必府町、靴屋「ブレッド」。
雷鳥「靴屋……で、ボタンのつけ直しもしている、と。どおりで分からないわけよね。」
雷鳥「皆、集まったかしら?」
JOJO「いるぜ。」
アクター「アイは置いてきた……この戦いにはついていけそうもない。」
亜希「萌ちゃんは置いてきた……この戦いにはついていけそうもない。」
アクター「アイは置いてきた……この戦いにはついていけそうもない。」
亜希「萌ちゃんは置いてきた……この戦いにはついていけそうもない。」
萌「いますけど?」
亜希「あれ どうして!?」
亜希「あれ どうして!?」
カズハ「つまらない小芝居は置いておいて。」
亜希「これだけいれば流石に『ディープ・フォレスト』や樋口耀壱もお手上げでしょ!」
JOJO「そうだな……。一斉攻撃を仕掛ければ、何とかなるだろう。」
JOJO「そうだな……。一斉攻撃を仕掛ければ、何とかなるだろう。」
D・F『ソウトハ限ラナイゾ?』
一同「!!」
萌「『ディープ・フォレスト』!?どうしてここに!?」
D・F『アア、ソウカ……。マダ オ前ラノ誰一人トシテ気付イテナインダッタナ。
私ノ最近ノ趣味ハJOJO、キサマラノ生活ヲ観察スルコトダ。』
私ノ最近ノ趣味ハJOJO、キサマラノ生活ヲ観察スルコトダ。』
一同「!!」
D・F『サスガニ雷鳥ヲ追跡スルト バレルダロウカラ ヤッテナイガ……
JOJOヤ亜希、あくたーナンカハホボ毎日観察シテイルヨ。』
JOJO「ストーカーかよ……。」
JOJOヤ亜希、あくたーナンカハホボ毎日観察シテイルヨ。』
JOJO「ストーカーかよ……。」
D・F『オット、勘違イスルナヨ。『観察』トイッテモ別ニ家ノ中ノ生活マデ
覗イテイルワケジャアナイ。学校生活ヲ監視サセテモラッテルダケダ。
キサマラニモぷらいべーとハ アルダローカラナ。』
アクター「ヘンなところは律儀なようだが……フォローになってねーぜッ!」
覗イテイルワケジャアナイ。学校生活ヲ監視サセテモラッテルダケダ。
キサマラニモぷらいべーとハ アルダローカラナ。』
アクター「ヘンなところは律儀なようだが……フォローになってねーぜッ!」
D・F『サテ、話ガ少シソレテシマッタガ……トニカク、キサマラノ行動ハ私ニ筒抜ケダ。
ソンナキサマラガ耀壱クンヲ待チ伏セシテルト聞イテ、何モ 手ヲ打タナイハズガナイダロウ?』
雷鳥「……!まさか樋口に報告を…………」
ソンナキサマラガ耀壱クンヲ待チ伏セシテルト聞イテ、何モ 手ヲ打タナイハズガナイダロウ?』
雷鳥「……!まさか樋口に報告を…………」
D・F『イヤ、ソレハシテイナイ。ツマラナクナルカラナ。』
D・F『タダ、代ワリニ刺客トナルすたんど使イヲ用意シテオイタ……。
耀壱ガココニクルマデアト10分ッテトコロカナ?セイゼイサッサト片付ケルンダナ……。』
耀壱ガココニクルマデアト10分ッテトコロカナ?セイゼイサッサト片付ケルンダナ……。』
ド ド ド ドド
必府町某所
女性「私のスタンドを取り付かせたこの「ビー玉」を、この街の至るところにばら撒く……」
少年「簡単に言うけど、結構な大惨事ッスよねェェェ……それ。」
少年「簡単に言うけど、結構な大惨事ッスよねェェェ……それ。」
女性「ま、一般人のトラウマなんてタカがしれてるけど……事故った経験がある人なんかは死んじゃうかもねぇ……。」
少年「えっ、殺すのはマズイんじゃあないッスかァァァ……?」
少年「えっ、殺すのはマズイんじゃあないッスかァァァ……?」
女性「ま、ほどほどにして解除するから問題ないわ。」
少年「はァ……そうッスかァァ……じゃあお願いしまスよォォォ……。」
少年「はァ……そうッスかァァ……じゃあお願いしまスよォォォ……。」
女性「『ダイモニカス』!」
少年「『アクロース・ザ・メトロポリス』!」
少年「『アクロース・ザ・メトロポリス』!」
ド ド ド ド
必府高校校門前
コツン
ミキ「いたっ!何、これ……イタズラ?」
オーソン必府町前
ガッ
アリス「痛っ!何か……ぶつかった?」
店員「おいおい、大丈夫か?」
店員「おいおい、大丈夫か?」
必府町郊外
ド ド ド ド
アイ「……何、この「怪物」たちは……。」
リオ「来ないでください!この怪物は……私の敵です!」
リオ「来ないでください!この怪物は……私の敵です!」
そして場所は戻り「ブレッド」。
D・F『サア、始マッタゾ、『だいもにかす』ノすたんど攻撃ガ……。ヤツノ攻撃ハワタシニモ効く無差別攻撃ダカラナ……。』
D・F『注意シテオカナクテハ。』
パラ…… パラ……
ビー玉が一同に降り注ぐ。
JOJO「……!『ヒートウェイヴ』!」
グゥゥン!
よからぬ予感がしたのか、JOJOはそれをすぐさま地面を壁にすることで防御する。
近くにいたアクターと亜希も、その下にもぐりこむ。
一方萌は上方に『チェリー・ボム』の弾幕を敷いて爆破した。
近くにいたアクターと亜希も、その下にもぐりこむ。
一方萌は上方に『チェリー・ボム』の弾幕を敷いて爆破した。
雷鳥と『ディープ・フォレスト』はその軌道を見てひょいひょいとかわす、が……。
カズハ「いっ、痛!」
ド ド ド ド
雷鳥のそばにいて、「ビー玉」をかわす術を持たないカズハは命中してしまった。
グモォ ピキ バシ
カズハに当たった「ビー玉」がゆっくりその形を変えていく。
カズハ「……!まさか…………これは……!」ドドドド
カズハ「あ、あなたは………………………………いやああああああ―――ッ!!」
そこには、母親の死体とその胸に腕を突き刺した樋口耀壱の姿。
雷鳥「……!カズハちゃん……。」ガッ
雷鳥が『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』でカズハを抱きかかえる。
JOJO「……トラウマ……?」
カズハ「いや……!いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや……!」
カズハの目の色が見る見る内に危なくなっていく。
カズハ「『ファイナルレクイエム』!消 し て!」
FR『ウグルルルルルルルアアアアアアア―――ッ!!』
ドガッ!
ド ド ド ド ド
耀壱『………………。』
アクター「あれが「樋口耀壱」か…………。」
JOJO「!?……生身で受け止めた?『ファイナルレクイエム』の拳を?」
亜希「ちょっとおかしいね……。」
萌「爆破しますか?」
JOJO「!?……生身で受け止めた?『ファイナルレクイエム』の拳を?」
亜希「ちょっとおかしいね……。」
萌「爆破しますか?」
カズハ「『ファイナルレクイエム』!『――アクアティカ』!」
カズハの号令と同時に『ファイナルレクイエム』の姿が水色に透き通る。
FR『OOOCEEAAAANNNNNN――――ッ!!』ガシイ!
耀壱『………………。』シィーン
カズハ「な……なぜ!?どうして乾かない!?」
雷鳥「決まりね……!この謎の現象の『特性』!」
JOJO「どういうことだ!?」
JOJO「どういうことだ!?」
雷鳥「最後の確認よ!『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』!」
ドオオ――ン
世界の色彩が反転する。
カズハ「――――――ッ!」
耀壱の姿は「予知」できない。どうやら『この耀壱』は「人」というくくりではないようだ。
この時点で雷鳥の「仮説」は裏づけをとることができた。
カズハはいぜんとして耀壱にラッシュを繰り出している……が、10秒経過したところで、
カズハがラッシュの手をやめた。
この時点で雷鳥の「仮説」は裏づけをとることができた。
カズハはいぜんとして耀壱にラッシュを繰り出している……が、10秒経過したところで、
カズハがラッシュの手をやめた。
カズハ「…………――!」メリメリ
胸がズブズブと凹んで……いや、穴が開いてきているのだ。
そして
カズハ「……ッ!」ドボドボ
穴が貫通し、カズハの口からおびただしい量の血が飛び出た。
JOJO「……―――ッ!」
JOJOが何事かを叫びながらカズハの元へ向かう。
そこで、予知の世界は終わった。
いや、終わらせたのだ。これ以上の「未来」を見るのは忍びなかった。
それに、見る必要もなかった。なぜならこれから自分が変えるのだから。
いや、終わらせたのだ。これ以上の「未来」を見るのは忍びなかった。
それに、見る必要もなかった。なぜならこれから自分が変えるのだから。
予知を見終わった雷鳥はカズハの隣へ素早く移動する。
雷鳥「カズハちゃん……落ち着きなさい。パニックになっては駄目。それじゃあ相手の能力の思う壺よ。」
カズハ「でもッ……!でもッ……!こいつ……殴っても殴っても……!」
カズハ「でもッ……!でもッ……!こいつ……殴っても殴っても……!」
カズハは既に目に薄く涙を浮かべていた。
雷鳥「まあ、見てなさいって。私が退治してあげるから。」
そう言うと、雷鳥はゆっくりと耀壱の近くに近寄り……
TOM『オラアッ!』バギャッ
耀壱を蹴り飛ばした。
耀壱『…………ぐはッ!』
耀壱『この……私の……「特性」を…………見抜いた……とは……。』ドドドド
雷鳥「この『現象』、どうやらその「ビー玉」に触れたものの『心の底に巣食うもの』を呼び覚ます能力のようね。」
雷鳥「そして、『心の底に巣食うもの』は対象にとってのいわば天敵とも言える『トラウマ』……。
対象自身にはどうすることもできない絶対的存在……!だからカズハちゃん自身にはどうしようもできない。」
対象自身にはどうすることもできない絶対的存在……!だからカズハちゃん自身にはどうしようもできない。」
TOM『オラオラオラオラアァ―ッ!』バギャギャギャ
耀壱『ぐっばあァッ!』ドッバア
耀壱『ぐっばあァッ!』ドッバア
雷鳥「だから、私が倒す!」
雷鳥「既に地面に落ちて壊れていないビー玉にも気をつけるのよ。おそらく触れたものは無差別に『トラウマ』を発現する。」
JOJO(あぶねえあぶねえ……。とっさにガードしといてよかったぜ……。『トラウマの発現』だと?
だとしたら俺のトラウマは十中八九あの『バスの事故』だぜ!大惨事になっちまう……。)
だとしたら俺のトラウマは十中八九あの『バスの事故』だぜ!大惨事になっちまう……。)
D・F『ソシテ、ソコヲワタシガ何トカスルトイウワケダ。』
亜希「『ディープ・フォレスト』……!何をするつもり!?」
亜希「『ディープ・フォレスト』……!何をするつもり!?」
D・F『何ッテ……コウスルダケサ。』ドシュッ!
『ディープ・フォレスト』はそういって懐からナイフを投げる。
ナイフは「ビー玉」をカスって弾き上げた。
ナイフは「ビー玉」をカスって弾き上げた。
JOJO「うおッ!」ヒョイ
JOJOは自らの方に向かってきたそれを、ギリギリでかわす。
亜希「いたっ!」
そして、そのすぐ後ろにいた亜希の額にビー玉は命中した。
ド ド ド ド
亜希(私の―――トラウマ……?)
ド ド ド ド
亜希が「自分のトラウマ」と聞かれ、挙げるものがあるとしたら一つである。
それは彼女が4歳のころ。好奇心から父の作業場を覗いたときのことである。
学者である父は、その作業をするための作業場を自宅近くの郊外に設置していた。
既に外は薄暗かったが、幼い彼女はそんなことはおかまいなしに作業場を探索する。
やがて飽きが来て帰ろうと思った時には、既に外は真っ暗だった。
それはいい。亜希はそのときから既に少しばかり大人びていて、その程度でうろたえる子供ではなかった。
ただ、問題は「夜が呼び寄せる者たち」である。
それは彼女が4歳のころ。好奇心から父の作業場を覗いたときのことである。
学者である父は、その作業をするための作業場を自宅近くの郊外に設置していた。
既に外は薄暗かったが、幼い彼女はそんなことはおかまいなしに作業場を探索する。
やがて飽きが来て帰ろうと思った時には、既に外は真っ暗だった。
それはいい。亜希はそのときから既に少しばかり大人びていて、その程度でうろたえる子供ではなかった。
ただ、問題は「夜が呼び寄せる者たち」である。
『野犬』。郊外という位置だからか、帰り道、亜希はそいつらに襲われた。
それはもう、恐ろしかったとしか言い様がない。必死に体を丸めて、野犬が去っていくのを待っていた。
その時の怪我はもうないが、その様子を発見し、助け出した父はのちに「酷い怪我だった」と言っている。
父からは大目玉を喰うだろうと、覚悟していた亜希だが、母親は泣きながら自分を抱きしめ、
父は「本当に良かった」としか言わなかったのをみて、自分のしでかしたことのおろかさを実感したのだった。
それはもう、恐ろしかったとしか言い様がない。必死に体を丸めて、野犬が去っていくのを待っていた。
その時の怪我はもうないが、その様子を発見し、助け出した父はのちに「酷い怪我だった」と言っている。
父からは大目玉を喰うだろうと、覚悟していた亜希だが、母親は泣きながら自分を抱きしめ、
父は「本当に良かった」としか言わなかったのをみて、自分のしでかしたことのおろかさを実感したのだった。
グニャリ……グニャア
ビー玉がまるで生き物のように形を変えていく。
やがてそれは亜希の予想通り犬の形になった。
しかし、それは普通の犬よりも大きく、黒く、まるであのときの亜希の恐怖を体現しているようだった。
しかし、それは普通の犬よりも大きく、黒く、まるであのときの亜希の恐怖を体現しているようだった。
ド ド ド ド
JOJO「下がれ亜希!雷鳥の言うとおりならこの犬はお前にはどうしようもできない!俺が倒す!」
亜希「悪いけどJOJO、それはできない!」
しかし、亜希は下がらなかった。
これは「自分の過去の産物」だ。自分の過去の愚かさが招いたタネ。
たとえ「こいつには敵わない」という情報があったとしても、意地が下がらせることを許さなかった。
「過去」は乗り越えなくてはならない。自分の愚かしい過去は今ここで清算しなくてはならない!
これは「自分の過去の産物」だ。自分の過去の愚かさが招いたタネ。
たとえ「こいつには敵わない」という情報があったとしても、意地が下がらせることを許さなかった。
「過去」は乗り越えなくてはならない。自分の愚かしい過去は今ここで清算しなくてはならない!
亜希「『グラットニー』!」グァン!
亜希「人間、『トラウマ』に縛られてちゃ成長できないんだよ!
いい機会だから、この際『トラウマ』を乗り越えさせてもらうことにするよ!」
萌「お姉さま……かっこいい!」
いい機会だから、この際『トラウマ』を乗り越えさせてもらうことにするよ!」
萌「お姉さま……かっこいい!」
野犬『GRRRRRRR……!』
野犬『GRRRROOOOOAAAAAHHH―――ッ!』
グラットニー『シャウアァッ!』
グラットニー『シャウアァッ!』
バギャッ!
一瞬の攻防。
グラットニー『グフゥッ!』
萌「お姉さま!?」
亜希「大丈夫……勝ったよ。」
亜希「大丈夫……勝ったよ。」
野犬『GRRRRRROOOOOッ!?』
野犬の胴体は真っ二つに裂けていた。
亜希「『グラットニー』で胴体の「体積」を局部的に奪った。そして……」
亜希が見直すと、野犬はやせ細り弱弱しい姿だった。
亜希「私自身の『トラウマ』が生み出す像……。克服してしまえばこんなものってわけだね。」
ドジュア!
亜希がそういって視線をそらした瞬間、野犬は消滅した。
雷鳥「消えた……。どうやら自分自身でトラウマを克服しても、倒せるみたいね。
もっとも、他人が倒した場合は消滅しないようだけど……。」
もっとも、他人が倒した場合は消滅しないようだけど……。」
そういって、倒れた耀壱を見る。いない。消えている。
雷鳥「いや……!消えている!?そんなはずはない!」
JOJO「どうした?雷鳥……。」
JOJO「どうした?雷鳥……。」
雷鳥「『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』ッ!」ドオオ――ン!
世界が反転する。
しかし、そんなことはお構いなしで雷鳥はあたりを見渡す。
アクター ――……数秒経過してもなんともない。
亜希ちゃん ――……彼女も何ともない。
萌 ―――……こいつに限って心配はいらなそうだ。
JOJO ――……彼も大丈夫なようだ。
しかし、そんなことはお構いなしで雷鳥はあたりを見渡す。
アクター ――……数秒経過してもなんともない。
亜希ちゃん ――……彼女も何ともない。
萌 ―――……こいつに限って心配はいらなそうだ。
JOJO ――……彼も大丈夫なようだ。
ならばカズハちゃん ―――!……。
カズハの胸には、大きな穴が開けられていた。
「やはりか――!」 雷鳥は戦慄した。
「やはりか――!」 雷鳥は戦慄した。
雷鳥(『自分のトラウマを他人に退治してもらう』……!自分で言っててなんかしっくりこないと思ったけど、
やはり、他人にできるのはせいぜい足止め、『トラウマ』を倒すには「克服」する他ないといったところかしら!)
やはり、他人にできるのはせいぜい足止め、『トラウマ』を倒すには「克服」する他ないといったところかしら!)
雷鳥(そして、『トラウマ』は当時と同じ思考を持つ……耀壱で言えば、自分に牙を剥く術を持ったカズハちゃんを始末する!
という思考のもとに行動するということが分かった……!カズハちゃんは守らないとマズイ!)
D・F『ホウホウ、雷鳥、ズイブント焦ッテイルヨウダナ、ラシクモナイ。』
という思考のもとに行動するということが分かった……!カズハちゃんは守らないとマズイ!)
D・F『ホウホウ、雷鳥、ズイブント焦ッテイルヨウダナ、ラシクモナイ。』
雷鳥「うるさいわね『ディープ・フォレスト』!時間がないのよ……!カズハちゃんが攻撃を受けるまであと1秒しかない!」
雷鳥「予知は終わる!そして……!」
TOM『オラアッ!』バギャッ!
カズハ「な……!がっ!?」ドバァ―!
カズハ「な……!がっ!?」ドバァ―!
雷鳥「手荒なマネしてゴメンねカズハちゃん!でもこうしないと間に合わなくってね……!」
雷鳥(さて、ここで問題なのはこのあとの私の身の振り方よ……!『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』は
カズハちゃんを吹っ飛ばすのに使っちゃってすぐに防御体勢にはできない……。その上耀壱はまだ変更した「運命」に
追いついていないから、このまま私めがけて拳を放つでしょうね、そしたら死ぬのが私になるだけよ…………!)
カズハちゃんを吹っ飛ばすのに使っちゃってすぐに防御体勢にはできない……。その上耀壱はまだ変更した「運命」に
追いついていないから、このまま私めがけて拳を放つでしょうね、そしたら死ぬのが私になるだけよ…………!)
一瞬で無数の思考が雷鳥の脳内を駆け巡る。そして――
ズボッ!
いやな音が鳴る。
雷鳥の腹は、耀壱の腕が貫通していた。
雷鳥の腹は、耀壱の腕が貫通していた。
カズハ「あああ…………ッ!」パクパクパク
カズハは口をあんぐりと開けて呆然としている。
ドサア!
耀壱『フン……、『平塚雷鳥』……。カズハの盾となったか……。無駄なことを…………。』
カズハ(私が殺した……。雷鳥さんを……。私がボケっと突っ立ってたから雷鳥さんは…………。
『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』で私が殺される「未来」を予知してしまったから、
雷鳥さんは私のことを見捨てられなくって盾になって殺されたんだ…………。)
『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』で私が殺される「未来」を予知してしまったから、
雷鳥さんは私のことを見捨てられなくって盾になって殺されたんだ…………。)
キッ
カズハ「私は理解した。これは雷鳥さんからの最期の教え。『克服する』……。あなたを。」
耀壱『馬鹿なことを……。カズハ、お前に私を超えることなどできるわけが……」
カズハ「『ファイナルレクイエム』!」
カズハ「『ファイナルレクイエム』!」
FR『ウグルルルルアアアア!』
バギィ!
耀壱『ぐはッ……!何ィ……。』
カズハ「『理解』したスタンド能力は使わない……。あなたを克服するのに他人の力は使わない。」
FR『ウグルルルルアアア!』ドガア!
耀壱『グハッ!やめろ……カズハ……。きさまごときがこの私に対して――!』
耀壱『グハッ!やめろ……カズハ……。きさまごときがこの私に対して――!』
カズハ「消えうせろ!私の目の前からッ!」
FR『ウグルァラララララララララララァアアア―――ッ!!』
FR『ウグルァラララララララララララァアアア―――ッ!!』
ドバアアア―――ッ
サアァァァァア・ ・ ・ ・
耀壱は消滅した。
カズハ「ら、雷鳥さん……。」
耀壱を倒したのち、雷鳥のことを思い出し涙があふれてくる。
克服したとはいえ、自分の不手際のせいで大事な人を殺してしまった――。
克服したとはいえ、自分の不手際のせいで大事な人を殺してしまった――。
雷鳥「あら、どうしたのカズハちゃん、泣きたいなら私の胸で泣いていいのよ?」
カズハ「雷鳥さん――!」
カズハ「雷鳥さん――!」
ああ、こんなときに胸を貸してくれるとは何て優しい人なのだろう、平塚雷鳥という人物は。
お言葉に甘えて存分にその胸で涙を――あれ?
お言葉に甘えて存分にその胸で涙を――あれ?
カズハ「…………雷鳥さん?なんで生きてる?」
雷鳥「ちょっとこう、JOJOに直してもらったりしてね。」
雷鳥「ちょっとこう、JOJOに直してもらったりしてね。」
JOJO「平塚雷鳥……。あたかも自分が死んだ風に見せてトラウマを克服させる勇気を与えるとは……。
感動を台無しにするヤツというか、抜け目ないヤツというか…………。」
感動を台無しにするヤツというか、抜け目ないヤツというか…………。」
隣でJOJOが呆れ顔をしている。
空中で『ディープ・フォレスト』が笑いをこらえていた。
空中で『ディープ・フォレスト』が笑いをこらえていた。
D・F『ククク……サテ、面白イモノヲ見セテモラッタトコロデ、ワタシカラモ「ぷれぜんと」ヲ贈ロウジャアナイカ。』
そういうと、『ディープ・フォレスト』はナイフを取り出し再度ビー玉にカスらせた。
ピョーン
ビー玉は雷鳥の方へ向かう。
雷鳥「フッ、この程度の攻撃……痛ッ!」
D・F『治シテモラッタトハイエ、傷ハマダ馴染ンデイナイダロウ?クックックッ……。』
D・F『治シテモラッタトハイエ、傷ハマダ馴染ンデイナイダロウ?クックックッ……。』
ビシッ
雷鳥はビー玉を避けきれず、命中してしまう。
雷鳥「ま、マズイ……。マズイことになったわ……。」
D・F『平塚雷鳥トモアロウモノガ「恐怖」ヲ感ジルホドノ「モノ」……。ワタシニモ想像ガツカナイガ、
オソラク想像ヲ絶スルホドノ恐怖ナノダロウ……。ハタシテキサマラニ乗リ越エラレルカナ?見物ダナ……。』
オソラク想像ヲ絶スルホドノ恐怖ナノダロウ……。ハタシテキサマラニ乗リ越エラレルカナ?見物ダナ……。』
雷鳥「何を勘違いしているのッ『ディープ・フォレスト』!あなたも「安全」じゃあないわ!」
D・F『?』
D・F『?』
このとき、雷鳥は自分の「勤務初日」を思い出していた。
雷鳥が生まれて初めて、そして唯一涙を流して怯えた存在――…………。
それは、鬼神のごとき力で、全てをなぎ倒し、治し、歪ませた――――。
雷鳥が生まれて初めて、そして唯一涙を流して怯えた存在――…………。
それは、鬼神のごとき力で、全てをなぎ倒し、治し、歪ませた――――。
未だに、その時のことを思い出しただけで恐怖で足がすくむ。
指が震え、まともにものを持つことが出来なくなる。いやな汗が体中から吹き出す。
指が震え、まともにものを持つことが出来なくなる。いやな汗が体中から吹き出す。
それは、彼女のこの言葉が引き金だった。
「その髪型、面白いですね。」
ほんの挨拶のつもりだったのだ。ジョークで、場を和ませようとしただけだったのだ。
『あ゛?』
「あ……その髪型、す、素敵ですね。小鳥さんとか、近寄ってきませんか?」
「あ……その髪型、す、素敵ですね。小鳥さんとか、近寄ってきませんか?」
『…………。』
「えっと……。」
「えっと……。」
『俺のこのヘアースタイルが、鳥の巣みてーだと?そう言いてーのか?』
「え…………。」
「え…………。」
『そう言いてーんだなッ!?このクソアマ――ッ!』
「ひっ、きゃああ―――!」
「ひっ、きゃああ―――!」
……結局、その場は騒ぎを聞いて駆けつけた「彼」の友人数名がかりで収められたので、
雷鳥は頬に「拳でつけられた」切り傷を負うだけで済んだ。しかし、この出来事は
雷鳥の心に「彼」――『東方仗助』という男の「怒り」に対するトラウマとして刻み込まれた。
雷鳥は頬に「拳でつけられた」切り傷を負うだけで済んだ。しかし、この出来事は
雷鳥の心に「彼」――『東方仗助』という男の「怒り」に対するトラウマとして刻み込まれた。
あのときは、「スタンド」に目覚めていなかったから、
『見えないパワー』でしか『クレイジー・ダイアモンド』を表現できなかった。
そのことが、逆に恐怖だ――と雷鳥は考える。『クレイジー・ダイアモンド』のパワーが、
何の前触れもなく襲いかかってくるのだ。防御のしようもなく、あの暴力的なまでのパワーが襲いかかってくる。
『見えないパワー』でしか『クレイジー・ダイアモンド』を表現できなかった。
そのことが、逆に恐怖だ――と雷鳥は考える。『クレイジー・ダイアモンド』のパワーが、
何の前触れもなく襲いかかってくるのだ。防御のしようもなく、あの暴力的なまでのパワーが襲いかかってくる。
それだけで、軽く雷鳥は足が竦んでしまった。
カズハ「雷鳥さん!?雷鳥さん!」
カズハの言葉で、雷鳥の意識は引き戻される。
雷鳥「ハッ!?……カズハちゃん、JOJOたちも!逃げて!」
JOJO「はぁ!?一体何を言って……」
JOJO「はぁ!?一体何を言って……」
雷鳥「『敵わない相手 』なの!私でも!絶対に!」
グニャグニャ……
??『ドラアァァァァ…………!』
D・F『ホウ……「東方仗助」……。』
雷鳥「『ティアーズ・オブ・マグダレーナ』ッ……!」
仗助『俺の髪型をケナすやつァたとえ誰だろーと許さねぇ……!』
ゴオオオオォォォォォオオオオオオ
雷鳥(私、死ぬかも……。)
To Be Continued...
使用させていただいたスタンド
No.1351 | |
【スタンド名】 | ダイモニカス |
【本体】 | 桜井亜美 |
【能力】 | 触れた対象が心の奥底で苦手とするものを『丸いもの』を触媒にしてひとつずつ生み出す |
No.293 | |
【スタンド名】 | アクロース・ザ・メトロポリス |
【本体】 | 柳川春陽 |
【能力】 | スタンドを上空に飛ばすことで、町一帯を俯瞰する事ができる |
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