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【スター】オリジナルスタンドSSスレ【ゲイザー】第二話

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orisuta

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カーテンの隙間から、朝の爽やかな光が部屋に差し込む。


遥「・・・うぅ~ん。爽やかな朝ってやつね。


彼女の名前は上城 遥(カミシロ ハルカ)
県立高校に通っている。


遥「ご飯作らなくちゃ・・・


のそのそとベッドから起き上がり、朝食の準備を始める。
幼いうちに両親を亡くし、その後親類の家に預けられていたが、反りが合わず家を飛び出した。


それから2年間、独り暮らしである。
クラスの友達(と言ってもあちらが勝手に思っているだけだが)は「えぇ~、良いな~羨まし~い」なんて言ってくるが、
独り暮らしの大変さや寂しさは、体験した者にしか分からない。


そういった意味でも、自分は彼らとは分かりあえないと、遥は思っている。


整然としたキッチンでお湯を沸かし、コーヒーを入れる。焼きたてのパンにマーガリンをたっぷり塗って、目玉焼きを別皿に盛りつけて完成。


遥「いただきます。


テレビを付け、朝のニュースをチェック。パンを頬張りながらテレビを見る。


遥「――ッ!


また通り魔事件だ。しかも自分と同じ町。


ドドドドドドド・・・


遥「連続・・・通り魔殺人・・ッ(被害者はスタンド使い・・何の目的があってこんな事を・・・


―――ピンポーン。


その時、玄関チャイムの音が鳴り響いた。
 
 
 




遥「・・・ふぅ。


軽くため息をついてから席を立ち、出来るだけゆっくりと着替えを済ませ、覗き窓を覗く。


――~♪


そこには、鼻歌を交えながら帽子のかぶり具合をチェックする男が一人。

男の名は「横尾 悠(ヨコオ ハルカ)」
先月転校してきた、自称【遥のボーイフレンド】だ。


――ガチャ。

悠「おっす!おはようジョジョ!


遥「ジョジョって呼ぶのやめてくれるかしら?

悠「ヌフフ~・・だって名前が同じハルカだからさぁ。上城の呼び方を変えて・・・

遥「・・はぁ。分かったわよ、好きにすれば?


悠「でもこの呼び方だと、結婚した時、困るよな・・

遥「うるさい!とっとと行くわよッ!!



―――学校

女子「おはようジョジョ。今日も仲が良いわね!


遥「おはよう。


悠「ヌフフフ・・やっぱ俺達そう見えるのかなぁ?


遥「・・四六時中つきまとわれたんじゃあね。


遥の横を歩いていた悠が突然ズイ、と前に出て向き直る。


悠「・・今朝のニュース見たか?

遥「見たわよ。それでくっついてるんでしょ?アンタは。

悠「・・・分かってんじゃん。

遥「それで、その通り魔が私を狙っている証拠でも?

悠「それは・・無いッ!ヌファファ!!

遥「はぁ~・・


そんなやり取りをしながら二人は教室へと向かって行った。

そんな二人を・・影から覗く者が一人

??「・・・あれが噂の二人か・・・


ドドドドドド・・
 
 
 




――昼休み。


相も変わらず、ベタベタと遥にまとわりついてくる悠。


悠「なぁなぁ、ジョジョ~。次の休みに二人で出かけようぜェ~。


遥「・・・やっぱりその呼び方やめて。
最近じゃ、みんなも真似してそう呼ぶのよ。


悠「良いんじゃないの?ヌフフ・・・最近じゃ公認カップルだぜ、俺たち。


遥「ばッ、馬鹿ッ!!


事実、毎日一緒にいる二人は、端から見れば仲の良いカップルに見えるのだろう。


遥はそれを嫌がっていたが、この男が側にいるようになってから友達が出来た。


誰に対しても分け隔てなく接する悠が、周りとの仲を取り持ってくれていた。
自分が【猿】と見下していた奴らも、話してみれば、なかなか面白い。・・・決して分かりあえる事はないとしても。


遥「(・・・ま、その点に関しては感謝してあげても良いかな。




??「・・・失礼、上城 遥さんですよね?


不意に声を掛けてきたのは、今まで見たことのない男子であった。
どこか飄々とした雰囲気を漂わせている。


遥「・・・そうだけど。おたくは?


??「あっと、これは失礼。僕は3―B【柳井 源太 (ヤナイ ゲンタ)】宜しくね。



遥「せ、先輩でしたかッ!失礼しました!!


ガバッと立ち上がり、直立不動の姿勢で礼をする遥。
 
 
 




柳井「アハハ・・・体育会系のノリは苦手なんだ。普通で良いよ。


遥「・・・


それを聞いた遥は椅子に腰掛ける。


遥「・・・そぉ?じゃあ立ってるついでに購買でジャムパン買ってきて。お金、渡しておくわね 。


悠「・・・・


柳井「・・・


悠「(お、おい!普通って言っても限度ってもんが・・

遥「・・?


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・


悠「(ほら、怒ってる!

ゴゴゴゴゴ・・・


柳井「・・アハハッ!君、本当に変わってるね!


遥「・・・??


悠「(良かったァ~、怒ってなかったみたいだな。


柳井「ジャムパンくらい奢るよ。その代わり・・・二人とも屋上まで来てくれるかな?あそこで食べる昼飯は格別でね。

遥「・・・・・・

遥「・・・

遥「ラッキ~ッ!
今月ちょっと苦しかったのよね!

悠「(敵ではなさそうだし、まぁ・・良いか。

柳井「じゃあ、行こうか。


ニコッ


柳井の笑顔に促され、二人は後を付いていった。
 
 
 




遥「う~ん・・天気の良い日に屋上ランチなんて最高ね!


初夏の日差しを浴び、気持ちよさそうに伸びをする遥。


悠「良いんですか先輩。こんなに奢ってもらって。


柳井「気にしないで。ところで、ここはもうすぐ雨が降る。
早速始めさせてもらうよ。


悠「ヌフファ・・こんな良い天気なのに、雨なんか降るわけ・・・


――ポッ


悠「―――ッ!?



柳井「・・・降ってきた。


遥「あらら・・狐の嫁入りね。
・・・ん?



――ゴオォオォッ!



何かが凄いスピードでこちらへ向かってくる。


遥「横尾ッ!!――何か来る!


悠「・・・みたいだな。柳井さん、あんたの仕業か?


柳井「いや、僕のスタンドは雨を降らす事は出来ない・・・雨が降りそうなのを感じるだけさ。


――ッゴオォ!


遥「来るぞッ!


悠「スペース・カウボーイ!!


S・C「YEAHHHHHッ!!


ドシュドシュドシュッ!!



すれ違いざまのラッシュも手応えがない。

悠「・・――くそ。



―ブシュァアッ!



悠の両腕から血が吹き出るッ!



遥「何やってんのッ!?いつもみたいにしなさいよッ!


ドドドドドドド・・・


悠「やったさ・・単に能力を使う前に、アイツが射程の外に飛び去っただけの話だ。縄も千切って行きやがって、大したスピードだぜ・・


ドドドドドド・・・
 
 
 




遥「横尾ッ!大丈夫ッ!?


悠「あぁ、しかし・・・動きを止めない事には・・・



柳井「僕のスタンドが・・・君達に捕らえられるとは思わないけどね。
ま、試してみれば良いさ。



――シュゴォオアッ!



遥「また来るッ!スター・ゲイザーッ!!
ォオ!オラオラオラオラオラオラオラァッ!!



――シュゴッ!!


遥「・・当たったわ。一発だけね。


――ブツブツブツッ


遥「――ッ!?


怪我は、なかった・・・だが、遥の制服の袖ボタンが、全て取れている。


遥「どういうこと?あんたがその気ならやれた筈よ・・


柳井「別に女の子をいたぶる趣味は無いからね。・・・ベッ



柳井は口から血と共に、歯の欠片を吐き出す。



柳井「だが、この程度を破れない様じゃ些か期待ハズレだね。


ドドドド・・・・


遥「・・・あれはあんたのスタンドなのね。だったらあんたも期待ハズレね。


悠「ッ!!?おいおぃぃ、何をッ!?



猛然と柳井に近づく遥!



柳井「あッ!!まさか・・・ッ!
 
 
 




ドドドドドドッ・・・


遥「そんなにビビらなくても・・大丈夫よ。
スタンドで防御出来ない相手を痛めつける趣味はないわ・・・ッ!



柳井「くぅッ!


――ガシィ!


スタンドで柳井を組み伏せ、柳井もろとも屋上から飛び出す遥!


――ガシャァッ



柳井「しょッ!正気か!?15m近いんだぞッ!


遥「勿論よ、私は落下の衝撃をスタンドで和らげる事が出来るけど・・・あんたはどうかしら?



柳井「うおぉおぉおッ!!?



自由落下を始めた身体は、地面へと向かって行く。



柳井「【アクロース・ザ・メトロポリス】ッ!僕を・・僕を受け止めろォ~ッ!



――ヒュゴォオ!
ガッシィィ!


遥と柳井。二人を受け止めた巨大な鳥型のスタンド。二人は落下を止め、宙に浮いた状態になる。
地面までおよそ8m。


柳井「ハァ・・ハァッ・・危なかった・・ぶ、ブッ飛んでやがる・・



遥「まだ終わってないわッ!あんたのそのスタンド・・ブン殴らせてもらおうかしら!!



柳井「――ッ!や、やめろッ!!そんな事したら二人とも・・・・・落ちるんだぞォオ~ッ!?



遥「ォォオッ!!


剛腕が唸りを上げて柳井に襲いかかるッ!!



――ドグシャァッ!!
 
 
 




柳井「・・・ごはっ



強烈な打撃をまともに受けた柳井は気を失う。


それに伴いスタンドという空中での安全を保証するものが消えると、二人は再び地面に向けて落下し始めるッ!


地面まで約8m!


遥「・・・さて、と。どうしたものかしらね・・


地面まで6m・・


遥「私は平気でも、こいつは気を失ってる訳だし・・



4m・・・



2m・・


遥「えぇい!一か八か、やるしかないッ!
オォオッ!!
スター・ゲイ・・


――ガクンッ!


遥「うげっッ!!


・・・・・・・


・・・・


二人の身体は、再び空中で止まっていた。



悠「おぃおいおい~ッ、怪我人に無理させるんじゃあないぜ。ヌフフッ


遥「・・・命綱があるなら最初から言いなさいよ。


悠「いやいや、俺の縄は最大で10m・・・屋上からは届かないのよ。だからこうやって3階のベランダに捕まってんだろ?


見れば・・・悠は3階の手すりに片手で捕まり、片手で二人を支えていた。


怪我をした手で二人の体重を支えているのだ。


遥「・・・分かった、大丈夫だから降ろして頂戴。手当をしないと。



悠「OK、ジョジョ
・・っと、おわららッ!?


雨に濡れた手すりはよく滑る。


悠「やっべッ!!
 
 
 




悠「――ッ!(マズいッ・・・


悠は一瞬、死を覚悟したがそれは杞憂に終わった。


―――ドサッ!!



遥「・・危なっかしいわねッ!


この少女からは想像出来ないような、屈強なスタンドに悠の身体は受け止められ
たのだ。


悠「助かったよマイスウィートハニィー・・・


遥「・・・・


―ドサッ


悠「痛ッ!いきなり落とすなんてヒドいんじゃねえか?


遥「はぁ~・・・ちょっと甘い顔すれば、すぐこれだ。

遥は、ため息をついて首を横に振る。



柳井「う、うぅ・・・


悠「おっと、お目覚めだぜ


遥「・・・・



柳井「僕は・・負けたのか。・・流石、噂になるだけの事はある・・
君達になら、任せられそうだ。イタタ・



遥「・・はぁ?任せるって?あんたこそブッ飛んでんじゃないの?


柳井「すまなかったね。ちょっと君達の力を知りたかったから・・痛ッ!ねえ、もしかして、あばら折れてない?


遥「知るかボケナスッ!大体何だッ?試すような真似しやがって!


柳井「実はね・痛ッ・・この学校にいるスタンド使いが・・・件の連続殺人鬼から護っているモノがあるんだ・・痛ッ



遥&悠「――!?



――ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
 
 
 




ゴゴゴゴゴゴ・・・


悠「するって~と・・・この学校にはスタンド使いが一杯いるって事かい?


柳井「・・まぁ、それなりにな。イタタ・・


遥「その【護ってるモノ】って何よ?


柳井「それは俺も詳しくは知らない・・ッ痛!!


遥「・・(痛い痛いうるせぇーなぁー)
で?何で(通り魔)殺人鬼が狙ってるって分かる訳?


柳井「・・それは俺も知らない。ただ、奴は・・痛ッ!
【ソレ】を探しているらしいんだ。詳しくは分からないが信頼出来る情報だ。
俺は末端だから、詳しくは知らない。
後日、グループから連絡が行くと思うから・・・って言うか絶対折れてるよねッ?これ?



悠「(うるせぇなぁ~)んで?俺たちを仲間に引き込もうって話?



柳井「・・そうさ。
君が何故知っているかは不明だが、殺されているのは全てスタンド使いだ。
僕らの仲間も何人かやられてる。
・・・未だにどんな奴が犯人か分からない。不気味だよ・・



悠「ふ~ん・・・まぁ、引き受けるなんて誰も言ってないけどな。ヌフッ


柳井「―――ッ!(コイツッ!ここまで聞き出しておいて何てヤローだ!!)


遥「ま、私も手伝うつもりなんかないけどね・・・


――ドドドドドド・・


柳井「・・・分かったよ、今日は引き下がろう。
だけど【スタンド使いは引かれ合う】んだ。


君達が望もうが望むまいが・・・運命の引力ってのは存在する。
その事を覚えておきなよ―――


ドドドドドドド・・・
 
 
 


上城 遥
スタンド【スター・ゲイザー】
怪我はしなかったが、飛んだボタンが見つからずちょっとヘコむ。
横尾 悠
スタンド【スペース・カウボーイ】
両腕に裂傷。全治2週間程だが、
遥に抱き抱えられて結構幸せ。
柳井 源太
スタンド【アクロース・ザ・メトロポリス】
肋骨を2箇所骨折
遥達の勧誘に失敗・・

使用させていただいたスタンド


No.293
【スタンド名】 アクロース・ザ・メトロポリス
【本体】 柳井 源太
【能力】 スタンドを上空に飛ばすことで、町一帯を俯瞰する事ができる




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