サンドリスの竪琴 - 共立世界〈パルディ・ルスタリエ〉 | 〈パルディ・ルスタリエ〉

概要

　サンドリスの竪琴は、フリーネア王国において精神と音響の境界を越えるために設計された。伝承楽器である。べロゼア鉱石から紡がれた糸を弦として用い、その虹色の輝きと極限の強靭性が、音の振動を空間に可視化する特性を持つ。演奏時には、音波が光の軌跡とともに広がり、聴覚だけでなく視覚や神経系にも作用する。音色は極めて澄み、演奏者の感情や記憶と共鳴することで、聴衆の内面に眠る情景や感覚を呼び覚ます。竪琴の共鳴体には、神経波に応じて微細に調律される素材が用いられ、演奏者の精神状態と連動する構造が組み込まれている。このため、儀礼や治癒、交信など多様な場面で用いられ、単なる楽器以上の役割を果たしている。製作にはべロゼア鉱石の糸と、特定の樹木から採取された音響共振材が必要であり、完成品は極めて希少である。現存する竪琴は数点のみとされ、その多くは封印された施設や宗教的な聖域に保管されている。かつて、この楽器を用いて惑星間の精神交信を成功させた奏者の記録が残されており、今も研究者たちの関心を集め続けている。音と記憶、光と精神が交差する場において、深い共鳴を生み出す存在である。

関連記事

• @Freeton2（執筆）