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第十四話『ヒーローは遅れてやってくる』

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orisuta

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子供の頃は、自分の『スタンド』が嫌いだった

未来が見える、ただそれだけの事がとても嫌だった

どんなサプライズも、CM後の驚きの展開もあったものではない

ましてやあの頃は、能力の制御が利かなかった

『未来』は、見えない方が楽しい

でも何時しかその能力は人を助ける事に役立って

『役に立てる』その事が、ただ嬉しくて

『彼』と始めてあった時、その未来に何かとてつもないものを感じて

きっと自分は『力になれる』と、思っていた

信じて、疑わなかった
 
 
 




【杜王町:住宅地】
ジャックの姿が消え、直後に死角から現れる
これで三度目だ

静香「ぐ、う……ッ!」

『ジ・エンド』の放った蹴りを『スタンド』でガードする
相手の攻撃のタイミングに合わせて、智恵の『マテリアル・ガール』がラッシュを繰り出すが

ジャック「遅いぞ!」

何時、移動したのか
ジャックは二人から10m程離れた位置に立っていた

『マテリアル・ガール』のラッシュが空を切る
その瞬間、ジャックは瞬間移動でもしたように二人に接近する

T・O・M「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!」

M・G「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」

ジャック「フン!」

ババババババババババババッ!

二方向から放たれるラッシュも、『ジ・エンド』は赤子の手を捻るようにあしらっていく

ジャック「そゥら!」

静香「う……ッ」

智恵「きゃ……ッ」

ドサドサァ!

『スタンド』と共に、二人の身体は大きく吹き飛んでいく

ジャック「悲しいかな…お前達と俺とでは、圧倒的に力量に差がありすぎる…
『戦闘経験』『殺した人間の数』『潜り抜けた死線の数』……そう、これは『殺し合い』だよ」

ジャック「互いの存在を賭けた『殺し合い』なんだ」

静香「(奴の…『能力』…必ずこの、『空白の10秒間』に、突破の鍵があるッ!)」

智恵「『攻撃がくる』、そう思ったときにはもう攻撃が『終わっている』……」

静香「……ッ!奴の行動は全て『終わってから始まって』いる…?」

智恵「……」コクリ

静香「(つまり注意すべきは『空白の時間』じゃあないわ!注意すべきは『その先の行動』ッ!)」
 
 
 




ジャック「いい加減、終わらせよう。やはり『スタンド使い』を相手にすると時間が掛かって困るな」

『ジ・エンド』が前に出る

静香&智恵「来る……ッ!」

ジャック「これで……『ジ・エンド』だァーーーッ!!先ずは『未来を読む娘』ッ、貴様の心臓を抉り取るッ!」

…………変化は無い

ジャック「(な、なにィィィ~~~……?)」

静香「………」

ザッ…ザッ…

ジャック「(あ、あの小娘、微妙に『立ち位置』を変えている…?)」

ジャック「『ジ・エンド』!ならば別の娘を殺すッ!」

直後、『マテリアル・ガール』が何も無い空間を殴り飛ばす
ただそれだけの行動で、またしても『ジ・エンド』の能力は発揮されない

ジャック「な、なんだこれは…!一体どんな小細工を……ハッ!?」

目の前に、『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』の拳が迫る

ジャック「チィ…!」

ジャックの姿が消え、静香の背後に現れる

ジャック「何度やっても同じだ!背後をとった、死ねィ!」

静香「……“使ったわね、能力”……」

ジャック「な――うごォッ!?」

ジャックの顔面を、衝撃が襲う
威力自体は大したものでもないが、ジャックは何が何だか分からず困惑してしまう

静香「『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』が見せてくれる未来は絶対に起こる運命で
『スタンドの本体以外』は変えようがないわ……。だから変えて貰ったの、『私』にね…」
 
 
 




『マテリアル・ガール』で抜き出した、静香が立ち位置を変えていた時のエネルギーを空間に与えたのだ

静香「『行動を終わらせる能力』……精々『10秒以内に出来ること』が関の山と言ったところかしら…?」

智恵「………」

ジャック「(あ、甘く見ていた……まさか此処まで抵抗するとは…)」

ジャック「フン!その程度で『ジ・エンド』を攻略した気になるなよ!」

再びジャックの姿が消え、二人が直ぐには手を出せない位置まで移動する

ジャック「成る程、『未来を読む力』厄介ではある。此方の行動が筒抜けと言うのは些か分が悪い」

ジャック「ならば、俺は――『何もしない』」

静香「……ッ!?」

ジャック「見える未来は、『永遠』ではないだろう!」

静香「しまった……ッ!」

ジャック「近距離型としての純粋な『スタンドパワー』に関しては此方に分があるのだ
小娘二人に遅れは取らん。貴様らは二重の鎖に縛られ拘束されたのだ!」

静香「(『一分』……経過してしまうッ!)」

ジャック「焦りが見えたぞッ!今度こそ『ジ・エンド』だァーーー!」

ジャックが動く
『ジ・エンド』の能力が発動し、一瞬で静香の前に移動する

智恵「静――」

静香「(こんなところで…!)」

ジャック「『ジ・エンド』!お前の脳天を――」

――ヒュンヒュンヒュン
ズガガガガッ!

ジャック「ヌゥァッ?!」

静香「……?」

続け様に飛来した何かが『ジ・エンド』の掌を貫いた
更に、僅かに硬直したジャックの身体を、『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』の拳が激しく打ち据える

ジャック「グギャアッ!」

「『飲み物』をよォ~…買いに行ったらさァ~…」

「ねェんだよなァ~…『ホット・チョコレート』…」

「店員に聞いたら『お客様、もしかしてココアの事ですか?』だとォ~?」

乱入者の両手には、ドリルの様に回る円錐型の『スタンド』が存在している

浦上「ふざけんじゃねェー!それで充分気分はブルーだってのに、テメェーのせいで最悪だぜ!」

レジ袋を提げ、浦上裕也は立っていた
 
 
 




ジャック「し、失念していた…仲間がもう一人居たのか…」

浦上の視線がジャックから血の中に沈む米沢と、気絶している明美、ジャックとの戦闘でボロボロの静香と智恵へと順々に移っていく

浦上「俺はよォ~まだ皆とは会ったばっかりだし、実際のところ闘う理由も知らねェーよ
だがな、そんな俺でも目の前でこれだけ『仲間』が傷つけられてるのを見て何も感じない訳がねェ!」

静香「浦上さん…奴の、能力は…」

浦上「喋るなよ。君と智恵ちゃんは他の二人を頼むぜ
だが……米沢さんは、もう助からないだろうな」

智恵「駄目…『マテリアル・ガール』でも抜き出せない…」

浦上「米沢さんよォー…アンタの意志は俺が受け継ぐぜ
来いよ『殺人鬼』!テメェーはこの浦上裕也がぶっ潰す!」

二人をジャックから庇う位置に立ち、浦上は右手の中指をジャックに向けて立ててみせた

ジャック「フン…一人増えたところでなんだと言うのだ!
貴様はあの時の一撃で私の脳天を穿つべきだった!後悔させてやるぞ!」

浦上「『トンガリ・コーン』ッ!」

ジャック「『ジ・エンド』!貴様の右腕を――」

激突する両者の間に、静香が割って入る

ジャック「ッ!?右腕を奪うッ!」

浦上「なッ、これは……ッ!?」

静香「う……」

ドクドクドクドク....

ジャック「チィ、邪魔をッ!」

『ジ・エンド』が、奪った『静香の右腕』を横合いに投げ捨てた

浦上「クソッ!なんで……」

静香「ハァ…奴の…能力は…ウッ…『10秒以内に出来ることを終わらせる』能力です…
フフ…浦上さん、話も聞かずに闘おうとしてたから…」

静香「それに…『未来』を変えるには、私が身代わりになる必要が、あったんです…
それくらいしか…役には立てないから…」

浦上「………」

静香「(そう…最後は自分で決めなければいけないの…)」

浦上「分かった。もう喋らなくていい。そこでゆっくり休んでな」

静香を智恵に任せ、浦上は再びジャックと対峙する

浦上「『一分』で、終わらせて来るからよォ……」
 
 
 




ジャック「『ジ・エンド』!今度こそ貴様の右腕を貰うぞッ!」

――ブシャアアアアアッ!

浦上の右腕が喪失し、傷口から大量の血が流れ出す

浦上「…………」

ジャック「(な、なんだコイツ……表情一つ変えやしない!)」

浦上「………」ススス

ジャック「な……ッ!?」

ジャックは殺人鬼である
人を殺す事には快楽を感じるし、逃げるターゲットを切り刻んでやるのも気分がいい
だが

ジャック「(左腕を差し出してきやがった!ど、どういう神経をしてやがるんだ……!
今までこんな野郎は見たことが無い!)」

浦上「いいぜ…持っていけよ、『左腕』もよォ~…」

┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛┝゛.....

ジャック「ヒッ……」

ジャック「(お、落ち着け。奴の右腕は今『ジ・エンド』が持っている
は、ハハッ!そうだ、片腕で何が出来ると言うのだ!)」

ジャック「ならば望みどおりにしてやろうッ!『ジ・エンド』ォッ!」

ブシャアアアアアアッ!

左腕も、数m先の『ジ・エンド』の手中に収まった

ジャック「ハハハハハハッ!これで両腕!貴様の『スタンド』は指に装備するタイプのものだったようだが
これでもう抵抗は出来ないと言う訳だ!」

……ギャルルルルルルルル

浦上「『幻肢』…」

ジャック「……は?」

浦上「よく言うじゃあねェーか。『交通事故で失った筈の腕の感覚が長い間残ってる』
ってヤツがよォ~……。あれと一緒なんだよなァ~」

――ギャルルルルルルルルルルッ!

ジャック「……?」

『ジ・エンド』の持っている浦上の両手

ジャック「(なんだ…指が『回って』…)」

浦上「なァお前、『音速を超えられる』か?」

ジャック「な、何を言っている!」

浦上「まぁワカンネーならいいや。『トンガリ・コーン』はな――」

ギュアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!

ジャック「(こ、こいつの両腕……ッ!)」

ジャック「マズイぞッ!『ジ・エンド』、コイツの両腕を――」

――ズガンッ!

超至近から放たれた『トンガリ・コーン』が、ジャックの頭部をメチャクチャに貫いて行く

ジャック「(おご…ふ…ッお、『終わる』のは…お、おれ…)」

浦上「――音速を超える」

ズガガガガガガンッ!

浦上「『サイクロトロン』ってヤツが……ま、もう聞こえちゃいねーか」

彼は勝った
後ろには、仲間が居る
 
 
 




【杜王町:学校跡地】

『ボス』の『側近』であるギーロは、戸惑っていた

ギーロ「何故だッ!何故テメェーが此処に居るんだッ!お前は此処に居る筈がねェ!
今も『幻覚を見てるお前が』、俺の隣に居る筈がねェーーー!」

ギーロ「(ましてや『スタンドに触れている』だと!ありえる筈がねェ!)」

バッジョ(?)「………確カニ、私ハ『ロベルト・バッジョ』デハナイ」

バッジョ(?)「ダガ……『ソウデモアル』」

ギーロ「わ、訳のワカラネーことをごちゃごちゃと!」

『ザ・ミラクル』が掴まれていない方の手を振りかざす
だが、それはまるで霧を払っているようで、バッジョ(?)には効果が無い

バッジョ(?)「慌テル事ハ無イ…モウジキ、主人(ますたー)ハ目ヲ覚マス…」

サラサラサラサラサラ......

ギーロ「(き、消えて行くッ!一体何なんだコイツは!)」

『地図』が、完全にバッジョの中へと沈んで行った





【スタンド名:ジ・エンド】
【本体名:ジャック・ザ・リッパー】
敗北、再起不能.....

【スタンド名:トンガリ・コーン】
【浦上裕也】
勝利、M・Gに治癒を受ける
【スタンド名:ティアーズ・オブ・マグダレーナ】
【本体名:村上静香】
勝利、M・Gに治癒を受ける
【スタンド名:マテリアル・ガール】
【本体名:神尾智恵】
勝利、再起可能
【スタンド名:サークル・オブ・ロック】
【本体名:船上明美】
気絶から回復
【スタンド名:サテライト・O】
【本体名:米沢昌俊】
『ジ・エンド』の能力で心臓を潰されて死亡
『生徒を護る』と言うその意志は浦上に引き継がれた




To Be Continued.......




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