「では、ニュースの続きです。
昨日午後、市内の県立Y高校で爆発が起こりました。
現場からは、女性の遺体が発見され、現在警察が捜査を進めて・・・
悠「・・・。
悠母「食欲がないの?まぁ学校で、あんな事件が起こったんじゃ仕方ないけどねぇ。夏休み中でホント良かったわぁ~。
悠「いや、大丈夫。
それより今日、友達が遊びに来るからさ。
悠母「分かったわ、どうせ出かけるんでしょ?
悠「あぁ~・・・多分。
悠母「そう、お母さんパートに出るから鍵閉めて行ってよね。
それから、冷蔵庫の中にジュースと、戸棚にお菓子入ってるから!
あ~、もうこんな時間ッ!じゃあ行ってくるわね!
悠「はいはい。
誰もいなくなったリビングを手持ちぶさたに歩き回る悠。
どれくらいの時間が経ったか
―ピンポーン
――誰か来た。
画面をのぞき込むと、どこかで見た男が一人。
ゴゴゴゴゴゴ・・・
悠「・・誰だっけ?
男「横尾ッ!いないのか?
悠「思い出せねえな・・まぁいいか。
居留守を決め込もうと、ソファに身体を投げ出しテレビのリモコンに手を伸ばす
。
男「居るなら返事くらいしろ。
悠「!?おわッ!・・て、てめえ!どこから入ってきやがったッ!?
男「玄関・・鍵が開いてたぞ?
悠「(あちゃ~・・)
で、あんた誰だよ?
強盗には・・見えねえよな。
男「・・・幸田だ。
悠「あぁ!!思い出したッ!
氷室達と一緒に奴らと戦ってくれたって話を聞いた!
感謝するよ。
ん?・・・・奴・・ら?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
幸田「どうかしたか?
悠「(・・・明菜はあの時アクセンスターが頭のないスタンドを消したと言った・・!
能力を目撃したから認識出来てる(覚えていられる)と思っていたが・・
問題はそこじゃねぇッ!!
氷室も柳井も・・疑問を感じた様子はなかった・・・
つまり、【敵は消されていない】ッ!?
――ドンドンドンッ!
ドアを強く叩く音に、反射的にスタンドを出す悠。
柳井「横尾ッ!僕だ!開けてくれッ!
悠「・・柳井か。
開いてる、上がってくれ。
息を切らせて、家に上がる柳井。
柳井「はぁ・・はぁ・・横尾ッ!
僕は、とんでもない事に気付いたッ!
あって欲しくないけど、でもそうでないと説明がつかないッ!
ドドドドドド・・・
悠「殺人鬼のスタンドは、消されていない・・だろ?
柳井「・・・そうだ!
幸田「殺人鬼と言うと・・・赤髪女のスタンドか。
柳井「!・・あ、あんた、何でここにッ!?
悠「さぁ・・?
幸田「俺は幸田。
昨日病院で、輸血してもらったんだ。
そこで、関口と言う男に会ってな・・・
お前等の力になってやってくれと、頼まれた訳だ。
悠「関口?
柳井「横尾・・担任だろ?
上城もそうだけど、君らは人の名前を覚えるようにするべきだよ?
悠「ぁあ~、悪い悪い。・・・で、この後どうするよ?
柳井「どうするって・・・
悠「倒すしかないだろ。
未来へ進む為に、過去は清算するモノだぜ?
柳井「・・・そうだね。
悠「今9時ちょい前、ジョジョ達が来るのが3時・・・
6時間以内に見つけだしてブッ倒すッ!
庵治!お前も手伝え!
柳井&幸田「?
庵治「仕方ねぇなぁ~。今回だけだぞ?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・
―ドバァッ!
悠の影から魚型スタンドが飛び出すッ!
庵治「ふぅ~・・横尾、お前の影の中、なかなか快適だったぜ!
悠「そりゃどうも。
庵治「ま、若い女の子にはかなわないけどなッ!ギョギョギョ・・ッ!!
柳井「・・(笑ってるのか?
庵治「No.7。生きてたのかよ?
幸田「俺はグループと共にその呼び名は捨てた。
今は、幸田と言う名前だ。
庵治「ふーん・・ま、俺も似たようなもんだけどな。
柳井「よし・・・僕は首なしを探してくる。
あれだけ目立つんだから、すぐ見つかると思う。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・
――遥のアパート。
「次のニュースです、今朝未明首を切断された男女数名の遺体が各地で発見されました。
県立高校で発見された遺体と、同じ殺害方法から同一犯との見方が強まって・・・
―ザァ――・・・
―キュッキュッ・・
―ガチャ
遥「・・ふぅ~、スッキリ。
「・・・牡牛座のアナタ☆
ちょっとした不注意で、思わぬ怪我をしてしまい・・・
―ブツッ
遥「やだ、テレビ点けっぱなしだったわ。
テレビの電源を消し、手早く着替えを始める遥。
ヒゲ「(遥。行くのか?
遥「えぇ、今日の昼過ぎには出るわ。 2、3日で帰ってこれると思う。
私がいない間、あんたの面倒は明菜がみてくれるから、大丈夫よ。
ヒゲ「(そうか・・
死ぬかもしれないんだぞ?
遥「・・・覚悟の上よ。
乱童を止められるのは、多分私達だけ。
それに、両親の事もちゃんと知りたいし。
ヒゲ「(・・・これも【運命】か。
遥「そうかもね。
あの日、横尾と会わなければグループに目をつけられる事もなかった。
でもそうなることで、私は両親の手がかりを掴めた。
【運命】か・・・
良く、自分で切り開くものだって言われるけど、本当にそうなのかしらね?
上着に袖を通しながら独り言ともとれる言葉を漏らす。
ヒゲ「(さぁな。吾が輩には分からない。
それは誰にも・・・
遥「・・そうよね。
大切なのは運命じゃない、切り開く意志こそが大切・・・
ヒゲ「(遥がそう思うなら、そうだろう。 ・・・死ぬんじゃないぞ。
遥「勿論。死ぬ気なんかさらさら無いわ。私は、両親への誇りを取り戻す・・・そして乱童を止める。
言って、遠くを見つめる遥の瞳には、固い決意が溢れんばかりであった・・・
ドドドドドドド・・
――氷室宅。
明菜「本当に行っちゃうのね?
氷室「あぁ。奴らに死なれちゃ寝覚めが悪いしな。
明菜「私を置いて?
氷室「・・・すぐに戻るさ。
明菜「死ぬかもしれないのに?
もう会えなくなるかもしれないのに?
氷室「・・・・死なねえよ。
俺は、絶対に死なねぇッ!
明菜「・・信じていいの?
氷室「当然だ、俺を誰だと思ってる?
帝王だろうが、神だろうが・・・遠慮なくブン殴れる氷室様だぜッ!?
明菜「フフフ・・久しぶりに聞いた~それ!
氷室「ん?そうか?
明菜「そうよ~・・・・
――!?
不意に明菜の顔に驚きの表情が現れる!
氷室「・・?どうした?
明菜「後ろッ!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・
氷室「―ッ!?
―バッ!
勢いよく振り返った氷室の後ろには・・・
十数名は居るだろうと思われる、黒服の姿があった。
氷室「・・大丈夫だぜ、明菜。
敵じゃない。
明菜「・・・え?
黒服「坊っちゃま、用意出来ました。
黒服の一人が、氷室に耳打ちをする。
氷室「分かった、ご苦労だったな。
明菜「・・???
氷室「驚かせて悪かったな。
こいつらは護衛だ。
明菜、お前のな。
明菜「・・はぃ?
氷室「言ってなかったけどな。
今、続々と出来てる工場地帯の会社は
全部うちの傘下の会社だ。
明菜「え?・・・えぇッ!?
氷室「つまり、俺は大金持ちのお坊ちゃん・・・って訳だ。
ま、会社は兄貴達が継ぐから俺は穀潰しって奴だけどなッ!
ハハハ・・・
明菜「そんな、いきなり言われても・・・現実味がないわねぇ・・・
氷室「だろうな。俺もだ・・・
生まれてからずっと、兄貴達の陰になって俺は穀潰しだからな。
卒業したら家を出るつもりだ。
それで・・・もし、お前さえ良かったら
お前が卒業した後、結婚して欲しい。
明菜「・・・・ッ!!
氷室「返事は直ぐにとは言わねえ。
俺が帰って来たらしてくれれば良い・・・
・・・部屋を用意してあるからそこで待っててくれよな。
氷室の突然のプロポーズに激しく動揺した明菜は、それから
何を話したかなど、全く頭に入らず
氷室の見送りすら満足に出来なかった。
ただただ、プロポーズの言葉と別れ際のキスの感触だけが脳内をしていた・・・
柳井「じゃあ、作戦通り行こう・・・
ゴゴゴゴゴゴゴ・・
悠、柳井、幸田の三人は物陰から、かつての殺人鬼「市川」のスタンド【カメリア】の様子を伺う・・・
悠「OKだ。
幸田「任せろ。
ドドドドドドドドド・・・
唸り声を上げながら(と、言っても一般人には聞こえないが)
歩道を闊歩するカメリア。
悠「人間が側にいるのに・・襲わない?
幸田「恐らく、高い精神エネルギーを持つものしか認識出来ていないんだ。
悠「精神エネルギー?
幸田「スタンド使いさ。
研究資料によれば、
暴走し、本体というエネルギー源を失ったスタンドは殆どが形を保てず霧散し、消えた。
だが、中には他者を捕食あるいは殺害しエネルギーを補充するスタンドもいたそうだ。
ほとんどの暴走捕食スタンド達は、優先的にスタンド使いを狙った・・・
簡単に言えば【スタンド使いは栄養満点】って事だな。
悠「な~るほど。わかりやすい説明どうも。
殺したいから殺すから、存在する為に殺す・・・か。
柳井「いずれにしろ好都合だ。余計な犠牲者が出ないで済む。・・・行くよッ!
―バサァッ!
柳井のスタンドA・T・Mが翼を広げ飛び立つ!
カメリア「!!見ツケタ!
殺スゥウウゥッ!!
猛然とA・T・Mを追いかけるカメリア。
柳井「(まずはおびき出し成功・・・
―ゴォオオオッ!
風を切り、カメリアの手の届かない高さを飛行するA・T・M。
悠達も後を追う。
そして着いた先は、公園だった・・・
カメリア「殺ッ!殺ッ!殺スゥッ!!
柳井「え・・・!?
悠「おいッ!?マズイ!!
幸田「計算外だな・・・ッ!
カメリアは柳井を追いかけるのを止め、
公園で、一人で遊んでいる少女へと駆け寄るッ!
柳井「くそッ!
あの子、スタンド使いかッ!?
ドドドドドドドド・・・
少女「あ・・・・
少女の瞳に恐怖の色が顕わになる。
悠「見えてる・・・!あの子もスタンド使いだぞッ!!
幸田「しかし・・追いつけないッ!!
少女の目の前まで迫ったカメリアが、手に持つ大鉈を振り上げる。
少女「―ッ!?
柳井「間に合え・・ッ!!
方向転換をしたA・T・Mがカメリアに向かって速度を上げる!
カメリア「死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死死ネェッ!!
大鉈が・・・振り下ろされた。
―ズグシャアァアッ!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
―ゴポッ・・・
血が空気を含んで溢れる様な音をたて、
地面へと滴る・・・
カメリア「ギギギ・・・ゲヒャヒャヒャヒャヒャッ!!!
死ンダカ!?
悠「・・・!!
幸田「何て事だ・・!
柳井「・・・ゲフッ
少女とカメリアの間に割って入った柳井は、首元から腰に掛けて、バッサリと切られ
そのまま地面に突っ伏すようにして倒れる。
流れ出る血液の量から判断するに・・・・このままでは、助からない。
悠「柳井ィッ!?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・
柳井「・・ゲフッ。
まだ・・生きてる・・ッ!
影を・・・
幸田「奴を倒して早く病院へ!
それが彼の助かる道だッ!!
悠「分かってるぜ・・・奴を倒すッ!それしか道はねえ~~~ッ!!
―ドバァアアアッ!
悠は有らん限りの力で跳躍し、柳井の側に着地する!
東から上る太陽のおかげで、倒れた柳井の身体でもわずかながら影が出来ており、それを【踏んだ】。
―ズブ・・・
悠の身体はわずかに沈み、移動が出来なくなる。
―バシュウッ!
続けて、幸田と少女の身体を縄でくくり
二人の場所を入れ替え、自身とカメリアの居場所を入れ替えるッ!!
入れ替えにより、カメリアの移動は制限されたが・・・瀕死の柳井のすぐ脇になってしまった。
悠「(くそッ!本当なら柳井は上空で影を作る予定だったんだがなぁ・・・
言っても仕方ねぇ。
結果・・悠、幸田、柳井、カメリアが集まり
少女が離れた形になる。
カメリア「タクサンイル・・・殺ォオオス!!
幸田「まだだッ!庵治、俺の影にッ!
幸田が柳井の東側に立ち、影を重ね
庵治はその影を伝い幸田の影へと移動する。
悠「・・・なるほど。影を重ねることで能力解除せずに入る影を変えられるって事か!
庵治「その通りッ!
これで柳井は動かせるッ!!
幸田「早く病院へッ!!
悠「・・だ、だがッ!!
―ブォンッ!
悠「ッ!?
―ガシィイ!
―グググ・・・
悠の首をはねようとした大鉈が、D・Mによって受け止められる。
ドドドドドドドド・・
幸田「・・・いいから行けッ!
それでも二対一だッ!充分勝てる!
悠「わ、分かったッ!!
柳井を起こし、肩を貸す形で出口へと向かう悠・・・
―ガッ
悠「痛ぇッ!
少女の脇をすり抜ける途中、何かに躓き派手に転んでしまう。
悠「や、柳井!大丈・・・夫・・!?
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
悠「・・・?
少女の傍らに、何か大きな塊があり
その陰から柳井の手だけが・・ブラブラと見えていた。
悠「な・・・!?
少女が振り向くと同時に、塊もこちらへと振り向く。
ドドドドドド・・・
塊は・・大きな【顔】であった。
大きな顔の大きな口から、柳井の手が出ている。
悠「(スタンド・・・!!柳井が・・喰われたッ!?)
少女は、笑顔のままである。
悠「て・・
少女「シーッ!
少女は、人差し指を口に当て、「静かに」の動作をする。
悠「・・・?
少女「この子の機嫌を損ねたら、このお兄ちゃん助からない。
ドドドドドドドド・・・
塊「モゴモゴ・・・ファファイノファファエハ【ボー・ファイン・ヒッフフ】!
悠「・・(な、何を言ってるのか全然分からねえ・・・
少女「ごめんなさい。口の中一杯だから・・・
この子は【ゴー・ナイン・シックス】
怪我を治す能力よ。
G・N・S「フォフフフェッ!!
「ファン」フフェデ呼フィナ!!
少女「あぁ~、ごめんね。ゴー・ナイン・シックス【さん】
G・N・S「モゴモゴ・・・モゴ・・
ペッ!!
―ドサッ
G・N・Sの口から柳井が吐き出される。
悠「柳井ッ!
少女「血は止まって、傷も塞いだけど 失った血液は戻らないわ。しばらくは気絶してると思う。
悠が見ると、柳井の身体にあった傷には
既に新しい皮膚が薄く出来始めている。
出血もなく、本当に怪我が治りかけていた。
悠「・・すげえ。
けど、涎でベタベタなんだが・・・
柳井は身体中が濡れていて、日差しに当てられ気化した涎は何とも言い難い臭いだ。
少女「我慢してよ、仕様なんだから。
G・N・S「テメェ!鼻ヲツマムナッ!
治テヤッタノニ、ソノ態度カッ!?
悠「わりぃわりい・・・ヌフフ。
ともあれ、これでとりあえずの心配は消えたな。
嬢ちゃん、悪いがコイツの事しばらく看ててくれ!
少女「分かったわ!
ドドドドドドドド・・・
庵治「おいおい!ヤバいんじゃないのか?お前、本調子じゃないんだろう?
幸田「・・・ぐっ!
そりゃ・・そうだ。
病院を抜け出してきた位だからなッ!!
ゴゴゴゴゴゴ・・・
カメリアの両腕を押さえる幸田(D・M)だが、じわじわと力負けし始めている。
カメリア「殺・・・スッ!!
―グァッ!
幸田「うぉおッ!?
このパワー・・強いッ!
―ドガァッ
つま先でカメリアのみぞおちを蹴り、体勢を崩させる。
庵治「離れすぎるなよ?つかず離れず、ギリギリ影を踏ませてろッ!
幸田「分かってるさ。
―ズブブッ・・
攻撃を仕掛けようと近づくカメリアが、また少し影に沈む。
が、構わず攻撃を繰り出すッ!
―ブォブォンッ!
幸田「・・くっ!
(こうも近くちゃ、全部避けきれるか怪しいぞ・・ッ!
鉈を回避した幸田の首の包帯が、パラパラ・・と切れ落ちる。
幸田「・・・ォオアァッ!!D・M!
―ドゴドゴォッ!!
カメリア「・・・グァッ!
左右の鉤突きを喰らい、またも少し影に沈むカメリアだが
致命的ダメージには至っていない。
庵治「なんてタフな野郎だ・・
幸田!パワー不足だッ!殺されるぞッ!!
幸田「・・・くっ!
カメリア「ウシャアァアアッ!!
―ガシィッ!
遂に、幸田の首根っこを捕らえるカメリア。
カメリア「コノママ・・引キチギッテ、野良犬ノ餌ニシテヤルッ!!
庵治「幸田ッ!?
幸田「うぐ・・ッ!
D・M・・・!
引きはがせッ!
ゴゴゴゴゴゴ・・・
―ブチィッ!
幸田「ぐぁあッ!?(・・・引き・・はがせないッ!?
かつて、己がつけた傷に指を突っ込み傷口を押し広げるカメリア・・・
―メチメチ・・ッ!
傷口を無理矢理広げられている幸田には耐え難い激痛が走るッ!
幸田「うぐぁあぁあぁあああぁッ!?
カメリア「ゲハハハハ・・・ブチマケロォッ!!
―ドグシャアアァアッ!
皮一枚で繋がっているソレは、落ちた時の反動で二、三度横に揺れ・・・
そして、地面へと落ちる。
―ドチャッ。
ドドドドドドドド・・・
庵治「こ・・・幸田ァッ!!
幸田「・・・何とか・・大丈夫だが・・傷は頸動脈まで達しているな・・
長くは動けないぞ・・
D・Mの一人が必死の形相で傷口を押さえているが・・・幸田は膝を着き顔色が悪い。
カメリア「・・!?
カメリアは、天を仰ぎ見ていた。
自分に何が起こったのか・・それすら理解出来ずに。
ドドドドドド・・・
悠「はぁッ・・はぁッ!
息を切らし、腕から血を滴らせる悠。
カメリアは、血走った眼で辺りを探り・・・地面に落ちた自分の両腕を見つける。
カメリア「ウギィイイイィッ!!
怒りとも絶望ともとれる声をあげて、身体はバタバタと暴れ
その度に影へと沈みこんで行く。
そして最後は、―トプン。という音をたて、完全に影の中へと呑み込まれた。
庵治「やったぞ!!
殺人鬼を倒したッ!
悠「・・・まだだッ!頭と腕が残っている・・・!
完全なトドメをッ!!
悠が、カメリアへと一歩踏み出そうとしたその時。
悠の足から血が吹き出し、そのまま転倒してしまった。
悠「(・・くそッ!強くぶつけた反動で俺の身体もボロボロじゃねえか・・ッ!
なんとか立ち上がろうとするも、力を入れる度に筋肉が裂け、転ぶ。
悠「く・・・そ・・!
庵治「お、おい!横尾ッ!?
悠「・・・・・(駄目だ・・意識が・・遠のく・・・)
ドドドドドドド・・・
庵治「・・・(おいおいおいッ!?どうすんだよッ!?
カメリア「ゲハハハハハッ!!
―ドスッ!
―ドスッ!
腕に持つ大鉈を影に突き刺すカメリア。
庵治「うぉおおッ!?コイツ・・・ッ!気づきやがったのか!?
マ、マズイ・・ッ!
―ドスドスッ!
カメリアの大鉈が影の中の庵治を着実に追いつめる。
庵治「確実に近づいて来てやがる・・ッ!畜生!手伝うなんて言うんじゃなかったッ!!
――ぉおおぉッ!
――ドズゥウッ!!
庵治「・・・?
今まさに、庵治に突き刺さらんとしていたカメリアの大鉈が動きを止める。
カメリア「・・・?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
つい先程・・片づけたはずの男が立ち上がり、こちらへ向かって来る・・・
ドドドドドド・・・
柳井「はぁ・・はぁッ!
・・・そこまでだ!
カメリア「グルルォオァ・・・
―フワ・・
カメリアの唸り声と共に両腕が浮かび上がり
柳井を新たな標的と定め、襲いかかるッ!
―ドバァアーッ!!
柳井「僕は・・仲間が死ぬところなんて、二度と見たくないんだ。
カメリア「死ィイイイネェエエエエッ!!
柳井の立ち位置まであと1mという所まで、カメリアが迫る。
―ドズンッ!
カメリア「・・・!?
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
何か大きな力に上から押され、カメリア(頭と両腕)は地面へと押しつけられる。
柳井「突発的な暴風に注意・・ってね。
柳井のスタンドは上空を旋回している。
カメリア「ナ・・ナンダトォッ!?
ナニヲシヤガッタッ!
ドドドドドド・・・
柳井「地球の大気ってのは、とても複雑なんだ・・・この街の空なら僕は生まれた時から毎日見てきた。・・何でも分かる。
ヒマラヤで蝶が飛べば云々って奴さ。
カメリア「グォアアッ!!
柳井「アクロース・ザ・メトロポリス・・・【エベレスト・バタフライ】!!
―ブォッ
カメリア「ウァ・・ガッ!?
押さえつける力から、押し上げる力へと
変わる風。
カメリアは、錐揉み状態で大空へと巻き上げられる!
―ッガシィ!!
カメリアのたどり着いた先は、A・T・Mの鉤爪の中。
カメリア「・・グァッ!!
A・T・M「クアァアアアッ・・!!
―ブヂブヂィッ!
―ボトボトッ・・・
ズタズタに千切られた両腕が地面に落ち・・消える。
カメリア「ガァアアアッ!!
チキショウッ!
チキショウッ!
チキショウッ!!
テメェ~ッ!コンナ能力ッ・・!!
A・T・M「能力・・・?違うよ。
経験と知識さ。
カメリアの頭を文字通り鷲掴みにし、力を込めるッ!
―ググッ・・
カメリア「ガ・・ァアアアアッ・・・!!
―ビシッ!
カメリアの頭に亀裂が入り、徐々に広がっていく。
A・T・M「・・こうやって、少しずつってのが好み何だろう?
カメリア「ガァ・・アア!!
・・ヤメ・・テッ!
A・T・M「そうやって、命乞いをした人たちを・・・お前は何人殺したッ!?
―ビシ・・ビシィ
亀裂は更に広がり、
崩壊寸前のカメリア。
A・T・M「時間だ・・・清算しよう。
お前を裁くのは、地獄の閻魔様じゃあない。
裁くのは・・・
裁くのは僕のスタンドだァッ!!!
クァアアアアアッ!!
カメリアの頭を地面へと投げつけるA・T・M。
ある程度まで落下した後、吹き上げる風に押し戻される形となる。
A・T・M「ァアアッ!!
―ドゴォッ!
カメリア「・・ブフォッ!
カメリアをA・T・Mの鉤爪付きの足が捕らえる!!
吹き上げる風はカメリアが地面に落ちる事すら許さず・・・
鉤爪という凶器の付いた蹴りから逃れる術を奪った。
A・T・M「クァアアアアアアァアッ!!
―ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴッ!!
カメリア「~~~!!(チクショウ!コンナクサレイ○ポ野郎ナンカニィイイイッ!!
―ドゴォオオッ!!
柳井の頭上に、かつてカメリアだったモノが降り注ぎ、消える。
―ザァーー・・
柳井「・・・勝った。
庵治「おぉお~ッ!?やりやがった!
すげぇぞ、柳井ッ!
柳井「ありがとう。・・・二人は?
庵治「今、治療中らしい。
指さす先には、大きなお口をモゴモゴさせているG・N・Sの姿があった。
柳井「・・・アレで治るんだ。
庵治「(オエェエ~ッ!俺なら耐えられねぇ・・・
ドドドドド・・・
市川(死亡)
スタンド【カメリア】
再起不能・・と言うより、スタンドは消滅した。
スタンド【カメリア】
再起不能・・と言うより、スタンドは消滅した。
少女(氏名不詳)
スタンド【ゴー・ナイン・シックスさん】
二人を治療後、無事帰宅
スタンド【ゴー・ナイン・シックスさん】
二人を治療後、無事帰宅
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