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05話「『グラットニー』 その1」の巻

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orisuta

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――夕方。日も傾き、空は橙から紫へとその色を変えようとしている頃。
男……漱次郎はそのビルにいた。既に使われなくなったビルである。そのビルの5階……。

「俺さああああこないだ女にフられてさああああああ~~~~~~~~~~~。
 その女の最後に言った言葉がよおおおおおおおおお~~~~~~~~~~~。
 『この早漏野郎!』…………おれのこと馬鹿にしてるよなあああ~~~~~~~~~~。女ってのはいっつもこうだ…………。
自分のことしか考えやがらねえええ~~~~~~~~~っ。だからよおおおおおおお、
『ディープ・フォレスト』とかいうやつに言われたことをやる前に…………
 自分の問題に決着をつけるべきだと思うんだよなああ~~~~~っ。
俺はよおおおおおお~~~~~~。」

漱次郎は、下を見る。

「マーくぅん。ねえねえ~~っ。新しいブランドもののバッグがほしいんだけどお――ーッ。」
「『また』かああ~~~ッ!?たく、しょうがねえーなあ、清美はさあ――ッ。」
「うーん、マーくん大好き!」

そこには、ほかの男とイイ仲になっているかつての恋人の姿があった。
漱次郎はその様子を見て唾を吐き捨てる。


「あのクソアマよおおおお~~~~~~っ、性懲りもなくほかの男と付き合ってやがる…………………………。
 マジむかつくよなあああああああ~~~~~……。こういう女は特によおおおお~~~~~~~~ッ!」

恋人たちはちょうど踏切の上を歩いている。何の変哲もない、ただの踏切だ。だが、漱次郎はそれを認識してにやりとほくそえんだ。

「てめェ~~~~らは死ねッ!俺の『スタンド』でッ!!」

漱石は毒づき、自らのスタンド――を発現し…………。

「きゃあああああああああああああああああッ!!」

突如女がスッ転び、悲鳴をあげる。表情は苦痛と恐怖で歪んでいる。

「どうした!?どうしたんだ清美…………。」

心配して男が駆け寄る。そして女が押さえている足を見て…………。

「うわああああああああその足はああああ――――――ッ!!」
「足が……足がッ……ちぎれたのよおおおおおおおおお―――――!!」

女の足が……ない(●●)。数秒前まで健在だった部分を抑えて、女は蹲っている。
数瞬後、女の前方の方に『何か』が落下した音が聞こえた。
男はそれが『何』なのか、認識したくないきもちでいっぱいだった。

「狙いは順調ォ――……ッ次で仕留めるぜ……。」

「救急車ッ!!そうだア救急車を……け、携イゲッ。」
「キャアアア――――ッ!マーくウグッ。」

続いて、二つの首が空を舞った。
その凄惨な状況を見て、漱次郎は満足そうなため息を漏らす。

「フゥ~~~~~ッ。 これで俺の過去への決着は済んだ…………。
 あとは標的の始末だけだぜ…………。まってろよおおお~~~~~~~~~っ。『亜希』ちゃんよおおお~~~~っ。」


翌日の朝、亜希 通学中……。

「俺ってよぉおおお~~~~。案外運がいいよなあ~~~。だって早くも「標的」を見つけてよおおお~~~~。
 こうして追跡できてるんだからなああ~~~~~~~~。でもよ………。」

亜希の後方十数メートルに、漱次郎は立っていた。しかし、その表情は苦々しい。

「何だってアイツ男二人と一緒に通学してんだよォ――ッ!フツーあいつくれーの年頃に男と一緒に行動するか!?
 アイツは天然か!?チクショーわけがわからね~~~がさっさと別れてくれねーかな……。」


「ねえー。なんだか誰かの視線を感じる気がするんだけど……。」

亜希が恐ろしげにつぶやく。隣を歩くアクターがそれを鼻で笑う。

「きのせーだろ、きのせー。」

JOJOもそれに重ねる。

「だろうな。ほかのスタンド使いが俺たちを狙ってるってわけでもないだろうしよォ――。」
「まあそんなもんかな…………。」

しかし、一向に離れる機会は訪れずにバス停に到着する。見失うわけにもいかず、漱次郎もバスに乗り込む。
バスの中で。

「くそっ!あの男二人が邪魔だッ!一緒に始末してやりて~~~がここは『ディープ・フォレスト』の言うことに従おう……。」

「げえッ!」

アクターが悲鳴をあげる。尾行している漱次郎もビビる。

「どうした?」
「今日昼飯作るの忘れてた……。」

心配するJOJOに、アクターはため息をつきつつ答える。意外と家庭的なヤツである。

「なんだ?アクターおめーいつも弁当作ってたのか。俺はいつもそのへんで買ってるぜ。」
「私もー。」

当然、バスの中で攻撃を行うわけにもいかず、漱次郎はやきもきしていた。この時間はせっかちな彼にとって一番苦痛だった。
そして、バス停から出るも亜希が一人になるチャンスは訪れず、亜希はそのまま登校してしまった。

「ああくそ、学校に入っちまったじゃあねえええかよおおおお~~~~~。こうなったら俺には狙えねえ……。
 放課後を待つしかねえか…………。俺は待つのが嫌いなんだよなああ~~~~~~くそっ。」

これが、今日の朝8時頃に起こったことである。

「…………学校ってよおおおお~~~~~~…………。」

ここは学校からほど近い公園。学校の終業時刻まですることのない漱次郎は、ここで時間を潰していた。

「もうずっと前の記憶だからいつ終わるのかなんて忘れちまったけどよ~~~。確か夕方6時くらいには終わってくれたと思うんだよなあああ~~~~。」
「で、今が午後2時。」

近くのベンチに蹴りかかる。

「あと4時間まてっていうのかよ~~~~~っ!!ナメんな!クソが!クソ!クソ!」

一通りベンチに蹴ってあたりちらした漱次郎は、自らが蹴っ飛ばして少し位置のズレたベンチに横になる。

「こうなったら寝て時間を潰すしかねぇ~~~~よなああ……。」

――場面は変わり、学校、1年B組教室。


「そういえば、昨日の事件、知ってる?」

昼休み、亜希はアクターとJOJOを自分の席に呼び出し、話を始めていた。

「昨日の事件っつってもなんのことだかわからねーが、おめーが話を振るってことだけでなんの事件かはわかった。」
「何の話だよぉー。」

状況のつかめていないアクターが情けない声を上げる。そんなアクターに、JOJOが説明を入れる。

「昨日、住宅街の向こうの踏切で首が吹っ飛んで死んでるカップルが発見されたって話だ。
 なんでも女のほうは右足も吹っ飛んでたそうだ。断面はグチャグチャで、電車で轢かれたみたいだったらしいぜ。」

「でね!奇妙なのが、それを発見したっていうのが電車の運転手さんなんだって!踏切を渡ろうとしたら人が倒れてるから、
 緊急停車してみてみたら、既に死んでた……だから電車で轢かれたわけじゃない、なのにそんな凄惨な死体に……。」

JOJOの話した情報に、亜希が奇妙な注釈を入れる。

「で、それがスタンド使いの仕業じゃあないか……ってことか。」

アクターも、やっと得心がいった表情をする。

「うん!だから、放課後調べに行ってみないか、って話。」

ニカリ、と亜希がまぶしい笑顔で笑う。

「断る理由はねーな。(めんどくせーが)」
「俺もOKだぜ。」

「じゃあ、私準備があるから今日は先に帰ってるね。
 二人とも、帰ったら現場の踏切に集合ってことで!」


――場面は戻り、公園で居眠りしている漱次郎。


「zzzzz   はッ!」

目を覚ますと、既に昼間ほどは明るくはなくなっている。春の夕方、といった具合である。
漱次郎はすぐさま自らの腕時計で時間を確認する。

「もう午後5時!危なく寝過すところだったぜええ~~~~~。」

もう終業時刻まで時間がない。そう考えた漱次郎はすぐさま高校の校門近くに向かった。
ちょうど終業時刻になったばかりらしく、校門には生徒がぱらぱらと歩いていた。成人である漱次郎は、この集団では浮いているが、
気にせず標的を探す。ほどなくして見つけた。黒髪のロングヘアーに、自らよりもかなり小さめの、小柄な少女。佐野 亜希その人である。

「おおお~~!ちょうど女が出てきたぜ!男どもはいねえッ!ラッキーだ!このままチャンスをうかがうぜ!」

下校する亜希の後ろにつき、改めて攻撃の機会を伺う。

「どうやらやつはまっすぐそのまま家に帰るみてーだな…………。」

そしてそのまま何もしかけず、バスに乗り込む。バス停まではまだ学生がたくさんいる。目立つのはNGだ。
亜希がバスから降りる。それに続いて漱次郎もバスから降りる。

ここで降りる乗客は漱次郎と亜希以外にいない。周囲には彼ら二人を除けば、たまに野良猫が歩いてくるくらいだ。

「よおおおお~~~~~し…………満を持して行動開始だぜえええ~~~~~~~っ。」

漱次郎は誰にいうでもなくつぶやいた。

「………………………………………………。」

亜希は無言で歩く。しゃべる相手がいないから当然である。


「……………………………………。」

当然、漱次郎も無言で歩く。スッ、と 漱次郎は構える。

「……………………。  !」

突然、亜希の足の動きが止まった。

「…………足、つった…………。」

足がつったから。

「なんだっていきなり………………。私そんな運動不足じゃあないのにぃ。」

そんな不満を漏らしつつ、屈んで足の筋肉を伸ばそうと手を伸ばす。

「! ……………………。」

そして、亜希は自分の足が単につっただけではないということに気がついた。

「あ、足が……私の右足が……。」

パンパンになってる(●●●●●●●●●)…………。」


「フルマラソンでも走ったあとのように……………………。」

亜希の足は、充血しすぎて、紫色に変色していた。もう、しばらくは満足に歩けないな、と亜希は直感した。
次の瞬間、さらに左足に衝撃が走り、力が抜ける。

「…………ぐ!?……ひ、左足も…………もう……体を支え切れないッ!」

思わず、尻もちをつく。左足もまた充血し、紫に変色していた。両足とも、ぱんぱんにはれていて、何よりも
フルマラソンを走り切ったあとのような疲労感がたまっていた。

「これは…………『スタンド攻撃』を受けているッ!」

当然、亜希はその結論にたどりついた。

「問題は場所………………ど……どこから…………!?一体どこから攻撃を………………。」

焦燥を必死に抑えつつ、あたりを確認する。右を見る。いない。左は――いない。前方は当然いない。
では、後ろか――。そう思い振り返る。後ろには、不気味にやせ細った男の姿があった。

(い……いた!…………私の後ろ――十数メートル!………………
 でも、簡単に見つかっただけに謎…………。あんな遠距離から、どうやって攻撃を……!?
 ………………く…………!)
「…………『グラットニー』………………!」

地響きとともに、亜希の体が陰で覆われる。背後にたたずむのは、一瞬認識もできないほどの大男。
中世的な兜を身に纏ったスタンドが、亜希の後ろに発現された―――。
しかし、漱次郎はあわてない。

「『スタンド』を出すかよおおおお~~~~~~~~~~~~~~~~っ。
 だが俺はおめぇぇええの射程には入らねええええええええええええええッ!
 絶対安全なトコから………………俺の『モーニング・グローリー』で狙い撃ちにしてやるからよおおおお~~~っ!」




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使用させていただいたスタンド


No.504
【スタンド名】 モーニング・グローリー
【本体】 夏目漱次郎
【能力】 弾を打ち込まれた人間の行動や、弾を打ち込まれた箇所に起こりうるであろう現象を早漏させる




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