遥「・・・遅い。
氷室「・・・あぁ。
二人は既に駅へ来ていた。
約束の時間に横尾の家に行ったものの留守、携帯も繋がらなかったので、仕方なく一足先に駅で待つ事にしたのだ。
悠「悪いッ!遅くなった!!
遥「てめぇッ!待たせておいてそれだけかッ!?
柳井「いや、申し訳ない。戦闘があって・・・
氷室「・・・戦闘?
――――
―――
――
遥「へぇ~!柳井、凄いじゃないッ!
悠「あの~、俺も戦ったんだけど・・・
氷室「やるじゃねえかッ!アイツを倒すなんて大したモンだぜ、柳井!!
悠「・・いや、俺も
・・・
遥「いやぁ~、見てみたかったわぁ~!
悠「・・・ジョジョ。手ェ貸してみ?
遥「・・何よ?
はい、これで良いの?
無造作に悠の前に投げ出された腕は、どこからあんなパワーが出るのかと思う程、細く華奢である。(もっとも、パワフルなのはスタンドなのだが)
悠「・・・ヌフッ。
遥の腕を取り、何事か指で書く真似をする。
・・・そして
―ベロォオオンッ!
手首から肘にかけて内側を舐めたッ!
遥「――アヒィイッ!?
舐めた部分をゴシゴシと擦る悠。
遥「・・て、てめぇ!!何をッ!?
ゴゴゴゴゴゴ・・・
悠「いや、何・・ちょっとした悪戯ってやつよッ!ヌファファ!
ほら、臭い嗅いでみ。
遥「・・?
・・・クンクン
うわ、臭っさいッ!?
ふざけんなこの野郎ッ!
柳井「ぁあ~・・・成る程。慣れておかないとキツいかもね。
氷室「・・?
遥「・・何が?
鞄からおもむろにペットボトルを取り出す柳井。
中身は透明な液体だが、水ではなさそうだ。
気持ち淀んだ印象を受ける。
氷室「・・・で?この汚い水が何だってんだよ?
柳井「さっき離したスタンド。G・N・Sの【涎】。
遥「・・よだれ!?
氷室「よくもまぁこんなに・・・
悠「ヌファファファ・・!
柳井「すごく怪我に効くって。
臭いは仕様だから我慢してくれ。
大怪我は無理だけど
普通の怪我なら、塗り込めば治る・・・らしい。
じゃ、二人にも渡しておくよ。
そういって遥と氷室にペットボトルを渡す柳井。
遥「ありがたいんだかありがたくないんだか・・・微妙ね。
氷室「・・・(怪我だけは、しないようにするか。
?「(【よだれ】くらいなんだ。
吾が輩など洗顔から毛繕いまで全て自分のよだれだぞ。
一同「!?
遥のリュックがモゾモゾと動く。
遥「!?
―ガバッ!
リュックを開けると、中にはヒゲ(猫)が荷物と共に丸まっていた。
遥「・・ヒゲッ!?
ヒゲ「(いやはや、窮屈だった。
遥、仮にも彼氏と出かけるのだから替えの下着にも気合いを入れた方がいいぞ。
遥「―ッ!
よ、余計なお世話だァッ!!
悠「・・・(仮にも・・かよ。意外と傷つくなぁ
柳井「まぁまぁ・・・
氷室「そろそろ時間だ。
悠「やべえッ!切符買ってねえッ!!
遥「バカッ!早く買ってきなさいよッ!
悠「柳井は・・ッ!?
柳井「僕はもう買ってあるよ。
悠「うぉおおおッ!?裏切り者ォ~ッ!!
―ダダダダダタッ!
遥「横尾ッ、先乗ってるわよ!!
悠「ちょ、待っ・・・
―ジャララララァッ!
焦りすぎた悠は、盛大に小銭をばらまいてしまうッ!
―プルルルルルッ!
間もなく、1番線から・・・
氷室「さっさとしろッ!
改札の向こうから、遥たちは急かす。
ドドドドドドド・・
悠「・・!(ォオオオッ!?間に合わなねぇ~ッ!?
S・Cッ!!
―バシュウゥッ!
男「・・あ、あれ?
俺、改札抜けたはずじゃ・・??
ドドドドドドド・・・
悠「(ヌフフゥ~・・悪いが場所を入れ替えさせて貰った。
柳井「キセル・・ッ!
氷室「その手があったか。ハハッ!やるじゃねえか!
遥「・・・早くッ!
乗り遅れるわッ!!
―プシュゥー・・
―ウィーン。
悠「ふぅ~・・何とか間に合ったな。
遥「切符くらい先に買っておきなさいよ!
悠「わりいわりいッ!
遥「・・ホントにッ!
氷室「まぁ、間にあったんだからいいじゃねえか。
柳井「ちょうど席も空いてるし、座ろうか。
―――
電車が走り出して10分程。
遥「平和ね・・・
氷室「俺なんか、眠くなってきたぜ?
悠「・・・俺、トイレ行きたくなってきた。
トイレあるかな?
柳井「一番後ろの車両じゃないかな?
悠「ちょっと行ってくるッ!
悠は席を立ち、足早にトイレへと向かっていく。
―ガタンココー・・
―ガタンココー・・・
―ジャアアァ~
悠「・・ふぅ。間に合った~。
さすがの俺も公衆【自主規制】プレイは勘弁だぜ。ヌファファ~!
―ガチャ。
悠「空いてて良かったぜ、ホント。
―ドンッ。
乗客「あ痛ッ!
悠「・・っと、すいません。
乗客「気をつけて歩いてよね!もう!
悠「はぁ・・(ヌファ!オッサンがオネエ言葉かよ!
帰ったらジョジョたちにも教えてやろう、っと。
そんな事を思いながら、前の車両へ移動する悠。
―ガラガラガラ・・
悠「・・・ん?
何か違和感を感じ、立ち止まる。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
悠「・・(はて?何か奇妙だな。
その時、前の車両から車掌がやってきた。
車掌「どなたか、切符を落とした方いらっしゃいませんか~?Y駅行きの切符です。
悠「―ッ!(ラッキー!ちょうど同じ行き先だぜッ!)
はい!!俺ですッ!
なくして焦りましたよ~ッ!ヌファファ!
それに気付いた車掌は悠に近づいてくる。
車掌「ちなみに・・・どこからの切符ですかねぇ?
申し訳ないが、決まりなもんでね。
念のため・・・念のためですよ。
悠「・・(うぉ、そこまで頭が回らなかったぜ・・・)
えっと、U線の~(違ってたら違ってたでしらばっくれるッ!)K駅です。
車掌「・・・・
悠「・・・(どっちだ!?合ってる?合ってない?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
―ポンッ
車掌「落とさないように気をつけてくださいね。
にこやかに悠の肩を叩き、切符を手渡される。
悠「は、はい。ありがとうございました!(ウォォオオッ!超ラッキィーッ!!
そして悠は再び歩き出した。
―ドンッ。
乗客「あ痛ッ!
悠「・・っと、すいません。
乗客「気をつけて歩いてよね!もう!
悠「はぁ・・(・・・?さっきも同じ様な・・・てか、同じ顔?
―バッ!
後ろを振り向く悠。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・
悠「(さっきの違和感は・・・これか。
車両の端にはトイレがあったのだ。
先ほど通った時には・・
無かった物が。
悠「一体どういう事だッ!?
―ジャアァアア・・
―ガチャ
悠「ッ!・・・な!?
悠は、その場で目を見開き、しばし思考が停止する。
ドドドドドドド・・・
悠「空いてて良かったぜ、ホント。
・・・ん?
悠「・・お、俺が居るッ!?
ドドドドドドド・・・
悠「明らかなスタンド攻撃ッ!
この車両の乗客も全員、後部車両にいた!!
・・・だったら、敵は【車掌】だぁッ!!YEAHHHHAッ!!
車掌「ッ!!
―ドッゴォオッ!!
乗客「・・ぐぇっ。
悠「ッ!?(車掌を庇った?
ドドドドド・・・
車掌「ドッペルゲンガー・・・知ってるか?
自分で言うのも何だがよぉ~、俺の能力って【最強】だと思うんだなぁ~。
乱童様に匹敵すると思うぜ、実際。
悠「・・同じ顔をした人間に会うと死ぬって奴かッ!
車掌「当たりぃ~!
意外とオカルトとか信じるくちかい?
・・・俺のスタンド【イーヴル・マスカレード】はソイツを作り出す。
ソイツと触れたオリジナルは・・・
懐から二つの缶ジュースを取り出し、力強くぶつけると・・
―グシャアッ!
・・・・
―カシャカシャ・・
ズタズタに破壊された一つの缶が足下にばらまかれた。
車掌「ま、こういう事だ。物なら壊れ、人なら【死ぬ】。
そして・・・
悠「S・Cッ!!
S・C「YEAHHHッ!!
悠「―ッ!?
―ブオンッ!
悠の攻撃を避ける悠!
車掌「俺はソイツらを自由に操れるうッ!!最強だよなぁッ!?
ゴゴゴゴゴゴ・・・
悠「・・くッ!面倒くせえ能力だぜ・・・
S・C「YEAHHHッ!
―バシュバシュッ!
悠「うぉッ!
悠「てめぇッ!!ちょこまか避けるんじゃねえッ!!
S・Cの攻撃を避ける悠に、悠の怒号が飛ぶッ!
悠「触れたら死ぬと聞いて、避けないバカがいるかッ!
悠「・・ま、そりゃそうだわな。ヌファファ!
悠「てめーの笑い方が気にいらねぇが・・・
ここは、退かせてもらうぜ!S・Cッ!
―バシュウッ!
S・Cの縄が車両前部、出口付近の乗客にかかり
悠と位置が入れ替わる!
車掌「うぉおッ!?
逃がすなぁ~ッ!!
悠「言われなくても、分かってるぜッ!
悠「!?
ドドドドドドド・・・
悠「俺は入れ替わり出来るって事、忘れてないかい?ヌフフッ!
S・Cッ!!
顔面を庇おうとして、とっさにガードを上げた悠の裏をかき
わき腹を強打する!!
―ッドゴォオッ!!
車掌「うはははッ!勝ったぞッ!!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
悠「いや、まだだ・・・ッ!
車掌「・・・なにッ!?
悠「さすが俺・・・
一筋縄じゃ行かないぜ。
殴った感触がおかしいって事は・・・
悠「ヌファファッ!!正解だ・・・
―グシャアァッ!
乗客「グハッ!
・・・え?何で?
は、歯が折れてるぅ~ッ!?
悠「危ねぇな!
まだ喋ってる途中じゃねえかッ!
野郎ォッ!!
―ドゴォオッ!
乗客「あぎゃぁッ!!
悠「乗客を身代わりだとォッ!?
―ドガッ!
乗客「ギェッ!?
悠「てめえだってやってんじゃねえかッ!
―バキィッ!
乗客「うびいッ!?
悠「俺は喰らったら死ぬから仕方なくだぞッ!
―メキャアッ!!
乗(ry
悠同士が殴り合う度に車両の乗客に怪我が増える。
車掌「・・・(コイツラ・・他人が怪我しても心が痛まないのな。
―ズキッ
車掌「痛ッ!
こ、心・・・じゃなくて、アバラが・・折れてる?(いつの間に・・・?)
―ガラガラガラガラ・・・
悠「ッ!?
車掌「ッ!!!
車掌「お・・・俺ッ!?
ドドドドドド・・・
車掌「・・!(野郎ッ!あの瞬間、俺自身の腕で俺の身体を殴らせたのかッ!
悠「何ぃ~~ッ!?
悠「ヌフフ・・・造られたお前と違って、俺は闘いの中でも成長出来るんだぜッ!!
―バシュバシュゥッ!
車掌「がッ!
車掌「がッ!
悠「さ~てと、本体とドッペルゲンガーをぶつけたらどうなるのかなぁ?ヌファ!
車掌「ウォオオオッ!?【イーヴル・マスカレード】!
解除だぁッ!!
悠「バカッ!やめろ!!俺が何とかッ・・・
言い終わる前に、もう一人の悠は消え、乗客も車両も消えた。
―ガタガタガタガタ・・
悠と車掌は電車の接合通路に二人きりの形となる。
―ゴゴゴゴゴゴ・・・
車掌「はぁあ・・危ねぇ・・・!
悠「まだだぜ・・?
車掌「・・くくくっ!まだだぜだと?
俺のスタンドは最強だッ!
一対一でも何ら問題は無いッ!!
悠「・・・だったら、試してみるか?
どっちが速くて、どっちが強いかを。
ゴゴゴゴゴ・・・
悠「YEAHHHHHッ!!!
車掌「イーヴル・マスカレードッ!!
―バシュバシュウッ!
二人がスタンドを同時に出現させる!
速かったのは・・・
イーヴル・マスカレード。
車掌「もらったぁーッ!!
―ズキッ
車掌「ッ!?(さっきのアバラがッ!
―バギバギィッ!!
車掌「いぎッ!?
お、俺の腕がぁ~ッ!?
悠「痛みで反応が鈍ったか?
両腕を叩き折られた車掌にもはや打つ手は無かった。
悠「ぶらり途中下車の旅・・・ってか?ヌファファッ!
車掌「や・・・やめろッ!
悠「ヌファファ・・・やめないぜ!
YEEEAHHHHHッ~ッ!!
―ドゴドゴドゴドゴォッ・・・!!
―バッギャアァアッ!!
車掌「アギャ・・・ッパァッッ!!!
―ドッゴォオオンッ!!
―パラパラ・・・
悠「ふぅ~・・・
お前の敗因は、俺の笑い方を不細工に創った・・・
それだけだぜッ!・・ヌファ!
車掌「・・・ピク・・・ピク・・・
ゴゴゴゴゴゴ・・・
車掌(氏名不詳)
【スタンド】イーヴル・マスカレード
再起不能
―ガラガラガラ・・・
柳井「あ、帰ってきた。
氷室「う○こか!?
遥「・・・遅かったわね。
悠「まぁな、色々とあってよぉ~ッ!
遥「あ、そう。
どうせオッサンがおねえ口調だったとか、そんなんでしょ?
私、寝るわよ。
遥「Zzz・・・
悠「・・・!ひ、氷室ッ!聞いてくれよ
氷室「嫌だ。
悠「・・柳井ぃ~ッ!!
柳井「・・・Zzz。
悠「~~~~ッ!!
(誰も俺の話を聞いてくれない・・・)
ヒゲ「(吾が輩で良ければ聞いてやるが?
悠「・・ヒゲ。ありがとな。
ヒゲ「(泣くな、横尾。男が泣くもんじゃない。
ドドドドドドド・・・
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