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Lost Colors

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Lost Colors ◆Z9iNYeY9a2



「一つ聞こう。さっきお前はまた、と言ったな。その言葉がどういう意味なのか、詳しく話せ」

場所は政庁から西に動いた市街地。
そこでマミとC.C.は身を潜めていた。
だが、見捨てるという行為にまたトラウマを刺激されたのか、彼女は話そうとしない。

「ユーフェミアのことは気にするな、と言っても無理だろうが。
 だがあいつはお前が死んでいい人間だとは思わなかった。それだけは肝に銘じておくんだな」

びくっと体を震わせるマミ。
そして拙いながらも、心の傷を傷めつつも、何があったのか彼女は話し始めた。

時々、自分ではない何かが体を、心を乗っ取ること。
一度目はSB社。ゼロの戦いの最中、彼の力を思い知った直後、戦いを放棄して逃げ出した。
二度目はその近くで木場勇治と戦っているときのこと。彼の変身した姿、その力を把握した時、仲間を見捨てて逃げ出した。
三度目は白い魔法少女―イリヤスフィール、そしてあの金色のロボットと戦っていたときのこと。焦りと死の恐怖の中で、何かをした。恐らくその中でルルーシュは――

聞いてC.C.はある人物を連想した。
生きるためにそれまで重視していた上の人間の命令を無視して逃走した男。
追い詰められたその時、トウキョウ租界が壊滅するのも気に留めずフレイヤを撃ち込んだ男。
あいつと同じだ、と。
ならばルルーシュはこの娘にスザクと同じ呪いを植えつけたのか。
何のために?ルルーシュは何を思ってこいつにそのギアスをかけた?
今となってはそんなこと分からない。ただ、一つだけ、言えることがある。
ルルーシュにとって、この娘はスザクと同じギアスをかけるほどの価値があったということではないだろうか?

ならば、一度だけこいつを試してみる価値はあるかもしれない。

「おい、私をどこか目に付きやすい場所に連れて行け。お前は近くに隠れていればいい」


「え?」

前進する体が止まった。
何故謝られたのだろうか。

「済まなかった、月。父親で、こんなに近くにいながら、お前の苦しみに気付いてやれなかった」

総一郎は気付いてしまった。
何が月をここまで変えてしまったのか。
第三のキラ。高田清美がキラとなったあの時。Lと月が協力してキラを探し出したあの時。
あの時の月はキラのことを決して肯定することはなかった。
おそらくデスノートを喪失したことによる記憶喪失によるもの。ならばあの時の月が演技によるものだとは到底思えなかった。
では、あの時キラとしての月とは何が違うというのか。
決定的な違いがあった。
それは、デスノートで人を殺した、という事実。

死神は言った。ノートを使ったことによる代償。それは強いていうなら、そのノートを使った人間にだけ訪れる、苦痛や恐怖だ、と。
だがそれは月には無縁なものだと証した。これは総一郎の知らない事実だが。
果たしてそうなのだろうか?
月は本当に何の苦痛、苦悩もなかったのだろうか。
少なくとも、ここにいる月は最初、殺人の罪の意識に苛まれたことは事実だ。
だが、月は正しすぎた。そして強かった。
その弱さを隠し、別の形として昇華される術を見つけ出してしまった。
それこそがキラ、新世界の神。
犯罪者が悪である社会を作ることができれば、自分の罪を罪で無くすことができる。
そして、どんどん殺す中で罪に罪を重ねる。その中で止まることも戻ることもできなくなってしまったのだとしたら。

「最初にノートで人を殺したとき、どれだけ苦しんだのか、それに気付けてやれなかった。
 そのせいでお前がこれほどまでに歪んでしまった。もっと早くに気付いて、父親として止めてやるべきだったんだ」

総一郎は決してキラを、月を認めない。
しかしそれでも、彼は息子なのだ。死んで欲しいなどとは決して思わない。
可能ならば罪を償い、その上で生きて欲しいという思いがあったことは変わらない。

「月、俺を殺すのならば好きにしろ。今ならば抵抗もしない。父親として、罪に問いもしない。
 その代わり約束してくれ。これが、最後の殺人になると。これ以上罪を重ねるな…!」

もしもあの時、この言葉が言えていたら月を救うことはできたのだろうか。
キラという呪縛から。人殺しの罪の意識から。
きっと佐倉杏子、巴マミといった少女達の孤独を、罪への恐怖を見なければ気付くことはできなかっただろう。
両親を無くしたものが誰を頼るでもなく戦いに身を投じる姿。人を殺した罪への恐怖。
恐らくこれが、月を説得できる最後のチャンスだ。

「今までの罪、それはお前なら償っていけるだろう。
 頼む、お前のその頭脳、今だけでもLの力としてやってくれ!」

月は心の中に揺れ動く何かがあるのを感じてしまった。

「な、何を言ってるんだい、父さん。僕が、正義のためじゃなく、僕自身の罪を隠すために神になろうとしてたとでも、いうのか…?」

月は否定したかった。僕がキラになったのはより多くの、善良な人間を救うためなのだと。
――ならばなぜFBI捜査官を殺した?Lを殺した?――
簡単な話だ。捕まっては多くの人間を裁くことなどできない。
――本当は、自分の罪がばれるのが怖かっただけではないのか?自分の善性を維持するために殺しただけじゃないのか?――
違う、そんなことはない。そんなことはない。違う、違う違う違う!
――違うなら否定すればいい。ならなぜそれができない?それは、お前が…―――

キラという自分の形が崩れそうになる。神という意思が保てなくなる。
決して思い出してはいけない、心の奥底に封じ込めた事実が浮上しそうになる。

今の月にできること。それは父を言い負かすことでも殺すことでもなく。
自身の精神を保つため、その場から逃げることだけだった。



「月!」

自分に背を向けて走り出す息子の姿を確認する総一郎。
その直前の表情は今まで見たことのないものであり、決して忘れることができないものだった。
これがきっと最後のチャンスだ。
もしも月が、少なくともこの場においてまだ誰も殺していないというのなら、まだ間に合う。
少なくとも先の剣は血に汚れてはいなかったのだから。

「くっ…!皆、すまない!」

政庁に残してきた皆のことも気がかりだ。だが、あのような顔を見せた息子を放ってはおけなかった。
息子のことを優先して多くの人を危険に晒す自分はきっと警察官失格だろう。
それでも、今は、今だけは警視庁刑事部部長ではなく、夜神月の父、夜神総一郎として行動したかった。

走っていった向きは政庁の反対側。後ろ髪を引かれる思いを心に残し、総一郎は息子を追って走り出した。

【D-2/市街地/一日目 午前】

【夜神月@DEATH NOTE(漫画)】
[状態]:健康、精神不安定
[装備]:スーツ、
[道具]:基本支給品一式、レッドカード@ポケットモンスター(ゲーム)、エクスカリバー(黒)@Fate/stay night
[思考・状況]
基本:優勝し、キラとして元の世界に再臨する?
1:父から離れる
2:?????
情報:ゲーチスの世界情報、暁美ほむらの世界情報、暁美ほむらの考察、アリスの世界情報、乾巧の世界情報(暁美ほむら経由)
※死亡後からの参戦
※ロロ、ゲーチスにはレッドカードの存在は明かしていません
※ジャイロアタッカーをどこに停めているかはお任せします


【夜神総一郎@DEATH NOTE(映画)】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:天保十二年のシェイクスピア [DVD]@現実、羊羹(2/3)羊羹切り 、不明支給品1(本人未確認) 、政庁にて纏めた情報
[思考・状況]
1:今だけは、警察官としてではなく父親として行動したい。
2:月を追い、説得する
3:真理を見つけ、保護する。
4:約束の時間に草加たちと合流する。
5:Lを見つけ次第、政庁で纏めた情報を知らせる
[備考]
※参戦時期は後編終了後です
※平行世界についてある程度把握、夜神月がメロの世界の夜神月で間違いないだろうと考えています。

※彼らがどちらの方向に向かっているかは、次の書き手にお任せします。



駆動音を鳴らして獲物を追うヴィンセント。
その赤く光る目はさながら獲物を狩る猛獣のよう。

「時間は、おそらくまだ大丈夫だな。足手まといの魔女と手負いの魔法少女、そんなものを仕留めるのにそう掛かることはあるまい」

そういえば魔女と魔法少女、響きに何か繋がりでもあるのか、などとどうでもいいことを考えつつヴィンセントを進める。
そして、いた。
大通りの交差点、その中央に動けない足で座り込んだ緑髪の女。

「巴マミはどうした?」
「逃げたさ。私を置いて。
 奴はやっかいなギアスに掛かっていてな。私を連れていると逃げられないと知ったあいつはこんなところに私を放置していった」
「ほう?」

ギアスに掛かっている、という言葉の意味は分からない。それにこの状況はあまりにも不自然なものだ。
罠である可能性。有り得る。
だが目の前にいる魔女を逃がすという手も存在しない。

ヴィンセントの手で魔女を掴み上げる。
このKMFはその辺のものとは一線を画す。何しろエデンバイタルより取り寄せた自身の、言わば体そのもの。
その手を通してであったことに加え、ワイアードギアス所有者であったことからこの魔女の異端の力を感じ取ることができた。

「なるほど、魔王の力には程遠いがそれでも相当な力を持っているようだ。
 その力、俺が貰うとしよう」

ゼロの持つ真の魔王の力を得るためには少しでも力を得ておきたいところ。こいつから得られる力があればあの魔王に追いつくどころか追い越すことも可能だろう。
魔王に近づく喜びに心を満たされ、笑いが堪えきれなくなるロロ。
だからこそ気付かなかった。
握った拳の中で、C.C.が嘲笑を浮かべていることに。

「ふ、生憎だがな、もうこの力の先約は決まっているんだ。お前なぞに渡す力など、微塵も存在しない!」

舞い上がったC.C.の髪。その額から、ギアスの紋様が輝いた。


「出て来い、巴マミ」

ロロも一応危惧したとおり、彼女はすぐ近くに潜んでいた。
姿を現したとき、何が起こっているのか分からなかった。
C.C.はロボットに体を持ち上げられ、ロボットはそのまま身動き一つとらない。無警戒などというものではない。

「私の命、お前に預けよう。ルルーシュの残した形見であるお前に。
 お前の体には生きろという呪縛が掛かっている。だからこそ、どうするかここで決めろ。
 戦いを続けるか、戦いを止めるか」

戦いを続けることは、また同じことを繰り返してしまうかもしれない。
戦いを止めると、もっと多くの人が犠牲になってしまうかもしれない。
ならば、私はどちらを選ぶべきなの?

「実を言うとな、私も孤独が怖かったんだ」

ふと、C.C.が話し始める。

「多くの人間を巻き込んで、そいつらをことごとく不幸にしてきた。
 それでも一人は怖かった。お前と一緒だったのかもしれないな。
 その末が、結局死にたい、だ。笑えるだろ?
 だからルルーシュがその命に命じたギアス、無駄なものだとは思いたくはない。
 巴マミ、お前が決めろ。この場で私を殺して生きるか、こいつを逃して共に死ぬか」

彼女は答えが出せない。そんな大きな選択肢に即答できるほど強くはない。
だからC.C.は答えを出せるまでの時間を稼いだ―――つもりだった。
次の瞬間、一帯に極寒の吹雪が舞うまでは。


C.C.がしたことは簡単である。
ナイトメアの手で強く握り締めたロロに対し、ショックイメージを見せたのだ。
あの時ナリタでランスロットに対して行ったがごとく。
この行為によって、イメージを見せられている間は無防備になってしまう。
だがこの最中、常にその対象と接触していなければならない。それでも敢えてこの隙を作る役を負った。
この男を倒すため、そして巴マミを本当の意味で試すため。
だが、彼女の知らない事実が一つだけあった。
このヴィンセントはただのナイトメアではない。先にもロロ自身が述べたように彼自身の体の一部のようなもの。
また、彼はエデンバイタルのギアスユーザー、彼女はコード保持者。この二つには何の関連性もないものなのだろうか?
おそらくそんなことはないだろう。ゼロが平行世界として”あちら側”を観測したように、何かしらの繋がりはあるはずだ。
それを通して、何も起こらないはずがない。
何が言いたいのかというと、ここで二つの想像外のことが起きてしまったということ。
一つはヴィンセントを通して見せるイメージが予想以上に早かったこと、もう一つは、そのイメージが彼の心の奥、封じられた記憶を呼び起こしてしまったということ。


俺はルルーシュの双子の弟として母、マリアンヌの元から生まれた。
だが、双子の皇子は不吉とされてエデンバイタル教団に送られることとなった。
ルルーシュやナナリーが愛される一方、日陰暮らしを余儀なくされるこの怒り。
何があっても殺してやる。母の愛を独占するルルーシュを、ナナリーを。
見えてくるのは、そうやって母と幸せそうに笑っている兄妹の姿。
妬ましい嫉ましい憎い。俺はこんなに孤独だというのに。少し生まれるのが早かっただけというのに。
憎い、憎い憎い憎い。殺してやる、殺してや――

『そんなものが貴様の記憶だと思ったか?』

皇帝?どういうことだ。なぜ貴様が出てくる?
お前のことなどどうでもいい。俺はナナリーが、ルルーシュが――

『見せてやろう。貴様の本当の記憶を』

流れ込んでくる記憶。俺の知らない俺。

『C.C.細胞を卵子に直接注入し培養する。我々の手で魔王を生み出すのだ』
『目覚めよ、実験体C.C.―102』

そこにいたのは、長髪の男。体には謎のケーブルがつながれている。さながら実験動物のようだ。
そして、目の前に立っているのは、皇帝?!

『貴様には、ロロ・ヴィ・ブリタニアの名前と、記憶を与える』

なん…だと……?

『我が忠実なる剣となるべし』

そうしてあげられた顔、鏡に映ったのは、俺だった。


ふ、ふふふ、フハハハハハハハハハハハハハ。
何だ。この母への愛の記憶も、ルルーシュ達への憎しみも、全てが皇帝に作られた紛い物だったというのか!
これは傑作だ、笑うしかない。ハハハハハハハハハハハハハ!!

ふざけるな。ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな。
俺はロロ・ヴィ・ブリタニアだ。魔王となる男だ。こんな真実、こんな世界など認めるものか。
殺してやる。ルルーシュも、ナナリーも、皇帝も、俺を操ったエデンバイタル教団も、この世界も、全部。

そのために何が必要か?そうだ、魔王の力だ。これさえあれば全てを殺せる。壊せる。
だから―――

「その力を…!俺に寄越せェェェェ!!!!!!!!!」


「なっ…!?」

C.C.の体が放り投げられ、周囲の気温が急速に下がっていく。
その叫び声と同時にロロの意識が戻ったのだ。

「バカな…、早すぎる?!」

C.C.の元にヴィンセントの拳が叩きつけられる。
動けないながらも転がることで直撃は回避したが、衝撃で体は吹き飛ばされた。

「C.C.さん!」

咄嗟にマミもマスケット銃を一斉展開して迎撃に移る。
一丁では打ち抜けない。だが大玉は放てる暇がない。
総じて80丁。今の彼女が展開できる限界数。

「パロットラ・マギカ・エドゥ・インフィニータ!」

宙に作り出した大量の魔弾がヴィンセントに射出される。
一斉に放たれたそれは、ヴィンセントの体に傷を作り、角をへし折り、間接に当たったそれは火花を散らさせた。
だが致命的な一撃は加えられていない。数撃ったとはいえ所詮は小弾。動きを鈍らせることはできても動きを止められはしない。

と、目の前にいたはずのヴィンセントは巴マミの背後に瞬間的に移動。
4メートルを超える身長を持つ脚からのとび蹴りが彼女に直撃する。

「きゃあっ!!」

避けられないと確信した瞬間、リボンで編んだ盾で急遽その一撃を防ぐも、全てを相殺しきれず建物に叩きつけられる。
その先に、ダメ押しとばかりに肘に仕込まれた砲撃を撃ち込む。

「おい!巴マミ!」

動けないC.C.の声に反応したヴィンセントはこちらを向き、一瞬でこちらを掴みあげた。

「な…、今のは何だ?!」

時間を止める能力。ロロ・ランペルージのそれと同じものでこそあるが本質は違う。
一定の空間における動きそのものを凍らせることで時を止めたかのように錯覚させるもの。
しかし、その力はコード保持者C.C.であっても無効化することはできない。ギアスの能力の本質が異なるのだ。

握られた腕、今度は容赦なく体を締め上げる。

「ぐ…っ、が…―!!」

腕の骨が折れ、凍りついた両足が砕けた。
どうやら力さえ奪えれば達磨になってしまおうと構わないというスタンスのようだ。
ヴィンセントの目は機械。何かを感じるはずなどない。なのにその赤き瞳からは怒りと狂気が流れ込むようだった。

「力…、力だああぁぁぁ!!!」

手に更なる力をこめる一方で、ある事実に気付く。

(ま、まさかこいつ、コードを奪えるのか?!)

その感覚はかつてシャルルにコードを渡そうとした時のもの。
確かに彼女は死を望んだ。だがこんな形で、こんな男に殺されるのだけは嫌だ。
だったら、何ができる?
両腕両足は使い物にならない。巴マミは今起き上がったのが見えたが間に合わない。

「っく…ルルー、シュ――」

キイイイイイイイイ、バシッ

その時だった。
唐突に聞こえてきた駆動音に気付いたのは。
ヴィンセントのものではない。いや、ヴィンセントのものよりも旧式のそれだ。
そしてそれはヴィンセントの手と肘の間の部位を切断し、C.C.を抱き上げて地面に置いた。
近づいてきたそれは、青紫の配色、人間のそれとは離れたシルエットの機人――

「サザーランド?!」
「無事か、C.C.」



政庁の奥に向かったスザク。その手にしていたのは、一つの鍵だった。
ユフィが巴マミから情報交換していた際、彼女の持ってきたバッグから偶然見つかったもの。
それは、政庁の鍵とあった。
巴マミに断って受け取り、そこからロロ襲撃までの間に、彼女から託されたものだった。
政庁の一室に繋がるそれ。その最新部には、格納庫からすら存在を消されたナイトメアフレームが存在していた。
サザーランドが3機。しかし銃火器類は一切オミットされており、KMF用の武器として置かれていたのは近接戦用の武器のみ。
いや、それでも十分だった。
スザクはそのうちの1機に乗り込み、かつての愛機、ランスロットにて振るった武器、MVSを持ち出し、瓦礫を強引に押しのけてロロやC.C.達を追った。


残った一本の腕で剣を振るうヴィンセント。
サザーランドは反応が遅れて左腕を吹き飛ばされる。
スザクのKMFの腕はかなりのものであり、ナイトオブラウンズにも選ばれるだけの技量を持っている。
だが、それが100%発揮されるのはランスロットに搭乗した時の話。サザーランドのスペックではスザクの腕についていくことはできないのだ。
一騎打ちであれば勝ち目など存在しない。ヴィンセントとサザーランドでは。
そう、一騎打ちでは。

スザクはギアスの呪縛を生かして、相手が剣を振り上げると同時、懐にサザーランドを突っ込ませた。
サザーランドとヴィンセント。僅かではあるがサザーランドの質量の方が上だ。
その体当たりで建物に叩きつけられるヴィンセント。
押し返そうとするヴィンセントを、スザクはハーケンで縫い付ける。
直後、肘の砲撃でサザーランドを撃ち抜こうとするが、スザクはすかさずMVSを肘に突き立てる。
爆散する左腕。
だがサザーランドもただでは済んでいない。ジ・アイスを暴走のごとく発動させているヴィンセントに密着するということは、サザーランド自体も凍結させるということ。
しかしスザクはある機会を待った。まだギアスは発動しない。
そして、その時がきた。


今まで、私は一人で戦ってきた。
みんなを守りたいなんて建前。本当は、一人でいるのが怖かったから。
佐倉さんもゆまちゃんも死んでしまって、もう本当に一人ぼっちだと思っていた。
だからたっくんと一緒にいることを望んだ。でもそんな彼とも離れてしまった。
また一人ぼっち。そんな中で人殺しなんてことになったら、もう皆の傍にいられない。

でも、ユーフェミアさんはいきなさいと言った。
夜神さんはこんな私でも気に掛けてくれた。
二人とも、一般人であるのに、私なんかよりずっと強かった。
そして、C.C.さんはこんな私に命を預けてくれた。
なら、私がするべきことは何だろう?

そうだ、悲しんでいる場合ではないのだ。殺してしまったことは取り返せない。
ならば、ユーフェミアさんの言ったように、この命をもって罪を償おう。
そして、いつかあの心優しきオルフェノクの隣に立てる魔法少女になろう。

そのために、まず目の前の魔王を、倒す。

やること自体は今までと変わらない。
だが、今彼女は自らの意思で戦うことを選択した。それまでの罪悪感や孤独への恐れ以外の願いの上で。



「ふざけるな!何故うまくいかない!すぐそこに力があるというのに!!」

今のロロの精神状態は著しく悪かった。
怒り、恨み、妬み、憎しみ。そんなものに支配されて冷静に戦えるはずもなかった。
突如現れたサザーランドごときに体の自由を奪われる事実もまた彼の怒りを増幅させていた。
怒りが慢心を捨てさせたように見えて、その実サザーランドと侮っていたところがあったのも事実。

そして気付く。
サザーランドの背後、ヴィンセントに向けて巨大な大砲を向ける少女の存在に。
先のハドロン砲に匹敵する砲撃が思い出される。
だが、まだ間に合う。
この周囲の運動全てを再度凍結させてサザーランドを破壊。そして巴マミを殺し、その近くのC.C.から力を奪えばいい。

「ジ・アイス!!!!」

それはこれまでに使ったものとは比べ物にならない威力の凍結。
ほぼ静止した運動エネルギーはもはや時間停止と同義。
これを破る術など存在しない。まさにゼロ。最強の魔王の力だ。

ロロは一つの事実を失念していた。
彼はショックイメージの中で知った。自身の出生の秘密を。存在の意味を。
つまり、彼はワイアード―つながりし者ではない。
そんな彼が、このように怒りに任せてギアスを連発してしまった場合、どうなるのか。

「え――」

唐突にギアスが解除された。
何故だ、そのような意思など下していないはず――

「あ…」

それは彼自身が直感的に感じ取った危険信号だろう。
これ以上の行使は危ないと、脳が継げたのかもしれない。
だが、彼自身は腕を見てようやく自分の状態に気付いた。

――ギアスの反作用がすでに半身を覆っていることに。

「あ、ああああああああああああ…!!」


「ティロ・フィナーレ!!!」
「おのれええええええええええ!!!!」

爆発は、サザーランドを巻き込みヴィンセントを炎で包みあげた。


「全く、世話の焼ける」

地面に座り込んだC.C.はひとりごちる。
色々と疲れも落ちていなかったのだろう。巴マミはあの一撃を放った後、また意識を失った。

ニャースのことも探しに行かなければならないが、この状態ではどうにもできない。
体の再生も予想以上に遅い。せめて脚がどうにか治らなければ動けないのだが。

「ロロ、か」

ルルーシュの双子の弟。
彼はショックイメージの中で何を見たのだろうか。答えは分からないし知ろうとも思わない。
まあ、あとは余生みたいなものだ。この少女の行く末を見届けるのも悪くないかもしれない。
スザクと同じギアスを持った、魔法少女。

「生きる意味、か」

ガララララ

ティロ・フィナーレの撃ち込まれたはずの建物から、大きな物音が響く。

「スザ――?!」

そこに立っていたのは、紛れもなく今倒したはずのロロ。
全身は醜く膨れ上がり罅割れ、少しずつ崩れ始めている。
そんな体で、しかし鋭い視線をはっきりとこちらに向けて歩いてくる。

「そ、その体は…――」
「寄越せ…」

――そうだ、俺は魔王だ。ロロ・ヴィ・ブリタニアだ。
他の誰でもない。俺は全てを壊す。殺す。だからこそ、生きなければならない。

左腕はもう無い。崩れた。
脚も少しずつ崩壊を始めている。もうどうでもいい。C.C.は目の前だ。
この女の力を、手に入れられれば、この場を乗り越えられる。
そうしたら次はナナリー、ゼロ、そして皇帝を殺す。そして世界も滅ぼす。
残った右腕で首を締め上げる。

「くっ……!」
「寄越せ」

何かが流れ込んできたような気がするが知らない。
今必要なのは力だ。肉体だ。だから――

「魔王の力、俺に寄越せええええええ__!!!!」

ザンッ


「ごほっ、ごほっ。やっぱり生きていたか、スザク」
「それはお互い様、だろう?」

ロロの体は胸部から真っ二つに切断され、もう身動き一つとることは無かった。
スザクはバスタードソードに付いた粉を振るい、背に抱える。

「聞くまでも無いだろうが、ユーフェミアはどうした?」
「死んださ」
「そうか…。
 それで、別世界の姫との邂逅は、お前の生き方に何か変化をもたらしたのかな?」

期待はしていない。この男は未だにゼロの仮面を被ったままなのだから。

「生き方においては、俺に選択権なんてないさ。
 ゼロとして生きる。これは変えることなんてできない」
「やはりな」
「ただ――」

「最後に枢木スザクとして、やらなければいけないことができた」

ユフィの世界。そこにはまた別のスザクが存在するだろう。彼には伝えなければいけないだろう。
彼女の死を。そして彼女から与えられたものを。
できるかどうかは分からない。だが、もし主催者の力を持ってすれば、できるかもしれない。
それが最後の、スザクの望みだ。

「つくづく面白いやつだな」
「C.C.、仮面の代わりになるものは何かないかな?」

ゼロの仮面のレンズ部は破損しており、目が丸見えである。
このまま行動するわけにはいかない、とスザクは考えた。

「そういえば、ニャースの奴が何か持っていたような気が―いや、なんでもない」

いくらなんでもあれを被るというのは無しだろう。ウケ狙いの格好にしかみえない。

「ニャースのバッグ、これか」
「おい待て、どうしてお前が持っている?」
「ニャースなら政庁内で凍り付けになっていた。幸い命はまだあるみたいだ。
 近くにいた変な生き物までは、ダメだったけど」

それは政庁を脱出する時、入り口付近で見つけたニャースを政庁から持ち出しておいたのだ。
凍っているにも関わらず、脈はあった。ポケモンとは頑丈な生き物だ。
その近くで倒れていたポケモンらしき生き物は一目でダメだとわかったが。
凍りついた体の半身に瓦礫が降り注いでいたのだから。恐らく崩れる瓦礫を見て、ニャースを庇ったのだろう。
もし凍っていただけなら助かったかもしれないが、降り注いだ瓦礫は右半身と両足を粉砕していた。

「なるほどな、なら夜神総一郎とかいう男はどうした?」
「少なくとも確認はできなかった。もしかしたら逃げたかもしれないし、逃げ遅れたかもしれない」

だが生きていればまた会うこともあるだろう、と付け加えて。

そして問題の仮面の代わり、なのだが――

「おい、スザク」
「何だ?」
「そんな装備で大丈夫か?」

数世紀に渡り生きた魔女ですらも、そう聞かずにはいられなかった。
なぜなら、スザクはひょっとこのお面の上にゼロのマスクを被っているのだから。

「顔を隠す分には問題ないさ。視界が若干狭まったのは気になるけど代わりのゼロの仮面が見つかるまでの辛抱さ」
「……」

ああ、そうか。
この男は人からどう見られているか、などということはあまり気にしないたちの人間だった。
だからこそ、ブリタニアを内側から変えようなどと言い出せるし。
友を売ってナイトオブラウンズに志願することもできる。
そして、ゼロの仮面も被れる。
なるほど、ゼロはルルーシュ以外にできるやつはこいつしかいないだろう。

変声機をオンにする。ここからはゼロだ。

「ではC.C.、私は行く。いずれまた会おう」
「生きていれば、だがな」
「それともう一つ。死ぬなよ?」
「お互いさまだな」

そう言ってスザクはその場を立ち去った。


もう原型を残さず塵となっていった男を見ながら、C.C.は考える。

最後の瞬間、C.C.は図らずのうちにロロの精神の一部を垣間見てしまった。
母、マリアンヌから求めた愛。だがそれすらも偽りの記憶と知ったときの怒り、絶望。
形は違えど、この男もある意味では”ルルーシュの弟、ロロ”だったのだろう。
他者に利用され続け、それでも愛を求めて生き続けた者。

「平行世界、か」

何なのだろうな、それは。
一体、人はどれだけこんな哀しみを繰り返していくんだろうな。

C.C.はそう考えずにはいられなかった。

【ユーフェミア・リ・ブリタニア@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー 死亡】
【ロロ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー 死亡】


【D-2/市街地 交差点付近/一日目 午前】

【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:疲労(大)、両腕骨折、両足粉砕(共に回復中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式×2、病院で集めた道具、ランダム支給品0~2(確認済、ニャース)
[思考・状況]
基本:これからどうしたいのかを考える
1:脚の回復、巴マミの目覚めを待つ
2:巴マミが落ち着き次第、詳しい話を聞く
3:さやかの答えを聞きたいが、また会えることに期待はしない
4:プラズマ団に興味は無い。
5:ミュウツーは見た目に反して子供と認識。
[備考]
※参戦時期は21話の皇帝との決戦以降です
※ニャースの知り合い、ポケモン世界の世界観を大まかに把握しました
※ディアルガ、パルキアというポケモンの存在を把握しました
※桜とマオ以外の学園に居たメンバーの事を大体把握しました(あくまで本人目線)


【巴マミ@魔法少女おりこ☆マギカ】
[状態]:ソウルジェム(汚染率:中)、絶対遵守のギアス発動中(命令:生きろ)、気絶中
[装備]:魔法少女服
[道具]:共通支給品一式×2、遠坂凛の魔術宝石×1@Fate/stay night、ランダム支給品0~2(本人確認済み)、不明支給品0~2(未確認) 、グリーフシード(未確認)、
     うんまい棒コーンポタージュ味@魔法少女まどか☆マギカ
[思考・状況]
基本:魔法少女として戦い、他人を守る
1:気絶中
2:たっくんの隣に立てるようになりたい
[備考]
※参加時期は第4話終了時
※ロロのヴィンセントに攻撃されてから以降の記憶は断片的に覚えていますが抜けている場所も多いです
※見滝原中学校の制服は血塗れになっています  
[情報]
※蒼い魔法少女(美樹さやか)は死亡したと認識


【ニャース@ポケットモンスター(アニメ)】
[状態]:ダメージ(大)、全身に火傷(処置済み)、氷状態
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、
[思考・状況]
基本:サカキ様と共にこの会場を脱出
1:?????
[備考]
※参戦時期はギンガ団との決着以降のどこかです
※桜とマオとスザク以外の学園に居たメンバーの事を大体把握しました(あくまで本人目線






【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:細マッチョのゼロ、「生きろ」ギアス継続中、疲労(大)、両足に軽い凍傷
[装備]:バスタードソード@現実、ゼロの仮面と衣装@コードギアス 反逆のルルーシュ(仮面は前面割れ中)、ひょっとこのお面@デスノート(映画)
[道具]:基本支給品一式(水はペットボトル3本)、ランダム支給品0~1
[思考・状況]
基本:アカギを捜し出し、『儀式』を止めさせる
1:移動する
2:Lを探し、 政庁で纏めた情報を知らせる
3:「生きろ」ギアスのことがあるのでなるべく集団での行動は避けたい
4:許されるなら、ユフィの世界のスザクに彼女の最期を伝えたい
[備考]
※TURN25『Re;』でルルーシュを殺害したよりも後からの参戦
※ゼロがユーフェミアの世界のゼロである可能性を考えています
※学園にいたメンバーの事は顔しかわかっていません。

※キリキザン@ポケットモンスター(ゲーム)は死亡しました
※政庁武器庫奥にはサザーランドが残り2機格納されています。
 武器は近接戦用のものしかない様子です。
※政庁は崩壊しました。しかしサザーランドは頑張れば掘り出せるかもしれません。


087:虚無の華 投下順に読む 089:平穏の裏に潜む影
時系列順に読む
087:虚無の華 枢木スザク 102:始まりはZERO、終わりなら―――?
ユーフェミア・リ・ブリタニア GAME OVER
C.C 088:ConneCt
ニャース
巴マミ
夜神総一郎 102:始まりはZERO、終わりなら―――?
083:漆黒の会談 夜神月
ロロ・ヴィ・ブリタニア GAME OVER
ゲーチス 100:Juggernaut-黒き零の魔人達
美樹さやか


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