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第十二話『石地図 其の2』

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orisuta

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【杜王町:国見峠霊園】
┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛.....

アンジェロ「(奴らは私の正体を知らんッ!攻勢をかけるならば正に今ッ!)」

ズォア!と、アンジェロの背中に隠れるように『スタンド』の『腕』だけが姿を現す

アンジェロ「(奴らごとき、『能力』を使うまでもないッ!)」

彼我の差、凡そ20m

アンジェロ「(駆ける――――ッ!)」

今にも駆け出しそうなアンジェロの足元に、『星形のバッヂ』が転がり込んだ

アンジェロ「(何だコレはッ!まさか奴ら、私の正体に気が付いて……?)」

ワイアット「あ、すいませーん!その『バッヂ』を拾って貰えませんかー?」

若者の声はとても此方の正体に気付いているとは思えない、友好的なものであった

アンジェロ「(……気付いていない?フン、少しブルってしまったよ)」

アンジェロ「ああ、これですか?」

アンジェロが『バッヂ』を拾い、掲げてみせる

ワイアット「それですそれです。いやぁうっかり落としてしまって」

アンジェロ「今、そちらまでお持ちしますよ」

駆け寄ろうとするワイアットを片手で制し、もう片方の手に持った『バッヂ』を胸に抱き、二人に近づいて行く

ワイアット「………」

重松「………」
 
 
 




┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛.....

アンジェロ「(な、なんだ……?コイツら…雰囲気が…)」

ワイアット「……神父さん、アンタ『ホラー映画』って見ます?」

アンジェロ「……?」

ワイアット「ああいう映画でよくあるじゃあないですか
『あ、こいつ死ぬぞ』って思う瞬間。もう絶対的予測とでも言うんですかね」

ワイアット「例えば『冒頭に出てきたり』『黒人だったり』『パニックになってたり』
『俺はこんな場所に居られるか!』って言って一人になるヤツとか…解ります?」

アンジェロ「……いえ、何を仰っているのか私にはさっぱりですが…」

ワイアット「つまり――」

アンジェロはそこで気付く

アンジェロ「(そういえば…私は『バッヂ』を持っていた筈だが…?『感触』が…無い!?)」

ワイアット「――つまり、アンタ此処で終わりなんだよ」

若者の腕から生えたもう一つの腕に握られた拳銃から、弾丸が飛び出した
 
 
 




【杜王町:住宅地】

ジャック「………」

ジャック「(仲間が一人、場を離れたか。まぁいい、どうせ奴が帰って来る頃には全員バラバラになってるよ……)」

米沢「さて、浦上君が戻ってくるまで、何か話でもしてやろうか」

明美「こんなトコロで勉強の話とかはカンベンだからね先生」

米沢「まぁ聞け。神尾、『正義』とは何だ?」

智恵「えっと……『正しい事』…ですか?」

米沢「それでは、『正しい事』とは何だ?」

智恵「それは……お年寄りに席を譲ったり…」

明美「ゴミ拾ったり?」

米沢「そうじゃあない、『正義』と言うのは『自分が信じるもの』だ」

明美「え、それじゃあ……」

静香「『正義に対立するのは別の正義』…と言う事ですね?先生」

米沢「そうだ」

明美「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ!それじゃあ『悪』って何なの?
普通、正義の味方には倒すべき『悪』が存在するじゃあないのよ!」

米沢「それはな、そうしないと『バランス』が保てないからなんだよ
例えば、『戦争』は『悪』だと『無くなれば良い』と、思うだろう?」

明美「そ、それはそうだけど……」

米沢「だが紛争は無くならない。これは何故だ?」

明美「………『必要悪』ってこと?」

米沢「そうやって、この世界は成り立っている。全く、胸糞が悪くなる話だ
まるで『延々と同じCMを流すTV番組』を見せられている気分だよ」

ジャック「…………」

ジャック「(そろそろ…バラすか…)」

ジャックが『スタンド』を出し、物陰から身を乗り出そうとした瞬間

米沢「全く、気分が悪くて『スタンド』を使いたくなる」

ジャック「――ッ!?」

突如、ジャックの頭上に莫大な光が降り注ぐ
 
 
 




【杜王町:学校跡地】

???「キヒヒッ、後はゆゥッくりと『地図』を頂けばいいだけ。
いやァ~『ボス』も美味しい仕事をくれたもんだぜェーーー」

バッジョ「………」

???「俺の『ザ・ミラクル』の攻撃を受けた奴はみィんな『幸せな夢から抜け出せなくなっちまう』
キヒヒッ、せいぜいイイ夢みろよ。その間にこの四枚の『地図』と……」

地面に置かれたクリアケースに手を伸ばす

???「…なんでコレ繋がってんだ……?まぁいいか、後一つは…っとォ」

???「おっ、なァんだコイツが懐に入れてたのか…よーしよしよし」

バッジョの服の隙間から僅かに見えるクリアケースに手を伸ばす

だが

???「……?……ッ!?」

ビュオンッ!

???「うげェッ!!」

???「(や、野郎の身体から…い、いや『地図』からか!?
『腕』が飛び出してきやがった!畜生!どうなってやがる!)」

???「まさか俺の『スタンド』の能力を打ち破って……?」

バッジョ「………」

???「(いや、能力は効いている…だとするなら、この『腕』はッ!?)」

男がバッジョに、『地図』に近づこうとする度、その『腕』は鞭の様に撓り、接近を許さない

???「『防衛本能』ってヤツか…?クソッ、厄介だぜェェェーーー!」

男は『スタンド』を盾の様に用いながら、ゆっくりと動き出す
 
 
 




【杜王町:国見峠霊園】

ワイアット「何故――」

対峙する『スタンド使い』
その表情、一方は苦悶、一方は超然

ただし

ワイアット「何故、『心臓に弾丸を受けて』生きているッ!」

超然としているのがアンジェロで、苦悶の表情を浮かべているのはワイアット達だった

重松「馬鹿な……確かにヤツの胸を貫いた筈だッ!」

アンジェロ「…………」

弾丸が直撃した胸に片手を置きながら、アンジェロは立ち上がった

アンジェロ「『自然淘汰』…」

ワイアット「何…?」

アンジェロ「人類は、何時でも執拗に『進化』を求められる。
自然界に生ける全ての生物は、『進化』を『義務付けられて』いる」

アンジェロ「例えば、其処が過酷な環境の砂漠ならば『葉をトゲにした』サボテンの様に
人間で例えるならば、戦争が良い例だ。『相手をより効率的に殺す兵器』『相手の弾丸を防ぐための術』といったように」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ.......

アンジェロ「お前達が何処まで『進化』出来るか、私が試してやろう
我が『スタンド』、『シンギング・イン・ザ・レイン』でな」

アンジェロが胸に置いた手を退ける
其処には、未だ回転を続ける弾丸が、確かに存在していた
 
 
 




【杜王町:住宅地】

轟音と共に、ジャックの居た場所は跡形も無く吹き飛ばされる
煙が晴れ、目に映る光景は

米沢「……ゴフッ!?」

“ジャックの『スタンド』の手が、米沢の胸を貫いている”光景であった
貫いた手に握られている、時折蠢く赤黒い物体は、まるでグロテスクなオブジェを見ているようだった

静香「な……ッ」

明美「せ……ッ!」

智恵「そんな……ッ?!」

明美「先生ェーーーーッ!!」

智恵「そんな、何が起きたの?!」

静香「今…未来に『10秒の空白』が生まれたッ!一体何がどうなっていると言うの…?」

ジャック「成る程、油断したよ。この男は『天から地上を見下ろせる』んだったな
さて、これで先ず――」

明美「や、止め――ッ!」

ジャック「――1人」

グシャ、と
一人の命が散るには、呆気ないほどに思えるチープな音が、響いた

「「「ッ!!!」」」

明美「貴ッ……様ァァァァァァァァァーーーーッ!!」

ヴォン!と、明美から『サークル・オブ・ロック』が現れる

静香「駄目ッ!早まっては……ッ!」

静止を振り切って、明美はジャックへ突撃した

ジャック「焦らなくとも、皆同じ場所へ送ってあげよう
威勢が良いのは嫌いではないよ、暫く眠っているがいいさ」

ジャック「『ジ・エンド』、君の意識を奪う」

信じられない事が起きた

疾駆する明美の身体が、ジャックの10m程手前で崩折れたのだ

静香「(あの男は一歩も動いていないのにッ!何で…?この『空白の時間』は一体?)」

智恵「……ッ!」

智恵の『マテリアル・ガール』が、智恵を護るように位置を変える

ジャック「……ああ、そういえば。『傷を抜き出せるスタンド』を持った娘が居るようだが
そうか、君か……」

ジャックの『スタンド』、『ジ・エンド』がその凶悪な姿を晒す

ジャック「それじゃあ――『次は貴様だ』」

静香「(なんで…なんで読めないのッ!?『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』ッ!)」

智恵「許せない……ッ!」

二人の少女と、一人の殺人鬼が、激突する
 
 
 




【杜王町:学校跡地】

???「クソッタレがァァァーーーッ!この『腕』、邪魔で仕方ねェーーぜッ!」

男は『腕』を避けながら、何とかバッジョに近寄ろうとするが
『腕』は決して、その接近を許さない

???「拉致があかねェぜ、こりゃ『∞だるまさんが転んだ』ってヤツだな!」

そうしている内に、男はある事に気が付いた

???「(んん……?ありゃあよく見ると……)」

???「う、うげェッ!?ち、『地図』が……」

???「『地図』が野郎の身体に『沈んで』いってやがる!?」

???「『底なし沼』みてェーにズブズブと!クソッ!何かわからんがヤバイッ!」

二、三発殴られることを覚悟して、男は一気に距離を詰める

???「所詮『腕一本』だッ!やれねェことはねェ…『ザ・ミラクル』ッ!」

『ザ・ミラクル』の拳が、『腕』を弾き――

???「あ、あれ…?」

『腕』が無い……

???「(パワーを使い果たしたのか…?)」

???「天は俺に味方したッ!『ザ・ミラクル』、ヤツから『地図』を抜き出せェーーーッ!」

『ザ・ミラクル』が『地図』に手を伸ばす
だが、その『ザ・ミラクル』の腕を、何者かが掴んで止めた

???「な、なにィィィーーーッ!?」

???「ど、どうして……」

男は自らの『スタンド』を制した者を見上げる

???「どうしてテメェが『此処に居る』ッ!ロベルトォーーーッ!!」




To Be Continued.......


使用させていただいたスタンド


No.762
【スタンド名】 シンギング・イン・ザ・レイン
【本体】 アンジェロ
【能力】 生物、無生物を問わず全ての物質を無限に進化させる




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