オリスタ @ wiki

【スター】オリジナルスタンドSSスレ【ゲイザー】第十六話

最終更新:

orisuta

- view
メンバー限定 登録/ログイン


 
ドドドドドド・・・

准一「この・・野郎ッ!!


―チャポッ・・

―ブオンッ!

庵治に殴りかかるE・Uだが、ことごとくかわされる。

准一「ちょこまかと影の中に逃げんじゃねえ!コラッ!!


庵治「ギョギョッ・・!これが俺の戦い方だッ!!


准一「くそがッ・・!


柳井「(殴るしかしてこないところから想像するに・・・単純な近距離パワー型。
能力の相性でやや有利か?



丞久「余所見とは余裕だな?

柳井「ッ!?


―ガシッ・・・

気づかぬ間に接近してきた丞久に折れた腕を捕まれる柳井。

―ゾッ・・

柳井「(・・何だ?この得も知れない恐怖感は・・!)
うわぁあッ!

―バシィッ!

慌てて丞久の手を振り払う!


丞久「フハハハ・・ッ。今のは、ほんのご挨拶だ。
受け取れ、造花だがなかなか綺麗だろう?


丞久の手には花束が握られている。

ゴゴゴゴゴゴ・・・


柳井「花・・・束?
どこから・・・


丞久「いらないのか?だったら捨てるしかないな。

―ボギィイッ!

丞久は手にした造花の束をへし折る。



柳井「ぐぁああぁあッ!?


その瞬間、柳井の折れた腕に激痛が走る!

無意識に痛む腕を押さえようとした柳井の表情が、苦痛から驚きに変わる。


ゴゴゴゴゴ・・・


柳井「腕が・・・無い?



丞久「クレイジー・クラフトは、触れた物を創り変える・・・ッ!


柳井「ウワアァアアアッ!?



丞久「フフッ・・素晴らしい悲鳴だな。


庵治「柳井ッ!!
・・・・ッ!?



影から姿を現した庵治の視界が不意に薄暗くなる。
 
 
 




庵治「・・・なんだッ?


上を見ると、空ではなく壁のような物が視界を覆っていた。


准一「ぶっ潰れろぉおおーッ!!


―ズオォオオッ!!


庵治「な・・ッ!!



―ドゴオォオオッ!!

地面が揺れる程の衝撃が走る!


ゴゴゴゴゴゴ・・・


准一「くそッ!あと少しだったのに・・・!
まぁ、影はぶっ潰したし・・出てこれそうなのはアソコしかないからな。
出てきた所を叩く!


地面に横たわる大きな石柱に腰を降ろし、スタンドを構える。


ゴゴゴゴゴゴ・・・


影から影へ移るには一度表にでるか、影が重なる必要がある。
庵治の入っていた影は石柱にふさがれ、新しく石柱の影が出来ていた。

庵治が他の影に移る ためには石柱の影から出る必要があるのだ。


ゴゴゴゴゴゴ・・・


―キュイキュイキュイ・・・

けたたましいサイレンが鳴る。
今の衝撃でセキュリティにひっかかったのだ。


准一「おわッ!?

丞久「・・・間抜けが!


―ガガッ・・・
麻里「准一ぃいぃ~ッ!!
警備にひっかかったわね!?
バカ!アホ!逃げるわよッ!!


准一「あわわわわ・・悪い!
だけど今は駄目だ!戦闘中なんだよッ!

麻里「戦闘中~ッ?あんた何やってんの!?


柳井「・・・!
その声は、麻里ちゃんかい?


麻里「柳井・・先輩!?
准一!!てめぇ何してくれたんだ!?
そっち行くから待ってなさいよッ!


准一「ち、違う!俺じゃなくて・・・って、切れちゃったよ。・・・はぁ。


丞久「フフ・・お姫様のお守りも 大変だなぁ?

准一「何だとてめぇ!?


庵治「(お?仲間割れか?
何だか知らねえがこれは・・・


柳井「チャンスだッ!!
 
 
 




―ドバァアアーッ!

准一「しまった!


一瞬の隙をつき、石柱の影から飛び出す庵治。


庵治「柳井ッ!一旦立て直すぞ !

柳井「・・分かった!


長く伸びた木の影に庵治が飛び込む。


続いて柳井も、同じ木の影に飛び込むために走り出す!

丞久「逃がすかッ!
―ダッ!

柳井「A・T・Mッ!ァアアアッ!!


―ドガァアッ!


鉤爪の一撃を喰らい、吹き飛ぶ丞久。


柳井「やったぞッ!


倒れた丞久との距離を引き離し、影まであと数歩の場所まで柳井は走る。


丞久「良かったじゃないか。
ここは行き止まりだがな。


が・・・柳井の目の前には、なぜか丞久の姿があった。


柳井「えッ!?


―バッ!

後ろを確認する柳井!


柳井の後ろには、たった今吹き飛ばした丞久の姿がある・・・
だが、よく見ればヒビが入っていた。

―ボロ・・ボロ・・・


そしてその姿は崩壊し、土塊となる。


柳井「変わり身・・・?


丞久「正解だ。
俺の能力は触れた物を何でも好きな形に変えられる。
いずれは生命だって創りだしてみせるさ・・・
さて、覚悟は出来たか?


―グッ・・・


クレイジー・クラフトが拳を握りしめる。


ドドドドドド・・・



麻里「あーもう!本当にツマんないッ!!
見えないから?
信じられない?
私の頭がオカシい?
ウンザリだわッ!!


入学式から一週間ほどたったある日。
屋上で喚く少女が一人・・・


「うるさいなぁ・・・ゆっくりさせてくれないかい?


ではなく、空を見上げる男が一人。


麻里「何よ?ここは屋上よ?あんたの物じゃないのよ!?
喚こうが私の勝手じゃないッ!

「ま、そうなんだけどね。
だけど屋上は君の物でもない。いわゆる公共の場だ。
そんな場所で騒がれたらみんなに迷惑だろ?
 
 
 




麻里「ごもっとも!

「アハハ・・・僕は2年の柳井。君は・・・新入生だね?


麻里「(ヤベ、先輩かよ)私は・・・浅岡 麻里と言います。


柳井「麻里ちゃんね・・・何があったのさ?

麻里「・・・言ったって分からないだろうしッ!あんたには関係ないしッ!


柳井「ま、本人にしか理解出来ない悩みもあるだろうから。
深くは詮索しないけど。
・・・そういう悩みを持つ人って、大体屋上に来るんだよね。

ゴゴゴゴゴゴ・・・

柳井が手を伸ばし、麻里の目の前で開く。

麻里「・・・何これ!?

柳井の手のひらには、一枚の黒い鳥の羽。
一見カラスの様だが
赤く発光する機械的な筋が走っていた。


柳井「見えるんだね?
スタンド使いは引かれ合う・・・
君が、今日ここに来たのもきっと運命の引力によるものだ。 放課後また来てくれ、能力の使い方を教えるよ。


麻里「・・・・!


ドドドドドド・・・




庵治「柳井ッ!避けろぉ~~ッ!!


准一「丞久!殺すなッ!!


柳井「・・・・!


丞久「ゲームオーバーだ・・・。



―ズォオォオオ・・・!


ゆっくり、非常にゆっくりと敵の拳が柳井に迫る。


柳井「(昼間も・・・こんな事があったなぁ。
さっきは上城が助けてくれたくれたけど、今度はさすがに・・・



―ドゴオオォオッ!!



丞久「・・・!



ゴゴゴゴゴゴ・・・


氷室「・・テメエ、俺の親友に何してくれてんだ?あ゛!?


クレイジー・クラフトの拳はレッド・ホットに捕まれれている。



丞久「形が・・・変えられない?


氷室「それがお前の能力か?
俺のスタンドは炎だ・・・。
そりゃあ変えられねえよなぁ!



ゴゴゴゴゴゴ・・・
 
 
 




柳井「大分スタンドの扱いが上手くなったよね。

麻里「そんな・・・先輩のお陰ですよ~。
それで、もしよかったら・・あの、こ、今度・・ッ!

柳井「そうだッ!


麻里「あ・・・。


柳井「ん?・・何か言い掛けてた?


麻里「い、いや!何でもないですッ!
何ですか?


柳井「次の休み、買い物付き合ってくれないかな?
今度、姉が子供が生まれるからって、帰ってくるんだよ。
それで、姪っ子に・・・あ、生まれてくるのは女の子なんだけど、何かプレゼントしたくてさ。


麻里「~~~(やった!これって一応デートよねッ!?


柳井「麻里ちゃん?・・・顔赤いけど、熱ある?
具合悪かったら、僕一人で行くけど?


麻里「いやいやいや!大丈夫ですッ!
行きましょう!是非ッ!


柳井「じゃ、日曜日に。

麻里「了解です、先輩ッ!




ドドドドドド・・・




丞久「クッ・・!!
(こいつのスタンド・・・強いッ!)


放つ攻撃はことごとく透過してしまうため、スタンドに攻撃する事は出来ない。
ならば、と
本体を狙おうとしても、常にスタンドが壁になるように氷室は移動している。


丞久「(戦い慣れている・・・俺よりも圧倒的に・・・ッ!


ゴゴゴゴゴゴ・・・



丞久「・・非常に不本意だが、一旦引かせてもらう。


氷室「・・・やってみな。
逃げられるモンならよ。


丞久「クレイジー・クラフトッ!!


―ドカドカァッ!


地面を殴りつけ、レッド・ホットとの間に壁を作り出す!


氷室「ウォッ!!?

丞久「一瞬だ・・・一瞬目を離させればそれで良いッ!
それだけあれば逃げてみせるッ!!
 
 
 




丞久の創りだした壁はそこまでの高さも、厚さもない。
ただ目くらましの為だけの壁・・・


彼はそれで充分だと考えた。

いや

考えてしまった。




氷室「馬鹿がッ!!


丞久「な・・しまったッ!


ゴゴゴゴゴゴゴ・・・

丞久の足は、足首まで影に沈んでいた。


庵治「逃がしゃあしねぇよ・・・!


丞久「まさか!・・こんな事がッ!?



―ドゴォオッ


壁に穴が開き、そこから氷室が姿を現す。


氷室「言っただろ?俺のスタンドは炎だと・・・
薄暗い場所で炎の前に、物を置いたら影が出来るなんてのはガキでも分かることだぜ?


丞久「・・・!(やられた!コイツ、スタンドを盾にするだけでなく、この場所まで俺を誘導してたのかッ!
影が重なるこの場所に・・・!!


ゴゴゴゴゴゴ・・・

氷室「覚悟はいいか?

レッド・ホットが拳を握りしめる・・・


丞久「(ま、まだだ!奴のスタンドが炎だというなら、地面から箱を創りだして閉じこめれば・・酸欠で消えるッ!!)
クレイジー・クラフト!!

―ドグシャァァァ


丞久「お、俺の手・・・がッ!?


氷室「おせえ・・遅すぎるぜッ!


丞久「やめろぉ~ッ!?


氷室「ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドララァァアアァーッ!!

―ボゴボゴボゴボゴボゴボゴボゴ・・!

―ドゴシャァアッ!!

丞久「死にたく・・ない・・ッ
俺は・・世界を、変え・・・・


丞久「・・・・・・


氷室「そんな事は、あの世でやんな・・!


柳井「やった・・・


ゴゴゴゴゴゴゴ・・・

丞久の身体は、影の中に沈んでいき
やがて、完全に呑み込まれた・・・
 
 
 

岡本 丞久
スタンド【クレイジー・クラフト】
―死亡。



ドドドドドドド・・・







麻里「柳井先輩ッ!

その時、麻里が駆け寄って来る。
なぜか涙目で。


柳井「あ、麻里ちゃん。
やっぱり君だったのか。




准一「・・・・・


庵治「氷室・・・もうやめろ。




氷室「うるせえッ!!まだ死んじゃいねえ!!
コイツをかければ傷は治るんだッ!!




柳井「・・・??
みんなどうしたって言うんだ?
っていうか僕は完全無視ですか?


佇む柳井を無視して、全員が何かを囲んでいる。
柳井はそれが何か確認しようと皆に近寄る。



麻里「先輩・・・ッ!

庵治「~~~ッ・・・!


氷室「起きろッ!傷は治ったぞ!!
起きろよ!!

柳井ィッ!!




柳井「・・・・!


柳井が目にした光景は、倒れている自分の姿。


ドドドドドドド・・・


柳井「そうだ・・あの時、氷室は僕の後ろにいた。
敵の攻撃は僕を貫通して・・・



そこまで思った時、柳井の身体(意識)が空へと登り始めた。


柳井「そうだ・・
僕は死んだんだ。



ゴゴゴゴゴゴ・・・



柳井「みんな・・!



うなだれていた一同が、空を見上げる。

そこに柳井の姿が現れるような気がして。


氷室「柳・・井?


柳井「ありがとう、みんな。
庵治くん、君と長い付き合いでもないのに色々ありがとう。


麻里ちゃん、しばらくぶりに会えたのに、こんな事になってごめんね。

そこの彼氏、敵に頼むのもおかしな話だけど・・麻里ちゃんの事、よろしく。
彼女、スゴく良い子だから。


氷室・・・上城たちの事、よろしく頼む。
・・・それから、親友って言ってくれてありがとう。


お別れ・・・言い足りないけど、迎えが来たみたいだ。

それじゃあ、またね。

ドドドドドド・・・

柳井の魂は、街を飛び越えて天へと昇り・・やがて、消えた。



氷室「(またな、柳井・・・
後は俺に任せて、ゆっくり休め・・・。
 
 
 


柳井 源太
スタンド【アクロース・ザ・メトロポリス】
―死亡。



< 前へ       一覧へ戻る       次へ >





当wiki内に掲載されているすべての文章、画像等の無断転載、転用、AI学習の使用を禁止します。




記事メニュー
ウィキ募集バナー