??1「…………。」
男が路地裏でビルに背を預け、何者かと話している。
これ自体は至って普通の光景だ。
これ自体は至って普通の光景だ。
??1「なあ……。あんた、それ、本当なんだよな?」
??2「ああ……。間違いない。私が前に会い、行動をともにする予定だった人間が、
いつの間にか再起不能にされていた……。奴らの仕業じゃあない。
奴らの仕業だったなら、体中ボコボコにされること間違いなしだからな。」
??2「ああ……。間違いない。私が前に会い、行動をともにする予定だった人間が、
いつの間にか再起不能にされていた……。奴らの仕業じゃあない。
奴らの仕業だったなら、体中ボコボコにされること間違いなしだからな。」
??1「で、俺とあんたが組む理由はそこだと。」
??2「ああ。そうだ。」
??2「ああ。そうだ。」
??1「大丈夫なんだろうな?」
??2「ああ、大丈夫だ……。」
??2「ああ、大丈夫だ……。」
??2『任せておけ……。『レッドジャンプスーツ・アパラタス』は最強だ。』
その相手が、スタンドでなければ。
その日、平塚 雷鳥は自身が滞在しているホテルの滞在期間延長の手続きを済ませた後、適当に商店街をぶらついていた。
彼女の目的をこの場で教えることはできないが、その目的は適当に街をぶらついていても出会えるわけではなく、
彼女はそのための情報収集をしていたのだった。
彼女の目的をこの場で教えることはできないが、その目的は適当に街をぶらついていても出会えるわけではなく、
彼女はそのための情報収集をしていたのだった。
??「雷鳥さん!」
背後からの声に、振り返る。
真「俺ッスよオ~ッ、奇遇ッスね、雷鳥さん!」
雷鳥「ああ、真君ね……。こんな道端で奇遇ねえ。こんな時間なのに 。」
雷鳥「ああ、真君ね……。こんな道端で奇遇ねえ。
真「うっ……!」
太陽は真上に陣取っている。時刻は正午。そして曜日は水曜日。
当然、健全な学生は学校で学業にいそしんでいる時間である。
当然、健全な学生は学校で学業にいそしんでいる時間である。
雷鳥「学生の時分は社会見学もいいものだけれど、ほどほどにしないと社会人になって痛い目見るわよ?クスクス。」
真「……肝に銘じておきまス。」
真「……肝に銘じておきまス。」
愉快そうに笑う雷鳥に、真は「この人には来世をかけても勝てそうもない……。」と思った。
――場面は移り変わる。
??1「で、どうやって犯人を捜すんだ?『レッドジャンプスーツ・アパラタス』さんよォオ――ッ!」
RJS・A『なに、簡単な話だ。私が大通りに出て、反射的にこちらを見ればそいつはスタンド使い。高確率で犯人だ。
もし違ったって、スタンドによる犯行は誰にもバレないから問題はないだろう?』
??1「それもそうだな……。よし、じゃあ行って来い!」
RJS・A『ハハハ、大船にのったつもりでいてくれよ……。』
RJS・A『なに、簡単な話だ。私が大通りに出て、反射的にこちらを見ればそいつはスタンド使い。高確率で犯人だ。
もし違ったって、スタンドによる犯行は誰にもバレないから問題はないだろう?』
??1「それもそうだな……。よし、じゃあ行って来い!」
RJS・A『ハハハ、大船にのったつもりでいてくれよ……。』
ザッ
フワッ
大通りの数メートル上を飛行する『レッドジャンプスーツ・アパラタス』。
真「で、雷鳥さんはなんだってこんな平日の昼間に?お仕事何してるんです?」
雷鳥「ああ、私は仕事の都合でちょっとこの街に滞在してるだけで…… ッ……!?」
雷鳥「ああ、私は仕事の都合でちょっとこの街に滞在してるだけで…… ッ……!?」
真「? どうしたんですかィ、雷鳥さん。上になんかいますか?」 パッ
雷鳥の視線が上に固定されたのを怪訝に感じた真は、雷鳥の視線の先を見る。
……当然、何もいない。
……当然、何もいない。
RJS・A『おおッ!すごいぞッ!早速こっちを見た奴が二人!』
??1「本当かッ!よおし、そいつを潰すぞッ!」
??1「本当かッ!よおし、そいつを潰すぞッ!」
RJS・A『そこのきさまッ!』ビシイッ
雷鳥「…………。」
真「……?」
真「……?」
RJS・A『(……どうやらあの頭の悪そうな不良には見えていないようだ。)そこの女、きさま、スタンド使いだな?』
雷鳥「……!!」
雷鳥「……!!」
RJS・A『どうやら、そうらしいな。きさま、スタンド使いを一人再起不能にしたことがあるな?』
雷鳥「…………。」
雷鳥「…………。」
雷鳥『だとしたら、何?』
「スタンド」を通しての会話で応答する雷鳥。
RJS・A『私は『ディープ・フォレスト』に射抜かれて目覚めたスタンド使いでね……。
私の「使命」は『ディープ・フォレスト』に迫るものを始末することだ…………。
きさまは、そのための貴重な駒を消した。』
雷鳥『……また『ディープ・フォレスト』……。あなたも『ディープ・フォレスト』を探っているのね。』
私の「使命」は『ディープ・フォレスト』に迫るものを始末することだ…………。
きさまは、そのための貴重な駒を消した。』
雷鳥『……また『ディープ・フォレスト』……。あなたも『ディープ・フォレスト』を探っているのね。』
雷鳥『悪いけど、私の「目的」のために、『ディープ・フォレスト』についての情報を教えてくれないかしら?』
RJS・A『それはできない。きさまは私「たち」に始末されるんだからな……。」
RJS・A『それはできない。きさまは私「たち」に始末されるんだからな……。」
雷鳥「……たち?……ハッ!?まさか後ろ!?」バッ
真「雷鳥さん?後ろがどーしたんスか?」
真「雷鳥さん?後ろがどーしたんスか?」
ド ド ド ド
??1「『砂漠』までご招待だぜ、オネーチャン。」
ドバパッ!
雷鳥「し、しまった……!隙を突かれた……!真くんを突き飛ばして、自分を守る暇が……」ガオンッ
そう言い残して、平塚雷鳥と飯塚真は必府から姿を消した。
??1「さて、『レッドジャンプスーツ・アパラタス』。この後どーする?」
RJS・A『とうぜん、追撃だ。向こうは私にとってはホームグラウンドのようなものだ。負ける道理はない。」
RJS・A『とうぜん、追撃だ。向こうは私にとってはホームグラウンドのようなものだ。負ける道理はない。」
??1「りょーかいッ。」
RJS・A『フフ……。君とはいいコンビになれそうだよ……大牙くん。』
RJS・A『フフ……。君とはいいコンビになれそうだよ……大牙くん。』
ド ド ド ド ド
真「えッ?何でッ?ここどこ!?」
カンカァァァ―――ン
雷鳥「真くん……。落ち着いて。私たち、どうやら「瞬間移動」させられたみたい。」
真「こ、ここは……!?」
真「こ、ここは……!?」
雷鳥「……。見て分からない?あそこに見える「四角錐」の物体を……。」
ド ド ド ド
真「え……?あ、あれは……!まさかッ!?あの『黄色い四角錐』はッ!?あの積み上げられた物体はッ!」
雷鳥「それに気付いた?この足場……。砂漠よ。」
雷鳥「それに気付いた?この足場……。砂漠よ。」
真「『ピラミッド』ッ……!そして、ま、まさかッ!ここは……!!」
雷鳥「どうやらエジプトまで飛ばされちゃったみたいね。」
??『さすがは私の仲間を無傷で再起不能にさせるだけのことはある。そこまで推測してくるとはな。』
大牙「俺の能力を経験したやつはまず最初に「幻覚」を疑うもんだがな……。」
雷鳥「そいつらがヒネくれてるだけじゃないの?」
雷鳥「そいつらがヒネくれてるだけじゃないの?」
ド ド ド ド
真「おっ、お前ェェ―――ッ!一体俺たちに何したんだァ――ッ!?」
RJS・A『うるさいな……。どうする?大牙くん。コイツは人質のためにつれてきたようなものだし、
ひとつここで気絶でもさせておくか?』
大牙「そうだな……。ああ。そうしよう。」
RJS・A『うるさいな……。どうする?大牙くん。コイツは人質のためにつれてきたようなものだし、
ひとつここで気絶でもさせておくか?』
大牙「そうだな……。ああ。そうしよう。」
雷鳥「そんなこと、私がさせると思う?」
RJS・A『ところがそれが、できてしまうんだなあ……。クックックッ。』
RJS・A『ところがそれが、できてしまうんだなあ……。クックックッ。』
RJS・A『くら』
雷鳥「私の右斜め後ろから分身を出して不意打ち。」
雷鳥「私の右斜め後ろから分身を出して不意打ち。」
RJS・A『!?』
雷鳥「ほら、……図星。」
雷鳥「ほら、……図星。」
雷鳥「でも、あなたは真くんを襲わざるを得ない 。」
RJS・A『くッ、クソオオオオオオッ!』
大牙「なッ!?何している『レッドジャンプスーツ・アパラタス』ッ!既にバレた攻撃を使うだなんて!?」
大牙「なッ!?何している『レッドジャンプスーツ・アパラタス』ッ!既にバレた攻撃を使うだなんて!?」
雷鳥「フフ……。そう思うわよね……。ええ。普通はそう考えるわ。
最下位確定の負け馬に金を賭けないのと同じように、普通そんなことをするはずがない。」
最下位確定の負け馬に金を賭けないのと同じように、普通そんなことをするはずがない。」
ド ド ド
ゴオオ――ッ
雷鳥「でも、そうさせちゃう のが、私の能力…………。」
ズ ウ
雷鳥の体から引きずりだされるようにスタンドヴィジョンが現れる。
ド ド ド ド
人型だ。女性的なシルエットをしている。
ド ド ド
ド ド ド ド
振り上げファイティングポーズをとったその拳には、『十字架』があしらわれている。
ド ド ド ド ド
雷鳥「『ティアーズ・オブ』 …………」
ド ド ド ド
雷鳥「『マグダレーナ』 ッ!」ドババババ!
RJS・A『うおおおおおおおおッ!?』バギバギバギイァッ!
ドアア―――ッ
大牙「大丈夫かッ!?」
RJS・A『ああ……!大丈夫だ……!我が『レッドジャンプスーツ・アパラタス』は一つ一つは微小なボタンのヴィジョン……!』
ワラワラ ミギ ミギ
ワラワラ ミギ ミギ
RJS・A『それよりも、あの女……!ククク……私のことを『殴った』な?』
雷鳥「は……?あッ!」
雷鳥「は……?あッ!」
ミギーィィィ――ッ ミギイイイイィィィ―――ッ
ド ド ド ド
雷鳥のスタンド――『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』の腕には、小さなボタン状のスタンドが張り付いていた。
雷鳥「く……そして、私自身の腕にもついている……!」
真「ら、雷鳥さん?一体何が……」
真は言いかけたその言葉を止めざるを得なかった。
ド ド ド ド
雷鳥「…………。」
話し掛けた雷鳥の横顔は、さきほどまでの母性に満ちた表情ではなく、冷たい、『死刑執行人』を思わせる表情をしていた。
ジュウウウ
雷鳥「腕が暑……いや、熱い……。「周囲の熱を吸収させる」能力といったところかしら。」
RJS・A『THAT’S RIGHT(正解だ)。』
RJS・A『THAT’S RIGHT(正解だ)。』
RJS・A『そして、腕に取り付かせた我がヴィジョンは腕を上りきさまの頭に達するッ!そうなればきさまは
頭部に熱が集中し熱中症で死ぬだろうッ!』
雷鳥「時間制限つきの勝負ってわけ?」
頭部に熱が集中し熱中症で死ぬだろうッ!』
雷鳥「時間制限つきの勝負ってわけ?」
RJS・A『ご名答ッ!そして2対1ッ!わたしたちに負ける道理はないィッ!』
大牙「『ウィンド・ティガー』ッ!」ズオ!
ゴオオオッ
TOM『『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』ッ!』ドオオ―――ンッ!
『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』が大牙たちに指を突きつけた瞬間、世界の色彩がが反転する。
スス ススス
その世界の中で、スローモーションで動く一人の男と一体のスタンド。
その動きの先がコマ送りのような画像で伝えられる。
その動きの先がコマ送りのような画像で伝えられる。
ド ド ド ド
ズウウウ ズウウウ
コマ送りの映像がラッシュを開始する。
ド ド ド ド
ゴウン ゴウン ゴウン
雷鳥「『予知終了』……。今のところはね。」
色彩が反転した世界の映像はそのまま吸い込まれるように雷鳥の前髪の裏側へと納められ、元に戻った世界を雷鳥は歩き出す。
『予知』の映像を横目に、予知の「動き」と重ならないように注意して歩く。
『予知』の映像を横目に、予知の「動き」と重ならないように注意して歩く。
グオン! グオン!
雷鳥のすぐ傍を『ウィンド・ティガー』の拳が通り過ぎるが、当たらないと分かっている彼女にとってはなんともない。
大牙「何故だッ!?何故当たらないッ!?」
雷鳥「当然じゃない……。既に私は『未来』を『見終わった』。私が見た未来は…………。」
雷鳥「当然じゃない……。既に私は『未来』を『見終わった』。私が見た未来は…………。」
ド ド ド ド
ドガア!
大牙「うげぇッ!?」
雷鳥「既に『確定』した『運命』だもの。」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
雷鳥の前髪の裏にある「未来の画像」の内、大牙の動きのみが消滅する。
雷鳥「そして、私の行動によってしか『未来』の『運命』は変わらない。『運命』を切り開けるのは、私だけ……。」
RJS・A『うおおおおおおッ!?バカなッ!こんな……こんなことがアアアアア!』
おびえ、逃げようとする『レッドジャンプスーツ・アパラタス』。しかし、向かってくることしかできない。
グッ
大牙「う……。」
雷鳥「そして、あなたの本体の『動き』も既に私は見ているわ。」
雷鳥「スタンドが『瞬間移動』したなら、本体もそうなって然るべきですもの。」
TOM『フンッ!』ブン!
大牙を掴んだ『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』が、それをあらぬ方向へと投げる。
- ・ ・ ・
??「うがっ!」バギイ!
RJS・A『うがっ!』
RJS・A『うがっ!』
ド ド ド ド
スウウ……
『レッドジャンプスーツ・アパラタス』の姿が透けていく。
雷鳥「さて、終わったわね。ほら真くん、さっさと行くわよ。」
真「はっ……はい!」
真「はっ……はい!」
ド ド ド ド
パチイン!
大牙「う……。」
雷鳥「ほら、起きなさい。」
雷鳥「ほら、起きなさい。」
大牙「ハッ!?く、くそ!てめえ俺をどうするつもりだッ!?」
雷鳥「どうする、って、別にどうもしないけど。」
大牙「えっ!?」
大牙「えっ!?」
雷鳥「ただ、私は『必府町』に戻りたいの。彼も同じよ。だから戻しなさい。」
口調こそ穏やかだったが、彼女の命令には「断る事の出来ない凄み」があった。
大牙「は、はい……。」
雷鳥「あ、そうそう、片手は自分の胸に当てておいてね。」
雷鳥「あ、そうそう、片手は自分の胸に当てておいてね。」
大牙「えっ?」
雷鳥「だって、嘘ついて海底に移動させられたらたまったものじゃないもの。
あなたも一緒なら、嘘のつきようがないでしょう?」
雷鳥「だって、嘘ついて海底に移動させられたらたまったものじゃないもの。
あなたも一緒なら、嘘のつきようがないでしょう?」
大牙は、してやられた、と思った。本当にそうするつもりだったからだ。
大牙「で、でも、彼は……。片手じゃあ二人くらいしか移動できないし……。」
雷鳥「ほうっておけばいいじゃない。あとであなたが助けに行けばいい話でしょう?」
雷鳥「ほうっておけばいいじゃない。あとであなたが助けに行けばいい話でしょう?」
大牙「……分かりました。」
ドシュウ!
ド ド ド ド
真が気がつくと、そこはカンカン照りの砂漠ではなく、見慣れた自分の街だった。
全てが夢のような時間だったが、靴の中に入っている砂漠の砂が今までの現象が現実であることを物語っていた。
全てが夢のような時間だったが、靴の中に入っている砂漠の砂が今までの現象が現実であることを物語っていた。
大牙「いいのか?俺たちはあんたをまた殺しに来るかもしれない。」
雷鳥「別に、かまわないわ。たかが数匹のアリがライオンを殺せないように、あなたたちは私を殺したりはできないもの。」
雷鳥「別に、かまわないわ。たかが数匹のアリがライオンを殺せないように、あなたたちは私を殺したりはできないもの。」
真「…………。」
大牙「……さようなら。」ドシュウ!
ド ド ド ド
平塚雷鳥
スタンド名『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』―→とくになし。
スタンド名『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』―→とくになし。
飯塚真
一般人 ―→憧れの人が凄まじい人だと分かってびっくり。
一般人 ―→憧れの人が凄まじい人だと分かってびっくり。
一条大牙
スタンド名『ウィンド・ティガー』―→外傷はないが、平塚雷鳥にはもう二度と刃向かえない。
スタンド名『ウィンド・ティガー』―→外傷はないが、平塚雷鳥にはもう二度と刃向かえない。
ジェイムズ・エルロイ
スタンド名『レッドジャンプスーツ・アパラタス』―→再登場するも本体は最後の最後まで出てこなかった。再起不能。
スタンド名『レッドジャンプスーツ・アパラタス』―→再登場するも本体は最後の最後まで出てこなかった。再起不能。
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