴ
(大声で一同に)
どこへ逃げた、弱虫め…

カッシオ
(イヤーゴの声をさえぎって)
なぜ、みんな俺ばかり見るのだ!
(飲む、二人は互いの声をさえぎりながら続ける)

イヤーゴ
ごまかすのは誰だ…

カッシオ
俺は負けないぞ、

イヤーゴ
誰にも負けるな、
さあ飲め!

カッシオ
(よろめきながら)
負けないぞ、
負けないぞ、

イヤーゴ
さあ飲め!

カッシオ
(飲む)負けないぞ

イヤーゴ
さあ飲め!飲め!飲め!飲め!

カッシオ(酔って)
何、負けるものか!

サイプライ人達
(笑う)
ハハハ、ハハ、ハハ、ハハ、ハハ!
ハハ、ハハ、ハハ!

カッシオ
(酒の歌の初めを繰り返そうとするが、思い出せない)
さかづきに…

イヤーゴ
(ロデリーゴに)
奴は酔ってきたぞ。

カッシオ
さかづき!
早く!

イヤーゴ
うまく
持ちかけてあいつ(別訳:奴)を
怒らせろ。

サイプライ人達
(カッシオを笑う)
ああ!ああ!

イヤーゴ
まもなく、怒り始めるぞ。

カッシオ
杯をよこせ!

イヤーゴ
これで邪魔出来るぞ、オテロの
最初の夜の楽しみを!

ロデリーゴ
(決心して)
今に見ておけ。

カッシオ
酒を飲めば、赤く染まる。

サイプライ人達
アハハ、ハハ、ハハ、アハ、アハ、アハ!

イヤーゴ、ロデリーゴ、サイプラス人達
さあ一緒に飲もう、さあ一緒に飲もう、
飲め、飲め、飲め、飲め。

イヤーゴ、サイプラス人達
飲みほせ、飲みほせ、飲みほせ、さあ飲め!

カッシオ
みんな飲め、さあ飲め!
(一同飲む)

モンターノ
(城から登場、カッシオに呼びかける)
カピターノ、
砦の見張りの時間だぞ。

カッシオ
(よろめきながら、立上がろうとして)
行(ゆ)きます。

モンターノ
どうした?

イヤーゴ
(モンターノに)
何時でも夜は
このていたらく(別訳:この始末です)。

モンターノ(苦々しく)
オテロは、これを。

カッシオ(立上がろうとして)
見張りに行かねば。

ロデリーゴ、サイプラス人達(笑う)
ハハハハ!

カッシオ
おかしいか?

ロデリーゴ
(挑むように)
見苦しいぞ…

カッシオ
(怒ってロデリーゴに)
用心しろ!馬鹿め!

ロデリーゴ
(防ぎながら)
この酔いどれめ!

カッシオ
何んだと!このゴロつきめ!

モンターノ
(二人を引き離して、カッシオに)
手を引きなされ、静かになされ。

カッシオ(荒れ狂って)
(モンターノに)
邪魔をすれば、殺してやるぞ。

モンターノ
ひどい酔い方だ…
(カッシオ剣を抜く。続いてモンターノも剣を抜いて、激しく切り合う。群衆逃げる)

カッシオ
何だと!

イヤーゴ
(ロデリーゴにすばやく)
早くやぐらに登り、
大声で謀叛だ!謀叛だ!
さあ、騒ぎたてるのだ、早鐘を
打ち鳴らせ。

(ロデリーゴ走り出る。イヤーゴ二人に振り向いて止める様子)

イヤーゴ
友よ!争いは止めなされ!

一部の女達
(女達、群衆逃げる)
あぶない!

イヤーゴ
あ、モンターノが血を流して、
これはひどい!

女達
逃げろ、逃げろ!

イヤーゴ
止(や)めろ!

男達
止めろ(別訳:早く)!

女達
あぶない!

男達
誰か!

イヤーゴ
(居合わせた者たちに)
誰か、早く彼を止めろ、
みんなに知らせろ、悪魔の仕業だ!
(人々走りまどう)


サイプライ人達
大変だ!大変だ!
(人集めの鐘)

イヤーゴ(わざと)
大変だ!

男達
これは大変だ、喧嘩だ、大変だ!

女達
助けて!助けて!助けて!


第2場
オテロ、イヤーゴ、モンターノ、人々、兵士たち、後からデズデモーナ

オテロ
(松明を持った者を従えて、オテロ登場)
刀を降ろせ!
(オテロの声と共に争いは止む。黒雲は、しだいに晴れる)

なに事だ! 恥を知らぬか?
そも何の故あって二人は、
傷つけ合うのだ、誠実なイヤーゴ、
お前の真心にかけて話せ。

イヤーゴ(口ごもりながら)
どうも、まったく、つい今までは、
みんな仲良く、それがいかなる、
悪い星のせいか、
二人は急に荒れ狂い、
刀を取り激しく争い(大仰に嘆く)
この足が何故ここへ私を!

オテロ
カッシオ、
自分の勤めを忘れたのか?

カッシオ
お慈悲を、何んと申していいやら……

オテロ
モンターノ……

モンターノ
(兵士に助けられて)
やられました……

オテロ
何んと!(激しく)
怒りにわく、血潮が、あ!神の
護りも、今はこれまでか!
(デズデモーナ登場、オテロ、デズデモーナの方へ駆け寄り)
どうした?私のデズデモーナ、そなたの
夢をさまたげたか?
(強くカッシオに)カッシオ!もう副官ではないぞ!
(カッシオ剣を落し、それをイヤーゴが拾い上げ、剣を兵士に渡す)

イヤーゴ
(傍白)
俺の勝だ!

オテロ
イヤーゴ、兵士等を引き連れて
町の騒ぎを鎮めよ。
(イヤーゴ去る)
解放してやれ、みな自分の
(モンターノに指さして)
家に帰れ、わしは、ここに残ろう
(一同に、尊大に)
みんなが鎮まるまで。
(舞台はほとんど空になる)



第3場
オテロとデズデモーナ

オテロ(デズデモーナに向って)
夜の闇深く、
ざわめきは消え、
怒りにわななく、
心も今は鎮まる。
戦いのさけびも消えよ、
愛の喜びが、
おとなうならば。

デズデモーナ
ああ!我が勇士よ、
どれほどの深い苦しみも、
みなこのひと時の幸に消える。
(胸に寄りそって)
この安らぎ、この喜び、
この幸。
ふる里を離れて、
永い旅路の恐しい出来事、
永い苦しみの物語、
胸おどらせていた、私。

オテロ
覚えているとも、それは、
戦いの前の身振るい、
やがて敵はせまる、
飛びかう矢弾、雨、嵐か。

デズデモーナ
そして、また焼けつく
砂漠、激しい苦しみ、また手足を、
くさりにつながれし、
哀れな奴隷の悲しみを。

オテロ
その悲しみ、そなたの、
ため息で高められて
我が胸の闇を、
明るく照らした、そのやさしさ。

デズデモーナ
そして、その暗い思い出に、
貴方の美しさを増した。

オテロ
そして、そなたは、この私を、
私はそなたを愛した。

デズデモーナ
貴方の悲しいさだめ、
この胸、満たす哀れみ。

オテロ
我を愛し…

デズデモーナ
君を愛し…

オテロ
そのやさしい心が…

デズデモーナ
この心が…

オテロ
死を来たれ!
そして我をとらえよ、
この素晴らしい時に!
(空は今や全く晴れ渡り、星は輝き、月が登る)


これぞ素晴らしい神よ
与え給える喜び、
これこそ神よ、
御心のさだめ。

デズデモーナ
その苦しみを、
やわらげ給え、我が神よ。

オテロ
そなたの祈り、
アーメン、神よ答え給え。

デズデモーナ
アーメン、神よ。

オテロ
(波止場の欄干に寄りかかりながら)
ああ!胸にあふれる、この喜び、
こんなに、喘ぐ、
デズデモーナ!

デズデモーナ
オテロ!

オテロ
デズデモーナ、口づけを、
(立ち上がり、空を見つめながら)
星はみな海に沈み…

デズデモーナ
夜はふけて…

オテロ
さあ、こちらへ、おいで。

デズデモーナ
オテロ!
(抱き合い、城の方へ行く)
Personaggi:
OTELLO, moro, generale dell'Armat Veneta (Tenore)
JAGO, alfiere (Baritono)
CASSIO, capo di Squadra (Tenore)
RODERIGO, gentiluomo Veneziano (Tenore)
LODOVICO, Ambasciatore della Repubblica Veneta (Basso)
MONTANO, predecessore di Otello nel governo dell'Isola di Cipro (Basso)
Un ARALDO (Basso)
DESDEMONA, moglie di Otello (Soprano)
EMILIA, moglie di Jago (Mezzosoparno)

CORO
Soldati e Marinai della Repubblica Veneta, Gentildonne e Gentiluomini Veneziani, Popolani Ciprioti, Uomini d'arme Greci, Dalmati e Albanesi, Fanciulli dell'isola


ATTO PRIMO

SCENA I
L'esterno del Castello.
Una taverna con pergolato. Gli spaldi nel fondo e il mare. È sera. Lampi, tuoni, uragano.
Jago, Roderigo, Cassio, Montano, più tardi Otello. Ciprioti e Soldati veneti.

CIPRIOTI
Una vela! Una vela! Un vessillo! Un vessillo!
Lampi e tuoni

MONTANO
È l'alato Leon!

CASSIO
Or la folgor lo svela.


ALTRI CHE SOPRAGGIUNGONO
Uno squillo! Uno squillo!
Colpo di cannone

TUTTI
Ha tuonato il cannon!

CASSIO
È la nave del Duce.

MONTANO
Or s'affonda, or s'inciela…

CASSIO
Erge il rostro dall'onda.

ALCUNI CIPRIOTTI
continui lampi
Nelle nubi si cela e nel mar,
e alla luce dei lampi ne appar.

TUTTI
Lampi, un Tuono
Lampi! tuoni! gorghi! turbi tempestosi e fulmini!
un fulmine
Treman l'onde! treman l'aure! treman basi e culmini.
entrano dal fondo molte donne del popolo
Fende l'etra un torvo e cieco spirto di vertigine.
Iddio scuote il cielo bieco, come un tetro vel. Ah!
Tutto è fumo! tutto è fuoco! l'orrida caligine
si fa incendio, poi si spegne più funesta.
Spasima l'universo, accorre a valchi l'aquilon fantasima,
i titanici oricalchi squillano nel ciel.
con gesti dipavento e di supplicazione e rivolti verso lo spaldo
Fulmini, lampi, e tuoni continui

Dio, fulgor della bufera!
Dio, sorriso della duna!
Salva l'arca e la bandiera
della veneta fortuna!
Tu, che reggi gli astri e il Fato!
Tu, che imperi al mondo e al ciel!
Fa che in fondo al mar placato
posi l'àncora fedel.

JAGO
un lampo
È infranto l'artimon!

RODERIGO
Il rostro piomba su quello scoglio!

CORO
Aita! Aita!

JAGO
a Roderigo
(L'alvo frenetico del mar sia la sua tomba!)

CIPRIOTI
È salvo! è salvo!

VOCI INTERNE
Gittate i palischermi!
Tuono lontano.
Mano alle funi! Fermi!

CIPRIOTI
Forza ai remi! Alla riva!
scendono la scala dello spaldo

VOCI INTERNE
All'approdo! allo sbarco!

CIPRIOTI
Evviva! Evviva! Evviva!

OTELLO
dalla scala della spiaggia salendo sullo spaldo con seguito di marinai e soldati
Esultate! L'orgoglio musulmano
sepolto è in mar; nostra e del ciel è gloria!
Dopo l'armi lo vinse l'uragano.

CIPRIOTI
Evviva Otello! Evviva! evviva! evviva!

Vittoria! Vittoria! Vittoria!
Stermino, dispersi, distrutti, sepolti nell'orrido
Tumulto piombâr.
Avranno per requie la sferza dei flutti,
avranno per requie la sferza dei flutti,
la ridda dei turbini, la ridda dei turbini,
l'abisso, l'abisso del mar.
Vittoria! Vittoria! Vittoria! Vittoria!

Dispersi, distrutti, dispersi, distrutti, dispersi, distrutti,
sepolti nell'orrido tumulto piombâr.
Vittoria! Vittoria!
Evviva! Vittoria! Evviva!
Si calma la bufera.

JAGO
in disparte a Roderigo
Roderigo, ebben, che pensi?

RODERIGO
D'affogarmi.

JAGO
Stolto è chi s'affoga per amor di donna.
Alcuni del popolo formano da un lato una castasta di legna: la folla s'accalca intorno turbolenta e curiosa

RODERIGO
Vincer nol so.

JAGO
Suvvia, fa senno, aspetta
l'opra del tempo. A Desdemona bella,
che nel segreto de' tuoi sogni adori,
presto in uggia verranno i foschi baci
di quel selvaggio dalle gonfie labbra.
Buon Roderigo, amico tuo sincero
mi ti professo, nè in più forte ambascia
soccorrerti potrei. Se un fragil voto
di femmina non è tropp'arduo nodo
pel genio mio nè per l'inferno, giuro
che quella donna sarà tua. M'ascolta -
benchè finga d'amarlo, odio quel Moro.
Entra Cassio: poi s'unisce a un crocchio di soldati

JAGO
sempre in disparte a Roderigo
E una cagion dell'ira, eccola, guarda.
Indicando Cassio
Quell'azzimato capitano usurpa
continua il passaggio della bassa ciurma nel fondo
il grado mio, il grado mio che in cento
ben pugnate battaglie ho meritato;
tal fu il voler d'Otello, ed io rimango
di sua Moresca Signoria. . .l'alfiere!
dalla catasta incominciano ad alzarsi dei globi di fumo sempre più
Ma, come è ver che tu Roderigo sei
cosi è pur vero che se il Moro io fossi
vedermi non vorrei d'attorno un Jago.
Se tu m'ascolti…
Il fuoco divampa. I tavernieri illuminano a festa il pergolato



CORO
Fuoco di gioia, fuoco di gioia,
Fuoco di gioia, fuoco di gioia,
l'ilare vampa, l'ilare vampa,
fuga la notte, l'ilare vampa,
fuga la notte col suo splendor.
Guizza, sfavilla, guizza, sfavilla, crepita, avvampa,
guizza, sfavilla, crepita, avvampa,
guizza, sfavilla, crepita, avvampa,
sfavilla, avvampa,
fulgido incendio che invade il cor, che invade il cor.
Dal raggio attratti vaghi sembianti
movono intorno mutando stuol,
e son fanciulle dai lieti canti,
e son farfalle dall'igneo vol.
Arde la palma col sicomoro,
arde la palma col sicomoro,
canta la sposa col suo fedel;
sull'aurea fiamma, sul lieto coro
soffia l'ardente spiro del ciel.
Fuoco di gioia, rapido brilla!
Rapido passa, fuoco d'amor!
Splende, s'oscura, palpita, oscilla,
l'ultimo guizzo, lampeggia e muor.
Fuoco di gioia, rapido brilla!
Splende, s'oscura, palpita, oscilla,
l'ultimo guizzo, lampeggia e muor.
Fuoco di gioia, rapido brilla!
Rapido passa, fuoco d'amor!
Splende, s'oscura, palpita, oscilla,
l'ultimo guizzo, lampeggia e muor,
l'ultimo guizzo, lampeggia e muor,
lampeggia, lampeggia e muor,
l'ultimo guizzo, lampeggia e muor,
lampeggia e muor.

il fuoco si spegne a poco a poco: la bufera è cessata
Jago, Roderigo, Cassio e parecchi altri uomini d'arme intorno a un tavolo dove c'è del vino: parte in piedi, parte seduti

JAGO
Roderigo, beviam! Qua la tazza, Capitano.

CASSIO
Non bevo più.

JAGO
avvicinando il boccale alla tazza di Cassio
Ingoia questo sorso.

CASSIO
Ritirando il bicchiere
No.

JAGO
Guarda! Oggi impazza tutta Cipro!
È una notte di gioia, dunque…

CASSIO
Cessa. Già m'arde il cervello
per un nappo vuotato.

JAGO
Sì, ancora bever devi.
Alle nozze d'Otello e Desdemona!

CIPRIOTI
Evviva!

CASSIO
alzando il bicchiere e bevendo un poco
Essa infiora questo lido.

JAGO
sottovoce a Roderigo
(Lo ascolta.)

CASSIO
Col vago suo raggiar chiama i cuori a raccolta.

RODERIGO
Pur modesta essa è tanto.

CASSIO
Tu, Jago, canterai le sue lodi!

JAGO
piano a Roderigo
(Lo ascolta)
forte a Cassio
Io non sono che un critico.

CASSIO
Ed ella d'ogni lode è più bella.

JAGO
come sopra, a Roderigo, a parte
(Ti guarda da quel Cassio)

RODERIGO
Che temi?

JAGO
ancora a piano a Roderigo
(Ei favella
già con troppo bollor, la gagliarda
giovinezza lo sprona, è un astuto
seduttor che t'ingombra il cammino.
Bada… )

RODERIGO
Ebben?

JAGO
(S'ei inebria è perduto!
Fallo ber)
ai tavernieri
Qua, ragazzi, del vino!
Jago riempie tre bicchieri: un per sé, uno per Roderigo, uno per Cassio. I tavernieri circolano colle anfore. a Cassio, col bicchiere in mano: la folla gli si avvicina e lo guarda curiosamente
Inaffia l'ugola!
Trinca, tracanna!
Prima che svampino
canto e bicchier.

CASSIO
a Jago, col bicchiere in mano
Questa del pampino
verace manna
di vaghe annugola
nebbie il pensier.

JAGO
a tutti
Chi all'esca ha morso
del ditirambo
spavaldo e strambo
beva con me! beva con me,
beva, beva, beva, beva,
beva, beva, beva con me!

TUTTI
Chi all'esca ha morso
del ditirambo
spavaldo e strambo
Beve con te, beve con te
beve con te, beve con te
beve, beve, beve, beve con te.

JAGO
Beva, beva, beva, beva, beva.

JAGO
a Roderigo indicando Cassio
(Un altro sorso è brillo egli è)

RODERIGO
a Jago
(Un altro sorso è brillo egli è)

JAGO
Il mondo palpita quand'io son brillo!
Sfido l'ironico Nume e il destin!

CASSIO
bevendo ancora
Come un armonico
liuto oscillo;
La gioia scalpita
sul mio cammin!

JAGO
Chi all'esca ha morso, etc…

TUTTI
Chi all'esca ha morso, etc…

JAGO
a Roderigo
Un altro sorso e brillo egli è!

RODERIGO
a Jago
Un altro sorso e brillo egli è!

JAGO
a tutti
Fuggan dal vivido nappo i codardi…

CASSIO
interrompendo
In fondo all'anima ciascun mi guardi!
beve

JAGO
… che in cor nascondono frodi.

CASSIO
Non temo, non temo il ver.

JAGO
Chi all'esca ha…
… morso del ditirambo…

CASSIO
barcollando
non temo il ver, …
… non temo il ver.

JAGO
… bevi con me …

CASSIO
non temo il ver…

JAGO
Ah! bevi, bevi con me.

CASSIO
e bevo e bevo e bevo e…

CIPRIOTI
La metà del Coro. Ridendo
Ah! Ah Ah! Ah ah! Ah ah! Ah ah!…
… Ah ah! Ah ah! Ah ah!

CASSIO
vorrebbe ripetere il primo motivo, ma non si sovviene
Del calice…

JAGO
a Roderigo
(Egli è briaco fradicio.)

CASSIO
del calice…
… gli orli …

JAGO
(Ti scuoti.
Lo trascina a contesa.
è pronto all'ira.)

CIPRIOTI
gli altri ridono di Cassio
Ah ah! Ah ah!

JAGO
(t'offenderà. . .ne seguirà tumulto!)

CASSIO
del calice… gli orli…

JAGO
(Pensa che puoi così del lieto Otello
turbar la prima vigilia d'amor!)

RODERIGO
risoluto
(Ed è ciò che mi spinge.)

CASSIO
… s'impor… s'impor… s'imporporino.

CIPRIOTI
Ah! Ah ah! Ah ah! Ah ah! ah, ah, ah, ah, ah, ah!

JAGO, RODERIGO, CIPRIOTI
Bevi, bevi con me, bevi, bevi con me.
Bevi, bevi, bevi, bevi.

JAGO, CIPRIOTI
Bevi, bevi, bevi con me, bevi, bevi, bevi con me.

CASSIO
Bevo, vevo, vevo con me!
Tutti bevono

MONTANO
venendo dal Castello, si rivolge a Cassio
Capitano,
v'attende la fazione ai baluradi.

CASSIO
barcollando
Andiamo.

MONTANO
Che vedo?

JAGO
a Montano
(Ogni notte in tal guisa
Cassio preludia al sonno.)

MONTANO
(Otello il sappia.)

CASSIO
Andiamo ai baluardi.

RODERIGO e CIPRIOTI
Ah, ah! Ah, ah!

CASSIO
Chi ride?

RODERIGO
provocandolo
Rido d'un ebro…

CASSIO
scagliandosi contro Roderigo
Bada alle tue spalle! Furfante!

RODERIGO
difendendosi
Briaco ribaldo!

CASSIO
Marrano! Nessun più ti salva!

MONTANO
separandoli a forza e dirigendosi a Cassio
Frenate la mano, Signor, ve ne prego.

CASSIO
a Montano
Ti spacco il cerebro se qui t'interponi.

MONTANO
Parole d'un ebro. . .
sguainando la spada. Montano s'arma anch'esso. Assalto furibondo. La folla si ritrae

CASSIO
D'un ebro?!

JAGO
a parte a Roderigo
(Va al porto, con quanta più possa
ti resta, gridando: sommossa! sommossa!
Va! spargi il tumulto, l'orror. Le campane
risuonino a stormo.)

Roderigo esce correndo. Jago si rivolge rapidamente ai due combattenti

JAGO
Fratelli! l'immane conflitto cessate!

DONNE CIPRIOTI
fuggendo
Fuggiam!

JAGO
Ciel! già gronda di sangue Montano!
Tenzon furibonda!

DONNE
Fuggiam, fuggiam!

JAGO
Tregua!

UOMINI
Tregua!

DONNE
S'uccidono!

UOMINI
Pace!

JAGO
agli astanti
Nessun più raffrena quel nembo pugnace!
Si gridi l'allarme! Satana gl'invade!!
Continua il combattimento. Donne fuggendo ed altre entro le scene

CORO
All'armi!! All'armi!!
Campane a stormo

JAGO
Soccorso!!

UOMINI
Soccorso!! All'armi!! All'armi!! Soccorso!!

DONNE
Soccorso!! Soccorso!! Soccorso!!


SCENA II
Otello, Jago, Cassio, Montano, popolo, soldati; più tardi Desdemona.

OTELLO
seguito da genti con fiaccole
Abbasso le spade!
I Combattenti s'arrestano. Le nubi si diradano a poco a poco
Olà! Che avvien? Son io fra i Saraceni?
O la turchesa rabbia è in voi trasfusa
da sbranarvi l'un l'altro? Onesto Jago,
per quell'amor che tu mi porti, parla.

JAGO
Non so. . . qui tutti eran cortesi amici,
dianzi, e giocondi. . .ma ad un tratto, come
se un pianeta maligno avesse a quelli
smagato il senno, sguainando l'arme
s'avventano furenti. . .avess'io prima
stroncati i pie' che qui m'addusser!

OTELLO
Cassio,
come obliasti te stesso a tal segno?

CASSIO
Grazia… perdon… parlar non so…

OTELLO
Montano…

MONTANO
sostenuto da un soldato
Son ferito…

OTELLO
Ferito!… pel cielo
Già il sangue mio ribolle. Ah! l'ira volge
l'angelo nostro tutelare in fuga!
accorendo a Desdemona
Che? La mia dolce Desdemona anch'essa
per voi distolta da' suoi sogni?
Cassio, non sei più capitano.
Cassio lascia cadere la spada che è raccolta da Jago pergendo la spada di Cassio ad un soldato

JAGO
a sé stesso
(Oh, mio trionfo!)

OTELLO
Jago, tu va nella città sgomenta
con quella squadra a ricompor la pace.
Jago esce
Si soccorra Montano. Al proprio tetto
Montano è accompagnato nel Castello
Ritorni ognun. Io da qui non mi parto
a tutti con gesto imperioso
se pria non vedo deserti gli spaldi.
La Scena si vuota. Otello fa cenno agli uomini colle fiaccole che lo accompagnano di rientrare nel castello.


SCENA III
Otello e Desdemona

OTELLO
Già nella notte densa
s'estingue ogni clamor.
Già il mio cor fremebondo
s'ammansa in quest'amplesso e si rinsensa.
Tuoni la guerra e s'inabissi il mondo
se dopo l'ira immensa
vien quest'immenso amor!

DESDEMONA
Mio superbo guerrier! Quanti tormenti,
quanti mesti sospiri e quanta speme
ci condusse ai soavi abbracciamenti!

Oh! com'è dolce il mormorare insieme:
te ne rammenti!
Quando narravi l'esule tua vita
e i fieri eventi e i lunghi tuoi dolor,
ed io t'udia coll'anima rapita
in quei spaventi e coll'estasi in cor.

OTELLO
Pingea dell'armi il fremito, la pugna
e il vol gagliardo alla breccia mortal,
l'assalto, orribil edera, coll'ugna
al baluardo e il sibilante stral.

DESDEMONA
Poi mi guidavi ai fulgidi deserti,
all'arse arene, al tuo materno suol;
narravi allor gli spasimi sofferti
e le catene e dello schiavo il duol.

OTELLO
Ingentilia di lagrime la storia
il tuo bel viso e il labbro di sospir;
scendean sulle mie tenebre la gloria,
il paradiso e gli astri a benedir.

DESDEMONA
Ed io vedea fra le tue tempie oscure
splender del genio l'eterea beltà.

OTELLO
E tu m'amavi per le mie sventure
ed io t'amavo per la tua pietà.

DESDEMONA
Ed io t'amavo per le tue sventure
e tu m'amavi per la mia pietà.

OTELLO
E tu m'amavi…

DESDEMONA
E tu m'amavi…

OTELLO
Ed io t'amavo…

OTELLO, DESDEMONA
… per la tua, (mia) pietà.

OTELLO
Venga la morte! e mi colga nell'estasi
di quest'amplesso
il momento supremo!
Il cielo si sarà tutto rasserenato: si vedranno alcune stelle e sul lembo dell'orizzonte il riflesso ceruleo della nascente luna
Tale è il gaudio dell'anima che temo,
temo che piu non mi sara concesso
quest'attimo divino
nell'ignoto avvenir del mio destino.

DESDEMONA
Disperda il ciel gli affanni
e amor non muti col mutar degli anni.

OTELLO
A questa tua preghiera
"Amen" risponda la celeste schiera.

DESDEMONA
"Amen" risponda.

OTELLO
appoggiandosi ad un rialzo degli spaldi
Ah! la gioia m'innonda
si fieramente… che ansante mi giacio…
Un bacio…

DESDEMONA
Otello!

OTELLO
Un bacio… ancora un bacio,
alzandosi e mirando il cielo
Gia la pleiade ardente al mar discende.

DESDEMONA
Tarda e la notte.

OTELLO
Vien… Venere splende.

DESDEMONA
Otello!
s'avviano abbracciati verso il castello


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© Asahina Takashi
最終更新:2022年07月08日 17:37