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始まりはZERO、終わりなら―――?

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匿名ユーザー

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始まりはZERO、終わりなら―――? ◆Z9iNYeY9a2



その手は血塗られていた。
己の理想に生き、行動し、その結果多くのものを失ってきた。

最初には父を。次には祖国を。
そして、失った祖国を守ろうと戦い、愛しき人も、友も失い。
その末に理想までも失って。
全ての罪を精算すると同時に理想を果たすため世界の敵となって。

その男の名は死んだ。
残ったのは、ゼロ――虚無という記号のみ。
そう、その名の通り、男は有でありつつ無として生きなければならない。

それが、己の罪滅ぼし、そして己の殺した友との約束なのだから。

(―――そういえば、ロロ・ヴィ・ブリタニアもまた、ルルーシュと同じ顔をした存在だったな…)

因果だろうか、それともただの偶然か。
もし因果だとしたら、これほど皮肉なものはないだろうが。

C.C.とは別れた。
彼女とてこちらの素性を積極的に明かそうとはしないだろう。
これからは、ゼロとして行動していけばいい――――


ふと、脳裏に一人の女性の顔がよぎって。

気の迷いか、それとも思い残しか。

ゼロ―――スザクには分からない。
ただ、彼女に今際の際でもゼロではなく枢木スザク、として認識された、たったそれだけの事実が。
自分の心に少なからず風波を立てているような、そんな気がした。


「はぁ…はぁ…」

息をつく。
今いる場所がどこなのか、その確認すらも移動中行うことはなかった。

何故ここまで動揺している。
父親とはいえあんな言葉で心乱されるなど、これまでLやニア相手にも心理戦を行ってきた自分らしくなかった。

(僕のこれまでの行動が、ただの自分への贖罪だと…?そんなことはない、僕は新世界の神となるためにやってきた、それだけだ。そんなこと、あるはずがない!)

神に迷うことなど許されない。
冷酷に、感情を込めることもなく、悪を裁く。

その先に、理想の世界がある。
善人が、あの時メロに殺された父のような者が報われるような世界でなければならない。

「――――月」

あれほど全力で逃げたはずなのに、もう父は、夜神総一郎は目の前にいた。
ふと、偶然手をついた下に備え付けられた表札を見る。

夜神。そう黒く太い文字で書いてあった。

逃げ入るようにその中へと駆け込む月。
月が冷静ならば、進んでそんな追い込まれた空間に逃げ込むなどという行動は取らなかっただろうが、今はとにかく己が父を引き離したかった。

しかし、自分の家に入ることが久しぶりであったこと、なにより急いで入ったことが原因で鍵をかけることを忘れてしまった。
当然のように、総一郎もそんな彼を追って家に入ってくる。

そのまま振り返ることもなく、月は家の奥へと逃げ込む。
が、ここで気付く。
追跡者も勝手知ったる家に入り込んだところで、逃げられる場所も隠れられる場所も存在しない。

いつもなら家に入る前に気付いたはずのこと。

(―――どこまで焦っているんだ僕は!?)

やがて息を切らしながらも、総一郎は月の目の前に姿を見せた。

「…月、どうして逃げる?いや、何から逃げている?」
「…………」

何から逃げているのか。

そうだ。今自分は一体何から逃げているのか。
ここで夜神総一郎を殺すことなど、ワケもないはずだ。彼はこれまで見てきたような異形の存在でも何でもない、ただの人間なのだから。

じゃあ、何故自分は逃げているのだろうか。




夜神総一郎は、己の息子の正しさを全面的に信じていた。
正しく育てれば、自分のように、いや、自分以上に立派な警察として法の下に生きてくれるものだと信じていたし疑わなかった。
実際、月はまるで模範のように、正しく立派に育ってくれたように思う。

しかし、だからこそなのだろうか。
もしも過ちを犯してしまったときに、どうすればよいのかということについて、教えることができなかったのかもしれない。
それが、謝って済むようなことだったら良かっただろう。
だが、それが取り返しの付かない過ちをしてしまったというなら。

その正しさが、他ならぬ月自身を歪めてしまったなら。
それは他ならぬ、親である自分の責任なのかもしれない。


「月、お前の悪を憎む心だけは本物だと信じている。
 確かにやり方は間違っていた。しかし正しい者が報われる世界になって欲しいと思う心は、確かにあったんだろう?
 ただお前自身がやり方を間違えてしまって、だからこそ世界を変えることでそれ自体を正義であるようにしようとした。
 自分が悪となることが怖かったんだろう?」

自分が悪となってしまうのであれば、悪の定義を、正義の定義を変えてしまえばいい。

月にとって幸運、いや、不幸だったのはデスノートにそれができるだけの力があったこと。
もしそうでなかったなら、月はあるいはその人殺しの罪を認めて償うこともできたかもしれない。

「お前は神になりたかったのか?それとも前言ったように世界で虐げられる弱者を救いたかったのか?
 それとも、自分の罪を認めるのが怖かったのか…?」

それが分からなければ、きっと月と話すことなどできないのだろう。

「…俺を殺したいというのなら殺してみろ。
 ただしノートなど使わず、その剣で一突き、もしくは一太刀にするんだ。ちゃんと狙わないと、何度も何度も体をその剣で突くになるぞ」

その言葉は賭けでもあった。

月とキラ。
それはイコールであると同時に、両者の間には大きな違いがあった。

例えば月が、ノートを使わずその手で殺したとき。
刺殺、斬殺、絞殺、撲殺、銃殺、毒殺、何でもいい。
それは間違いなく月の殺人だろう。

だが、悪を裁くという大義名分とノートによる神のごとき超常の力によって殺したのであれば。
それはキラという、月ではない別の存在の殺人――いや、裁きという大義名分にもできる。
つまり、その殺人は月によるものではなく、キラという存在の起こしたものと押し付けることも可能なのだ。
おそらく月自身が自分の殺した人間と認識しているのは最初に試しか何かで殺した数人だけだろう。

だからこそ、Lを殺すにもニアを殺すにも、メロを殺そうとする際においても、全てにおいてノートを使って殺してきた。
それこそが、キラの裁きであるという証なのだから。

では、ここで殺した人間は、果たして何者による殺人となるのか。
少なくとも、夜神月はノートを持っている様子はない。あれば剣など抜きはしないだろう。
もしその手で人の命を奪ったということをはっきりと認識してしまった時、その時は月はキラという仮面を被ることはできない。
そうなればきっと、本当の意味で彼自身に破滅をもたらすだろう。

そんな姿は、父親として見たくはなかったから。

「ただし、ここで俺を殺すならキラとしてじゃなく、夜神月として殺せ。
 それでまだキラとして生きることを選べるならそうすればいい」

月が睨みつける。
そこには様々な思いが入り混じっているようにも見えた。
迷い、決意、他にも複数の正負の感情が。

「どうした、お前は神になるんだろう。
 これまでFBIの捜査員やL達を殺したように、こんな大人一人殺すくらいわけないだろう?」
「っ…」

月は漆黒の剣を持ち上げる。
確かに月には剣の心得などない。それでもあれで斬りつければ、大人の一人くらいは切り捨てられるだろう。
無論抵抗されれば別ではあるが、そんなつもりもない。

「………」
「………」

数秒の沈黙、静寂。
それだけの時間だが、二人にはそれが数分の時間の差にも感じた。
そして。

狭い廊下の中、月は構えた剣を振りかぶった。
剣道で言えば面にあたるような、力任せの単純な振り下ろし。
だが、西洋剣のような武器ならそれが一番威力を発揮するのかもしれない。

ブゥンと風を切るような音と共に。
そのまま総一郎の眼前で振り上げられた剣は。
総一郎の姿を真っ直ぐ見据えた月によって。

真っ直ぐに振り下ろされ。

ガリガリッ―――と。
そんな、硬い何かを削り斬るような音と共に。

剣の対象を切り裂いて。
地面へと突き立った。

「…はぁ…、はぁ……」

月の顔から流れた汗が一滴、地面へと落ち。

「何をしている」

その瞬間、総一郎の立っていた後ろの玄関から、真っ黒な男が姿を現した。



結論から言えば、月に総一郎を殺すことはできなかった。
振り下ろした剣は、体を反れて横の壁を抉るように切り裂いて地面へと落ちていた。
それが最初からそのつもりだったのか、それとも直前でそう変わってしまったものなのかは総一郎には分からない。

いや、月にすらも分かっていなかった。
それが迷いなのか、親故の情けなのか。それ以前に、剣を構えた時に総一郎を切る覚悟はあったのか否か。

そういえば以前似たようなことを父親にされた気がした。
キラと疑われた自分に対し、弾が入っていないとはいえ銃を向けられたことがあった。
あの時は迷いもなかったし、殺意自体も本物に見えた。演技にしてはあまりに迫真だった。

ただその時と今で違ったのは。
強い決意と己の命も投げ出す覚悟で行った父に対し。
自分のそれは迷いと保身からきたものだったということ。


結局自分のその行動の答えも見当たらないまま。
今、二人は黒い仮面の下にひょっとこのお面を被るという珍妙な格好をしたマントの男をまじえて、居間の椅子に座っていた。


「どうしてここがわかったんだ?」
「玄関の扉が開いていたのでな。近づいてみれば物音も聞こえた。もし私でなければどうなったか分からないぞ」
「そうか、それは気をつけないとな…」

月にしてみれば格好からして警戒せずにはいられない格好なのだが、総一郎は一応顔見知りであるため警戒する必要もない。
流石にそのお面を見た時は一瞬怪訝そうな表情はしていたようだが。

「その格好を見るに、やっぱりあの政庁で何かあったのか?」

よく見ると、その奇抜な服のあちこちに汚れや煤けが見えた。
所どころに微かに滲んでいる赤いものは、血だろうか。


「驚異的な力を持った一人の男に襲撃を受けてな。どうにか打ち倒したが、…ユーフェミアが犠牲になった」
「…そうか」
「今動けない皆には悪いと思ったが、こちらもあまりじっとしているわけにもいかないのでな。行かせてもらうことにした」

月は目を伏せたままだ。
そもそもその危険人物、ロロを政庁に送り込む際に同行したのは月自身である。
本来の目的は、効率良く人を減らすためにあの男と手を組んだのだ。
それが死んでしまっては元も子もないが。

しかし、そのことを知っているはずの総一郎は、敢えてそれを言うこともなかった。

「一つ問いたい。そこの彼は何者だ?」
「これは、私の息子だ」
「と言うと、氏の警戒するように言われていた――」
「ああ、その通りだ。だが、月だけなら頭こそいいが、無力な一般人でしかない。
 それに、さっきのように自分の手では人一人殺すことも難しいだろうがな」

オルフェノクや魔法少女、さっきのロロのような者が跋扈するこの場では、月とて無力な一一般人に過ぎない。
むしろ他者を騙し、操ることに長けている。しかしそれも素性が知れてしまえばどうにもならない。
そういうことらしい。

「なるほど、頭脳は人並みならぬものを持っていると」
「ああ、自分で言うのも何だが、頭の良さにおいてはLを除いて右に出るものはいないとも思っている」
「ならば一つ、私に彼を預けてはもらえないか?こう言っては何だが、彼にはまだ使い道があるだろう。
 私自身、頭脳の方にはそう自信があるわけではないのでな」

しかしゼロはそんな月の頭脳を買って連れて行きたいと言った。
総一郎としても、表面上の部分しか見ていないがそこから判断するならば息子を任せるに足る人物であるとは思う。
だが、キラを預けるとなれば話は別だ。

「言いたいことは分かる。私の知り合いにも似たような者がいたからな。
 付き合いの長い友でな。ずっと騙されてきたものだ。
 だからこそ、私が適任ではないかと考えるのだが」
「そうか…。分かった、君を信じて預けよう。
 だが、決して油断はしないようにしてほしい」

自分の今後について話している間も、月は一言も話すことはなかった。


その後はしばしの休息の後、総一郎は政庁で残された者の元へと向かっていった。
もし何者かの襲撃を受けたとて彼一人でどうにかなるものではないだろうが、動けるものが一人多いだけでも話は違うだろう。
彼らと合流後、政庁においてある救急車で草加なる人物との合流場所へ向かうとのことだった。

ただ出る前、総一郎は月に対してこう一言伝えて夜神邸を出て行った。

「さっきも言った通り、お前が夜神月であろうとするなら俺は捕まえようとは思わない。だがキラであろうとするならば、分かるな。
 次に会った時にはお前が夜神月であることを願っているぞ」


そこからしばしの時が流れた。
スザクとて政庁での戦いの直後。あの場でじっとしていたくなかったから早急に出発したとはいえ、体の疲労もあり少しの休息を取ることになった。
当然、その剣は警戒のために預からせてもらうことにしたが。

数十分の時間が流れた後、じっと座り続ける月へと声をかけた。


「行くぞ」
「……」
「特に怪我をしているわけではないだろう。動くことに不都合があるのか?」

ふぅーと一息吐いて、体を反らした後、月は目の前にいる仮面の姿を見据えた。
スザクにはその瞳が何を移しているのかは分からなかった。
しかし構わない。別にそれが初めてみるような目ではない。

「私も殺そうとするか?」
「それが可能そうな相手には見えないし、ここで無駄に抵抗するほど僕も身の程知らずじゃないさ。
 むしろそっちこそいいのか?僕はこれでも得体のしれない力で多くの人間を殺してきた男だぞ?」
「私の知っているとある男は、多くの人の心を、体を操る力を持ち、自分の持った権力と合わせて多くの人を殺してきた暴君だった。
 今更気にするほどのものでもない」
「はは、それは…頼もしいものだな」

と、月は椅子から立ち上がる。

「じゃあ、君のことは何と呼べばいいのか?
 ゼロって呼べばいいのか?」
「呼び名、か」

思い返せば、ゼロという存在が確認されている以上、自分までゼロと名乗ることは混乱を招きかねないだろう。
かと言って、今更枢木スザクの名を名乗ろうとも―――


「……そうだな。ゼロ、と言いたいが今それを名乗ると誤解を招くようだ。
 ここは―――Kとでも呼べばいい」

脳裏によぎった、自分のこんな姿でありながらその名を認めた彼女のために。
今この殺し合いの中だけでも、かつて捨てた名から一文字だけでも名乗ることを許してもらいたいと、スザクはそう思った。

【C-2/夜神邸/一日目 昼】

【夜神月@DEATH NOTE(漫画)】
[状態]:健康、精神不安定
[装備]:スーツ、
[道具]:基本支給品一式、レッドカード@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:????
1:?????
情報:ゲーチスの世界情報、暁美ほむらの世界情報、暁美ほむらの考察、アリスの世界情報、乾巧の世界情報(暁美ほむら経由)
※死亡後からの参戦
※ジャイロアタッカーをどこに停めているかはお任せします

【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:細マッチョのゼロ、「生きろ」ギアス継続中、疲労(大)、両足に軽い凍傷
[装備]:バスタードソード@現実、ゼロの仮面と衣装@コードギアス 反逆のルルーシュ(仮面は前面割れ中)、ひょっとこのお面@デスノート(映画)
[道具]:基本支給品一式(水はペットボトル3本)、ランダム支給品0~1、エクスカリバー(黒)@Fate/stay night
[思考・状況]
基本:アカギを捜し出し、『儀式』を止めさせる
1:月を伴い移動する。ただし頭脳は買うが人格まで信用はしない
2:Lを探し、 政庁で纏めた情報を知らせる
3:「生きろ」ギアスのことがあるのでなるべく集団での行動は避けたい
4:許されるなら、ユフィの世界のスザクに彼女の最期を伝えたい
5:誤解を招きそうだから、とりあえず名前を聞かれた際はKと名乗っておく
[備考]
※TURN25『Re;』でルルーシュを殺害したよりも後からの参戦
※学園にいたメンバーの事は顔しかわかっていません。

【C-2/一日目 昼】

【夜神総一郎@DEATH NOTE(映画)】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:天保十二年のシェイクスピア [DVD]@現実、羊羹(2/3)羊羹切り 、不明支給品1(本人未確認) 、政庁にて纏めた情報
[思考・状況]
1:政庁に向かう
2:月はゼロ(スザク)に任せる。月の対処は次に会った時に決める
3:真理を見つけ、保護する。
4:約束の時間に草加たちと合流する。
5:Lを見つけ次第、政庁で纏めた情報を知らせる
[備考]
※参戦時期は後編終了後です
※平行世界についてある程度把握、夜神月がメロの世界の夜神月で間違いないだろうと考えています。


101:仮面 投下順に読む 103:HORIZONー彼らの求めたもの
時系列順に読む
088:Lost Colors 枢木スザク 110:君の銀の庭
夜神月
夜神総一朗 115:さくらん


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