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35話「或る阿呆の一日」の巻

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orisuta

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突然だが、私こと星 新一は文房具店を一人で切り盛りしている。
「一人」ということで、『万引き』を働こうとする不届き者がいるが、
そんなことは絶対にできないし、させていない。
といっても、昔は万引きが絶えなかった。そのせいで幾度も経営危機に陥り、
ヤミ金から金を借り、負債を返済する毎日……。まさにあの日々は地獄だった。

しかし、その生活は一変した。
今年の四月ごろ、私が鉛筆コーナーでまた商品をギられていることに気がつき、
激怒していると、胸に激痛が走った。そのときは「何をされたのか?」私には分からなかったが……。
やがて私は理解した。これからは誰も私の『店』で『万引き』はできないとッ!

ド ド ド ド

その日、星新一がいつもどおり店番をしていると、「勉強なんかやるのかコイツ?」って感じなリーゼントの不良が来店してきた。
長年培った偽りの笑みを浮かべ「いらっしゃいませェェ――ッ。」と愛想よく声を掛けるが、
不良は完璧に無視してキョロキョロとあたりを見回しながら「赤シート」のあるコーナーへ進んだ。

そのとき、とっさに私の「勘」がはたらき、「こいつ万引きするつもりじゃあ?」と思った。

星(クソがアアアッ!きぃさまごときションベンちびりのクソリーゼントにッ!
  『店』の売り上げは絶対に下げさせんッ!四月に何かで射抜かれ身につけた私のスタンドッ!)

星(『ピンカートン』がきさまを始末するッ!)ズルウウ ルルル

ド ド ド ド

芥川辰助ことアクターは不良である。
不良であるが、その友人たちはそうとは限らない。
つい最近まで同じ不良だと思っていた友人は、実は地毛が金髪なだけだということが判明した。
しかし、だとしてもあの制服の着かたは自分と同類だと思わざるを得ない。

アクター(このままだと、俺、二人の話題においてかれる気がするぜ……。
      ただでさえこないだの『闇夜の殺人鬼』じゃあ、俺ほとんど出番なくって、
      亜希とJOJOが活躍してたってのによォォ…………。)

そう思い、危機感を感じたアクターは、勉強するために必要な「赤シート」を購入しに来たのだった。
(ちなみに、この「赤シート」を使うための参考書やらは購入していない。なぜなら彼は
 「赤シートがあればなんとなーく勉強できるようになるだろ」程度にしか考えていなかったのだ。)

アクター「えーっと、周りには誰もいねーよな……?不良である俺が文房具買ってるとバレたら、かっこつかねーし。」

キョロキョロ

キョロキョロしつつ赤シートがある「下敷き」のコーナーへ歩を進める。
店員らしき男がギロリと自分を見つめていた気がしたが、アクターは歯牙にもかけなかった。

アクター「あ、そーいえばアイが「キャラクターもの」の自由帳がほしいっつってたな。一応一緒に買っておくか。
      ああ~、あと瑠璃子が「消しゴムがなくなりそう」っつってたな。これも買っておこう。
      そういえば貴之志もシャー芯ねーとか言ってたっけ。ああ~ッ、この際だから筆記用具一式全部買っちまうか!」

ガサアアアッ

棚にあるものをあらかた取り出すアクター。とはいえ、カゴなどないので通学用の学生鞄に全部入れる。
はたから見たら万引きしてるみたいだ、とチラリと思ったが、どうせすぐレジに出すので問題ないと考えた。

その瞬間だった。

??『MAAAAAAhhh(マアアアアアア)~~~~~NNNNNNN(ンンンンンン)………BIKYYYYYYYYYYYィィィ(ビキィイイイイイイイイ)~~~~~……。』

ド ド ド ド

アクター「なんだッ?こいつ。」

??『テメエエエエエ~~~~~ッ……。私の店の商品をギろう(●●●)たァふてェ野郎だなアアアッ!』

アクター「あア?何言ってやがる、俺ァちゃんとこのあとレジに行こうと…………。」
??『じゃああああ~~~~なんで商品を鞄ン中にいれてんだッ!?万引きがバレたガキはいつもよオオッ!』

??『そうやってゴマかそーとすンだよッ!』ウバシャアアアッ
アクター「うおッ!?『ブラック・アイズ・ピース』ッ!』

ガシイン!

アクターの体から『腕』が現れ、攻撃をガードする。

チラ

アクターの視線の先には、「店内禁煙」のマーク。

アクター(チッ……。少年誌的にも、禁煙してる店でタバコを吸うのはマジィぜ……。
      となると、俺が使えるのはもともとのスタンドである腕一本分の『煙』のみ…………。)

??『てめえええ~~~~は許さん…………。てめえええ~~~~は許さんゾオオオオッ!』

アクター(何があったかはしんねーが、なんかアイツはメチャ怒ってるしよー……。)

ニチャ……

アクター「ぬっ!?足が地面からはがれねえ!」

??『フクククク……!私のスタンド能力、『ピンカートン』ッ!触れた物を「粘着質にする」能力でエエエエエッ』

ゴ ゴ ゴ ゴ

??『きさまは既に逃げられンンンン――――ッ!!私の店の商品をギろうとしたことを
   後悔しながらチンポコが再『起』不能になるまでギタギタにしてくれるわァァ――――ッ!!』
アクター「…………なんて………………ひわいな……野郎だ…………。」

ド ド ド ド

ピンカートン『ウオララララ――――!!』ウバシャアアアッ
アクター「オオオオオッシャアアアア――――ッ!」ガン!ガギィガン!

ピンカートンのラッシュに対し、アクターは右腕のみの『ブラック・アイズ・ピース』でしのぐ。

ドバパ!

ピンカートン『うっぐ……!きさまァ……!このパワー!そしてスピード!私の『ピンカートン』をはるかに上回るとは……。』
アクター「スットロイぜッ!てめーのスタンドッ!あと俺は万引きなんてしねーって!」

ピンカートン『うるせええええええッ!てめーみてえな不良がッ!』

アクター「 」ピク

ピンカートン『万引きしねエエエエ~~~~~~わけがねえ―――ッ!』

ピンカートン『それにな……私のスタンドは「ゲル状」だ!きさまがいかにパワーが強かろーと、この私を潰すこたぁ……』

アクター「オッシャア!」ドガア!

ピンカートン『うげえ!?』

ド ド ド ド

ピンカートン『馬鹿な……いてえ!?』

アクター「この芥川 辰助は……………………。」

アクター「いわゆる『不良』のレッテルを貼られている……。
      みんな口をそろえて言うし、親も俺のことを不良だと言う。俺自身もかなりそー思う。」

アクター「だが、実のところ俺は追っ手じゃあない一般人相手に「喧嘩」をしかけたことはねえ…………。」

ド ド ド ド

ピンカートン『なんだ……?何の話をしている?』
アクター「俺が一般人に対して『スタンド』をけしかけて一方的(●●●)にボコボコにするのはよオオオオオ……。」

アクター「『自分がナメられてる』って気付いたときだけだからなッ!てめ――みてええによオオオ――――ッ!!」
ピンカートン『な、なんだッ!?きさま!』

グワオン!

煙が『増量』される。もちろん、アクターはタバコを吸っていない。

ピンカートン『煙が増えただと……!本体の意思の昂ぶりによって、パワーが上がっているのかッ!』

ド ド ド ド

BEP『ウオッシャアアアアアッ――!』グオン!

上半身のみだが、『ブラック・アイズ・ピース』が現れる。

ピンカートン『ウオラララッ!』
BEP『オッシャアアアッ!』ドガア!

ピンカートン『うげえ!?』

ドアアザザ

ピンカートン『なぜッ!?なぜ私を殴れる!?』
アクター「『気体』と『液体』ってよオオオ―――ッ。」

ド ド ド ド

アクター「小学生の理科で習った気がするんだよなァァ……。「分子」…………。
      もう5年以上昔の話だから覚えてねーけどさ……。え?おめーにとってはもっと昔の話だが。」

アクター「ゲル状?それってつまり、固体と液体の「中間」だよな。」
ピンカートン『…………………………。』

アクター「「煙」ってのは、微小になった固体だ。自分のスタンドだからそのくれーは分かるよ。」

アクター「「形が自在に変化する」から攻撃は無効?」
ピンカートン『くッ……クオラララアアアアッ!「粘着質」にするッ!』

アクター「「煙」以上に「自在なもの」なんて存在しねえぜ。」

ブワアアアアア

ピンカートン『!?』

アクター「てめーにはッ!
      俺に触らせることすら許さねえッ!」

ド ド ド

『ピンカートン』を覆うように『ブラック・アイズ・ピース』が変形する。

グモモ

煙の内側から無数の腕が生える。

アクター「『アイアン・メイデン』って知ってるか?」
ピンカートン『……?』

アクター「おっと、バンドの「IRON MAIDEN」じゃあねーぜ。
      中世ヨーロッパで使用されていた拷問道具…………。」

アクター「『鉄の処女』のことだ。中に生えてる「トゲ」を閉めることで、
      罪人に突き刺して殺すっつー、なんともムナクソわりー道具だ。」

アクター「「聖母マリア」を模した「入れ物」で、
      中には無数の「釘」が生えてるらしいが……。」

ピンカートン『はッ!?まさかッ!』
アクター「俺が「内側」に生やすのは「腕」だッ!」

ピンカートン『この空間はッ!うわおあおおああああ!』

BEP『オッ…………』

BEP『シャアアアアアアアアアアアアアア――――ッ!!』

ドガガガガ ガガ ガ ガ ガ ッ

ピンカートン『うっげえあああああッ!』

ドドド

スゥ……

『ピンカートン』が透ける。

  •  ・ ・ ・

星「はッ!」

アクター「…………。」

ド ド ド ド

星「あ、謝るよ……。いきなり攻撃したことについてはさ……。
  『ノイローゼ』ってやつさ。ちょっと気が立ってたんだ……。悪かったよ……。」
アクター「…………。」

星「ま、まさか、もう攻撃なんてしないよな……?」
アクター「…………。」

星「じ、実は私、「本」出してるんだ。「星新一のSS集」ってさ。
  自分で言うのもなんだけど、結構面白いと思うぜ?ただでやるよ……だから……。」

アクター「答えは、自分の胸に手を当てて聞いてみな。」
星「ひっ、ひいい―――!」

アクター「この俺をナメるやつはナニモンだろーと許さねえ――ッ!」

亜希「あれ、アクターこんなとこで何やってんの?」

アクター「はッ!?」

ド ド ド ド

背後から聞きなれた声。振り返ると、そこには見慣れた友人の姿。

アクター「あ、亜希……!」
星「えッ、なに?」

アクター「うるせえ。」バギ
星「ぐぇっ。」

アクター「てめー、何してんだ?」
亜希「それはこっちの台詞だよ……。私はただシャーペンの芯を買いに来ただけだけどさ。
    今、店長のおじさんを殴って気絶させた?それに、その鞄の中に入ってる……商品…………?」

アクター「あッ!」

アクター「いや、亜希、これは違うんだぜ!盗んだわけじゃあねえ!この店カゴがねーから!」

アクター「それでこいつがスタンド使いでッ!攻撃して来たもんだから……おい!お前なんかいえ!」
星「……。」

アクター「気絶してやがるッ!」
亜希「………………。」

アクター「ち、違うっつってんだろ!出すって!言われなくても!店長が気絶してたって金はちゃんと置くからよオオオ!」

亜希「ぷっ。」
アクター「?」

亜希「あっははは!バカみたい!マジになっちゃってさあ!そんなにあわてなくっても、
    アクターがそんなことするようなタイプの人間じゃないってことくらい分かってるって!あーおかしい。」
アクター「………………。」

亜希「で、何してたの?まさか(●●●)アクターが勉強するつもりになったわけじゃあないよね?」
アクター「………………。」

アクター「その『まさか(●●●)』で悪かったなッ!!」

アクター
スタンド名『ブラック・アイズ・ピース』―→文房具を買った。恥ずかしかった。

佐野 亜希―→このあと気絶した店長を尻目にアクターのことを散々バカにしたあと何も買わずに帰った。

星 新一
スタンド名『ピンカートン』
―→ボコボコにされたが、目を覚ましたらちゃんとお金があったのでアクターにチョッピリ申し訳なく思った。

星文房具店―→必府高校よりバスで8分。




使用させていただいたスタンド


No.645
【スタンド名】 ピンカートン
【本体】 星新一
【能力】 物を粘着質にする




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