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第05回トーナメント・アフター

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orisuta

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『降星学園』にも、教師の勧めで「トーナメント」に参加した生徒が何人かいる。

合計四人出て、優勝者は未だ出ていない。
それどころか、そのうちの一人は命を落とした(所属部の部員に回収され、学園で治療を受けているとも)ほどだ。
最も、この件は生徒会がスタンド使いでない生徒たちへの動揺を避けるため、
事前に手を打ち、緘口令を敷いているために情報がほとんど入って来ていないのだが。


さて、ハル・シャプレー(身長166cm B100 W64 H95)もまた参加者の一人だった。
その結果たるや散々であることは本人も認めざるを得ないほど。

そんな彼女が、放課後一人の女子とともに「星野古島」の中にある市街を回っているのにはわけがある。

「遅い」
「……」

必要以上に喋ることのない、だが「トーナメント」に出場してから劇的に変わった「女子」といっしょに、
嘗て自分があの男、バド・ワイザーと戦った、島民が活用する、学園都市の市街地だ。
(ハルはその戦いの後、2ヶ月以上を掛けて体型を元に戻した。単位がいくつか落ちたのも構わずだ)。
彼女の名はヴィクトリア・ラズロ。「トーナメント」に出るまでは、「男」であった「女子」だ。


二人が立ち寄ったのは何の変哲もない下着店。


「一つ聞くよ。ラズロちゃん」
「アンタ、自分で下着を選んだことがないってマジかい?」

                                ソレ
ヴィクトリアは無言で頷いた。すると、ハルのそれよりも僅かに巨きい乳は、それだけで微かに揺れた。







事の発端は、先の落とした単位にある。
嘗て付き合っていた男子たちはダイエット期間中に総て自分の手を離れていた。
男子に頼れないのだから、もともと女子にも人気がなかった自分に助け舟など出るわけがない。
だが、出た。 それも同じクラスから。

      助け舟
一艘のヴィック・ラズロは、彼女に手を差し伸べた。



ヴィクトリアとして。


「アンタさ 今までみんなを騙してたの?」
「それは色んな人にもう言われ尽くした。男子を騙し続けていたシャプレーに言われる筋合いはない。」

店に入り、ショーケースに飾ってある下着には一切目もくれずに、ハルはヴィクトリアに話しかける。
だが、質問をしても素っ気ない返答が返ってくるのみ。これは、「トーナメント」に出る前から相変わらずだが、
今までとは表情の時点で違うのは、男女の「貌」を見分ける目力があると自負しているハルは気付いていた。

「男でもできたか?」と言いたかったが、今はやめておこう。
そんなに仲が良くないし怒らせると、そこそこ良家の出身らしいし後々面倒だ。

「ねえ聞いたことあるかいラズロちゃん」
「この学園における『スタンド使い』の比率」

「……全体の四割って言われてるけど確証はないでしょ?」

「それじゃあもう一つ。この学園における「Eカップ以上」、つまり巨乳な「女子」の比率は知ってる?」



「……それも全体の四割」

ヴィクトリアは多少逡巡しながらも答えた。

「でもソースは」
「ソースは四年の男子。これに関してはマジに調べたみたいだよ バッカだよねえ~」

「……バカ以前に、ゲスな暇人でしょ」


やはり女は女なのだろう。男の振りをしていたからと言って、心までは縛れていないはずだ。
自分の(旧)男子情報網を再構築して聞きこんだところ、「男装」の理由は教師にすら教えられていないらしい。
まるで「圧力」に屈したかのように、教師たちは不自然なほどあっさり詮索をやめたのだ。


ハル自身も、「私は基本保身主義者だよ」と言わんばかりに、詮索をハナからしない。







「ブラもそうだが最初にパンティを選びたい」
「そこで一つ質問だけどシャプレー 男子に需要のあるパンティの柄は何?」

「? 需要?」

「仮に見せるとして。相手を鼻血ブーに陥れるのには」


「そうさせたいなら履くな」と真顔で言いかけた。
男だ。男がもとで変わったのだ。流石にバカでも分かる。
それにしても鼻血ブーって……

「うーん、そうだなあ 無難に「縞ぱん」とか?」
「……「しまぱん」とな」
「まあ言ってみればボーダー模様だよ」

「おう、こっちだって学年トップ級に「単位」を保証してもらってるから妥協はしないよ」
「男を釣るなら「縞ぱん」だッ」
「女からすれば正直ダサいことこの上ない縞模様ッ」
「だが男曰く、その縞模様が尻の質感と肉感をより魅力的に引き立てるんだよッ!」

正直言って、一度遊びのつもりで付き合ったヲタク系の男子の受け売りだ。
三次元の女に言わせれば縞模様のパンティは正直言って余り履きたいものではない。
だがヴィクトリアは言わば「白い糸」だ。何色にも染まり得る「白い糸」

「単位」の一件で恩義を感じていないと言えばうそになる。
だが、ハル・シャプレーは保身主義者でありながらサディズムに悦を見出しもする。

(ちょっとズレてる美少女くらいが、アホな男には需要あるって。フヒヒ…)


心の中でそうほくそ笑む。

「すいません」

ハルの表情に当然気付いていないヴィクトリアは、彼女に構うことなく近くにいた店員を呼び寄せ、
一切の逡巡なくこういった

「この店のボーダー模様のパンティを全てください」


ハルは、まるでコント芸人のようなリアクションを取って扱けた。







そのあとヴィクトリアは、ブラについては店長にバストサイズを測ってもらい、
一つ三万以上するオーダーメイドブラを購入した。五つもだ。
パンティについては縞模様は五種類しかなかったので、一種類二枚で妥協させ、
あとは大人っぽいレース物を適当に見つくろわせておいた。
(それでも動物プリントを二枚だけ混ぜ込んでおいたのは、ブルジョアに対するせめてもの嫉妬からだ)。

「じゃあ帰りますか。私はこれから寮直行だけど……」
「それはおかしいわよシャプレー」


「これからあなたは補習対策を私と図書館でやるのよ」


最早逃れられる空気ではなかった。ハルの頬を冷や汗が伝い、その場で立ち尽くさせる。


「あの、すいません」


そんな二人を我に帰らせたのは、下着店に入ってこようとしている一人の相如の声だった。
古めかしい年季の入ったカバンを背負った、可憐な顔立ちの相如だ。
ハルとヴィクトリアが入口で大量の荷物を手に立ち止まっていたために、邪魔になったのだ。

「……」

私服であったために、何年生かまでは分からないが、自分たちほどではないがその少女の持つ双丘は、童顔に似合わぬ巨きさであった。

「分かったよ。でもこれから街も部活動終わりの生徒で混み出すし、一旦寮に戻って一時間後に図書館集合ってことで」
「それでいいね? ラズロちゃん」

ヴィクトリアは、露骨に嫌そうな顔をしながらも早く退かねばと言う意志から一応頷いた。
こうして、彼女たちは下着店を後にした。







「お疲れ様です。お嬢様」

ハルらがあとにするのを確認すると、下着店の店員少女に対して、右手を左拳の上に置いた状態で頭を下げた。
古代中国における『揖礼』という目上の者への挨拶だ。


「物資は?」
「滞りなく揃っています。 そして『犬養由基』の居場所についてもすでに割り出しています」

   ・・
「……鳥海藺お嬢様」
 
 
 

出演トーナメントキャラ


No.3003
【スタンド名】 ドクター・ラブ
【本体】 ハル・シャプレー
【能力】 この後やろう、と思ったことを今すぐやらせる

No.3039
【スタンド名】 ポワゾン・デリシュー
【本体】 ヴィック・ラズロ
【能力】 泡クリームを手の平から放出する








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