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クリスタル・エンパイアv.s.リトル・ミス・サンシャイン

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orisuta

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西暦2022年 6月 AM7:30――S市杜王区
ぶどうヶ丘高校の通学路―――


ヤサ男「なあ、そこのお嬢さん!君だよ君!かわいいあなた!」

駅前で、いかにもヤサ男!といった感じの風貌の男が女子高生らしき少女に声をかける。

少女「……あたし……ですか……?」

声をかけられた少女は、おしとやかそうに振り向く。
少女の『顔は』非常に整っており、美少女といっても差し支えなかった。

ヤサ男「そうそう!君さ!変わった髪型してるね~!自分で結んでるの?俺が結び直してあげよっか?」

少女「あ゛?」

ヤサ男「えっ」

ただし、その『髪型』は必ずしも顔に見合ったものではなかった。

少女「てめええ~~~~ッ!今あたしのこの髪型のこと、なんつったッ!」
ヤサ男「えっ、えっ」

少女「この髪型が『サザエさん』みてえええ~~~~だとおおおお――ッ!??」
ヤサ男「だっ、誰もそんなこと……」

少女「確かに聞いたぞコラあああァ―――ッ!!」

少女は左右に伸びた特徴的な髪型を揺らし、ヤサ男に拳を振り上げ―――


                         ド グ チ ア ッ
 
 
 



――同日PM5:00

少女「あああ~~~~ッ……。今日もやっちゃった……。」
??1「まったく、あんたはいつもそんなんばっかりねえ……。それで治療してるうちに遅刻しちゃうし。」

少女「だって……。あの人殴ったらちょっと危ない感じで白目ムいちゃうんだもん……。
    あたしビックリしちゃって……。お父さんだったら治せるしさあ……。」
??1「アンタはいっつもお父さんねえ……。少しは自立した方がいいんじゃない?」

少女「んん……。確かに、あたしも考えなしだったことは認めるわ……。今度からは気をつけます。」

少しショボくれた様子で歩くこの少女の名前は、お察しのとおり「上野 譲華」と言う。
普段は優しい穏やかな気性なのだが、ひとたび髪型をけなされると鬼神のごとく怒り狂う。
彼女曰く、「この髪型は昔お父さんに結んでもらったものだから、けなすのはお父さんをけなすのと同じだ。」らしい。
父と母は離婚しており、母に引き取られているが、彼女の希望もあって杜王区に居を構えている。

??1「ホンッット、あんたって人は……。あたしの父さんと父親が逆なんじゃないの?って思うわ。たまに。」

心底呆れている、といった表情の彼女は「虹村 那由多」と言う。
常にクールな性格で、冷めた感じだが、意外と面倒見はいい。
譲華とは父親同士が友人というつながりから、幼少時からの幼馴染である。
譲華の数少ない(髪型に関しての)理解者であると同時に一番の親友である。

那由多「まあ、あんたのくだらない髪型の話はおいといて、今度のテストなんだけどさ……。」
譲華「あ゛?」

那由多「ハッ!」

那由多「ちっ……違うのよ譲華!今の「くだらない」が修飾してるのは「髪型」じゃなくて「話」の方!
     決してアンタの髪型をけなしたわけじゃあ…………。」
譲華「うるせぇッ!」グオン!

譲華の傍らに『人型スタンド』が現れる。

那由多(く、『クリスタル・エンパイア』……!
     普段の格闘能力はアタシの『リトル・ミス・サンシャイン』の方が強いけど……
     こうなったときの譲華の『クリスタル・エンパイア』の攻撃力はアタシにも計り知れない!)

譲華「あたしの髪型をけなす奴はナニモンだろーと許さねえッ!」

那由多「『リトル・ミス……」
譲華「ドラアッ!」 バギッ
 
 
 



那由多「ぐっ……!(パワーはやっぱり譲華の方が強い……!ならば……!)」

那由多「はああっ……!」ドジュッ

『リトル・ミス・サンシャイン』が地面に手を当てる。その様子を見て譲華はすぐさまバックステップで切り抜ける。

ドジュアアア!

アスファルトが一瞬にして蒸気と化した。

譲華「覚えてるわよ……!『リトル・ミス・サンシャイン』は『太陽熱』で焼き消す能力……。
    でも、あんたの父さんみたいに全てを「削り取る」能力じゃあない……。焼き消しても必ず何かは残る。
    それは『沸騰』して、気体化した高熱のアスファルト!……あたしが怒りに任せて攻撃してたら餌食だったわね……。」

那由多「…………。」

譲華「でもあたしには通用しない……。あたしはあんたに近づかないわ。」スゥゥ……

譲華の体が徐々に透けていく。

ド ド ド ド

那由多(『クリスタル・エンパイア』の能力ね……。「触ったものを透明にする」……。)

譲華「ドラア!」

突如那由多の右斜め上に譲華の姿が現れる。

那由多「…………。」スッ

しかし、那由多はそれには目もくれず正反対である左斜め下にスタンドの手を突き出す。

譲華「!!」ピタッ

譲華の動きが止まり、すぐさまバックステップする。

ジジ……

譲華の姿にノイズがかかり、消滅する。
すると先ほどまでいたはずの右側にではなく、左側に譲華の姿が現れた。
 
 
 



譲華「……チッ……!」
那由多「いったい、いくつからの付き合いだと思ってるの?譲華。
     今まで幾度となくあんたの地雷を踏み、あんたの能力を体で体感しているあたしに対して」

那由多「『クリスタルの映像』は通用しないわ……。あんたの『クリスタル・エンパイア』の使い方は既に熟知してるもの。」

那由多「はぁぁあ……!」ドギュア!

『リトル・ミス・サンシャイン』が手の内から球体の形をした『太陽』を投げる。

譲華「!!……。」スッ

譲華「何のつもり?……大事な『太陽電池』のうちの一つを投げるなんて……こんなのかわすなんて造作もないことよ?」

那由多「いいえ、違うわね……。外れた『太陽電池』を見てみなさい?」

ドギュルルルル……

譲華「こっ、これは……!?」

那由多「この間、SPWからの紹介で知り合った、ツェペリさん(『シートベルツ』のスタンド使い)に教えてもらったッ!」

那由多「『鉄球の回転』!」ドシュルルル!

譲華「なッ!蒸発したアスファルトの蒸気が渦を巻いて……!」

譲華「ガードしなくてはッ!」
那由多「そして、ガードするってことはあたしのことは対処できないってことよね?」

譲華「はッ!」

譲華が後ろを振り向くと、そこには手を突き出した那由多の姿が。
 
 
 



那由多「勝負あり、ね。」


譲華「あたしの勝ちで、だがな。」
那由多「えっ!?」

ジジ……

譲華の姿にノイズがかかり、消滅する。

那由多「まさか!?『クリスタルの映像』!?」
譲華「そのとおりよ。」

那由多が背後の声に振り返ると、そこには『クリスタル・エンパイア』をひっさげた譲華の姿があった。

那由多「……あたしの負け、ね。」フゥ

ため息をついて、那由多は地面で回転している『太陽電池』を回収した。

譲華「あー、でも、なんか暴れたら怒りも冷めちゃったわ。」
那由多「でも、かんしゃくを起こすたびにこれはないわよね……。」

那由多の眼前には、穴と瓦礫が散乱しているアスファルトが。

譲華「うーん、お父さん呼んで来よう!」
那由多「それが一番ね。」

ダッ!

少女たちはそう言って脱兎の如く走り去った。




おわり


使用させていただいたスタンド


No.217
【スタンド名】 クリスタル・エンパイア
【本体】 上野譲華
【能力】 触ったものを透明にする

No.181
【スタンド名】 リトル・ミス・サンシャイン
【本体】 虹村那由多
【能力】 手で触れたものを太陽熱で焼き尽くす









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