オリスタ @ wiki

【スター】オリジナルスタンドSSスレ【ゲイザー】第十四話

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orisuta

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だれでも歓迎! 編集


 
ゴゴゴゴゴゴ・・・


―ガラ・・

―ズンッ


瓦礫が崩れ落ち、更なる崩壊を招く。


至る所から黒煙が上がり、壊滅状態の工場を眺める男が一人。


乱童「・・・・フン。


―ドガァア!


男「・・・貴様ッ!

瓦礫の山から現れた男の身体からはスタンドヴィジョンが立ち上る。


乱童「やぁ・・君も目覚めたのか?王の能力に。


男「王だ・・能力だ・・?
くだらないな。貴様は俺の世界を壊した・・ッ!
報いを受けてもらうぞ!!


乱童「ハハッ!世界?
培養液の中が・・・かい?


男「黙れぇッ!!


―ドガァッ!


男のスタンドが瓦礫を殴ると、乱童との間に橋が掛かる。


男「ォオオッ!!
今ので分かった!
能力を理解したぞッ!!


乱童「フハハハハハッ!
来るかッ!!


男「【クレイジー・クラフト】ッ!
俺は、世界を・・・俺が望むように再構築させるッ!!


乱童「【アクセンスター】ッ!


二人「――ォオオオオラァァッ!!










――プシュー・・


柳井「着いた!

悠「ぉおお・・・腰痛ぇ。

遥「アンタ・・氷室を見習ったら?

悠「ぁん?



老婆「本当に有り難うございました。
少ないですけど、お茶代ですから貰って下さい。

氷室「いらねぇよババァ!そんなつもりじゃねぇって言ってんだろ!



遥「(優し~いッ!

悠「・・・うぬぅッ!(席を譲っただけであの感謝のされよう!納得いかねぇ!)


柳井「で、駅を降りたは良いけど
次は?


遥「・・・さぁ?



??「ここからは俺が案内する。
上城 遥・・・


遥「!?

悠「お、お前はッ!

氷室「ッ!!

柳井「・・御園ッ!


唐突に遥たちの前に姿を現したのは、
明菜に地図を託し、遥を呼んだ男。
金属を操るスタンド使い、御園であった。


ゴゴゴゴゴゴ・・・
 
 
 




C・C「ウシャアァーッ!!


乱童「やるじゃあないかッ!
さすがだなッ!


―バシュバシュバシュッ!


C・Cの攻撃を紙一重で避け、アクセンスターの左腕で必殺の一撃を放つ乱童。


―ベゴォッ


―ブォンッ!


しかし、攻撃は当たらない。


C・Cの能力により、男は攻撃が当たる直前に自らの身体の形を変えているのだ。

ドドドドドド・・・


乱童「面白い能力だな。

男「・・貴様の能力、敢えて言おう!
【当たらなければどうという事はない】と!


乱童「フハハッ!
確かにそうだ。当たらなければな・・・


男「ハッ!・・認めたか。
今から、お前の左腕も 右腕と同じく別の物にしてやる。

それから足、身体、最後に頭・・順番だ。

乱童の右腕は、最初の一撃で拳を肉の塊に変えられていた。
しかし、最強の拳を片方潰されたにも関わらず
余裕たっぷりな表情を浮かべている。


乱童「瓦礫ってのは、一口に瓦礫と言っても全く同じ物は一つもない。
フフ・・人間と同じだな。


男「意味の分からないことを・・!C・Cッ!!


―ドゴドゴドゴドゴォッ!!


瓦礫は複数の槍に形を変え、乱童へと襲いかかるッ!


乱童「・・・フンッ!

―バギィ

一本を蹴り折り、残りを左手の一振りで消滅させる。


乱童「・・見ろ。

男「・・・?


ゴゴゴゴゴ・・・

乱童「この残った瓦礫の槍を。
これだけ消えずにいる。

元は同じであったにも関わらず。
コレは、僕にとって瓦礫の槍から、瓦礫の棒になったからだ。


男「・・・何をベラベラと喋っているッ!!クレイジ・・


―ズグッ・・・


男「ぐは・・ッ!


ドドドドドド・・・

乱童「何と・・・瓦礫の槍が、両足を貫通しちまっているじゃあないか。
話は最後まで聞けって事だな。


男「・・・ぐッ!
 
 
 




ゴゴゴゴゴ・・・

乱童「例えばだ。


―ズグズグッ!


男「ぐぁあッ!?


男の腕を貫通してハサミが現れる。


男「な・・!?何がッ!

乱童「あらかじめそこに仕込んであっただけさ。
何も驚く事じゃない。

―ブシッ


男の腕からハサミを引き抜き、血を拭う。


男「ッ!!(いつの間に・・ッ!)


乱童「ん?不思議で仕方ないって顔してるけど、今は僕の話を聞いて貰う時だ。


そう言うと、ハサミを力任せに分解し
2本のペーパーナイフを作る乱童。
そして、その2本のナイフをつまみ、男に立てて見せる。


乱童「これは、ハサミだった物であり
今はハサミじゃあない。
つまり、僕が世界中のハサミを消したとしても・・・この、2本は消えない。


男「・・・?


乱童「この2本のナイフを見て、誰かが新しくハサミを考えつくのだろう。
過去をなぞってると言えばそうとも言える。
だが、ハサミを知らない人々にとってはまったく未知の体験なのだ。


男「それが何だと言うんだッ!?


ゴゴゴゴゴゴ・・・


乱童「・・・未知の領域を開拓する精神。
これこそが、僕を押し上げるに足る力を持つのさ。


男「・・くだらないなッ!C・Cッ!!


男の足はゼリー状に変わり、ズルリと槍をすり抜ける。

男の足の傷は無くなって・・いや、傷の無い足に作り替えられていた。

男「ォオアアッ!!



―ドグシャアァッ!








―ピッ

―カシュン


御園「着いたぞ。
ここが我々の拠点だ。


遥「ここが・・・
 
 
 




そこは駅ビルの地下深くにあった。
どこか乱童のいた研究施設を彷彿とさせる雰囲気の中、白衣の男達が忙しなく動き回っていた。


悠「一体何の研究をしてるってんだ?


御園「簡単に言えば脳科学だな。
こっちだ、付いてこい。


促されるままに御園の後に続く一同。

やがて数ある研究室の一室へとたどり着いた。


―カシャン。


研究員達の視線が遥たちに集まる。
うさんくさいものを見るかのような、目つきである。


柳井「・・何だか歓迎されてなさそうだね。

氷室「ま、部外者だしな。


??「これはこれは!
執行部隊長さんが、一体何の用かなぁ~!?

遥達の前に、人懐こい笑いを浮かべた恰幅の良い男が姿を現す。しかし、眼鏡の下の眼は全く笑っていない。


御園「加藤か。
・・・「上城 遥」を連れてきた。


加藤「ッ!!

加藤と呼ばれた男の笑みは一瞬にして消え失せ、焦りの色が見て取れるようになる。

加藤「貴様ッ!何を考えているッ!?


御園「ハハッ。決まってるだろ?


加藤「そんな事は俺が許さんッ!!


―ガシィッ!


勢いよく御園の胸ぐらを掴む!


遥「・・??


ゴゴゴゴゴゴゴ・・・

御園「離せ。死にたいのか?


加藤「・・・クッ!


―バッ。



―・・カシャン


手を離すと加藤の眼鏡が床に落ちる。
フレームがぐにゃりと曲がって、先端に鋭い棘が生えていた。

悠「(ははぁ~ん、なるほどな。


柳井「・・?


御園「時間がない、行くぞ。


遥「ちょ、ちょっと!この加藤って人と両親には何の関係があるってのよッ!?


ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・


御園「・・・本人から直接聞け。

加藤「俺は何も知らんッ!あいつ等が勝手にやった事だ!!

遥「・・・ッ!?


――ドッゴオッ!!

加藤「ゲピッ!?


御園「・・お前には聞いてない。
事実をねじ曲げた記憶を話した所で、何にもならん・・・黙ってろ。


遥「・・(コイツじゃなきゃ誰に聞くのよ?
 
 
 




―ドロッ・・・

壁が溶け、御園の周りに浮遊し始める。

柳井「壁まで金属で出来てる・・?


御園「この部屋だけ特別にな。
ここから先は怪物どもがウヨウヨいる・・・自分の身は自分で守れ。


氷室「怪物?


御園「来れば分かるさ・・


加藤「み・・御園ッ!貴様、あの怪物に会いにいくつもりかッ!?


御園「・・・当然だ。上城なら聞き出せる可能性があるだろ?


そう言って、壁の向こう側の闇に消えていく御園。
遥たちもそれに続く・・・


ドドドドドドドド・・・





―コツコツコツ・・


暗闇の中に足音だけが響く。


悠「真っ暗だな・・やっと眼が慣れてきたぜ。

柳井「本当に?僕はまだ全然見えないよ?

氷室「鳥目だからな。


遥「・・・・



御園「明かりは点けるなよ。目立ち過ぎると奴らが集まってくるからな・・・
・・・ッ!?


御園の後ろが不意に明るくなる。



氷室「・・・え。


氷室がR・Hを発現させ、炎の明かりで周囲を照らしていた。


御園「すぐに炎を消せぇーーッ!!


慌ててR・Hを納める氷室だったが、
少し遅かったらしい。



―ゴガンッ!

―ドガンッ!


暗闇の中から何かがこちらへと近づいてくるッ!


柳井「何?何ッ?見えないッ!

遥「人間・・・?


遥が暗闇の中でうっすら捉えた相手は人の形をしていた。


御園「くそッ!・・・マズイぞ。明かりをつけろッ!!


氷室「チッ!消せと言ったり、つけろと言ったり!!
どっちなんだよォーッ!?
レッド・ホット!!


―ボフォオォッ!


R・Hの発現と同時に周囲が照らされ、状況が確認できるようになる!


ゴゴゴゴゴゴ・・・


悠「な・・何だ?こいつ等ッ!?

遥「・・・ッ!?



遥たちの周囲をグルリと囲んでいたのは人間の様な生物であった。
元・人間と言った表現がピッタリくるだろうか。


御園「【屍生人】・・・ゾンビ。
吸血鬼に血を吸われた人間の・・・成れの果てだ。
頭を潰さない限り、死なないぞ。

悠「ゾ・・ゾンビィ~ッ!?
 
 
 




ゴゴゴゴゴ・・・


「乱童様・・・選別作業が、難航しております。
思いの外、才能を持った人間が少なく・・・現在の成功率は1%程度です。


乱童「上出来だよ、続けろ。
死体は後で消しに行くから、一箇所に集めておけ。


「かしこまりました。


ドドドドドド・・・

乱童「(この調子なら来週中には必要な人数が集まる・・・
上城たちも、もう少し泳がせるか・・・フフッ。






―――――


遥「ォオオラオラオラオラオラオラオラァッ!!

悠「YEAHHHHHAAAAーッ!!


氷室「ドラドラドラドラドラドラァッ!!


御園「・・・フンッ!!

柳井「おわッと!ウワワワッ!?



ゾンビ達を相手に大立ち回りを繰り広げる遥一行。(鳥目の柳井は除く)



遥「ハァッ・・ハァ・・・何てタフなの!?

吹き飛ばされても起きあがってくるゾンビを眺めながら、肩で息をする遥。


悠「こいつらッ!!


―ズグシャアァッ!

御園「頭を潰せと言っただろうッ!!


近づいてきたゾンビの頭を鉄球で叩き潰した御園が叫ぶ!

氷室「・・っなこと言ったってッ!
こいつら意外とすばしっこいんだぜ!?


悠「氷室!後ろだッ!!

氷室「クソッ!?



ゾンビ1「俺は山田。

ゾンビ2「俺は田中。
 
ゾ3「俺は佐藤。

ゾ4「俺は鈴木。


氷室「ッ!?ゾンビが喋っただと!!



四人「喰らえ!【血管針攻撃】ッ!!


―グバァアーーッ!!



―ズグシャアアァッ!



佐藤「あ・・アレ?

田中「確かに刺したと思ったのに・・・

山田「刺されていたのは・・・

鈴木「俺たちだったぁ~ッ!?


四人「うげぁあ~ッ!!



―ボシュァアッ!!


氷室「・・・???


突然の事に呆気にとられる氷室。


悠「・・やれやれってやつだぜッ!
ボサーッとしてんじゃねえぞ!!


氷室「横尾・・てめえがコイツラを、やったって訳か?


悠「ヌファファ・・貸し一つだかんな。




ドドドドドドド・・・
 
 
 




柳井「わわわっ!! (やっと慣れて来たけど・・・こう狭くっちゃ動き回れないぞッ!


ゾンビ「死ねぁ~ッ!!

柳井「くそッ!A・T・M!!

勢い良く羽ばたく鳥型スタンドが姿を現すも、天井と柱に邪魔をされて動きが鈍い。


柳井「やっぱり!・・・ッ!?

―グバァアアッ!!

目の前まで迫るゾンビの姿に思わず眼を閉じる。



・・・・

柳井「・・・?


遥「柳井ッ!早く立って!ここから逃げるわよッ!!

S・Gの拳は一撃でゾンビの頭を打ち抜き、遥は柳井へと手を差し伸べていた。

柳井「わ、分かった!


御園「あそこの部屋に逃げ込めッ!!


一同「うおぉおおッ!!


ゾンビ「待ちやがれーッ!!!



―バタンッ!!

―ドガッ!

「開けろぉーッ!!


遥「はぁ・・はぁ・・・
とりあえず、何とか・・・

御園「お前達、怪我はないか?

遥「・・へぇ。意外と優しいのね?

御園「・・・・


悠「うぉ!ジョジョ!まさかこんな奴に・・痛ててッ!!

柳井「横尾!やられたのか!?


悠「いや、さっき縄を使った時にちょっとな・・・

氷室「・・・!!


悠「ま、文字通り唾でもつけときゃ治るさ!ヌファファ・・!

傷口にヨダレを塗りたくりながら笑う悠。



「・・・誰が来たの?


一同「!?


「何度来ようと、結果は同じ・・・全員屍生人にしてあげるわ。


氷室のR・Hが部屋を照らす。
しかし、姿は見えない。


「血の臭いがするわね・・・。


悠「・・・!!(上かッ!

一番最初に気付いた悠が声の主を視界に捉える。

ゴゴゴゴゴゴ・・・


声の主は女性であった。

ボロボロの白衣を身に纏い、天井に張り付いてこちらを見ている。


悠「・・・・!!
 
 
 




悠「・・・・ジョジョ?

遥「何よ?


ドドドドドドド・・・

悠「いや、そうじゃなくて・・・上ッ!


一同が天井に目をやり、声の主を目撃する。


遥「・・・え?

氷室「!!?

柳井「そっくりだ・・・



声の主はボロの白衣を着ていて、髪の毛も伸びてボサボサになってはいたが、
その顔は・・・遥に瓜二つであった。


―カッ!!


彼女が一瞬、口を大きく開き長く伸びた犬歯をちらつかせたかと思うと、姿が消えるッ!!


遥「消えたッ!?


氷室「何だってんだよ・・?

悠「・・あの女に会わせるつもりだったのか?


ゴゴゴゴゴゴ・・・


御園「あぁ・・・
彼女の名前は・・

遥「待って!柳井がいないッ!!

悠「え!?

氷室「何だとッ!

御園「・・・捕まったか。


ドドドドドドドドド・・・!!


遥「どうしよう!?探さなきゃッ!!

氷室「どうやってッ!

―ズリズリズリズリ・・・
何かを引きずる音が聞こえる。恐らくは柳井が引きずられていく音だろう。



悠「俺が探すッ!壁やなんかを透過出来るのは、俺だけだからな・・・!S・Cッ!!


―バシュウゥゥッ!!


S・Cの腕から部屋中・・・いや、部屋の外まで無数の縄が伸び辺りを探る。


悠「くそ・・10m以内に居てくれよ・・・?


―ズリズリズリ・・・

引きずる音が鳴り続ける部屋の中で、悠は柳井を縄で見つけたッ!!


悠「ビンゴッ!通風孔の中だッ!!
意外と近いぞッ!!


YEAHHHHッ!


―ズバァアッ!!


悠の姿が消え、代わりに柳井が姿を現すッ!!

遥「横尾ッ!!


悠は柳井の代わりとなって、入れ替わったのだ。



―ドガドカッ!!

―ドゴォッ!


ガタガタと通風孔が揺れ、そして動きが止まった。


遥「・・横尾ォーッ!!

氷室「バッカ野郎!


御園「・・・コイツの怪我は大したことないな。

柳井「う・・・横・・・尾?僕の身代わりになったのか?


ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
 
 
 




遥「・・・追いかけるわッ!

御園「・・・行き先が分かるか?


遥「不思議とね・・・!

御園「そうか、道は俺が作る。M・J!

御園のスタンドが通風孔付近の天井を溶かす。


御園「行くぞ。


氷室「柳井。動けるか?

柳井「あぁ、何とか・・!



ゴゴゴゴゴゴ・・・



御園が鉄を溶かしながら道を作り、進む。


遥「こっちよ。早く!

御園「分かった。

鉄を溶かしトンネルを作る御園。

氷室「・・にしても、普通はコンクリとかで出来てるんじゃねえか?建物ってのはよぉ。

柳井「多分・・と言うか間違いなく、奴らを閉じこめておくフロアだね。


御園「その通りだ。
正確には彼女を閉じこめる為のフロアだがな。


遥「・・・近い。



―ボゴォッ


壁が崩れ、部屋にたどり着く。


遥「横尾ッ!!


ドドドドドド・・・


女「・・早かったわね。


椅子に座る女の脇で、打ち捨てられている悠を見つけた遥、


遥「・・・ッ!!
てめぇーッ!!横尾に何をしたぁーッ!!
スター・ゲイザァーッ!!


女「―――ッ!?




―ッドゴォオオオオンッ!!!

一瞬で強烈な拳打を女の身体に叩き込む遥。



氷室「・・・・早ッ!

御園「・・・!


―ガラガラ・・・



遥「はぁ・・はぁッ!


S・Gの攻撃を捌ききれず、女の腕は千切れかけていた。


ドドドドドドド・・・

女「随分なご挨拶ね・・・大丈夫よ。彼まだ、死んでないから安心しなさい。


遥「・・本当?


女「本当よ。
それよりあなたのスタンドを見て思い出したわ。・・・・遥。



遥「ッ!!?



ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
 
 
 




ドドドドドド・・・

遥「ど、どうして私の名前をッ!?


女「どうしてって・・・そりゃあ母親ですもの。

遥「ッ!?

氷室「な!

柳井「何だって!?


ゴゴゴゴゴ・・・

御園「その通りだ。
彼女の名は【上城 晶(アキラ)】
・・・お前の母親だ。


遥「そんな・・ッ!まさかッ!?
父さんと母さんは殺人鬼に殺されて・・・


晶「うーん・・・確かに殺されたけど、色々あったのよ。色々。


悠「・・・うぅ。


話の最中、悠が目を覚ます。

遥「横尾ッ!!

―ダッ!

悠に駆けより抱き抱える。

悠「ジョジョ・・・
こうやって君に抱き抱えられるのは・・何回目だったかな?

遥「そんなの・・・覚えてないわよッ!


晶「ごめんね。おばちゃん、若い子久しぶりだったから・・つい力入れ過ぎちゃったのよ。

氷室「力入れすぎって・・・バッキバキじゃねえか!

晶「ウハハハッ!まぁまぁ、良いじゃないッ!!


柳井「キャラが変わってる・・・


御園「・・・ま、どっちかと言えば今のが本来の彼女だな。


氷室「色々と知ってそうだな、アンタ。


御園「・・・まぁ、な。


晶「遥。そいつ、アンタの彼氏?

遥「・・・そうだけど。

悠「初めまして・・・義母さん。
いやぁ~、若くて美しいですね、ホント。ヌファ!

遥「義・・義母さんッ!?てめぇー!

晶「アハハハハッ!
面白い子ねぇ~・・・


御園「おい・・・そろそろ良いか?


晶「御園・・・アンタ老けたわねぇ・・
15年ぶり位?
ぁあ~、まぁそれは良いんだけど。

何から話そうかしらね・・・
みんな掛けたら?
少なくとも彼氏の怪我が治るくらいはかかると思うわ。


ゴゴゴゴゴゴ・・
 
 
 




晶「私とお父さんは昔この施設で【仮面】と【矢】の研究をしていたの。

遥「仮面?

晶「人間を吸血鬼に変える石仮面よ・・・・



ドドドドドド・・・




晶「冬樹博士。
例のデータですが、それぞれから未知のウィルスが確認出来ました。


冬樹「本当かッ!?
見せてくれ!!


そう言って顕微鏡をのぞき込む男・・・
彼の名は【上城 冬樹】
遥の父であり、日本における【仮面と矢】研究の第一人者である。


冬樹「凄いぞ!このウィルス達・・・類似点がいくつか見受けられるッ!!
元は同じなのかも知れない!!
それが分かれば、抗ウイルス薬が作れるかもッ!!


加藤「またそんな事言ってるのか?
俺たちの仕事は
こいつ(ウィルス)らがどこから来て
こいつらが何をするのか・・・
それを調べる事だ!
大体、そんな薬を作ったら、SW財団の誇る無敵のスタンド軍隊の弱点にもなる。
世界中の軍事の抑止力を失う事になるんだぞ?


冬樹「それはそうだけど・・・望まない能力を得て、苦しんでいる人だっているんだぞ!
お前はその人達の為に・・・

晶「はいスト~ップ!喧嘩しないッ!



冬樹「晶・・

加藤「はぁ・・・分かったよ。可愛い晶ちゃんがそういうなら

晶「・・・人妻ですが?

加藤「勿論知ってるさ~!冗談だよ、冗談!!


―コンコン。

「失礼します。

冬樹「お、御園。何か用かい?


御園「いえ、うちのボスから差し入れです。

加藤「毒入りケーキとかな!ハハハハッ!!

御園「・・・!!

加藤「おっと、そんなに睨むなよ!冗談だって。


ドドドドドドド・・・

―ドロ・・・

加藤「うぉッ!?お、俺の時計がッ!!
60回ローンで買った俺のオメガがぁあぁッ!?


御園「・・・フンッ!

晶「・・フフッ。

御園「ッ!?

ゴゴゴゴゴゴ・・・

御園「あの・・見えてます?

晶「さぁね、何の事かしら?


御園「・・・・・
 
 
 




冬樹「それで、差し入れってのは?


御園「・・・エジプトで回収されたDIOの遺体の検分報告書・・・それから、灰のサンプルです。


冬樹「ッ!!

晶「・・スゴいッ!DIOと言ったら、現在ただ一人確認されている仮面と矢の適合者ッ!

加藤「そんな物、どうやってッ!?

ゴゴゴゴゴゴ・・・

御園「うちのボスはアンタと違って上層部にも顔が効くんでね。

加藤「・・・!


冬樹「スゴいぞ。これがあれば作れるかもしれない・・・


晶「やったね!冬樹ッ!!

冬樹「こら、職場では博士をつける約束だろ?

晶「あ、ごめんなさい・・・







―1年後・・・


加藤「はぁ~、ツマらん!
晶ちゃんはもうすぐ産休に入っちゃうし、冬樹は冬樹でもう2週間も籠もりっぱなし。
俺は、コーヒーを啜りながらウィルスと会話する毎日か・・・


晶「あら、加藤博士。何がそんなにつまらないんですか?
ウィルス研究楽しいじゃないですか。

加藤「毎日毎日同じ事の繰り返しじゃあねぇ~・・
君は良く飽きないねぇ?


晶「だって顕微鏡の中って、星空みたいじゃないですか。

加藤「星空?
ウィルスが星って事?

晶「そうです。


加藤「はぁ・・星空ね。俺にはとてもそうは見えないが。
君は変わってるな!ハハハッ!!

―ピロロロロ・・

加藤「おっと失礼、電話だ。

そう言い残し、加藤は部屋を出て行く。


晶「さて、と・・コーヒーでもいれてあげようかな。


―ガチャ。

晶「冬樹博士~。
コーヒーいりますか?


足の踏み場にも困るほど散らかった研究室の奥で、冬樹は背を向けて座っていた。


晶「冬樹?


冬樹「・・・・


ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
 
 
 




晶「冬樹ッ!!

―ダッ!

冬樹に駆け寄り、肩を抱き抱える。


冬樹「・・・グゥー・・

晶「寝てるの?


冬樹「ん?・・晶。
どうかしたか?


晶「どうかしたか?
じゃないわよッ!
本気で心配したのよ!?


冬樹「すまない。だけど、俺なら大丈夫だよ。

大丈夫だと言ってはいるが、冬樹の頬は痩せこけ、顔色は非常に悪い。

晶「・・抗ウィルス薬が上手くいかなくて焦る気持ちは分かるけどね。
でもあの資料とサンプルだけじゃ仕方ないわよ。
それに、未だに地球上のどんなウィルスとも適合しないのよ?
・・・身体を壊してたんじゃ、元も子もないわ。あなた、もうすぐ父親になるのよ。


冬樹「分かってる・・・だからこそさ。
生まれてくる子供に胸を張っていえるように・・!


晶「でも・・・
いや、言っても無駄ね。
あなたの性格は私が一番良く知ってるもの。
でも今日はここまでにして、一回家に帰りましょう?
なんて言うか・・・その・・・臭いし。


冬樹「え?・・ぁあ、そう言えば風呂もずっと入ってない。確かに臭いな!
ハハハッ・・

晶「アハハッ・・!
じゃ、少し整理していくから先にロビーに行っててね。


冬樹「分かったよ。

―ガチャ・・

―バタン。


おぼつかない足取りながらも部屋を出る冬樹。


晶「ホントに大丈夫かしら?
・・・って、差し入れにも全然手をつけつないしッ!


10分程片づけをした後、晶も部屋を出ると・・
そこには、冬樹と加藤の姿があった。


ドドドドドド・・・


冬樹「何が朗報だッ!!
汚い事に手を染めてまで研究を成功させたくなんかないッ!

加藤「お前は現実を知らなさすぎだッ!
手を汚さずに偉業を成し遂げたい?
お前と俺さえ黙っていれば、済む話だろうがッ!?



晶「・・(何の話?)


―カタッ


加藤「―ッ!?

冬樹「・・・・


加藤「・・・ちっ!

怒りを顕わに舌打ちをして、早足に加藤は去っていった・・・
 
 
 




晶「・・・何の話をしてたの?


冬樹「いや・・・何でもないよ、家に帰ろう。






――――――

晶「それからしばらくして・・・あなたが生まれた。
その後も何度か二人の言い争いを見かけたわ。
それで、遂に私たちはDIOの足の骨を手に入れたの。
出所はエジプト支部。
誰より望んでいたのに、父さんはあまり嬉しそうじゃなかった。
だけど、研究は飛躍的に進んだ・・・

遥「・・・・

御園「・・・


悠「・・・(怪我が既に治ったなんて言えない感じだな。


御園「続けてくれ。要点だけな・・・


晶「せっかちねぇ・・・別に良いじゃないのよ。
ま、良いけど。
あれは、あなたが2歳になった頃・・



ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・




冬樹「出来た・・・
抗ウィルス薬ッ!
これがあればスタンド能力を引き起こすウィルスを殺せるぞッ!!

晶「・・・遂にやったわね。
でも吸血鬼化は?


冬樹「いや・・そっちはまだ。
もしかしたら僕らは思い違いをしていたかもしれない。
あの二種は全く別物の可能性も出てきた。
だけど、その思い違いがなかったら・・・この薬は完成しなかった。

晶「つまりは、私のおかげねッ!

冬樹「うん、まぁ。
そうだね、アハハ・・
遥、おいで。


遥「お父たんッ!抱っこ~!!


冬樹「はいはい・・
おっ、重くなったなぁ~!

晶「アハハ・・・!
家に帰ったらお祝いしなくちゃね!
発表の準備もあるし、別の意味で忙しくなりそう。


―ビーッ!!

―ビーッ!!



晶「――何!?

冬樹「警報・・・・まさかッ・・・!
遥!机の下に隠れてなさいッ!!


―バンッ!

晶「誰ッ!?



勢いよく部屋に飛び込んで来たのは、
御園であった。


御園「はぁ・・はぁ・・・
上城博士、逃げて下さい。
スタンド使いのグループがこちらへ向かっています。


晶「え?・・えッ?何で!?


ゴゴゴゴゴゴ・・・
 
 
 




冬樹「くそッ!!

―ダッ!

晶「どこ行くのッ!?

冬樹「加藤を探してくるッ!
御園!晶と遥を頼むッ!

御園「分かりました。晶さん、こちらへ。


冬樹は机の中から石仮面を取り出すと、ケースの中の石仮面と取り替える。

冬樹「・・これは、万が一の時に備えて作ったダミーの仮面。
本物は、晶・・君がどこかに隠してくれ。

晶「万が一?何よそれ・・!?


冬樹「話している暇は無いんだッ!
とにかく頼む!


そう言って部屋から冬樹は部屋から飛び出して行った!


御園「エレベーターへ向かいます。早くッ!

晶「でもッ!

御園「いいからッ!


御園に引っ張られるままに、晶と遥はエレベーターへと移動する!


晶「(冬樹・・・どうか無事でッ!



―ゴウンゴウン・・・

御園「くそッ・・こんなに待ち時間が長く感じるのは初めてだッ!


晶「御園・・・何がどうなってるのか教えて。


御園「相手は・・・DIO配下の残党で組織されたグループです。
こちら側に内通者がいたようです・・・


晶「内通者・・?まさか、加藤博士ッ!?


御園「上からの通達で内通者は、あなた方だと・・・

晶「そんな・・!じゃあ、あなたは財団の指示を・・・

御園「フフッ・・・
これで俺も裏切り者ですね。


晶「・・・!


―ウィイン・・・

御園「きました。
とりあえず地上に出て・・・ッ!?


御園が目にしたのは
エレベーター内で自動小銃を構える、3人の兵士の姿だった。


御園と晶の二人が声を上げる間もなく、
3つの銃口が火を吹いた・・・


―ドカカカカカカカカカカカカカカカカカカッ!!
 
 
 




ドドドドドド・・

「こちら先発隊、上城晶とそれに組した他二名を射殺しました。
本部、どうぞ。


―ガガッ・・・

「了解。上城冬樹も見つけ次第射殺せよ。

「了解しました。


ゴゴゴゴゴ・・・

「チョロい任務だったな。

「ああ、この調子でサクッと殺っちまおうぜ。

「娘がいたとは聞いてなかったが・・・可哀想だが仕方ないな。
ところで、コイツは誰だ?

―グッ

倒れている御園の肩に足を乗せ、顔を改めようとする男。


―ゴロッ・・

「ッ!こいつは・・・


男の言葉はそれ以上続く事は無かった。
無言で倒れる男をよそに立ち上がる御園達。

空中に浮遊する液体金属が周囲を取り囲む。

ドドドドドド・・・

「ス、スタンド使いだ!撃てぇッ!!


―ドロッ・・

「な・・銃が溶ける
だとッ!?



御園「メタル・ジャスティス・・!

「メタル・・・ジャスティス?
こいつ!執行部の・・・ぐあッ!


金属で出来た長い刃が男の頭部を貫くと、そのまま隣にいたもう一人の男の首をはねるッ!!


―ドサッ・・

晶「・・・!!
何も殺すことは・・

御園「生かしておくと、ろくな事になりませんから。


晶「・・・・
遥が気絶していて良かったわ。

御園「行きましょう。


三人はエレベーターに乗り込み地上へと向かう。


―ゴウンゴウン・・・


晶「さっきの話だけど、内通者って誰なの?

御園「俺の考えでは・・・加藤と  です。
二人で共通の目的の為と言うわけではなさそうですが・・・


晶「冬樹と加藤が言い争いをしていた事と関係が?

御園「敵の狙いは、仮面と矢・・・
おそらく何か取引を持ちかけられて、冬樹博士が断ったんでしょう。

晶「断ったならなんで・・・


―ウィイーン・・・

御園「着きました。
その話は後にしましょう。

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
 
 
 




地上階は静まり返っていた。
普段なら誰かしらが歩き回っていたり、受付嬢を口説こうとしているキザ男が鏡の前で髪型をチェックしていたりするエントランスに、今日は誰もいない。

晶「みんな逃げたのかしら?

御園「でしょうね。


―ガタッ

二人「ッ!?


物音のする方向へ振り向き、身構える二人!


御園「・・・・・

晶「・・・・!


ゴゴゴゴゴゴゴ・・


「晶!無事だったのかッ!!


柱の陰から姿を現したのは冬樹であった。


晶「冬樹ッ!無事だったのね!

御園「上城博士ッ!怪我は?


冬樹「大丈夫だ!
それより早く逃げないとッ!


晶「そうね・・ッ!



出口へ向けて四人は進む・・が

冬樹「表は駄目だ。
さっき見たが、包囲されてる・・・
裏から回ろう。


晶「た、確かにそうよね!
表からはマズイわよねぇ。

御園「・・・・


一行は裏口へと歩き出す。


御園「博士。そっちの裏口は事前に決めたルートと違いますが?

冬樹「あぁ・・そっちは使えなくなったんだよ。
ところで晶。
仮面は?


晶「勿論、言われた通り持ってるわ!


冬樹「ありがとう。
これからは私が持つよ。


晶「そお?でも私が持ってるから良いわよ。大して重くないし。




晶「もうすぐそこが出口ねッ!


冬樹「あぁ、そうだ!


―ドグァアッ!!

―ポタ・・ポタ・・・

晶「・・・え?


ドドドドドドド・・・ッ!



晶「ゴホッ・・、こ・・れはッ!?


自分の腹部から突き出た拳を掴もうとする晶だが、その前に
ズルリと引き抜かれる腕。


晶「・・・・ッ!!


ゴゴゴゴゴゴゴ・・・!
 
 
 




ゴゴゴゴゴ・・・

晶「な・・・


冬樹「馬鹿な女・・・渡していれば死なずに済んだものを。


晶「冬・・樹ッ!


冬樹は口元をにやりと歪ませる。


御園「偽物か・・!


冬樹「おぉ~っと!動くんじゃねえぞォ!?
このガキがどうなってもいいのかよ!?

遥をスタンドでつまみ上げ、首に手をかけるッ!!

御園「クッ・・・(能力は変身・・・まともにやれば何の問題もないが、娘さんを助けつつでは厳しいか・・)


冬樹「分かったらさっさと下がりなッ!


晶「遥を・・離しなさい・・ッ!

冬樹「んぁ?まだ生きてたのか、アンタ。
取り返してみなよ? アンタもスタンド使いなんだろ?


晶「早く・・あまり私を怒らせない・・で。


冬樹「何だ?この姿じゃ殴りにくいか?
・・・ホラ。

そう言うや、冬樹の姿が崩れ女の姿に変わっていく。

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・

女「ジャァ~ンッ!
これが私の素顔さッ!
美しすぎて嫉妬しちゃうかなッ!?ギャハハッ!!
あ、それから私の名前だけど・・・知りたい?


晶「・・興味なんか無いわッ!
早く遥を・・・グハッ!


女「あら~?つれないわねぇ・・・
お腹に穴が空いてるからかしら?なーんてね!!
私は中川 響子って名前よ~。
ま、今はどうでも良いけどッ!

晶「・・ホントに・・どうでも良いわねッ!!

ドドドドドドド・・・

中川「ギャハハハッ!!
ま、あんまりおしゃべりしてる時間もないからねぇ~・・
【シー・ウォンツ・トゥ・ビー・ユー】ッ!!
トドメを刺せッ!

中川の身体からサングラスをかけた女性型スタンドが姿を現し、晶へ襲いかかるッ!!


―グワァアッ!


―ッガシィ!

中川「何ッ!?

ゴゴゴゴゴゴ・・・

晶の身体からスタンドの腕が現れ、S・W・T・B・Yの攻撃を受け止めるッ!


晶「最後の警告よ・・遥を・・・離しなさい・・ッ!!


中川「・・・!(この気迫ッ!瀕死の筈なのに・・
これが母性って奴?
 
 
 




ゴゴゴゴゴ・・・


中川「・・(とは言え!)
バッカじゃないのアンタ!!
そんなボロボロの身体で勝てるとでも!?


晶「・・・勝てるわ。


中川「ギャハハハッ!やってごらんな・・・


―ビシュッ!!


中川の視界から一瞬にして晶の姿が消える。


中川「・・・え?
(何!?こんなスピード・・・ありえないッ!!

―ガシィッ!

中川「!?

遥を掴む腕を取られる中川・・・



―バキバキィッ!!


中川「・・・??
い、痛いッ!?
ギニャアァアアッ!?



―ドゴドゴォッ!!


そのまま顔面に二発、立て続けに拳打を受けるッ!!


中川「・・・・!!
ブベェアッ!?
(な・・何か、おかしい・・・!!
痛みがッ
ワンテンポ遅れて伝わってくるッ!!



御園「晶さん・・!



晶「御園くん、遥をお願い・・・



ドドドドドドド・・・



晶「アンタじゃ・・・私の相手にもならないわ・・



そう言いながら鮮血を滴らせる晶。
おそらく失血死目前であろうか。




晶「・・・トドメを刺させて貰うわね。



ふらつきながらゆっくりと中川へと歩みよる。


中川「・・・!!(コイツのスタンドッ!!私じゃ太刀打ち出来ない・・・
どうする?どうするッ!?


晶「殺しはしないわ・・しばらくは入院するでしょうけど。


中川「ヒィイイイッ!!


―ゴァアアッ!!


スタンドの拳が顔面まで迫った瞬間、中川は冬樹へと姿を返るッ!

晶「ッ!?

―ビタァ!


冬樹(中川)「ギャハハハ!やはり躊躇したなッ!
死ねぇえ~ッ!

晶「しまっ・・・


―グァアアッ!


―グシャアァッ!


ゴゴゴゴゴゴ・・・
 
 
 




骨を砕く音が通路に響く・・・
ただし、砕かれたのは中川の拳であった。


冬樹(中川)「・・ギィヤアァアッ!!


御園「メタル・ジャスティス・・・
血液から盾を作り出した。


中川「ヒィイイッ!待って!両腕が使えないの!もう戦えないッ!!
だから・・勘弁してよッ!!


御園「馬鹿な女だ。
大人しく殴られていれば死なずに済んだものを・・・


―ズギュウウウウンッ!!

冬樹(中川)の傷から血液が吸い出されるッ!!

冬樹(中川)「あ・・・あぁあッ!!



遥「・・・お父たん?

晶「遥ッ!見ちゃ駄目・・ッ!!


冬樹(中川)「は・・遥ァアア~ッ!!


――フッ


父親が殺されゆく現場を目撃してのショックからか、遥はまたすぐに気絶してしまった。


ゴゴゴゴゴゴ・・・


御園「すいません。不用意でした。

晶「いいのよ、あなたが悪いんじゃないわ・・・グッ!


晶は既に立っていられない状態・・意識があるのが不思議な位だ。


ミイラと化した中川の死体の脇で、二人は座り込む。

晶「・・・もう、駄目みたい。御園くん
遥を・・頼むわね・・・。

御園「・・・あなたを連れて行きます。
俺の能力で傷にフタをすれば出血は抑えられます!


晶「・・・いいのよ、自分で分かるの。
血を失い過ぎたし、内蔵もかなりやられてる・・


御園「そんな・・・


晶「・・・これ、持って行って。

そう言って懐から石仮面を御園に渡そうとする晶。


その時。


「遅いと思って迎えに来たら・・・中川め。しくじったか!


ドドドドドドド・・・!


裏口から一人の男が入って来る。

晶「・・・!(仲間が・・!

御園「・・・(近くに居たのか!


男「・・・お前等がやったんだろうな。
上城晶・・・うん、間違いねえな。
て事は・・本物の仮面は、まだお前等が持ってる・・うん、これも間違いないなッ!
俺の名は黒田・・・
石仮面をいただこうか!!


ゴゴゴゴゴゴゴ・・!

御園「・・くっ!
 
 
 




御園「メタル・ジャスティスッ!!


黒田「・・・そのスタンド。
財団執行部の御園で間違いないな。
よし、もんでやるか。
【1000】ッ!!



ゴゴゴゴゴ・・・

御園「(人型・・・
体型から想像するに遠距離型か・・姿を現したところを見ると、能力にかなりの自身があるようだ。
・・・牽制しつつ懐に飛び込む。
危険だが、やってみるか。

鉄分を弾丸に変え、打ちだそうとした瞬間。
御園の動きが一瞬止まる。


御園「・・!(あのスタンド・・・何か蠢いているのか?


―ウゾウゾウゾウゾ・・・


身体の表面を何かが常に這っている、目を凝らして見るとそれは数字の0と1であった。


御園「・・・何だ?


黒田「来ないのか?
だったら俺から行かせてもらうぜッ!

―ダッ!


御園「(出遅れたッ!)・・・メタル・バレットッ!!


―ドシュドシュドシュドシュ!!


複数の弾丸が黒田へと放たれ、それと同時に御園は跳躍し距離を詰めるッ!!


御園「(ガードした隙に決めるッ!!


黒田「ッ!!


御園「(・・・弾丸をかわすしかないぞッ!?


黒田「フフ・・お前は俺がこの弾丸をかわすと思っているのだろうが・・・
大間違いだッ!!


―バスバスバスバスッ!!

黒田は弾丸を避ける事をせず、身体で受け止めるッ!!

御園「何ッ!?(マズイ・・!


そのまま、御園に向き直る黒田。


黒田「フフ・・・無防備だぞッ!御園!!


御園「(・・・しまった!


―ドガァッ!!


御園「ぐあァッ!!



―ドガァアッ!!


かろうじてスタンドでガードをしたが、そのまま壁に叩きつけられる御園。


黒田「今の弾丸だが・・・ダメージが無いわけでは無い。
弾丸を喰らっても、お前にそれ以上の傷を、間違いなく与えられるという確信からの行動だ。


御園「何・・だと!
・・・ッ!?
 
 
 




ドドドドド・・・

―ボロッ・・・


御園「ッ!・・これは!?


【1000】の攻撃を受けた腕が欠けている。

御園「う、腕が・・・ッ!?崩れているのか?


ゴゴゴゴゴゴ・・・

黒田「それが俺の【1000】の能力・・・
全ての事象を終わらせるッ!!


御園「うぉおおぉッ!

―ボロボロボロッ!


黒田「遠距離型と侮って、むざむざ近づいてきたのが敗因だな。間違いなく。


腕の欠損は指先から胴体に向けて上ってくるッ!


御園「(肉体を終わらせる・・能力ッ!


黒田「生き物の身体なら老化→崩壊→風化のサイクルだな。
・・・さて、そろそろ身体にまわって終わりだろう。仮面仮面・・・と。


―ブヂィイッ!


黒田「お?


ドドドドドドド・・

御園「・・まだだッ!

黒田「お?お?
自分の腕を・・・切り捨てた・・?


傷口を固め、出血を最小限に抑え、御園は黒田の前に立ちはだかる!


黒田「スゴい根性だなッ!普通分かってても出来ないもんだぞ!
すげえ!お前すげえよッ!!ブハハハハハッ!

御園「今ので・・・貴様の動きは見切ったぞ。
次は触れさせない。

黒田「・・・・

ドドドドドドド・・


黒田「・・調子にのるんじゃねえぞ?
クソガキィ・・・!
見切っただと?
なぶり殺してやろうか!?

御園「フン・・やってみろッ!

晶「・・駄・・目・・逃・・・げ・・・・


1000「ウォリィヤァァアァーッ!!


―パシィ

1000の片腕がもう片方の腕に添えられた。

―ズバズバズバァッ!

御園「ォオオオッ!
メタル・ジャスティスッ!!




―バギィイイィイッ!!
 
 
 




ゴゴゴゴゴ・・・


黒田「グォッ!?
こいつは・・・


御園「貴様の両腕・・・封じさせてもらった。

―ズシィッ!


御園「そうだな・・・メタル・カフスとでも名付けようか。


黒田の両腕には金属の手枷がハメられ、その重みに耐えきれず膝をつく。

その様は、さながら処刑を待つ罪人の様でもあった。


御園「俺の勝ちだ・・・。

黒田「・・勝ち?
お前の?
それは・・間違っているな。


御園「・・何?


―ボロ・・・


御園「・・・ッ!?


―ボロボロッ・・


御園「これは・・・馬鹿なッ!
俺は触れられてなどいない・・・ッ!!


御園の残った腕、両足がボロボロと崩れ落ちていくッ!!


御園「・・・メタル・ジャスティスッ!
剣で俺の腕と足を切り落とせッ!!



黒田の手枷は形を変え、剣となる。


そして・・・



―ズバァアッ!!


―ボドボドボド・・ッ


御園の腕と両足が地面に落ち、やがて風化して消える・・・


黒田「ん~・・・ダルマになったな。
文字通り手も足も出ない、ってか!

御園「ぐ・・・。




ゴゴゴゴゴゴゴ・・・


黒田「俺の能力は全ての事象を終わらせるって教えたろ?
俺が自分の腕に触れた時、すでに俺の攻撃は終わっていた・・・
理解したか?


御園「くそ・・・ッ


晶「・・・(このままでは・・彼まで死んでしまう。
動かなきゃ・・ッ!





黒田「さて・・・と。それじゃ、死んでもらおうか。


1000がその腕をゆっくりと伸ばし、御園へと迫るッ!


御園「・・・・ッ!(駄目か・・・)





―ジャキィイイッ!!


黒田「――ッ!?


「UUURRRRYYァーーッ!!
 
 
 




黒田「んな・・・ッ!


―バッガァアッ!!


反射的に頭を抱え、黒田は身を守る姿勢になる。


黒田「!(・・な、何か飛んできたッ!?

パラパラとコンクリートの破片が落ちてくる。


黒田「こ・・これは、消火・・・器?


コンクリートの壁に根本まで埋まったそれは、火を消すことに使われる赤い消火器具であった。


ドドドドドド・・

黒田「(何だそりゃ?消火器がコンクリにめり込むだとッ!?
ゴリラが投げたって間違いなく無理だろ!!


晶「・・・何かしら?すごく気分が良いわ。


黒田「ウォッ!?
い、行つの間に側に!?


晶の身体に空いていた穴はすっかり塞がっている。
元に戻った・・いや、晶は吸血鬼になる事を選んだのだ。


黒田「その牙・・・その力ッ!
お前、まさかッ!!


晶「フフッ・・・そのまさかよッ!


―パァンッ!


黒田「うぶッ!?


晶の平手打ちが黒田を捉える。
190cm近いであろう大男は、車に跳ねられたかの様に宙を舞った。


御園「・・・!?


―ビダァア!


黒田「がぁあッ!(・・・この俺が弄ばれているだとッ!?


晶「手応えは首の骨が折れた感じだったけど・・・?
動けるみたいね。


黒田「・・・当然だ。1000の能力で怪我を終わらせたからな・・・!
お前もすぐに終わらせてやるッ!


ゴゴゴゴゴゴ・・・

晶「やってごらんなさいよ・・・


黒田「・・!
てめぇ~ッ!!後悔させてやるぜッ!
【1000】ッ!!


1000の拳が晶を捉えるッ!


―ッバギィ!!


ドドドドドドド・・・

黒田「勝った!1000!この女を終わらせろぉ~ッ!!


・・

・・・

・・・・・

晶「・・・終わり?

黒田「え?
 
 
 




黒田「なぜだッ!
なぜ終わらないッ!?

―ドカッ!

―バキッ!

続けて晶を殴るが晶は一向に【終わらない】・・・



黒田「はぁ・・はぁ・・ッ!

晶「なぜ終わらないのか・・・それは
私が【永遠】になったから。
永遠って・・【終われない】のよ。


―ドゴォッ!


黒田「ぐはッ!!


晶のスタンドが姿を現し、倒れた黒田を持ち上げる・・・


どこか柱時計を思わせるスタンド。
両腕には歯車の様な飾りが見れる。


晶「【クロック・ワークス】・・・
これが私のスタンド。
時間経過を遅く出来るわ・・・
1秒たつのに大体、10秒くらいかな。
遅くなった時間の中で10秒ってのも、おかしな話だけどね。


黒田「や・・・やめッ!


晶「やめないわ・・・アンタ達はそれだけの事をしたんだからッ!
【クロック・ワークス】!!



―バァアアアーーン!


ドドドドドド・・・
晶「・・・・




オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァアアアアアァ!!!


UUUUURRRRYYYAAAAーーーッ!!!



―ドッゴァアアアアッ!!!



遅くなった時の中で殴られ続けた黒田の身体は、既に原型を留めていない。
飛び散る血飛沫ですら、殴られて霧散していた・・・


―ザァアアア・・・


晶「74211発・・・殴り足りないけど仕方ないか。
御園君、大丈夫?

御園「・・・晶さん。


―ピリリリリ・・・

晶「電話ね・・・出られる?

御園「えぇ、何とか・・・

―ピッ

御園「もしもし・・・はい・・はい。
そうですか。了解しました・・・
 
 
 




晶「どうしたの?


御園「冬樹博士が・・・遺体で発見されました。


晶「――ッ!


御園「・・・


晶「御園くん・・・しばらく遥をお願い。

御園「はい・・仮面を隠しに行くんですね?


晶「当たり・・・あの人の遺志。守らなきゃ。
大丈夫、1時間位で戻るわ。その間に遥を町に連れて行っておいてくれるかしら?


御園「あなたは・・・その後、どうされますか?


晶「あなたに捕まるわ。
その傷も私がやった事にして、死闘の末捕獲しました・・・じゃ、駄目?
そうすれば大手を降って財団に戻れるわよ~。
アハハッ・・!



御園「・・・分かりました。



晶「助かるわ・・・ありがとね。




ドドドドドドド・・・・!





晶「で、私は表にいた敵の残党をぶっ潰して、
仮面を隠して・・・
ここに幽閉!


遥「そうだったの・・・

御園「加えて言えば、尾出も研究員として居た。
それから数年後に・・・骨と矢を盗んで逃げた。

晶「尾出?誰それ?


御園「そのうち教える。
それより・・・仮面はどこにある?


晶「ソイツは教えられないわね・・・。


遥「御園・・・そのために私をここに?


御園「・・あぁ、乱童が手に入れる前に破壊しなくては・・・


遥&晶「破壊!?
そんな事して平気なの?


悠「・・・(やっぱ親子だなぁ・・


ゴゴゴゴゴゴ・・・


御園「奴の手に渡すよりはマシだ。上の許可は出ている・・・
どこかの国で、見つかったおかげかもな。


晶「・・やっぱり、まだあったのね。


御園「みたいだな。
とは言え、もう一つは遥か遠くの国。
今、問題なのはこの国の石仮面だ。


晶「壊すなら・・・
教えてあげるわ。


遥「・・・
 
 
 
 
 
 


中川 響子
スタンド【シー・ウォンツ・トゥ・ビー・ユー】
御園のM・Jに全身の血液を抜かれて死亡。
黒田 (仙一)←下の名前
スタンド【1000】
吸血鬼化した晶にボコられ、跡形もなく消滅・・・






ゴゴゴゴゴゴ・・・




使用させていただいたスタンド


No.473
【スタンド名】 クレイジー・クラフト
【本体】
【能力】 殴った対象の形を変える

No.361
【スタンド名】 シー・ウォンツ・トゥ・ビー・ユー
【本体】 中川 響子
【能力】 自分や相手を本体が見たことがある人間の姿を変える

No.93
【スタンド名】 1000
【本体】 黒田 仙一
【能力】 触れた物を終わらせる

No.28
【スタンド名】 クロック・ワークス
【本体】 上城 晶
【能力】 時間の流れを遅くする




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