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第06話『裏切りと駆け引きの応酬(Taking Over)』その②

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orisuta

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阿部「『マーラ・ザ・ビッグボス』」

ドバァァァーーーン!

阿部MTB『ところで俺の『スタンド』を見てくれ。こいつをどう思う?』

ダッ!

阿部MTB『!!!!』

丈二「『アークティック・モンキーズ』ッ!」
A・モンキーズ『ムヒーッ!』

ドゴォッ!

阿部が『マーラ・ザ・ビッグボス』を装着し、臨戦態勢に入ったその一瞬。
丈二の『アークティック・モンキーズ』が一足速く阿部のわき腹まで接近し、パンチを繰り出す。

阿部MTB『ぐお・・・ッ!(は、速い・・・ッ!見えなかった)』

丈二「鈍いぜ」
A・モンキーズ『オラオラオラオラオラオラ』バシュバシュバシュバシュバシュ!

阿部MTB『ふん、今のは不意打ちだろう。そんなんで勝った気でいられても―――』

丈二「!」

ニュルニュルニュル

『マーラ・ザ・ビッグボス』の『足』にあたる下の丸い二つの膨らみ。そこから伸びる『黒い触手』が、
クネクネと動き出し、『アークティック・モンキーズ』の突きのラッシュを滑らかな動きで弾いていく。

バシバシバシバシバシバシッ!

丈二(なに!)

阿部MTB『困るね!』ビュン!

ドスウッ!

『触手』の先端が槍のように鋭利になり、『アークティック・モンキーズ』の下腹部に突き刺さる。

丈二「がは・・・・・・・」ドバッ
 
 
 




阿部MTB『ふん、まあまあだな』

阿部MTB『おい、忠告するが鼻をつまんでいたほうがいいぞ』

丈二「う・・・・・な、なんだって?」

そう言うと阿部は、蛇のような姿をした自身の『スタンド』、『マーラ・ザ・ビッグボス』の
外皮を剥きはじめた。
あたり一面に強烈な腐敗臭がたちこめる。

ツーン
丈二「うぐぁッ!なんなんだこの『臭い』・・・・・・ッ!くせえッ!」

阿部MTB『嗅いじゃったな、この『臭い』。これでお前の勝ちはなくなった』

ドシュウウウウウウン

丈二「!」

阿部「ふゥ~ッ」

『臭い』による攻撃を仕掛けた後、阿部は自分の体を纏っている『精神エネルギー』の鎧を自ら解除した。

丈二「・・・・・・何の真似だ?」

阿部「『スタンド』でやりたいことは済んだ。もう必要ない」

スタスタスタスタスタ・・・・・・

阿部がゆっくりと丈二に近づき、頬に平手打ちを放つ。

パシーン
丈二「うああああああああああああッ!!!!!」

阿部「おお、いい声で喚くね」

丈二(な、なんだ!?この頬を貫く『激痛』は・・・・・・!ただの『平手打ち』じゃないのか!?)ジンジン

阿部「痛いだろ?普通に叩かれるより何十倍も。」

ドゴォッ!

丈二「あああああああああああああああああああああああ」

阿部「おいパンチ一発じゃないかよ。叫ぶなよ男の子だろ?」
 
 
 




阿部「もう一発行くぞ」フッ・・・

丈二「! ク、クソォ!『アークティック・モンキーズ』!」
A・モンキーズ『ムヒーッ!!』シュッ!

阿部「俺、反射神経はいいのよ」サッ

ドゴォッ!

丈二「ぐうううううううううううううううううッ!!!!」

阿部「はははははは」

丈二(クソ・・・なんでこんなに『威力』があるんだッ!ありえない、ヤバすぎる!
   に、逃げないと・・・・・・距離をとらないと)ズリズリ・・・

丈二「つうッ!!」

丈二(?? な、なんで・・・・・・『脚』に痛みが!?攻撃はされてないのに)

阿部「・・・・・・・・」ザッ、ザッ

丈二(よく考えたらさっきの『パンチ』もおかしい、顔が潰れるぐらいの『痛み』だったのに・・・・
   『骨』も『肉』も無事だ)

阿部「もう一発」フッ・・・

ギュッ
丈二「あぐうッ!」

丈二(や、やっぱりだ!自分で少し『抓った』だけでこの痛み!ヤツの攻撃力が上がったわけじゃない!)

ゴオオオオオッ!

シュンッ!!

阿部(!! 消えた・・・?)チラッ

阿部が横目で隣に乗り捨ててある、かつての愛車だった『フォード』を見る。
両サイドドアに、自分が乗っていた頃には見かけなかった不自然な『ペイント』が施されていた。
『赤色』の、子供が乱雑に描き殴ったような『線』だった。

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

阿部(『フォード』に『赤ペンキ』を・・・!あらかじめ塗っておいたのか)

丈二(『敏感』になっている!俺が、俺の『痛覚』が『過敏』に!
    ヤバイぞ・・・!少しの攻撃も許すわけにはいかないッ!)ズズズズズズ・・・・
 
 
 




阿部(『赤』に潜る能力・・・味方なら心強いが敵に回すとこの上ないくらい厄介だ)

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

丈二(・・・・・・)

阿部(あのフォードの『赤』に近づいた瞬間、殴られるってわけか。)

丈二(こいよ阿部・・・・・・!)

阿部(いいだろう、受けてたとうじゃあないか)

ザッザッザッザッザッ!

丈二「(来たッ!)オラァァッ!!」シュッ!

敵が『フォード』の『左ドア』の前に立つ。『アークティック・モンキーズ』がすかさず拳を突き出した。

阿部「『マーラ・ザ・ビッグボス』ッ!」ドバァァァーーン!

ウネウネウネ

『マーラ・ザ・ビッグボス』が再び出現し、下方の『触手』が『アークティック・モンキーズ』の拳を絡め取る。

丈二「なにッ!」ガチーン

阿部MTB『『スタンド』は『スタンド』でしか触れられないからな、どうだ動かせないだろ?
     このまま外に引き摺り出してやる!』

A・モンキーズ『オラァッ!』シュッ!

スパァッ!

ブチブチブチッ
阿部MTB(『手刀』を・・・!『触手』が断ち切られた)

・・・・・・ズブッ
丈二(・・・・・・・・)

阿部MTB(ちぃ、また潜りやがって・・・・・・だが!)
 
 
 




阿部MTB『オラアッー!』ドゴォッ!

バゴォッ!バキバキバキィッ!!

丈二(!? なんだ!?)

阿部が『スタンド』の力を使い、『左ドア』部を破壊する。

阿部MTB『『赤』から出るっていうんなら・・・それを壊すッ!』

丈二(・・・・・・・く)

阿部MTB『ずっと潜ってはいられないんだろ!このまま『フォード』に閉じ込められて死ねばいいッ!』

丈二(くそッ!)

ヌッ!

両方の出入り口を破壊されたら終わりだ。『左ドア』が破壊され、丈二は『右ドア』の『赤』から逃げるように飛び出した。

ズリズリズリズリ・・・・
丈二(『遠く』へ・・・できるだけ『遠く』へ離れないと・・・・・・!)

阿部MTB『やっと出てきたな?待っていろ、今そっちへ向かってやる』

丈二(ここまで離れた!もうここからやるしかないッ!)カチャリ

バッ!

阿部MTB『なんだ『拳銃』か?そんなモン向けてどうする?俺の『スタンド』なら弾丸を簡単に叩き落とせるぞ!』

ビチャビチャ・・・・

阿部MTB(いや、待て・・・・・・なんだこの『におい』は?)

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
 
 
 




丈二「俺が『フォード』の中に入ったのは攻撃から逃げるためじゃあない。『ガソリンタンク』に穴を開けて『燃料』を流出させた!
   そしてそこへアンタをおびき寄せる・・・・・・!」

阿部MTB(まさかこれは・・・・・・!『ガソリン』ッ! まずい、『気化』しているッ!)

丈二「だが、『敏感』になってる・・・・ここまで離れたから炎は浴びないが・・・
   この距離だと『爆風』はこっちまで届く・・・!ヤバイだろうな、腹括らねえと・・・・・・!」

阿部MTB『やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!!!』

ドビュンッ!ビュンッ、ビュンッ!

チュドガァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!

丈二の放った『弾丸』が火花を散らし、気化した『ガソリン』に引火して爆発を引き起こす。
『フォード』が大きな火柱を上げ、黒い煙を空に向かって吐き出していく。

丈二(くるぞ!『爆風』だ!)

ブオオオオオオオオオン!!

丈二「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

丈二(・・・・・・・う)

丈二(・・・・・・・なんとか生きてる・・・・・らしい・・・・・・でも体は動かせねえ・・・・・・・)ピクピク

仰向けに倒れた丈二は、炎上した『フォード』に視線を注ぐ。
炎の中から、人影のようなものが見えた。

丈二(なに・・・・・・・・・・バカな・・・・・・・・・・・・・)

ドォォォーーーーーン!

阿部「ハァ・・・・ハァ・・・・・!危なかった、『マーラ・ザ・ビッグボス』を装着していなかったら・・・・
   体がバラバラになっていた・・・・!『スタンド』がダメージを軽減してくれた」

全身に火傷を負い、ずりずりと足を引き摺りながら、阿部が身動きの取れない丈二の元へ近づいていく。

阿部「じ、丈二・・・・・・!今とどめを刺してやる・・・・!」
ズリズリ・・・・・・

丈二(逃げないと・・・・でも・・・・・・・・体が動かない・・・・・・・・・)
 
 
 




阿部「ハァ、ハァ・・・・よくも、死ね丈二・・・・・・!」フッ・・・・・・

仰向けの丈二に近づいた阿部が『バタフライナイフ』を振り上げる。

丈二(終わった・・・・・・・・もう・・・・・・・・・俺は・・・・・・・・・・・・・)

阿部「うおおおおおお」ブオオオオ

バンッ!バンッ!

阿部「あ・・・・・・・・」クラァ・・・

ドサァッ!

丈二(な・・・・・・・・・・なんだ・・・・・・・・・?)

刃が振り下ろされる寸前、二発の発砲音が響き、直後頭に銃創を二つ作った阿部が血を流しながら倒れこむ。

平田「危ないところだったな」

丈二(・・・・・・・・・・!)
 
 
 
 スタンド:マーラ・ザ・ビッグボス 
 本体:阿部 
 背後から拳銃にて頭を撃ちぬかれ、死亡 







平田「ギリギリのところで到着できてよかった。さあ『ナイフ』を」

丈二「・・・・これだ」スッ

丈二は平田に、確保した3本の『ナイフ』を手渡した。

平田「これで5本全てが揃った! やったぞ・・・・ついにやったんだ!」

丈二「これからどうなる?」

平田「この『ナイフ』は証拠だ。奴らの悪事を証明する。私の友人で検察庁に勤めているものがいる。
   彼にこれを提出して、いよいよ一斉検挙だ。彼が奴らの『トップ』を起訴まで持っていく。」

丈二「・・・・ついに」

平田「ああ、ついに終わる。『組織』を壊滅にまで追い込んだんだ!」

丈二「・・・・・・・・」

平田「なんだ?感無量か。」

丈二「いや、なんだか・・・実感がわかなくて。この数ヶ月・・・・いろんなことがあった」

平田「そうだな。君はよく頑張ってくれた。私のムリな注文にもちゃんと応えてくれた。
   感謝している。お父さんもお喜びになられるだろう。」

丈二「・・・・・・・・・」

平田「もう話はつけてある。これを提出し、すぐさま奴らのアジトへ突入だ。
   警官隊に、『スタンド使い』も何人か行かせる。もし行けそうなら、君にも向かって欲しい。」

丈二「大丈夫だ。外傷はほとんどない。ちょっと休んだらいける。」

平田「よし。1時間後にアジトのビル前で突入隊と合流しろ。」

丈二「わかった。」

平田「では私は先に行く。
   君と組めてよかった。ありがとう」

丈二「・・・・ああ」
 
 
 




~アジト・会議室 某時刻~

???「緊急に集まってもらって申し訳ない。『非常事態』だ」

幹部1「『ナイフ』を奪われたと聞いていますが」

???「その通りだ。阿部を奪還に向かわせたが、おそらく殺られた。失敗だ」

幹部2「対策は講じているので?」

???「包み隠さず正直に言おう。頭抱えてる状態だ。『ナイフ』がどこへ行ったのか?見当もつかない。
    『スパイ』がどこの組織の所属だったのか、わからないんだ。情報がない。」

幹部3「『スパイ』は阿部の『チーム』の新入りでしたよね?『スタンド使い』。
    『城嶋 丈二』と言いましたか」

???「! 待て、『城嶋』?『城嶋』と言ったのか?『城嶋 丈二』?」

幹部4「何か心当たりが?」

???(・・・・・・・・なるほど、道理で・・・・あの顔)

???「・・・いや、なんでもない。とにかく最優先事項は『ナイフ』の回収。情報を集めるんだ。」

???「このまま逃がすわけにはいかない!何としても取り返す必要がある!」

幹部5「しかし、敵の目的もわからないのに居場所からだなんて・・・・もしも既に目的を達成していたら・・・・・」

ガチャッ

秘書「失礼します。」

???「なんだ、緊急会議の途中だぞ」

秘書「『お電話』が入っております。」

???「後にしろ。時間がないんだ」

秘書「『ナイフ』について、と申しておりますが。」

???「なに?『ナイフ』だって?」

幹部6「情報を持っているのか?」

秘書「そう言っています。『トップ』と直接話がしたいと・・・・・・」

???「・・・・・・いいだろう、電話を。」
 
 
 




~アジト前 突入開始15分前~

丈二(まだ突入隊の姿はない。早く着きすぎたかな)

丈二「いよいよだぜ、親父。いよいよこの手で・・・・!」



~アジト内 某時刻~

那由多「・・・・・・・」

未来「どうしました?そんな暗い顔して」

那由多「・・・・阿部さんが・・・」

カズ「? 阿部さんが?」

那由多「阿部さんが・・・・・死んだわ。『城嶋 丈二』に殺された」

未来「何だって・・・・?」

カズ「そ、そんな 本当なのか?」

那由多「『スパイ』だったのよ、アイツ。信じてた私がバカだった・・・・!」

未来「・・・・・・・・」

カズ「そんな・・・・・・・・阿部さんが・・・・・・・・・」



~アジト・会議室 某時刻~

???「電話を換わった。『ナイフ』について情報があると聞いたが」

男『・・・・『ナイフ』が必要なんだろ?5本。奪われてアタフタしてる。』

???「さっさと用件を言え。君は誰だ」

男『名前なんてどうだっていいだろう。もし俺が『ナイフ』5本を手に入れたら、持ってたら・・・・あんた買うかい?』

???「・・・手に入る算段があるのか?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
 
 
 




平田「いや、もう持ってるよ。おたくらから奪った。5本全部あるぞ」

???『なんだと!?お前が私達から奪ったのかッ!』

平田「1本30億、5本で150億だ。その値段で売ろう。どうだい?」

???『・・・・・・・・』

平田「俺は金が欲しくてね・・・一生遊んで暮らせるほどの金が。あんた達にとっては、こんぐらい痛くないだろ?
   たった150億で『ナイフ』が揃うんだからな」

???『・・・・・いいだろう、買ってやる。取引場所を言え』

平田「そうこなくっちゃあね・・・・・・」



~アジト前・突入開始時刻~

丈二(・・・おかしい。もう時間なのに、誰もいない)

スタスタスタ・・・・・・・

未来「!」

丈二「!」

未来「・・・・・・丈二?」

丈二(な、なんで・・・・・・)

未来「っ!おい来てくれ!丈二だッ! 『城嶋 丈二』を見つけたぞッ!外にいるッ!」

丈二(そうか、クソッ! 突入も、起訴も!そんな話はハナから無いッ!
   あの野郎、『平田 進』・・・・・・!)

丈二「ハメやがった・・・・・・・・・・・!」




第6話 終了


使用させていただいたスタンド


No.113
【スタンド名】 アークティック・モンキーズ
【本体】 城嶋 丈二
【能力】 赤い色のものに出入りできる

No.131
【スタンド名】 マーラ・ザ・ビックボス
【本体】 阿部さん
【能力】 白い液体を射出し付着した相手の生気を奪い取る




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