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23話「闇夜の殺人鬼たち その1」の巻

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orisuta

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ピチャ……

女「ヒロシぃ、ねえ、もう帰りましょうよ…………。」
男「どうしてだい?タマコ、もう少し居ようよ、ここに。」

水溜りを踏みしめ、一組の男女が路地裏を歩く。周りは既に闇と化し、なんとも言い難い不気味さを醸し出していた。
男の表情は暗闇のせいでよく分からない。そこのところが余計にあたりの不気味さを倍増させている。

タマコ「何で……って、知らないのォ?あなた……。最近『デる』のよ……。」
ヒロシ「出るって何がさ!幽霊かい?」

タマコ「違うわ……幽霊なんてナマっちょろいもんじゃない。ニュース見てないの……?
     『現代に蘇った切り裂きジャック』よォ!こんな夜遅くまでいたら……。」
ヒロシ「ハハ、何かと思ったら、そんなことかい?
     面白い冗談を言うね!だって君…………」

ヒロシ?「さっきからそいつと話 してるんだぜ(●●●●●●●●●● ●●●●●●)。」

その言葉と同時に女性の顔が凍りつく。

ヒロシ?「この夜遅くまで遊んでる堕落した女がァ――ッ!!」グオア!

ピタッ

女に触れる直前で男が手を止め……。

スッ

そして踵を返して女から離れる。

タマコ「?」「??」 へなへな……

女は為す術もなく その場にへたり込んだ。
ただ呆然と男の歩いていった方を眺めていたが……

タマコ「ふう……何よ!アイツ!夜道でナンパされたから仕方なくついてきてやったけど……
     ヘンなやつ!警察に通報してやるわ!」

恐怖が薄れ、正気が戻って悪態をつく女。

タマコ(でも……何だかよく分からないけど、助かってよかっ)
??「助かってよかった。」

タマコ「ヒッ!?」
??「…………と、思った?」

ドズウ!

背後から女性の声が聞こえたと思った瞬間、女性の胸からおびただしい量の血が噴出した。

??「クスクス……。その恐怖に歪んだ顔、可愛かったわよ……。すごく……」

??「お い し そ う。」

バリ! バリグチャ! ズルルル! グチュ!

ヒロシ?「おぉおぉ、やってるねえ。」

物陰で屈んで『食事』をしている女性に影が差す。

??「何かしら……今食事中なんだけれど。」ズルル
ヒロシ?「悪いね、食事中に。だが、いつまでも現場にとどまるわけにはいかないだろう?」

??「……分かったわよ。」ズル!グチャグチャ ゴクン!

スタ スタ ……

???『クックックッ。』

二人が立ち去った後の物陰で、声を殺して笑う人影がひとつ。

D・F『ゆだやノ教エニ「『運命』ニ逆ラエバ『運命』ニ支配サレ、『運命』ニ従エバ『運命』ヲ支配デキル」……
   トイウモノガ アル。フフフ…………。』

必府の夜に佇む騎士甲冑のスタンド。

D・F『コノ『巡リ合ワセ』ハ、コノ『運命』ハッ!』

ド ド ド ド ド

D・F『マサニ私ガ『運命』ヲ「支配」シタ証拠デハナイカッ!?『運命』ヲ司ルコノ『矢』ニ従ッタコトデ!
   フフフ!素晴ラシイ!素晴ラシイゾ!コノすたんどハ!コノ素晴ラシイ『巡リ合ワセ』ハッ!』

D・F『『矢』ガ奴ラヲ『選ンダ』時ニハ、本当ニ驚イタヨ……。マサカ、偶然タマタマ、
    イマ世間ヲ騒がせている『殺人鬼』ノ生誕ニ出クワシテシマッタノダカラナッ!!』

ド ド ド ド ド ――――

JOJO「『殺人鬼』ィ?」

JOJOが素っ頓狂な声をあげる。

ミキ「ええ、そうよ。『現代に蘇った切り裂きジャック』…………と呼ばれてるわ。
    被害者の遺体は、ほとんどが食われていて、残った部分は切り刻まれている……。
    そして、その全員が女性である…………。」

亜希「ゾォ――ッ、何それすごい怖い。」
アクター「トチ狂ってやがるぜ。おっかねェ―。」

ミキの言葉に、いつもの3人が口を開く。
ここは必府高校の屋上。ミキにJOJO、亜希、アクターの他に、アリスと湾太もいる。

アリス「それで、どうして私たちが呼ばれたんですか……?」
湾太「馬鹿だなあ、君。アリスちゃんだっけ?ここにいる人間の共通点を考えてみなよ。」

アリス「共通点……?アクター君と、亜希さんと、JOJOさんはいつも一緒にいるけど、
     湾太先輩とミキ先生はそうでもない……。私と3人はスタンドを通じて……」
湾太「そこだよ!」

アリス「あ、湾太先輩とミキ先生もスタンド使いだったんですか?知りませんでした。」
湾太「…………ああ、そうだったんだ……。」

JOJO「……で、スタンド使いを集めて、『切り裂きジャック』の話をするってことはつまり、
     件の殺人鬼もスタンド使いってことだよな?」
ミキ「うん。何でも、腋の下だとかひざの裏とか、爪の間みたいな細かいところも切り刻まれているんだそうよ。
    そういう異常なのは大体スタンド能力でしょ。」

JOJO「だが、それで俺たちを呼んだ理由がわからねーぜ……。もしかしてフクロにしてとっ捕まえようとか?」
ミキ「まさか!生徒たちを巻き込めるわけないでしょ!
   ただ、スタンド使いは何故か偶然会いやすいし、道端に会ったとき対策とかあったら便利でしょ。」

JOJO「そんなスタンド使いを森で熊に会ったときの対応みたいな感じで……。」

ミキ「ま、まあ、そこはおいといて!いい?『殺人鬼』は2人組だと言われているわ。
    これは教師たちにしか教えられてない情報だけど、現場の血だまりについていた足跡が被害者を含めて
    「3種類」あったらしいの。女物の靴と、男物の靴らしいから、タブン犯人は男女の二人組よ。
    『スタンド使い』が普通の人間と組むとは思えない……。両方ともスタンド使いと思った方がいいわ。」

ミキ「残された足跡からすると、男が被害者(ターゲット)に近づき、背後から女が不意打ち……っていう手口みたいね。」

JOJO「なるほど、『男』じゃあなく、背後から来る『女』に気をつけろってことか」

湾太「あ、あのさァ、なんだか水を差すようで悪いけど……『切り裂きジャック』の犯行時間は夜らしいよ?
    だったら、夜は外に出なけりゃいいんじゃないの?」
アリス「えっ!」
亜希「どーしたの?アリスちゃん。」

アリス「わ、私、今日の夜……知り合いの家に行かなきゃいけないことになってるんです……。」

ミキ「ええっ!?駄目それ!絶対駄目!アブなすぎ!」
アリス「で、でも……いきなりキャンセルっていうのは……ちょっと……。」
ミキ「むぅ……。」

JOJO「じゃあ、今日の夜アリスの家まで行って俺らで付き添ってやればいいじゃんか。
     流石にスタンド使い『6人』もいたら『切り裂きジャック』が襲ってきても問題ないだろ。」
アクター「だな。」
ミキ「むう……。そうね。正直アリスちゃんにはキャンセルしてほしいけど……それでよしとしましょう。」

湾太「ちょっ、ちょっ……。ちょっとまて?『6人』?
    この場にはJOJO、亜希ちゃん、アクター、ミキ先生、そしてアリスちゃん……。5人しかいないぞ?」
亜希「何いってんの湾太先輩。先輩も一緒だよ。」

湾太「うっそだぁあああ~~~~~ッ!?」

―――夜、アリスの家の前。

ミキ「じゃあ、皆いるわよね?この辺暗くてよく見えないんだけど……。」
JOJO「いるぞ。」
亜希「いまーす。」
アクター「ここにいるぜ。」
アリス「私もここに。」

湾太「…………ああ、うん……いるよ…………。」

ミキ「そんな『もうすぐ死にます』みたいな声で返事しなくても……。」
JOJO「じゃあさっさと行こうぜ。さっさと行ってさっさと帰れば殺人鬼にも会わないだろーしよー。」

湾太「そうだね……。うん……そうだよね……。」
ミキ「さ、湾田君、行きましょう?」

ミキに支えられ(といってもミキの方が小さいから「湾太がミキに寄りかかって」と言った方が正しそうだ。)、湾太も歩き始める。

アリス「な、何だか、湾太さんには申し訳ないですね……。」

道中、アリスが気まずそうに声を出す。というのも、湾太は現在進行形で死にそうな顔をしているのだ。
おかげで一同はなんとも言えない「気まずさ」があった。

湾太「そうだと思うなら…………どうして……っ!どうして……見逃さなかった…………っ!」

これにはアリスも半泣きになった。

アクター「おいおい、湾太よォ、いつまでもそんなんじゃ女々しいぜ!もっとシャキっとしろ、シャキっと!」
JOJO「そうだぜ、(一応)生徒の中じゃあ最年長なんだ。お前がシッカリしてねーと、皆も戸惑っちまうぜ。」

アクターとJOJOが湾太を励ます。
一応注意しておくと、湾太は3年生でアクターとJOJOは1年生である。
(身長190cmあるアクターとJOJOに比べ、湾太は165cmしかないので逆の関係に見えるが。)

湾太「ぬぐぐ……。確かに君たちの言うことにも一理あるな。分かった。とりあえず今はこのことは忘れ「キャアアアアアッ!!」
    そうそう、「キャアアア」……って なんだってええええ―――――ッ!!?」
JOJO「な、何だか分からないが……」
ミキ「緊急事態みたいねッ!すぐに行くわよ!!」

ダッ!

一行が悲鳴の元まで駆けつけると、そこには胸に刃を生やした女性の姿があった。
その背後には、メガネをかけた女が立っている。

メガネ女「あら。」
ミキ「どうやら私の推理は正しかったみたいね……」グッ

ミキが上着を掴む。

グイ

そして、上着を脱ぐ。下に着ていたのは、動きやすそうなノースリーブのシャツ。
ただし、それを身に纏うのは…………。

アリス「なッ!ミキ先生!?」

ミキ「これは「試練」よ……。『殺人鬼を打ち倒せ』という「試練」だと私は受け取ったわ。」ド ド ド

見違えるような体躯へと変貌を遂げたミキ自身である。

メガネ女「……面白い能力ね。男性化する能力?そんなショボイ能力……」サッ

メガネ女はバックステップで距離をとる。

JOJO「!!」バッ

JOJOはソレを見てすぐさま女性の下へ駆け寄る。

女性「ううああ……ああう…………。」
JOJO「……! 大丈夫だ!まだ生きてる!致命傷じゃあないッ!だが、このままだと確実に死ぬ!救急車は間に合わない!」

亜希「そ、そんな…………!」
湾太「お、俺たちの中には治療系の能力はないし……」

JOJO「救急車は間に合わない!……が、治療は間に合うぜ。」
アリス「えっ、JOJOさんの『ヒートウェイヴ』の能力は「軟化」……。治療することは……。」

JOJO「やれやれ、この女、『切り傷』だったのが幸いだったってとこだな。『ヒートウェイヴ』ッ!」ズギャン!

HW『オオオオオオオオオオ』

JOJO「この女の『切り傷』を「やわらかく」して……」ゴ ゴ ゴ

JOJO「埋めるッ!」ズギュン!

ドオォオオオ―――ッ

アクター「な、治ったッ!!」

メガネ女「……!アイツ、面倒ね……始末、しないと…………。」

ブオン!

メガネ女の顔面スレスレを、ミキの生身の拳が掠める。

ミキ「違うわね……。それはあなたの仕事じゃあないわ。仮に出来るとしたら、それはあなたの相方の方。
    あなたは……ここで私に倒される。だから、JOJOを始末することはできない!」

ド ド ド ド

湾太「す、すげえやJOJO……!死にそうだった女の人を治しやがった……!一体どこであんな応用を!?」
JOJO「『ディープ・フォレスト』との戦いのときに編み出した。胸に穴開けられたり腕を切られたりしたもんでな。」

亜希「何それ!?初耳なんだけどッ!?どーして教えてくれなかったのさッ!」
JOJO「……言ったって意味ねーだろ?」

湾太「やれやれ……あっちのメガネのオネーサンもミキ先生だけで事足りそうだし、殺人鬼もたいしたことないね、フッ。」

サッと髪をかき上げ、笑う湾太。しかし、その顔は次の瞬間戦慄に染められた。

ゾ ワ ッ

湾太(後ろ……から、殺気ッ!能力の影響か、周囲の雰囲気からも敏感に「危険」を感じられるようになった俺には分かる!)

亜希「もぉ――っ。」

ド ド ド ド

湾太(狙いは―――亜希ちゃんッ!?)
湾太「うおおおおおおおおおお―――――ッッ!!!『ロンリースタートォオオオオオ』―――――ッ!!!!」

亜希「えっ!?何をして……」
RS1『ムオオオオオッ!』ドガシ!

『ロンリースタート』のうちの一体が亜希を突き飛ばす。
(『ロンリースタート』は本体の「心の痛み」を晴らす為に暴れるスタンドなので、手荒なマネしかできない。)

そして他の二体の『ロンリースタート』が湾太の後ろ目がけ突撃する。

アクター「何をしているんだ『ロンリースタート』ッ!?行動がまったく読めねえ!」
JOJO「いや、違うぜ!『ロンリースタート』は本体の「心の痛み」を晴らす自動操縦スタンド!
     つまり、『ロンリースタート』の行動は常に本体の心の痛み――危険を潰す行動になっている!つまり!」

RS23『ムオオオオオオオオオオオオオオオッ―――――!!』ゴワアッ

JOJO「そっちに『男』の方がいる!そういうことだなッ!?『ロンリースタート』!」

ガ ガン!

『ロンリースタート』が飛びかかり、遅れてJOJO、アクター、アリス、湾太の4人が後ろを振り向く。
そこには、黒い壁があった。

RS23『ムオオオアアアアアアア―――っ!!』ガン!ガン!

『ロンリースタート』はただその「黒い壁」を殴っている。
(自動操縦なので高度な思考による行動を行うことはできないし制御もできない。)

JOJO「これが『男』の能力か……!「防御壁」のスタンドと、「刃」のスタンド……!」

JOJO「そして……FIREッ!」ドッガア!

JOJOが『ヒートウェイヴ』で二体の『ロンリースタート』を殴る。
路地裏なため、そこまで吹っ飛びはしないが、『ロンリースタート』たちはビルの壁に打ち付けられた。

JOJO「『ロンリースタート』が壁を越えられないなら、俺が吹っ飛ばして行動を修正してやればいい!
     プロのゲーマーがゲームの「CPU」の行動を誘導するみたいにな!」
RS23『ムオオオオオオオオオオ――――!!』

ドッギャアア―――ッ


ド ド ド ド ・ ・ ・


RS23『ムオアアア!?』ドガガガッ!

壁を避けて『男』に攻撃を仕掛けた『ロンリースタート』が再度壁に撃ちつけられる。

RS23『ムオオオオオオ…………。』ボシッ ボシ ボシ……

そうこうしているうちに「心の痛み」を使い果たしたのか、『ロンリースタート』たちが消滅する。

ズズズ……

アクター「「壁」が沈んで行くぜ……。」

亜希「いたた……一体何……って、あの男……もしかして?」
アリス「はい。多分『切り裂きジャック』のもう一人だと思います。」

男「…………。やれやれ……。最近の子供はズイブンと小ナマイキだな……。
   オマケにこのパワー ―スタンド―まで持っていると来た。その上 いち、にぃ、さん、よん……。
   5対1で戦わなきゃならんのか……面倒だな……。勝てないことはないけど…………。」

湾太「いいか皆!こいつから「5m」内には接近するな!何でかは分からないが、「やられる」!
    さっきの一瞬、亜希ちゃんが「やられる」という危険を感じた!根拠はないが、絶対に「5m」内はマズイ!」

男「……前言撤回だな。勝てないかもしれん。」
アクター「やいテメエ!てめーが今世間を騒がせている『切り裂きジャック』か!?」

男「……。そうだな。俺が、『切り裂きジャック』――――実行犯(●●●)だ。そこのキレーなお姉さんじゃあないぜ。」

亜希「は……?それって……?」

ミキ「ぐあはッ!」ドガッ

その言葉と同時に、ミキが壁に打ち付けられる。

ミキ「くっ……。どういうカラクリなの?あれ……!私の動きをコピーする……!」

ミキの視線の先には、漆黒に染まったミキらしき姿があった。



To Be Continued...


使用させていただいたスタンド


No.1251
【スタンド名】 マーブル・クランチ
【本体】 川上未映子
【能力】 スタンドが殴った影を立体化する

No.1259
【スタンド名】 リアル・ナイト
【本体】 川上宗薫
【能力】 手のしわやコンクリートのひび等の細い溝や割れ目から刃を生やす




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