『正解』とは、何なのだろう。それは『正義』なのだろうか
『不正解』とは、何なのだろう。それは『悪』なのだろうか
育ての親、アンジェロは言っていた
アンジェロ「ロベルト。『正義』の反対は『悪』じゃあないんだよ」
ロベルト「……?じゃあ、何なの?」
アンジェロ「いいかい、ロベルト。『正義の反対は別の正義』なんだ
決して『悪』では無い。『悪』であるとするなら、それは『不義』だ」
ロベルト「ふ、ぎ?」
アンジェロ「そうだ。『人として守るべき道にはずれること』、それを『不義』と言うんだよ
だが、何れこの世界は、誰も何も心配事や悩み事を抱くことが無い、素晴らしい『世界』に変わる。楽しみに待っていなさい
お前が大人になる頃には、私も此処の『ボス』になっているだろう。その時が『人類進化』の時だ」
ああ、そうだ。アンタはそう言っていたんだ
何時しかアンタはアンタを見失っていたんだ
だから止めてやる。俺のこの『スタンド』で
全てを揺らして、壊して、俺がアンタを倒す
アンタの行いは決して『正義』じゃあない
アンタがやろうとしている事はただの『不義』なんだ
『独善』と言う名の、『悪』なんだよ
【杜王町:商店街】
┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛.....
身体の半分以上が腐った人間が、呻きながら商店街を這い回る
中には幼い子供も混じっており、周りの大人よりも『腐敗』の進行が速いように見える
数分前まで元気に歩いていたであろう猫等の小動物にいたっては、最早手の施しようが無いほどに腐りきっていた
バッジョ「おい大丈夫か!…クソッ!もう息が無い……」
バッジョ「(こんな小さい子供まで、『必要な犠牲』だとでも言うつもりかッ!)」
浦上「酷ェ……こりゃあまさしく地獄絵図だぜ」
バッジョ「『地獄』……か。コイツは恐らく『マルチョ』の仕業だ」
浦上「マルチョ?誰だソイツは」
バッジョ「昔、俺はちょっとした『ギャング』ってヤツをやっててね。その時の同僚…いや先輩かな」
バッジョ「あの頃は『スタンド使い』では無かったからヤツの能力を全て把握している訳ではないが…
ヤツがどうしようもない『糞以下の殺人鬼』だって事は判ってる。今、ヤツのぶちのめす理由としては十分だ」
浦上「ああ…何の罪も無い人たちをこんな目にあわせやがって、胸糞悪りィぜ」
バッジョ「兎に角『本体』を見付けて叩かなければ、この『生物を腐らせる能力』も止めようが無い
幸か不幸か、この商店街で『元気よくしゃべれる』のは俺と、お前と、ヤツだけのようだ」
浦上「何をするつもり――ぐぉッ!?あ、『脚』が――」
バッジョ「何ィッ!?こ、コレは……ッ!」
浦上とバッジョは、同時に体制を崩し、地面へ倒れこむ
浦上「――『脚』が腐り落ち始めやがったッ!クソッ、これじゃあまともに歩けねぇぞ……
一体何処から攻撃してやがるんだッ!ヤツの本体はッ!?」
バッジョ「マルチョは仕事で『目の前』のターゲットを一瞬で腐らせて殺していた……
だからてっきり『スタンドで掴んだ相手』を腐らせる能力の類だと思っていたが、コレはッ!」
バッジョ「『奥へ行くほど重症な人々』、『気が付かず何時の間にか攻撃』されていた俺達
そして『足元から腐り始めた』という事と『小さい者ほど進行が速い』という事実。そうか…ヤツの『スタンド能力』は『掴んだものを腐らせる能力』等ではなく――」
バッジョ「――『広範囲に腐敗ガスを撒き散らす能力』ッ!そしてそれは恐らくヤツに『近付く』ほど効果も高まる」
浦上「『ガス』だとッ、クソッ――ハッ!?こ、今度は『腕』が」
バッジョ「『腐敗』が速い――ヤツも近くに居るのだろうが、これでは返り討ち、か」
???「(『腕』ヲ――『挙ゲテ』下サイ――)」
バッジョ「(ッ!?……い、今の『声』は?浦上には聴こえていないようだが)」
バッジョ「『腕』を挙げるんだッ、出来るだけ高く!」
浦上「は、ハァ!?いきなりどうしちまったのかワカラネーが、今は悩んでる時間もねぇッ!」
空高く挙げた二人の手からは――『腐敗が一瞬でその身を退いた』
浦上「腕が治ッ……コレはッ?!」
バッジョ「恐らくこの腐敗ガスは空気より重いんだろう。だから足元から腐り、身体が小さい者は進行が速く
ガスに侵された人々はずっと倒れているんだ。だが――」
バッジョ「――『範囲外』に出れば一瞬で『回復』するッ!」
浦上「成る程な、つまりは『ガス』を吹っ飛ばしてやりゃあいい訳だ。『トンガリ・コーン』ッ!」
――ギャルルルルルルルルルルルルルルルルルルッ!
浦上「『トンガリ・コーン』で周りの『空気』を掻き回してやった
『扇風機』みてェーーによォーーー。これで本体を捜せるぜ」
バッジョ「ああ――助かった。そして、ヤツの位置も大体調べが付いた」
【杜王町:商店街】
その路地裏
マルチョ「ヒャヒャヒャヒャヒャ……今頃は奴らも腐乱死体に変わってる頃かなァ~~~
チクショー悔しいなァ、俺の『スタンド』が『デッド・クラウン』が『遠隔操作』だったらよォー今頃安全なところから沢山の死体を見て楽しめたのになァ~~~」
マルチョ「さぁてと…そろそろ奴らの死体を拝みに行くかァ~~~」
マルチョが大通りに一歩踏み出した、その時だった
“その一歩を待っていたように現れた拳”が、彼の顔面を強打した
マルチョ「ぶぶべェッ!!!」
無様に地面を転がり狭い路地裏へと押し戻される
マルチョ「ま、まさか…馬鹿な…いやそれ以前に何故此処だと…!」
バッジョ「ちょっと『振動』を操ってね。『音』ってヤツは空気中を振動して伝わるだろう…?ちょっとした『ソナー』ってヤツだ」
其処には傍らにガスマスクをつけた『スタンド』を従える男と、掌で回る何かで『風』起こしている男が立って居た
浦上「テメェお得意の『スタンド能力』はもう通じねーぜ。こうやって『風』を起こしている限りはな!」
マルチョ「ヒ、ヒヒヒ…馬鹿がッ!確かに少し焦ったが、貴様らの敗北への道が開いている事に変わりはないッ!
『デッド・クラウン』ッ!」
バッジョ「遅いッ!」
マルチョの目の前に現れた異形型の『スタンド』よりも、バッジョの『スタンド』の方が圧倒的に速い
バッジョ「無駄――」
マルチョ「ヒヒヒヒヒヒヒッ!無駄はテメェーだぜ!」
バッジョ「――無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」
ズガガガガガガガガガガガガガッ!と
猛烈なラッシュがマルチョを捉える!
だが
バッジョ「馬鹿なッ、コイツは……ッ!?」
攻撃は全てマルチョを“貫いた”
ズボズボと音を立て、まるで泥を突いているようだ
マルチョ「ヒャヒャヒャヒャ、こんな風によォーーー身体をわざとグッチャグチャにして攻撃を避けれるんだぜェーーー」
バッジョ「………」
浦上「………」
マルチョ「(何だ……?奴ら何かを話しているようだが、『音が聴こえない』…?それに心なしか『風』が強くなってきている気がするが…)」
路地裏のゴミ箱がカタカタと揺れる
だがマルチョはそれにすら『気が付かない』
マルチョ「(ふん、あっちから攻撃してこねぇならこっちから行くまでだぜ。『掴めば』俺の勝ちだッ!)」
マルチョ「『デッド・クラウン』ッ!四本の腕で奴らを腐らせてしま」
単眼、異形の『スタンド』がノロノロと動き出す
だが、それも一歩と進まないうちに進行を止める
マルチョ「(う、うげぇッ!き、気分が……『気分が悪い』!な、何なんだこれはッ!?
た、立てんッ!足腰が、身体が言うことをきかんッ!)」
マルチョ「き、貴様何をしたァーーーッ!!!」
バッジョ「お前には言っても届くことは無いが……『低周波空気振動』ってヤツさ。『トンガリ・コーン』が起こした『風切り音』を利用させて貰った
なぁ…『抵抗したくても出来ない』っていうのはどんな気分だ…?お前が今まで無差別に殺して来た人々も、今のお前と同じ気持ちだろうな…?
貴様は多くの罪も無い人々を闘いに巻き込んだ。だが安心しろ、お前を裁くのは『神』でも『閻魔大王』でもない」
バッジョが一歩踏み出す
距離を詰める
『ワム!』がその拳を握り――
マルチョ「わ、判った!話し合おう!『地図』も渡すし、今すぐ『スタンド能力』も解除する!だから俺にチャンスを――」
――放つ!
バッジョ「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄、無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄、無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄、無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY、オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ、フラフラフラフラフラフラフラフラフラフラフラフラフラフラ
フラフラフラフラフラフラフラフラフラフラフラフラフラフフラフラフラフラフラフラフラフラフラフラフラ
ラフラフラフラフラフラフラフラフラフラフラフラフラフラフラ――」
バッジョ「――フラゴーレッ!!」
マルチョ「ヤッダーーバァァァァァーーーッ!!!」
最早人としての原型を留めぬ程に、マルチョは『グチャグチャ』の肉塊に成り果てた
浦上「(い、いや…『ただの拳打』であそこまで酷くなるもんか?『アレ』は何か…もっと別の…)」
バッジョ「――裁くのは、俺の『スタンド』だ」
マルチョの身体から飛び出してきたクリアケースをキャッチし、肉塊に背を向けた
【杜王町:学校跡地】
浦上に自らの抱える問題に関する説明をしながら、合流場所である学校跡地へと移動する
其処には既に、戦闘を終えた仲間達が集合して居た
ワイアット「俺とじいさんが闘った奴らの分が二枚」
静香「私達が闘った『スタンド使い』が持っていたものが一枚」
浦上「で、さっき俺らが倒したヤツの分が一枚」
重松「そしてお前さんが持っている分が一枚の、計五枚」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ.......
突然、地面に並べた四枚の『石地図』達が震え
重松「これは――ッ!?」
バッジョ「『地図』が…『集まって』いく…ッ!?」
信じられない事に、『地図』達は『クリアケースごと繋がった』
静香「……まるで、『今こそ完成する時』と、言っているようですね」
米沢「……全てが集まると『何が起こるのか?』。想像も出来んが…」
明美「アタシ達が優勢なんだろ?この人数なんだ、全員で頭を叩けばイイんじゃないの?」
智恵「…ハッキリとした『位置』が判らないのでは、下手に動くのはマズイと思う…」
バッジョ「奴らの中の…誰かが…『石地図』を持っている事は…確かだ。『石地図』の…存在を感じる
恐らく『地図』を持っているのが…『ボス』だ、そして残りの手下も一人…二人といった…ところだろう」
バッジョ「…怪しいと思うヤツを見付けたら…すぐ携帯を鳴らせ
…人員を二つに分けよう。米沢さんは、子供達を頼む…」
重松「おい、調子が悪そうだが、大丈夫か?」
バッジョ「ああ…だが…すまないな、少し一人にさせてくれ。すぐに後を追う」
ワイアット「しかしな…」
重松「判った、行くぞワイアット君。ああそれと、浦上少年、私たちは二人で大丈夫だから、本調子ではない米沢さんをサポートしてくれ」
浦上「オッケェーーー、俺も野郎だらけより女の子を護るナイト様の方がテンションが上がるぜ」
明美&智恵「………」
静香「………」
静香がバッジョに歩み寄る
静香「全てが終わったら、皆でパーティをしましょう。クラッカーを鳴らしたり、ケーキを食べたり、ツイスターゲームをしたり
全員元気で、無事で、必ずまた笑いましょう」
バッジョ「そうだな…その時は、俺もこの町に住処を見付けてみるかな…」
静香「『約束』ですよ」
バッジョ「ああ、『誓う』、約束だ」
互いの『スタンド』と、本体が握手を交わした後、静香はバッジョの傍を離れ、仲間達は二手に分かれて学校跡地から出て行った
バッジョは地面に腰を下ろし、合わさって一枚となった『石地図』に目を向ける
バッジョ「(さっき、何故俺が懐に入れている『地図』は反応しなかった…?この不調と関係があると言うのか…?)」
???「キヒヒヒッ……間抜けだよなぁ~ロベルト。今更気が付いても遅いが、俺の『スタンド』の『射程内』だぜッ!」
何時の間に近づかれたのか、小柄な男がその『スタンド』を出し、バッジョに攻撃を仕掛けんとしていた
バッジョ「(しまった…ッ!)」
バッジョ「く、そ…『ワ――」
???「遅ェッ!『ザ・ミラクル』ッ!」
『スタンド』の腕から放たれた『超音波のようなもの』を浴び、バッジョの意識は闇へと落ちた
【杜王町:国見峠霊園】
アンジェロ「………」
『神父』のような姿をした男は、霊園の入り口に佇み、物思いに耽っていた
アンジェロ「(長かった…だが、遂に此処まで来たのだ
ロベルト、お前に私の計画を邪魔はさせん)」
アンジェロ「人類を押し上げる――我らが『神』となる日は近い」
振り返ると、初老の男と若い男が歩いているのが見える
アンジェロ「悲しいが、それを邪魔する障害は、『試練』と『理解』し排除する」
神父が、二人に向けて一直線に歩き出す
【杜王町:住宅地】
米沢「やはり闇雲に歩き回っても見つからんか……」
明美「先生ェーアタシ喉が渇いたんだけど、飲み物買いに行っていい?」
米沢「駄目だ。行くならそうだな…浦上君、頼めるか?」
浦上「オーケェっすよ。お姫様のお頼みとあらば何処へでも」
智恵「…私は午後の紅茶」
明美「アタシはライフガード」
静香「カルピス」
米沢「コーヒーな」
浦上「全員分ッ!?」
米沢「無論、代金は『お前持ち』だ」
ジャック「…………」
四人は、物陰に潜む『脅威』に気が付かない
【杜王町】
┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛.....
男は『石地図』を片手に持ち、杜王町を『見下ろして』いた
???「クックック…そろそろ、クライマックスの最後と言う訳だ。
神はその御身を地上に引き降ろされ、人間は天へと上がる。『世界は変革する』。この私の手によって」
To Be Continued.....
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