永劫の神々 ◆Z9iNYeY9a2
魔王たるゼロに睡眠の時間は本来必要ない。
魔女の力が完全に肉体に適応した身は代謝も止まり、如何なる傷を受けても間もなく再生する。
しかしこの殺し合いを強要された場所においては、別世界のC.C.から引き受けたコードの存在を持ってしても回復には時間を要する。
幸いなことに、支給品に入っていた黄金の鞘、全て遠き理想郷の存在があったおかげで再生に時間がかかりすぎることもなかったが。
魔女の力が完全に肉体に適応した身は代謝も止まり、如何なる傷を受けても間もなく再生する。
しかしこの殺し合いを強要された場所においては、別世界のC.C.から引き受けたコードの存在を持ってしても回復には時間を要する。
幸いなことに、支給品に入っていた黄金の鞘、全て遠き理想郷の存在があったおかげで再生に時間がかかりすぎることもなかったが。
他の肉体の機能を休止させることで木場勇治に切断された傷の回復により一層専念することができる。要するに睡眠だが。
思えば一度目の放送付近でも一時的な睡眠状態に陥ったのも木場勇治や魔法少女達と続いた戦いのダメージが影響していたのだろう。
思えば一度目の放送付近でも一時的な睡眠状態に陥ったのも木場勇治や魔法少女達と続いた戦いのダメージが影響していたのだろう。
しかし肉体は休止状態に入っていたとしても、ゼロの精神は休んではいない。あるものを探して活動を続けていた。
瞑想に入ったゼロの精神は、これまでは接続が叶わなかった空間、エデンバイタルの門への道を探していた。
ゼロの知識の中に、本来は知るはずのない別世界のものが紛れ込んだその理由を探すために。
瞑想に入ったゼロの精神は、これまでは接続が叶わなかった空間、エデンバイタルの門への道を探していた。
ゼロの知識の中に、本来は知るはずのない別世界のものが紛れ込んだその理由を探すために。
無論、本来ならば叶うはずがない。これまでにも幾度も試してみたものの、門の直前で精神が弾かれたどり着くことができなかった。
だが、ガウェインにかかっていた制限が一定ほど解除されているのを確認した時、確かにエデンバイタルとの繋がりが強くなったのを感じ取った。
だが、ガウェインにかかっていた制限が一定ほど解除されているのを確認した時、確かにエデンバイタルとの繋がりが強くなったのを感じ取った。
休息も合わせて、何が起こっているのかを知るためにその接続を再度試みたのだった。
そして結果、ゼロはこの会場における世界のあり方をすんなりと見ることができた。
(並行世界。異なる選択によって起きた事象から枝分かれした世界のあり方を示す言葉)
これは自分だけでなくナナリーもギアスを持ち戦場に立った世界と、そうではないルルーシュがナナリーの傍で戦いを続けた世界。
だが単純な選択による分岐というわけではない。近しい法則を持ちながら、この二つの世界はギアスのあり方が大きく異なっている。
エデンバイタル、あるいはCの世界。それが世界に如何なる力を及ぼしているのかの違いといったところか。
だが単純な選択による分岐というわけではない。近しい法則を持ちながら、この二つの世界はギアスのあり方が大きく異なっている。
エデンバイタル、あるいはCの世界。それが世界に如何なる力を及ぼしているのかの違いといったところか。
視点を変えると、自分達のいる世界とは全く異なる世界の形が見えてくる。
(我々の世界から見たら完全に別世界というべき場所。世界線、とでも呼ぶべきものかな)
並行世界が分岐した木の枝や川の分流だとするならば、世界線は木や川の源流から異なる。
それでも人がいて、様々な形を以って営みを行っている。
それでも人がいて、様々な形を以って営みを行っている。
世界の内側ははっきりとは見えない。しかしその世界を世界たらしめている法則のような存在は確認できる。
中でもこの会場に最も近い世界の中は各世界と比べても異質なものだった。
そこには二匹の巨竜と純白の創造神を始めとした多くの異形の生き物達と共に歩む人間の姿があった。
他の世界には存在しない、長い歴史の中で人と共に歩む道を選んだ生物が人間と共存するただ一つの世界。
そこには二匹の巨竜と純白の創造神を始めとした多くの異形の生き物達と共に歩む人間の姿があった。
他の世界には存在しない、長い歴史の中で人と共に歩む道を選んだ生物が人間と共存するただ一つの世界。
(木場勇治が見たら、何と思っただろうな)
別の世界には、多くの絡み合った枝の中にエデンバイタルに近い根源を求めて歩み続ける人間の姿があった。
無為に過去へと進むように後ろ向きに進み続ける者たちの中に、その中でも異端な者たちが前に進もうとする世界。かつての、在りしはずだったルルーシュを連想させる姿だ。
剪定された多くの世界が存在し、今なおも様々な並行世界が分岐を続ける世界。この黄金の鞘、そしてあの少女のアーサー王のあった場所でもある。
無為に過去へと進むように後ろ向きに進み続ける者たちの中に、その中でも異端な者たちが前に進もうとする世界。かつての、在りしはずだったルルーシュを連想させる姿だ。
剪定された多くの世界が存在し、今なおも様々な並行世界が分岐を続ける世界。この黄金の鞘、そしてあの少女のアーサー王のあった場所でもある。
それ以外にも三つ。
エントロピーの増大する世界を、少女達の感情で抑えることで安定させる者がいる世界。
ここには他の世界では存在する管理者に相当する概念の席がぽっかりと空いていた。その空白はまるでいずれ来たる何者かの存在を待っているかのようにも思えた。
ここには他の世界では存在する管理者に相当する概念の席がぽっかりと空いていた。その空白はまるでいずれ来たる何者かの存在を待っているかのようにも思えた。
木場勇治の世界。ここは特筆すべきは世界そのもののあり方というよりは世界の繋がりだろうか。
この並行世界においては、ゼロをして興味深いと思わせる強固な概念が存在している。
この並行世界においては、ゼロをして興味深いと思わせる強固な概念が存在している。
そして最後の世界は管理者に相当する者が怠惰に堕ちた世界。
だが堕落したとてその存在は変わらない。人の死を司るその神々は、時として人間の世界に大きな影響を及ぼすものでもあった。
だが堕落したとてその存在は変わらない。人の死を司るその神々は、時として人間の世界に大きな影響を及ぼすものでもあった。
それぞれ独立した世界は、例えエデンバイタルの神々であったとしても容易に干渉できるものではない。観測するのがせいぜいだ。
もし干渉しようとするならば、その世界においてエデンバイタルと同列に当たる"神"を殺すしかない。
だがそれはエデンバイタルの神であっても容易ではない。仮にザ・ゼロやアーカーシャの剣を用いたとしても、異なる世界の神を殺すことはできないだろう。
もし干渉しようとするならば、その世界においてエデンバイタルと同列に当たる"神"を殺すしかない。
だがそれはエデンバイタルの神であっても容易ではない。仮にザ・ゼロやアーカーシャの剣を用いたとしても、異なる世界の神を殺すことはできないだろう。
しかし殺し合いの空間は例外となっている。
あらゆる世界からの干渉を受け、あらゆる法則が入り混じった世界が形成されている。
あらゆる世界からの干渉を受け、あらゆる法則が入り混じった世界が形成されている。
もしそこに理由があるとすれば。
(異なる神々、エデンバイタルに並ぶ存在に触れた者が協力しているということか)
一つの世界の力でできないとしても、複数の世界の神々が力を合わせれば、互い、どころかどちらとも異なる世界とも干渉することができるかもしれない。
無論、実際に神自身が手を取り合うことなどまずあり得ない。しかしその力の一端に触れた者であれば、このような小さな世界を作る程度はできる可能性はある。
無論、実際に神自身が手を取り合うことなどまずあり得ない。しかしその力の一端に触れた者であれば、このような小さな世界を作る程度はできる可能性はある。
全ては仮定。何しろエデンバイタルの力を以っても前例のないことだ。
放送にいたアーニャ・アールストレイム。あれは間違いなくマリアンヌ・ヴィ・ブリタニアだろう。
彼女がいるのであれば、間違いなくあの男も噛んでいる。
彼女がいるのであれば、間違いなくあの男も噛んでいる。
しかしここで疑問となってくるのは、何故今なのかということ。
エデンバイタルの接続も、彼女が表立って出てきたのも。
エデンバイタルの接続も、彼女が表立って出てきたのも。
本当にただの偶然か、あるいは何かしらの必然か。
探るためにはもう少しエデンバイタルの深淵に触れる必要がある。
探るためにはもう少しエデンバイタルの深淵に触れる必要がある。
さらに意識を閉じ込め、それに触れようとした。
その瞬間、ゼロの意識が浮上した。
◇
「弾かれた、か」
これ以上を知るにはまだ力が足りないということ。それはまだこの空間においての制約が完全には解けていないということだろう。
だが、いくつかの判断材料は見えた。
だが、いくつかの判断材料は見えた。
「この世界を構築しているのがいくつも存在する複数の世界の要素であるとするならば、もしその世界の"要素"が会場からなくなった場合はどうなる?」
例えば参加者。例えば支給された道具。例えば会場に置かれた幾つもの施設。
これらの多くはいずれかの世界に存在したもの。
これらの多くはいずれかの世界に存在したもの。
ならもしそのどれか一要素でも全てが会場から消え去った場合はどうなるだろう。
「いや、それだけでは足りないだろうな」
ゼロは背後にあるビルの残骸に目をやる。
殺し合いを行っていれば、やがていずれかの世界の参加者が死に絶える時も来る。
自分のような者たちが戦いを繰り広げていれば、施設の一つや二つ、このように容易に消失する。
その度に会場が崩壊しかけるのであれば、最後までの殺し合いは成立しない。
自分のような者たちが戦いを繰り広げていれば、施設の一つや二つ、このように容易に消失する。
その度に会場が崩壊しかけるのであれば、最後までの殺し合いは成立しない。
何か崩壊を押し留めているものが存在するはずだ。
それが何か。そこまでは今自分が持つ情報だけでは分からない。
それが何か。そこまでは今自分が持つ情報だけでは分からない。
あるいは、徒党を組み殺し合いに抗う者達ならば何かに気付けるかもしれない。
かつてのルルーシュとしての癖だろうか。通して見た情報を、支給品に混じっていたタイプライターに纏めていた。
自分が記したとて何か意味のある情報でもないはずだというのに。
かつてのルルーシュとしての癖だろうか。通して見た情報を、支給品に混じっていたタイプライターに纏めていた。
自分が記したとて何か意味のある情報でもないはずだというのに。
「あるいは期待、か」
C.C.のコードを継承した影響だろうか。それとも自分を残して散っていった共犯者やかつて守りたかった者達に対する感傷だろうか。
心の中にほんの僅かに燻る自身の滅びへの願望があるのは。
心の中にほんの僅かに燻る自身の滅びへの願望があるのは。
あるいは木場勇治の最期を見た影響かもしれない。
心のどこかで、この魔王を打ち倒す勇者の存在を待ち望むような自分の存在を感じるのは。
心のどこかで、この魔王を打ち倒す勇者の存在を待ち望むような自分の存在を感じるのは。
「…ふん」
握り潰すのは容易かった。しかし敢えて、ゼロはそのタイプライターで纏めた情報をバッグに仕舞った。
「もう少し傷は癒やしておいたほうがいいか。ならばその前に、もう一度だけ試してみるとするか」
座り込んだゼロは、先程と同じように、静かに意識を深淵の底へと沈めていった。
◇
そこからしばらく後。
マントを翻し闇の中で微かに光る大きな灯りに向けて、ゼロは歩き始めた。
マントを翻し闇の中で微かに光る大きな灯りに向けて、ゼロは歩き始めた。
孤高の魔王、ゼロ。
全てを乱し、全てを繋ぐために。
全てを乱し、全てを繋ぐために。
ただ一人。全てを滅ぼすため。
【D-2/一日目 夜中】
【ゼロ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:疲労(中)、右脛に裂傷(回復中、動くには問題ないが激しい動きを続けると開く可能性有り)、コード継承
[装備]:
[道具]:共通支給品一式、全て遠き理想郷@Fate/stay night、タイプライター@現実
[思考・状況]
基本:参加者を全て殺害する(世界を混沌で活性化させる、魔王の役割を担う)
1:他の参加者を探して移動する。差し当たってはアヴァロンを目指してみる
2:セイバーに若干の期待。いずれ決着をつける
3:もし自分が認め得る参加者がいたならば、考察した情報を明け渡してもいいかもしれない
[備考]
※参加時期はLAST CODE「ゼロの魔王」終了時
※C.C.よりコードを継承したため回復力が上がっています。また、(現時点では)ザ・ゼロの使用には影響が出ていない様子です
※制限緩和の影響によりガウェインのハドロン砲、飛行機能がある程度使用可能となっています
※エデンバイタルに接続し各参戦作品の世界の有り方についてを観測しました。あくまで世界の形を観ただけであり、参加者の詳細情報などは観ていません。
また、そこで見た情報はタイプライターにて纏められています
[状態]:疲労(中)、右脛に裂傷(回復中、動くには問題ないが激しい動きを続けると開く可能性有り)、コード継承
[装備]:
[道具]:共通支給品一式、全て遠き理想郷@Fate/stay night、タイプライター@現実
[思考・状況]
基本:参加者を全て殺害する(世界を混沌で活性化させる、魔王の役割を担う)
1:他の参加者を探して移動する。差し当たってはアヴァロンを目指してみる
2:セイバーに若干の期待。いずれ決着をつける
3:もし自分が認め得る参加者がいたならば、考察した情報を明け渡してもいいかもしれない
[備考]
※参加時期はLAST CODE「ゼロの魔王」終了時
※C.C.よりコードを継承したため回復力が上がっています。また、(現時点では)ザ・ゼロの使用には影響が出ていない様子です
※制限緩和の影響によりガウェインのハドロン砲、飛行機能がある程度使用可能となっています
※エデンバイタルに接続し各参戦作品の世界の有り方についてを観測しました。あくまで世界の形を観ただけであり、参加者の詳細情報などは観ていません。
また、そこで見た情報はタイプライターにて纏められています
146:杯-世界の色彩 | 投下順に読む | 148:変わりたい少女達の話 |
時系列順に読む | ||
140:パラダイス・ロスト | ゼロ | 150:舞い降りる剣 |