【ローマ:『組織』のビル】
クリアケースに入った五つの『地図』
残るは、後一つ
???「――さて、此処に五つの『地図』が揃った。そろそろ、僕らも動き出そうか」
ペーペー「残る『殲滅チーム』も、共にですか?」
???「呼んでおいてくれるかな?」
ペーペー「御意に」
???「それじゃあ――集まり次第、『移動』を始めよう」
【杜王町:商店街】
AM11:30
最後の襲撃から三日、バッジョは街中をぶらついていた
バッジョ「(これまでに倒した『殲滅チーム』のメンバーは二人。その内一人は古参のメンバーでもう一人は新人…)」
バッジョ「(俺が知る限りは後二人、確実にメンバーが残っているが…出来ることなら激突を避けたい能力達だな…)」
???「おおっと。どうした兄さん、浮かない顔だぜ」
バッジョ「うおッ!?」
考え事をしながら歩いていたせいか、前方の青年に気が付かず、ぶつかってしまった
バッジョ「すまないな。少し考え事をしていた」
???「まぁまぁ、菓子でも食って落ち着けよ。あ、あんた『キノコ派』?それとも『タケノコ派』?」
ガサゴソと懐を漁り始める青年
どういう構造になっているのか分からないが、青年の懐からは大量のチョコ菓子が姿を現した
???「『キノコ派』と『タケノコ派』の不毛な争いは終わるところをしらないからな。俺は両方好きだけど。で、どっち食う?」
バッジョ「……いや、正直どっちでもいい」
???「なんだとテメェーーーッ!俺は『どっちでも』って言う『意志薄弱』な意見は大嫌いなんだよッ!!どっちかはっきりしやがれェーーーッ!」
――ギャルルルルルルルルッ!!
突如、青年の右手がドリルのような唸りを上げる
バッジョ「(いや、本当にドリルのように指先が回転しているッ!?)」
???「うォらッ!」
バッジョ「ぬおおォォォォッ!?」
袈裟に振るわれた青年の平手を――否、『引っ掻き』を躱す
服の一部が浅く切り裂かれ、中空に舞う
突然の騒ぎに、二人から距離を取る一般人
奇しくもそれは、二人を囲むリングとなった
バッジョ「(こいつ『スタンド使い』ッ!だが、『組織』の回し者でもないようだが)」
バッジョ「そっちの方が、厄介だなッ!」
???「『トンガリ・コーン』ッ!野郎を撃ち抜けッ!」
バッジョ「飛び道具ッ!?『ワム!』、叩き落とせェーーーッ!」
――バシュッ、ドゴォ!
青年の指先から射出された五発の『弾丸』を、『ワム!』が素早く叩き落とす
???「うるァッ!」
バッジョ「オラァ!」
空手の左手に、右手と同じような小さなドリルが唸りを上げながら現れる
『ワム!』の放った拳と激突した青年の左手は、ギャリギャリと音をたてながら『ワム!』の拳と拮抗する
???「やるじゃねェか…」
バッジョ「そりゃあイキナリ襲われたら必死にもなるさ」
???「兄さんが悪いんだぜェー…どっちか『ハッキリ』しねぇからよォー」
バッジョ「悪いが、質問の内に俺がすべき『選択肢』が含まれていなかったんでな」
???「なにィ…?」
バッジョ「俺は――『切株派』だ」
【杜王町:公園】
AM12:00
静香、米沢の二人は、緑もそこそこな公園の一角集まって『スタンド』の扱いに関する教授を明美と智恵に与えていた
明美「なんつーかさぁ、“コイツ”がアタシの精神エネルギーの塊って言うのがさぁ…」
明美の傍らでは、壊れたスピーカーの様に奇怪な言語を発する円盤がクルクルと回っている
智恵「いいじゃない…とても、楽しそうで」
静香「生き物を『輪廻転生』させてしまうだなんて、凄いと思うわよ」
明美「もっとさぁーこう『ガツン!』と出来るヤツが良かったなァァァーーー」
米沢「文句を言うな船上。要は使い方だ、重要なのは『スタンド』だけではない」
米沢は少し首を傾けて空を仰ぐ
青空を見ている訳ではない
彼の『スタンド』、『サテライト・O』が、周囲に不審な人物が居ないか目を光らせているのだ
今や、ギャングを相手どった『戦争』の真っ最中なのだから
――ピピピッ
『サテライト・O』が、此方に近づいてくる人物を捕捉する
米沢「ん?アイツは、何処かで――」
【杜王町:商店街】
PM12:00
大型スーパーの菓子売り場
其処に二人は居た
???「悪かったなぁ、襲い掛かって。俺は浦上裕也(ウラガミ ユウヤ)ってんだ、よろしくな」
バッジョ「いやまぁ――俺はジョジョだ、よろしくな」
浦上「しかし、俺以外にもこの―『超能力』―『スタンド』を使う奴が居るなんてな」
バッジョ「『スタンド使いは引かれあう』――不思議な引力があるんだよ」
浦上「ふぅん…アンタ、見るからに日本人じゃねぇよな。此処には観光か何かで来たのか」
バッジョ「いや…(どうしたもんかな)観光って訳じゃあ無いんだがな」
浦上「まぁ深くは聞かねぇさ。その気になったら聞かせてくれよ、暫くは居るんだろう?」
バッジョ「ああ、多分…な」
浦上「それじゃあまたな。会ったら何か奢るぜ」
買い物カゴにぶち込んだ大量のスナック菓子を揺らしながら、浦上は会計へと進む
バッジョ「さて…静香達の様子でも見に行ってみるかな」
浦上「な、何だコイツはァーーーッ!?」
バッジョ「ッ?!」
【杜王町:杜王グランドホテル前】
PM12:00
重松「いやしかし…」
ワイアット「……」
重松「町の案内とはいえ…」
ワイアット「……」
重松「“野郎とバディを組む”って言うのはどうもね…」
ワイアット「ええい黙れエロジジイ」
ホテルの前を行き交う自動車の群
その量に負けず劣らず、人の波もある
重松「これだけ混み入っておると、件の『刺客』が何処から現れるやら分からんな」
ワイアット「一般人を巻き込む訳にもいかないしな…さっさと移動しよう」
【杜王町】
PM12:00
???「“こっち”の賭け金は『地図』四枚、そっちは一枚」
男は笑う
その手には『地図』
一枚の『地図』を手に収め、静かに開幕を告げる
???「さぁ――『ゲーム』開始だ」
【杜王町:公園】
┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛.....
『サテライト・O』が捉えた人物は、傍らに黒い影を――『スタンドを従えている』
喉が渇く
見覚えがある顔に、米沢の思考は加速する
米沢「アイツは――」
轟!!と、周囲の木々が唸りを上げた
................................
いや、男の前方の空間に吸い込まれたのだ
謎の現象は周囲の木を粗方食い尽くすと、一気に縮小し、消える
カラン、と、その歪みが生まれた中心から、空き缶が転がり落ちる
米沢「――アイツはッ!『失踪』した天文学院生じゃないか…ッ!」
米沢「イカレた論文を発表した事で一時騒がれたが…まさかアイツが『刺客』ッ!?」
静香「先生ッ!」
明美「敵かよッ!『サークル・オブ・ロック』ッ!」
智恵「『マテリア――」
静香「いけない――皆今すぐ此処を離れてッ!」
???「やれ、『スーパー・マッシヴ・ブラックホール』」
四人の頭上
暗黒の空間が、口を開いた
【杜王町:商店街】
┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛.....
浦上「なん…だ、これはァーーーッ!?」
バッジョ「な……こいつは……ッ」
先程までとは全く違う
..........
商店街は腐りかけている
人は呻きながら助けを求めながら這い回る
阿鼻叫喚の地獄絵図が其処にはあった
バッジョ「『スタンド攻撃』だ……『敵スタンド使い』が近くに居るッ!」
浦上「何処のどいつだか知らねぇが、許す訳にはいかねぇな…協力するぜ、後でしっかり事情を聞かせろよ!」
バッジョ「……分かった」
顔を合わせ、頷き合う
意を決した二人は、自動ドアの向こう側にある地獄へ向けて、歩を進めた
【杜王町:杜王グランドホテル前】
┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛.....
クラクションの音が聴こえる
誰かが悲鳴を上げていたような気がする
重松「さてと、次はどの辺りを見てみ――」
ワイアット「ッ!?ジイさん、危ねぇッ!」
重松「ぬォッ!?」
重松を突き飛ばし、自らも横っ飛びに飛ぶことで
............
狙い済ましたかの様に突進して来たトラックを躱す
直後、周囲の消火栓が一斉に瓦解し、大量の水が一帯に流れ出した
重松&ワイアット「『スタンド攻撃』ッ!」
重松「だが、何処から――」
ワイアット「前に出るなッ!」
二人を孤立させるのが狙いとでも言うように、数台の車が連続して二人の間に滑り込んだ
重松「無事かワイアット君!くッ……」
『敵スタンド使い』を捜す為、素早く周りに目を走らせる
慌てふためく人々の流れに逆らう様に立つ男を一人、発見した
重松「助力は見込めん…か。やれやれ、しんどいしんどい…」
ペーペー「……『キルスイッチエンゲージ』……」
大量の自動車が壁となり、重松の居る方へは簡単には行けそうも無い
ビシャッ――水浸しの地面を踏む音に、振り返る
其処には、不精髭の男が鬱屈そうに佇んでいた
ゆっくりと、ワイアットは間合いを計る
???「全く、阿呆は矢のように飛んで消えりゃあいいィんだよ」
ワイアット「――『ワン・ショット・アット・グローリー』」
???「なぁ――『ジプシー・ロード』」
To Be Continued.......
使用させていただいたスタンド
No.666 | |
【スタンド名】 | トンガリ・コーン |
【本体】 | 浦上裕也 |
【能力】 | この常に回転する謎の尖がった弾を操る |
No.513 | |
【スタンド名】 | スーパーマッシヴ・ブラック・ホール |
【本体】 | 二間瀬昌勝 |
【能力】 | 殴ってできた穴を、ブラックホールにする |
No.64 | |
【スタンド名】 | キルスイッチエンゲージ |
【本体】 | ペーペー |
【能力】 | 『無機物』から起こりうる『出来事』を制御する |
No.248 | |
【スタンド名】 | ジプシー・ロード |
【本体】 | ビステッカ |
【能力】 | 触れたものを矢印が指す方向へベクトルを変え、飛んでいく「矢印」を放つ |
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