オリスタ @ wiki

41話「伸るか反るか」の巻

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orisuta

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JOJO「そういえばよォォ~~……。」
カズハ「なに?」

  •  ・ ・ ・ ・ ・

必府高校の屋上。
五月も中旬にさしかかったある日の放課後、JOJOはカズハと二人でいた。
といっても、お忍びというわけではなく、アクターと亜希は学校を休んでいたのだった。

JOJO「いや、お前が何も感じてないなら別に構わないんだが…………
     二人が今日学校休むってよォ、俺聞いてねーんだよな……。
     ほら、俺ら自衛のために集まってるからよ、休むなら事前に連絡入れるんだよ。危ないからよ。」

JOJO「その連絡がねえってよオ……。ちょっと奇妙じゃあねーか?」
カズハ「言われてみれば確かにそう。でも、連絡を入れ忘れたことも考えられるのでは?
    もしくは私がいるから安心と考えたのも有り得る。」

JOJO「ならいいんだがよ……。よく調べずにそうだと結論づけるのはマズイと思うぜ。」

JOJO「さっきから(●●●●●)視線(●●)を感じるしよ(●●●●●●)ォオ~~…………。」
カズハ「?」

JOJO「出てきな……。そこにいるのは分かってるぜ。」

  •  ・ ・ ・ ・ ・

ヌウ

??「……よくぼくがここにいたということが分かったな。」

JOJO「てめ~、アンパンでもやってんのか?」

??「……どういう意味だ?」

JOJO「てめーの行動、アンパン(シンナー)やって脳ミソがすかすかになってるみてーにドアホだっつってんだ。
     「夕方」だぜ?……西日……陰が長く伸びてたんで、見つけるのは簡単だったぞ。」

JOJO「この間はクスリ漬けの女生徒がカズハを襲ってたって聞いたしよ……。
     マジにこの高校の治安が心配になってきたぜ…………。」
??「……勝手に人をジャンキー扱いするのはやめてもらおうか。」

??「ぼくの名前は「東野 圭吾」……。君より一学年上だ。ひとつ、よろしく。」ペコォ

JOJO「……妙だな……。今までのやつらは先制攻撃ばかりしてきたが、おめーはやらねーのか?」

東野「そーいった行動はぼくの美学に反していてね……。さっき、ジャンキー扱いするのはやめてくれといったが、
    実はぼくは「ギャンブルジャンキー」でな……。『賭け』が生き甲斐なんだ。
    『賭け』ってのは、お互いの素性が分からなければできないだろう?」
JOJO「……なるほどな。」

東野「では、一つこのぼくと『賭け』をしてくれな……」
カズハ「『追っ手』かどうかは分からないけど、得体の知れない奴の話を聞くほど私は無用心じゃあない。」

東野「!!」

東野がJOJOに声を掛けた時既に、カズハは東野の背後に立っていた。

カズハ「『ファイナルレクイエム……アクアティカ』。」
FR『OOOOOCEEEAAAAAAAAAANNN――――ッ!!』バシュバッ!

東野「やれやれ……血の気が多い少女だ。人の話は……

    最後まで聞くものだぜッ!」バッ!

東野はそう言って両手を持ち上げる。
そこにあったのは二本の「シャーペン」……。

カズハ「!!こいつの腕の動き……!私の『ファイナルレクイエム』よりも速……!」

東野「樋口和巴……転校生だったか?お前に質問しようッ!

    『この(●●)シャープ(●●●●)ペンシル(●●●●)」、どちらが高い(●●●●●●)ッ!?』」 ドオオ―――ンッ!

ド ド ド ド ド

カズハ「……はっ……?」ビタァ

ズ ズ ズ ウ ……

東野「『ザ・ゲーム』。」

ド ド ド ド ド

東野「さあ、答えるんだ……樋口和巴……。ぼくはお前に質問してるんだぜ……。
    答える以外の行動は許可しないッ!」

カズハ「うう……!(ど、どっちのシャーペンが高いかなんて……!専門家じゃあないんだから分かるわけが……!)」

東野「どうしたッ?さっさと答えるんだ!無回答とみなすぞッ!」

ド ド ド ド

カズハ「う、うおお、うおおおおおッ!」ドギューンッ

カズハ(こうなれば当て勘しかないッ!)

カズハ「『右』のシャーペンが高いッ!直感的にそう感じたッ!!」ビシイ!

ド ド ド ド ド

東野「 」ニタァ
カズハ「……!」

東野「おめでとう、正解だ。君は賭けに勝った。
    左のシャーペンは定価100円の安物……。対して右のシャーペンは3000円の高級品だ。」
カズハ「ふぅ……。」

JOJO「……気が済んだか?イカれた賭け好き野郎がよォ~~……。
     スタンド使いのようだが、何もしてこねーなら悪いようにはしねえ。さっさと立ち去るんだな。」

東野「いいや。まださ……。ぼくは「君たち」と賭けがしたい。
    ぼくは君たちと「3回連勝」が条件の賭けを提案したいッ!」

東野「ルールは単純……。ぼくが提示する二つのものに関する質問に答え、正解する……。
    それを3回繰り返すだけだ。3回連続で勝てば君たちの勝ち、1回でも負ければぼくの勝ちだ。」
JOJO「てめー、やっぱバカだろ。そんな分の悪い賭け、俺たちがやるわけが……」

東野「いいや、君たちはやらなくてはならない。
    そういえば、君たちが負けた時のペナルティを教えてなかったな……。」スッ

東野はどこからか二個の鞄を取り出す。

東野「君たちが負ければこの二人のようにさせてもらおう。見てくれ。」

東野が鞄を指差す。

鞄1「……。」
鞄2「……。」

JOJO「!!!そ、それはッ!!」

鞄には、亜希とアクター、それぞれの姿が埋め込まれていた。

東野「すぐれた芸術品がすぐれた芸術品である理由というのはなんだと思う?
    ぼくは製作者がそれらに「魂」を込めたからだと思う。
    ぼくはそういった「魂」が込められたものを使うのが趣味でね…………。
    君たちが賭けを受けないというのなら、この鞄、もったいないけど火あぶりにさせてもらう。」

東野「ほれぇ。」ジジ
JOJO「やめろッ!」

東野「じゃあ()るのかッ!やってみろよ!『伸るか反るか』!一発勝負だッ!」

JOJO「……分かった……!受けて立つ……!受けて立つぜ…………!」
東野「グゥーッドッ!」ビシイ!

東野「じゃあまずは第一ラウンド……!     スッ
    この二枚の「トランプ」……。『ババ』はどちらでしょうかッ!」
JOJO「なッ!?そんなの分かるわけが……!」
東野「無回答は許可しなァーいッ!さあ、どっちだ!?「右」?「左」ィ?『伸るか反るか』!」

JOJO「…………。」

ド ド ド ド ド ド

カズハ「JOJO……!考えても仕方がない……!「左」を……」
JOJO「いや、駄目だぜ。必ず見分ける方法はある……。いや、というか見抜いた。」

JOJO「ババは右だな?東野よォ――ッ。」
東野「……何故だ?」

JOJO「お前自身も気付いていないことだが……「クセ」だ。クセがあった。
     ババを持つほうの指がよォ……小刻みに痙攣してるんだぜ。それで見抜いた。」
東野「ほォ――ッ、そんなブラフにこのぼくがひっかかるとでも思ったか?
    それでぼくが指を見たら右で確定……。そうするつもりだったんだろ?だ……」

JOJO「『だが残念、答えは左だ。』おめーはそういうだろーからな。やっぱ左に変更だぜ。」
東野「なッ!!」

JOJO「おめー、直前で選ぶ対象を変えちゃあ駄目なんて一言でも言ってたか?俺は聞いた覚えがないんだがよ。」
カズハ「……私も、聞いていない。」
東野「くそが……!認めないッ!認めないぞッ!こんなイカサマ!」

JOJO「ギャンブラーなら、事前に賭けのルールぐらい決めておけ……という話だぜ。次行こうぜ次。」

東野「チッ……第二ラウンド、次はこれだ。」ヌゥ

カシャ

カチカチ ガシィーン

JOJO「『机』……?とコップ?それも水が注がれている……。(どこからもってきたんだ?)」

東野「……この『石』二つ……どちらを入れたらこのいっぱいの水は零れないでしょうかッ!」

JOJO「……ぐ……またよく分からんものを…………。」
東野「さあ!どっちだッ!?『伸るか反るか』!」

ド ド ド ド

カズハ「今度こそどうしようもない……。ここはあてずっぽうで「右」を……。」
JOJO「いいや、答えは『左』だぜ。」

東野「ほぉ、じゃあ実際にやってみてくれ。「小石」を『水』に入れる行動だけ許可しよう。その結果が答えだ。」
東野(クククーッ!馬鹿め!答えは「右」だッ!左は普通の石ころだが右は和紙で作られているんだよーッ!
    おかげで吸水性抜群!水の中に入れても水が漏れることはないッ!)

……ポチャン

JOJO「……フゥー、どうやらこぼれない。俺の勝ちだな。」
東野「ばっ、馬鹿なァァアアア――――ッ!!?そんなことが有り得るわけがないッ!
    きさまッ!どんな小細工をッ!」

JOJO「小細工……って言っても……。『ヒートウェイヴ』で水を「粘土状」にしただけだぜ。
     粘土ってのは半分固形だからな……何入れても零れることはねーぜ。」
東野「こっ、こんなイカサマッ!」
カズハ「『スタンド』を使ってはいけないとは一言も言っていない。」

東野「ぐぐぐぐ……っ!……こんな…………っ!こんな……こんな芝居…………!三文芝居が……!」
JOJO「俺は……悪くない……!全ての原因は……準備不足……っ!つまるところお前の……不注意……!」

東野「ぐ……!」
カズハ「……………………。」

バババッ!

東野が手元にある鞄二つを取り出す。

東野「最終ラウンドだッ!この『二つの鞄』ッ!
    『どちらがよりお前にとって大事なものなのだッ!?JOJOッ!!』」

ドオ―――ンッ

東野「『ザ・ゲーム』の能力を説明してやろうッ!ぼくの『ザ・ゲーム』は二つの物を提示し、
    それについての質問の回答をミスったものの『魂』を物に封じ込める能力……!
    この二人はお前らと違ってマジメだったから、簡単に物に封じ込めることができたが……!」

東野「そして封じ込めた『魂』は物を破壊すると元の体に戻るッ!しかし、しかしだ……!
    『魂』が入ったものを破壊されているのだッ!入っていた『魂』も無事ではない……!
    ぼくがこの鞄を炙れば魂は火傷を負うし、ハサミで切断すれば戻った体も真っ二つだッ!」

東野「そこでぼくはお前に提案する……。この『二つの鞄』の内、『お前にとって大切な方』を選べ。
    それだけで勝負は終了、お前は自分に素直になれば勝てる。しかし…………。
    お前が選ばなかったほうはJOJO!俺がこのはさみで丁寧にコマ切れに変えてやるぞッ!」

東野「いいか……。これはお前が悪いんだぞ……!お前がイカサマばかりしてギャンブルを汚すからだ……!
    ぼくはこの行為を卑劣ともなんとも思わないぞッ!これは正当な権利だッ!」

ド ド ド ド ド

JOJO「おいやめろ……。そいつらは関係ない……。」
東野「ふざけるなアアア――――っ!ここまで好き勝手やっていたくせにッ!虫がよすぎるぞーッ!」

東野「さあ選べッ!『伸るか反るか』ッ!一世一代の大勝負だッ!!」

ド ド ド ド

JOJO「選べ……って言っても……。」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

JOJO(亜希もアクターも今まで一緒に闘いぬいた仲間!どっちも見捨てることはできない……。)
カズハ「『右』。」

JOJO「……え?」
東野「あ……?」

カズハ「『右』。『右』の方が、JOJOにとって大切なほう。」
JOJO「ばっ、馬鹿な!カズハ!?」
東野「おめぇぇ~~~にゃあ聞いちゃあいねーッ!JOJO!お前の決断だッ!
    選ばないなら『無回答』と見なしてお前の魂を奪うぞッ!ぼくは躊躇しないっ!」

カズハ「JOJO……。私を信じて。」
JOJO「……分かった。『右』だ。」

東野「ニタァアア~~~ッ!それでいいんだなッ!?JOJO!お前の決断はッ!?」
JOJO「ああ。『ファイナル・アンサー』だぜ。」

東野「グッドッ!『右』の鞄に込められた魂……『アクターの魂』を解放しようッ!」

ブオオアアアアア~~~~ ドッギューンッ

解放されたアクターの魂は空中で向きを変え、どこかに飛んで行く。

東野(クックックッ……!これで『亜希の魂』を殺せば!JOJOは罪悪感を感じるッ!
    スタンドは精神力で操る!罪悪感にまみれた精神力なんかでこのぼくの『ザ・ゲーム』に勝てるかァァ――ッ!?)

東野「くらえええ―――イ!」ズッパア!

東野の左手に持った鞄がはさみで両断される。

JOJO「…………。」
東野「どうした!?JOJOオオ――ッ!罪悪感にむせび泣くシーンだろ!ここは!」

カズハ「ところで、その斬った私の鞄は、弁償してくれる、という認識で間違ってない?」
東野「えッ!?」

FR『オッシャアアアアアア……。』

カズハ「『ファイナルレクイエム ブラック・アイズ・ピース』。スデに煙になって鞄を摩り替えていた。」
東野「馬鹿なッ!そんな隙がいつ!どこに!」

東野「ハッ!」

《東野「ぐ……!」         》
《カズハ「……………………。」》

東野「まさかあのときの……!!」

JOJO「……さて、人質をとるっていうセコイまねをした野郎をただじゃあ すませらんねーよな?」
東野(しまった――ッ!こいつッ!正義感による義憤でさらに精神力をパワーアップさせてきたぞッ!)

ブワァアアア

東野「わ、分かった……。『亜希の魂』も解放した。だから、だから……。」
JOJO「『見逃してくれ』?そいつは虫がよすぎるんじゃあねーかな……。」

JOJO「さて、ここで一つ『賭け』をしないか?『右』、『左』、俺は一体どっちの拳で殴るでしょうかッ!
     『伸るか反るか』、一発当ててみろよ。」

ド ド ド ド ド

東野「う……『右』?」
JOJO「残念ハズレだ。」

東野「……『左』?」
JOJO「それも違うぜ。」

東野「ヒイイ……『両方』……?」
JOJO「正解だッ!まあ当てたところで殴るのは変わらんがな。」

東野「うああ、『両方』なんて選択肢にないじゃあないk」
HW『FIREEEEEEEEEEEEEEEEEE―――――ッ!!』ドガガガガガ

東野「ぐっばああああ―――っ!」

バアアア―――ン

JOJO
スタンド名『ヒートウェイヴ』
―→「賭けに勝ったんだから儲けがないとな。」と言って東野の財布から全財産数万円を奪い取った。

カズハ
スタンド名『ザ・ファイナルレクイエム』
―→実はイカサマを使わなくても勝っていた。

東野圭吾
スタンド名『ザ・ゲーム』―→全治6ヶ月。全財産を奪い取られた。





使用させていただいたスタンド


No.1775
【スタンド名】 ザ・ゲーム
【本体】 東野圭吾
【能力】 本体が掲示した二つのものから正解を一つ選び、間違えた場合、魂を対象が選んだものと同化させる




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