【杜王グランドホテル:ワイアットside】
ワイアット「『ワン・ショット・アット・グローリー』ッ!」
O・S・A・G『SHOOOOOOOOOOTッ!!』
『ワン・ショット・アット・グローリー』がリボルバーを構える
ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!
連続する発砲音
空気を裂いて『敵スタンド使い』へと猛進する弾丸は
“一発も相手に命中しない”
全ての弾丸が、相手を避ける様に逸れていく
ワイアット「(――馬鹿なッ?!)」
???「なんだよサービスショットってか?お前、顔色が悪いぜ」
???「さて、と。『ジプシー・ロード』」
『ジプシー・ロード』が、六本の腕で空気を撫でる様に動かした後、五本の腕を突き出した
ワイアット「(なんだアレは…『矢印』…?)」
『ジプシー・ロード』の掌から、円錐と円柱を組み合わせたような物体が放たれる
???「俺の名はビステッカ。テメェを屠る奴の名だ、よォーーく覚えておきな」
ビステッカは小袋を二つ取り出して、中身をワイアットへ向けて散弾の様にばら撒いた
ワイアット「ッ!?――『石』?」
ワイアット「(だが、こんな投げ方では一発も俺には当たらな――)」
ビュオンッ!!と
バラバラにばら撒かれた石が、“空中で向きを変えて”ワイアットの全身へ降り注ぐ
ワイアット「ぐ、あァァァッ!?」
大量の石に挟まれるような打撃を受けたワイアットは、一歩二歩後退して、何とか体を支えた
ビステッカはそれを満足そうに見て、ステップを踏むかの様に足を地面から浮かせる
ワイアット「(奴の――)」
ビステッカ「どうだい痛いかい。てめェは俺の敷いた『道の上』を『歩かされて』んだよ、そゥら」
トン、トン、トンというリズムが、突如喪失する
いや、ビステッカは『スタンド像』ごと低空を“かっ飛び”ながら肉薄してきたのだ
途中、『スタンド』が空中に浮かぶ『矢印』に触れながら、あっという間にワイアットの目の前へ到着した
ワイアット「(奴の能力は――)」
『ワン・ショット・アット・グローリー』が銃を構え、発砲する
だが
ビステッカ「無駄だ!」
『ジプシー・ロード』の腕が、引き金を引くより一歩早く動き、『矢印』を射出する
結果、全ての弾丸が跳ね返り、ワイアットの体を貫いた
ワイアット「ご…ふッ……」
ワイアット「(――『矢印』に触れたものの『向き』を変更させる能力か……ッ)」
ビステッカ「うらァッ!」
『ジプシー・ロード』が力任せに右腕を振るう
咄嗟にそれを『スタンド』でガードするものの、ボロボロの体では支えきれず、密集する車の中へ吹き飛ばされていった
ワイアット「(畜生…最悪の気分だぜ…。だが、やるしかねぇ)」
『スタンド』が、星型のバッヂを手に取った
ビステッカ「さて――止めと行くか」
目の前の男はまだ立ち向かうつもりなのか、震える足で立ち上がっていた
ビステッカ「死に物狂いで努力したところで一歩も近付けやしねェんだよ。いい加減諦めて楽になれ」
『ジプシー・ロード』の掌に収まっている『矢印』は五つ
残りの一つは先程地面スレスレを“滑空”した時置いて来たままにしてしまっていたが、問題は無いだろう
ビステッカ「全く、相手が悪かったなァ?」
ワイアット「………」
ビステッカ「そら、此処がテメェの『人生』の『終着点』だ。早いとこ――」
ワイアット「……『人生』とは何か、知っているかい」
ビステッカ「……何ィ?」
ワイアット「『人生』とは『人として生きる事』。人とは傲慢で、利己的で、意地の汚い生き物だ。
だが、人として生きる以上、その事実は受けいれなければならない、受け止めなければならない。
それを理解した上で生きる事こそ、『人生』と言う。これが分からない人間は、生き抜く事なんて到底不可能なんだ」
┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛.....
ビステッカ「(な、何だ…コイツから溢れ出るこの「スゴ味」はッ!)」
ワイアット「相手が悪かったのはどちらか、教えてやるよ。『ワン・ショット・アット・グローリー』ッ!」
『スタンド』がリボルバーを構える!
ビステッカ「性懲りもなく――無駄な事を。『ジプシー・ロード』ッ!」
連続する乾いた発砲音
全ての弾丸が跳ね返され、それはワイアットの顔面に――“当たらない”
ビステッカ「な、何だと…ッ!弾丸が全て…地面に集中して――ッ」
ワイアット「お、おォォォォォォォおッ!!」
『ワン・ショット・アット・グローリー』の右手が空を切る
ビステッカ「何だ、『星型』のバッヂ……?叩き落せッ、『ジプシー・ロード』ッ!」
『矢印』を避けるように投擲された二枚のバッヂは、それを叩き落さんと拳を振るった『ジプシー・ロード』の両手に張り付いた
ワイアット「オラァ!」
ビステッカ「ッ!?チィッ!」
リボルバーを鈍器の如く振りかざす『ワン・ショット・アット・グローリー』の一撃を、『スタンド』でガードする
ザザザザザッ!と、水浸しの地面がビステッカの靴底を擦る
ワイアット「………」
ビステッカ「(クソッ!とっとと『矢印』を回収しねェとマズイ……ッ!)」
ワイアット「いいぜ…回収しろよ、『矢印』を」
ビステッカ「何だとテメェ……ッ!人をナメくさりやがってッ!」
激昂したビステッカは、『矢印』を回収することもなく『スタンド』をワイアットへと差し向けた
ワイアット「しないのかい、唯一の可能性だったのかもしれないのによ。じゃあ、此処がお前の『終着点』、だ」
『ワン・ショット・アット・グローリー』がリボルバーを構える
ビステッカ「(多少ならば『ジプシー・ロード』のスピードで弾き返せるッ!ある程度の被弾は構わねェ…野郎をぶっ殺してやるッ!)」
ダダダダダダン!
ビステッカ「そゥら来たッ!これで終わりだッ、『ジプシー・ロード』ッ!」
カカカカカカィンッ と、『スタンド』の六手が弾丸を真横へ弾いていく
ビステッカ「勝ったッ!死ねィッ!」
ワイアット「……BAN」
ビステッカ「―――――……は?」
ビステッカの、『ジプシー・ロード』の動きが止まる
ビステッカ「な、何だこりゃァーーーーッ!!!」
両手が、無い
厳密に言えば、“めちゃくちゃに破壊されて”いる
ビステッカ「だ、弾丸は確かに弾いて……」
『ジプシー・ロード』の六手には全てボロボロに崩れていた
“マーカー目掛けて戻ってきた複数の弾丸に、他の手ごと貫かれて”
ワイアット「二本しかない本体に対して『スタンド』は六本、跳ね返ってくるダメージは相当のものだろうね」
ビステッカ「あ、や、『矢印』を」
最早、『矢印』を回収するための腕が無い
ワイアット「『人生』って奴は、馬で行くことも、車で行くことも、二人で行くことも、三人で行くこともできる。だが、最後の一歩は自分ひとりで歩かなければならない」
ワイアット「――『ワン・ショット・アット・グローリー』ッ!!」
銃声――静寂
【スタンド名:ジプシー・ロード】
【本体名:ビステッカ】
敗北、再起不能....
【スタンド名:ワン・ショット・アット・グローリー】
【本体名:ワイアット・アープ】
勝利⇒To Be Continued.......
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