【コラム第2回】
印度孔雀です。今回のコラムでは、さまざまな形態がとられる馬主の名義について、覚書のような内容を記していこうと思います。
基本の3形態
この記事を読み進めるにあたってまず押さえておきたいポイント。有名な話ですが、馬主の基本的な形態は「個人」「法人」「組合」の3種類となります。昨今では、サンデーレーシングなどいわゆる「クラブ法人馬主(一口馬主)」に対して、それ以外の馬主をまとめて「個人馬主」と呼ぶことが増えましたが、名義に会社名がある馬主(株式会社ダノックス=野田順弘氏、金子真人ホールディングス株式会社=金子真人氏など)などは定義上は「法人馬主」です。
仮定名称(レーシングネーム)
近年見かける「XXレーシング」、「○○ジャパン」などの名義の多くはこの「仮定名称」が使用されていることが多い。説明を、仮定名称の使用可能範囲の拡大についてより引用させていただきます。
>日本中央競馬会競馬施行規程第4条第1項及び第2項の馬主登録簿に記載されている氏名又は名称以外の芸名、筆名又は通称等を使用することができるもの。
詳しい使用条件などはリンク先を参照のこと。上で示したような名称は、2018年より使用可能となった「理事長の指定する競馬等に関する語」を含んだ仮定名称であり、「レーシング」「レース」「ホース」「ジャパン」の4語が該当します。
さまざまな馬主名義
それでは、上で示した3種類の形態に基づいて、JRAにおいてはどのような馬主の名義が存在しているのか。例を挙げてみていこうと思う。
個人馬主(仮定名称不使用)
個人馬主(仮定名称の「理事長の指定する競馬等に関する語」使用)
個人馬主(その他仮定名称)
例:H.H.シェイク・モハメド=ゴドルフィン、浅田次郎=岩戸康次郎氏
元来使用されてきた仮定名称の使い方。本名で馬主登録している芸能人、通名を使用する帰化人の方などが使用するケースが多い。
元来使用されてきた仮定名称の使い方。本名で馬主登録している芸能人、通名を使用する帰化人の方などが使用するケースが多い。
見かけの個人馬主(仮定名称使用の法人馬主)
例:原禮子氏=原禮子レーシング株式会社、杉山忠国氏=株式会社TSホールディングス
競走馬管理会社などの名義で競走馬を所有しているものの、長らく個人名義を使用してきたなどの理由(推測ですが)で個人名を会社名の仮定名称に充てているケース。
競走馬管理会社などの名義で競走馬を所有しているものの、長らく個人名義を使用してきたなどの理由(推測ですが)で個人名を会社名の仮定名称に充てているケース。
法人馬主(競走馬含む資産管理会社系)
例:株式会社ダノックス=野田順弘氏、金子真人ホールディングス株式会社=金子真人氏、廣崎利洋HD株式会社=廣崎玲子氏、市川義美ホールディングス株式会社=市川真奈美氏、合同会社小林英一ホールディングス=小林正和氏
本人名にホールディングス、のような名義は多くが資産管理会社などの場合が多く、個人名義と共存している場合などは親族が代表者となっている(個人と法人間で同時に資格を取得することはできない為)。
本人名にホールディングス、のような名義は多くが資産管理会社などの場合が多く、個人名義と共存している場合などは親族が代表者となっている(個人と法人間で同時に資格を取得することはできない為)。
法人馬主(本業系)
例:株式会社畔蒜不動産=畔蒜英雄氏、市川不動産株式会社=市川幸助氏、MMSホールディングス株式会社=小林毅圭也氏、株式会社啓愛義肢材料販売所=亀田和弘氏
本業の会社がそのまま馬主登録されているケース。
本業の会社がそのまま馬主登録されているケース。
法人馬主(仮定名称使用)
例:シンボリ牧場=シンボリ牧場有限会社(和田吉弘氏)、西山牧場=株式会社西山牧場(西山純子氏)、千明牧場=株式会社丸沼温泉ホテル(千明孝一郎氏)
牧場によくみられるケース。仮定名称を使って法人格を消したり全然違う名称にしたり...
牧場によくみられるケース。仮定名称を使って法人格を消したり全然違う名称にしたり...
法人馬主(クラブ法人)
例:有限会社サンデーレーシング(吉田俊介氏)、有限会社社台レースホース(吉田哲哉氏)、株式会社サラブレッドクラブ・ラフィアン(岡田紘和氏)、株式会社インゼルレーシング(松島悠衣氏)
世に言う「クラブ馬主」と言えばコレ。しかしこのシステムはなかなかややこしく、「一口馬主」の皆さんは「愛馬会法人」に所属(サンデーレーシングなら有限会社サンデーサラブレッドクラブ)し、その愛馬会法人からの現物出資を受けて馬主資格を取得している法人である「クラブ法人」からレースに出走させているわけである。
世に言う「クラブ馬主」と言えばコレ。しかしこのシステムはなかなかややこしく、「一口馬主」の皆さんは「愛馬会法人」に所属(サンデーレーシングなら有限会社サンデーサラブレッドクラブ)し、その愛馬会法人からの現物出資を受けて馬主資格を取得している法人である「クラブ法人」からレースに出走させているわけである。
法人馬主(その他レア法人)
例:合名会社社台牧場=吉田香代子氏、チエリー商事合資会社=桜井由美子氏、農事組合法人資生園早田牧場=早田多喜子氏
あまり見かけないタイプの種類の法人。ほぼ絶滅危惧、農事組合法人なんかはもう現れないのでは?
あまり見かけないタイプの種類の法人。ほぼ絶滅危惧、農事組合法人なんかはもう現れないのでは?
組合馬主
まとめ
ということで、今回はさまざまなパターンが存在する「馬主名義」を見ていきました。レーシングネームや法人は一見すると区別がつきにくいですし、「競馬等に関する語」を使用した名義を使える新規定は個人的には不要だったのではないかなと思っております。皆様はどうお考えになられますでしょうか?
(修正・追加等あれば随時更新予定)