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24話「闇夜の殺人鬼たち その2」の巻

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orisuta

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ミキ「く……「私の動きに完璧に合わせたカウンター」……。
    この謎を解かないと、私に勝機はない…………。」

ズズズ……

ミキが改めて「黒い自分」を注視すると、「黒い自分」は地面に沈んで消えた。

メガネ女「フフ……。」

ズオ!

『男』の背後と、メガネ女の背後に黒い「壁」が現れる。

メガネ女「ウッカリ仕留めそこねて逃げられちゃあ、私も困るし……。
       殺人鬼としてあなたたちはしっかりここで始末するわ……。」

ミキ「く……「退路」を塞がれた……ってわけね……!
    (あの「黒いもの」……硬さはコンクリくらい……壊せないことも……。)」

メガネ女「『このくらいの硬さなら、壊せないこともない』。」
ミキ「!?」

メガネ女「……と、思った?クスクス。」

ズウン……

メガネ女の傍らに、マスクを身につけた女性型のスタンドが現れる。

メガネ女「残念だけど、あなたは私のスタンドも相手にしないといけないの。」スウ……

ミキ「くっ…………。」

メガネ女「『マーブル・クランチ』……。」
M・C『シュコォ―――……。』ヴン

ゴア!

『マーブル・クランチ』が腕を一振りした瞬間、ミキの足元から「黒い壁」が勢いよく突き出す。

ミキ「!? うがっ」ドガア!

M・C『シュコォ――――ッ……!』ザッ!

ミキ「ハッ!しまった……防御が……!」

ド ッ ゴ オ

ミキ「か………………は…………ッ!」

ドギュウ――――ン!

ミキは『マーブル・クランチ』に殴られた衝撃で吹っ飛び、壁に激突する。

ミキ「うぐ……。」スゥゥ……

ミキの体が元の小柄な体躯に戻る。

メガネ女「クスクス……。どうやらもうパワー切れみたいね……。それじゃあ、トドメを……」

メガネ女がミキにゆっくりと歩み寄る。

ゴ ゴ ゴ ゴ

男(やれやれ――「軟化」に「自動操縦」にあと3人は不明……メンドくさいな……。
  まずはこいつらを片付けて、アイツのところにいってやらないと……。結構アイツ油断するからな。)

と、そこでJOJOたちの脇から倒れているミキに迫るメガネ女の姿が見える。
男はその瞬間、思わず戦慄した。

男(あのチビ女ッ―――!口元が、『笑って』いる……!?
  まさか、自ら自分の『スタンド能力』を解除して、力尽きたようにみせて…………。
  それが意味することは即ち―――『不意打ち』!まさか!って感じだ……。フツー正義の味方がやることか!?って感じの!
  だが、その「意外性」が最も恐ろしい!ましてやアイツは今非常に油断している!かわすのは……不可能!)

男「うおおおお―――ッ!きさまらそこをどけェェ―――!『リアル・ナイト』ッ!」

男の傍らにヒビが無数に走っている人型スタンドが現れる。

JOJO「うお!?なんだいきなり!?」
湾太「マズイぞJOJO!「射程距離5m」が迫ってくる!」

ドズ!ドズ!

男の射程限界を示すように、ビルの壁から『刃』が生えてくる。

JOJO「まずい……!まずいぞ!このままでは俺たちも『刃』で……どこかに!逃れなくては!」
亜希「で、でも場所が……。」

湾太「うおおおおお!!ヤバイ!もう『刃』が!」
JOJO「く、くそ……!」

ド ジ ャ ジ ャ ジ ャ ジ ャ ジ ャ ッ!

『刃』が、JOJOたちの姿を埋める。

男「やれやれ……さっき「勝てないかも」といったが、よく考えればこうやって俺が攻めれば済む話だったな。
  ここは「路地裏」……そうやすやすと逃げられるスペースなんてないんだから。」

そういって、早歩きで男は自らの相棒の下へ進む。

??「いや、そうとも言えないようだぜ?」

男「!?」バッ

『刃』の塊から、声が聞こえる。

??『FIREッ!!』バギャア!

『刃』が破壊される。そこにあったのは……

ド ド ド ド ド

男「なん…………」

JOJO「『ヒートウェイヴ』の能力…………。ビルの壁を『軟らかく』して中に避難した……。」

無傷のJOJOたち。いや、JOJOは頬に一筋傷があるから無傷ではないか。

男「だと……!?」

男「しまったッ!『リアル……」

HW『FIREEEEEEEEEEEE―――――ッ!!』

男「あっ、ぐあっ……ごはあ―――っ!」

アクター「やったっ!『ヒートウェイヴ』の拳が奴の顔面に命中だッ―――!」
湾太「いや、まだ終わってないぜ!俺の勘はまだ「危険」を―――ま、マズイ!「危険」が『ミキ先生』に迫っているっ!」

メガネ女「なッ―――!『兄さん』!?」

自らとミキの間に入ってきた男の姿に、思わずメガネ女は叫ぶ。

ミキ「『兄さん』?」

男「馬鹿……。余計なことを口走るな未映子。それよりも、だ。」

ぐったりしていたはずのミキも驚きのあまり顔をあげ見開いている。

男「見てみろ。あの女教師……。パワーを温存していたみたいだ。あのまま油断して攻撃していたら、思わぬ反撃を受けていたな。」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

男「みてみろ、ここからだと見づらいか?あの女教師の腕……。」

ググ……

ミキの腕は既に成人男性のそれよりも太くなっていた。

ミキ「くっ……。」

男「いいか?今までは俺が全員始末してきたから知らないかもしれんが……。『殺し』っていうのはな……。」

男「『リアル・ナイト』。」

男の傍らのスタンドがその言葉を受け動き出す。
攻撃する為だ。

R・N『………………………………。』
ミキ「『タイロン・パワー』ッ!」

ミキも対抗して自らのスタンドを発現する。ミキ自身の肉体も大きくなっている。

ミキ「うおおおお―――ッ」ドズッ

ミキ「……?」

自らの胸に聞こえた音を不審に思い、胸元に目を落とす。
そこには、自らの胸から生え首に刺さった『刃』があった。

ミキ「ぐふ……!こ……れは…………?」

ドザア!

湾太「み……ミキ先生ェェエエエエエ―――――――ッ!!」

ド ド ド ド

男「いいか?未映子、『殺し』っていうのはな、「拳を打ち合わせて相手を乗り越える」ことじゃあない。
  そういう「リスク」を犯して『殺し』をやるのはな、「殺人鬼」じゃなくて「クレイジーな野郎」がやることだ。
  正しい『殺人』っていうのはな―――――。」

男「『意表を突くことだ』。相手の意識をいかに自分の得意とする『殺人方法』からそらすかだ!」

ビチャア!

アスファルトの地面から『刃』が生える。
ミキの姿が『刃』の山に隠れる。

ミキ(なるほど……分かった……。今…………全て……。被害者の「奇妙な切り傷」の意味が……。
    何故「隙間」なのか?そういうことだったのね……。伝え……ないと……。意識を……失う……その……前にッ!!)

ドゴアア!

バギ!

ドギュウッ!

『刃』の山の一角が吹っ飛び、そこから『刃』が飛ぶ。
しかし、『刃』が飛んで行ったのは男の方向ではなく、JOJOたちの方向。

ザグウ!

『刃』はJOJOたちの近くのビル壁に深い傷を残した後空中に消え去る。

男「……?なんだ?今の攻撃?相打ち狙いか?」
JOJO(いや違う……。ミキ先生は一見子供だが、そんなことをするほど精神まで子供ではない。
     きっと何か……奴の能力の『弱点』を見つけたんだ……。それを俺たちに伝えようと……?)

男「まあ、いい。そこも俺の「射程内」だ……。ビルに「傷」を残してくれるとはな……。」


男「『リアル・ナイト』!『刃』を生やせ!」

ズギュン!

ビルについた「傷」から『刃』が生える。しかし、「傷」はJOJOたちから絶妙な距離に出来ており、
間一髪、JOJOたちに『刃』が届くことはなかった。

JOJO「……。そういうことか。分かったぜ、ミキ先生。あんたの言いたかった事が。
     きさまの能力はそう!『溝から『刃』を出すこと』か!」

亜希「なるほど、ミキ先生はこの為に『刃』を投げたんだ!」

男「なんだと……あの女、このことまで計算して……。俺の能力を暴くために……。」

湾太「ミキ先生ッ!おい!離せアクター!今なら助かる!」
アクター「分かってる!それは分かっているが……奴の『溝から刃を出す能力』!
      この能力の射程内に入る事は、今ミキがやられたみてーに服の隙間の『溝』から『刃』を食らうことを意味する!」

男「ほれほれ……。どうする?今ならミキ先生とやらも、虫の息ながら生きてるかもな……。
  もしかしたら俺が、「そうなるように」計算して『刃』で刺した可能性もある……。囮にするためにな……。」
未映子「何やってるの?生きているかもしれないなら、完全にトドメを刺せば……。」

男「未映子、それは違う。辛うじて生かしているからこそ(●●●●●●●●●●●●●●)、奴らは俺に向かってくるしかない。
  今年の4月に『矢』で射抜かれて目覚めた、我が『リアル・ナイト』の射程内に……。
  電灯に寄ってくる『蛾』どものように!ただ寄ってくることしかない!『飛んで火にいる夏の虫』とはこのことだ!」

男(――だがまあ、こいつらもただではやられてくれないだろう……。
  射程内に入ったと同時に『リアル・ナイト』で殺す!一人たりとも取り逃してはいけない……。
  でないと、奴らは何らかの策を講じて俺に一矢報いてくる……。そしてそれはきっと俺の生命を押しつぶす……。
  俺が自覚しないといけないのは、今は最大のチャンスであるということと同時に、最大のピンチでもあるってことだ。)
 「未映子、お前は見ていろ。このままだったら、俺が一瞬でやつらを始末する。」

JOJO「ああ、そのとおりだぜ。」

男「!?」バッ

背後からの声に振り返るが、そこにJOJOはいない。

JOJO「おい、どうした?こっちだぜ、こっち。俺はこっちだ。」
男「!?」

またも振り返るが、やはりそこにJOJOはいない。

男「なんだ!?この能力……ハッ!まさか!きさまスタンド能力で『壁を軟らかく』してビルに出たり入ったりしているなッ!」

男「クックックッ……。なんだ、そういうことなら問題はない……。場所さえ分かれば俺の『リアル・ナイト』は
  屋内だろうと、どこだろうと、空間を超越して『刃』を生やすことができる!」

JOJO「それも『ハズレ』だ。」
男「なッ!?」

バス バス

男「馬鹿な!?あたりの風景に『穴』が開いて!?」

JOJO「どうした?『刃』は生やさないのか?」

JOJOがその『穴』から現れる。

JOJO「うーむ、なるほどな。やっぱりお前のいうとおりだったぜ、アリス。
     『認識』できていなければ、『刃』は使えない。」
アリス「よかった……。間違ってたらどうしようって思ってました。」

JOJOの脇からぞろぞろと少年少女が現れる。
湾太は刃の山の方にいる。

RS『ムオオオオオ!』バギ!バギ!
湾太「いた!生きてるぞミキ先生!直前に「能力」を使っていたから、気絶したときに小さくなって
    隙間ができていたから、生き延びていたんだ!」

E・N『クックックッ……。何ガ起キテルンダ?ッテ顔シテルナ……。
    イイ顔ダナ……。非常ニ愉快ナ顔シテルワ……。』

ボス! バス!

風景に空く『穴』はさらに増えていく。
その穴の中に、愉快そうに笑って腕を組んだ「バク」を模した人型スタンドが。

E・N『オット、自己紹介ガマダ ダッタネ。アタシノ名前ハ『えたーなる・ないとめあ』。
    サッキソコニイタ「ありす」ッテイウ小娘ノ『すたんど』……。「アタシ」ッテイウ存在ガイラレルノハ、
    「夢」ヲ見テイル奴ノ中ダケデネエ~~ッ。コノコトハ本体デアルありすモ知ラナイコトヨ。』
男「『夢』……!?何を言っているッ!俺はさっきまで起きていたッ!」

ググ……

『エターナル・ナイトメア』の姿はみるみる「アリス」のものになっていく。
風景と「風景にあいた穴」の比率が、どんどん変わっていく。

E・N『アんた、「白昼夢」ッテ知ってル?日常生活トかでサ……。考エ事してて「ボーッ」トシテ上司ニ怒られタリ。   グググ
    そういウノヲ「白昼夢」ッテ言ウんだね。英語ダト「でい・どりーむ」ッテ言うんダッテサ。直訳カよ!アハハ!
    デ、どうなノ?仕事シてんノ?殺人鬼ッツっテも、一応仕事とかシテルンでしョ?マサカ人の肉食ッテ生きてるッテイウ?』

ついに、「風景にあいた穴」の比率が風景の比率を超える。

ド ド ド ド

E・N『さっき言った様に、アタシは「夢」の中に現れる。「白昼夢」も立派な夢なんだよねえ?
    そこを上手く「認識」すれば、無理矢理『終わらない悪夢(エターナル・ナイトメア)』に引きずり込むこともできる。』
男「な……なんだと……これが夢ということは!」

E・N『あら?気付いちゃったあ?アタシ、夢の中でアンタに危害を加えることはできないんだけどさ……。』

男「うおおおおおッ!そんな馬鹿な!こんな!」
E・N『「夢」を見させて無防備にさせることくらいなら、簡単なのよネ―――……アハハ!アッハハハハ!!』

風景が、黒一色になる。

ド ド ド ド―――

未映子「ねえ!兄さん!起きて!もう奴ら『5m』に入ってるわよ!兄さん!?」
男「…………………………。」

JOJO「無駄だ……。その男はしばらく目覚めない。そして、お前は始末させてもらう。
     女相手に一斉攻撃とはチト胸が痛むが――いや、痛まねえか。お前がしてきたことはそれじゃあ済まされないことだ。」

JOJO「だからといってこれが『罰』って言うのはオコガマシイことだがな……。この街の住人として、
     街を傷つける奴は許すわけにはいかねえ。」

未映子「……こ、」
JOJO「『こ』?」

未映子「このクソカスどもがァァ――――ッ!」

アリス「っ!?」

未映子「ションベンたれの小僧どもが……!ナメやがって……!『罰』だと?調子に乗ってるんじゃあねえ!
    確かにアタシは呪われた『喰人鬼』!人の肉を食べる事を幸福に感じるバケモノだッ!!」

未映子「だがな……。こんなアタシでも人間だ!人並みに恋だってする日本国民だ!「生存権」って知ってるか!
    アタシにだって生きる権利はある!そんなアタシを殺してみろ!きさまらは永遠に呪われた人間になる!」

アクター「うるせえ!そんなチャチな挑発に乗るかってんだ!人殺しがいっぱしに権利主張してんじゃあねーぜ!」

グオ!

アクターが殴りかかろうとする。

ガシッ

JOJO「まあまあ、怒るな。それが相手の狙いだろうからよ……。」
アクター「なんだって?」
未映子「…………!」

未映子は思わず歯噛みする。まさにJOJOの言うとおりだったからだ。

JOJO「忘れたか?ミキ先生が手こずった能力……。「自分とまったく同じ行動をする黒い人形」を。」
アクター「あっ。」

JOJO「おおかた襲ってきたところにカウンター気味に「黒い人形」を発現させるって魂胆だろう。」

JOJO「ここは俺に任せな。」

JOJO「大丈夫さ。俺はお前を殺したりはしねえ。」
未映子「…………。」

JOJO「「自分とまったく同じ行動をする黒い人形」……自分で言ってみたものの、面倒な事この上ない言い回しだな。」
未映子「?」

JOJO「『影』……と言いなおした方が良いか?」
未映子「!!」

ボアッ

『ヒートウェイヴ』の腕に炎が灯る。

JOJO「俺のスタンド能力はスタンドの『腕』に炎が灯った状態で発動できる。最初は「わざわざ火をつけなきゃいけないのか?」
     と思ったが、俺の意思ひとつで火をつけられるってことが分かってホッとしたのが、まだ数週間前の話だ。」

JOJO「ところで、俺の『ヒートウェイヴ』の『炎』はどういうわけか熱くない。俺もそこんところはよくわからん。」
未映子「な、なんの話をして」

JOJO「もう分かってるんだろ?『炎』ってのはよ……。人類の歴史の中で一番最初の……」

未映子「うああああッ!ヤバイ!このままでは!『マーブル・クランチィィ』―――ッ!」
JOJO「自らが生み出した『光』だッ!」

ドゴ!

未映子が地面を殴ると、JOJOそっくりの人影と真っ黒な『ヒートウェイヴ』が現れる。

HW『FIREEEEEEEEEEEEEEEE――――――ッ!!』

ゴオオオ!

『ヒートウェイヴ』の拳と『影』の拳が交差する……。

ドパパア!

と、『影』が霧散する。

JOJO「『影』は総じて『光』に弱い。どうやらこのスタンドもそうだったようだな。」

未映子「そ……そんな……。」ガクッ

最後の手段である『影』を破壊されて、未映子は膝を突く。

JOJO「さて、あとはお前を再起不能にするだけだが――」
未映子「めない……。」

JOJO「?」

未映子「認めない!アタシが、こんな「社会」に敗北するなんて!」
JOJO「何をいって……」

未映子「ねえ、お兄ちゃん……。ごめんねえ……でも、お兄ちゃんをこんな「社会」に殺させたりなんて、
    絶対にしないからね……。お兄ちゃん、眠ったまま逝ってね……。」

JOJO「きさま!何するつもりだッ!?」

未映子「ねえ……。アンタ、「夜」ってなんで起こるか知ってる?」

アクター「んなもんしってるも何も!太陽の光が地球の陰になってとどかねえから……!アッ!!」
JOJO「まさかきさまア……!!」

亜希「『能力』を……」
未映子「『発動させては駄目!』……と思った?クスクス……。」

アリス「み、皆逃げ……射程距離外に出れば……!」
未映子「もう遅いわッ!」

JOJO「うおおおおおおッ!アクターッ!」
アクター「女を気絶させることなら既にやってる!だが……」

モクモク……

未映子「うぐう……『煙』のスタンド……私の口を押さえて……?でも、無駄よ。」

未映子「最初で最期の……。」

未映子「『マーブル・クランチ・リアル・ナイト(真の夜)』……。」

ドオオオ―――ン!


辺りは―――『黒』で埋められた。



To Be Continued...




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