区画宇宙域(セクター)


概要

 区画宇宙域(セクター)は、過去・現在において深い繋がりを持つ所定の文化圏であり、今日の宙域世界を表す最大の単位系として用いられる。
以下、成立した順に解説する。

セクター・ツォルマリア

 文明共立機構の直轄領であるツォルマリアを中心に据える多国共存の宙域で、過去には星間文明統一機構の発祥地として広大な版図を誇った。機構崩壊後は縮小したものの、交通の要衝としての地位を維持し、数え切れないほどのワープゲートが星々を結ぶ「星路」の中心となっている。膨大な人口は世界中からの移民で構成され、人間だけでなく、液体金属でできた流動体生命や意識のみで存在するエーテル種など、人の形を取らない多様な知的生命が混在する異文化社会が形成されている。毎年開催される「星間交易祭」は、この宙域の混交的で活気ある雰囲気を象徴し、異邦人同士の交流が盛んに繰り広げられる。


セクター・ベルディン

 現象魔法と呼ばれる独自のテクノロジーを有する単一星系国家が支配する宙域で、南北セクターを結ぶ交通の要衝として長く機能してきた。現象魔法は物質やエネルギーを意のままに変形させる「事象操作」の技術であり、たとえば戦艦を一瞬で砂粒に変えるほどの力を持つ。
この技術に依存した文明は、内向的で他セクターとの積極的な交流を避ける傾向にあり、停滞した封建的なイメージが定着している。中央星系「グルントナーム」は重力技術による浮遊都市が点在する幻想的な風景で知られ、神秘的な雰囲気を漂わせる。


セクター・テレステ

 イドゥニアとツォルマリアの間に位置する比較的小規模な宇宙域で、古代機構による独自の体制が特徴。旧暦時代に定着した一部の人類種が、古代の自動機械群「オートマトン」と共生する社会を築いている。
オートマトンは自己修復機能を備えた無数の小型衛星やドローンで構成され、交易船の誘導や防衛を担う。この宙域は過去のリングワールドの残骸が漂う半壊した領域でもあり、かつての栄光を偲ばせる遺跡が点在。住民は肉体を機械化したサイバネティクス文化を受け入れ、静かで秩序ある生活を営んでいる。


セクター・イドゥニア

 旧暦時代における新秩序世界大戦の主戦場となり、帝国と連邦の二大列強による衝突で億単位の犠牲者を出した歴史を持つ宙域。戦争の爪痕は深く、過去の安全保障上の懸念からワープゲートによる交通管理が厳格に進められ、ジャンプ航法に対しては最も厳しい出入国手続きが課される。今日では貿易の要所として復興を遂げ、周辺セクターを結ぶ経済的中心地として栄えている。戦後復興の中で緑豊かな人工生態系が広がり、戦争の記憶と新たな繁栄が共存する独特の風景が特徴的。一方、変異キメラが繁殖する危険領域として知られて久しく、渡航の際には文明共立機構による厳重な注意喚起がなされている。


セクター・イェルサ―

 共立世界の北側下方に広がる巨大領域で、旧暦時代の大戦を経て民主主義の価値観が深く根付いた宙域。自由貿易が最も活発で、星間市場は無数の交易船で賑わい、個人主義的な経済活動が盛んに行われる。
惑星間を結ぶ海上都市や人工衛星都市が点在し、技術革新と混沌が共存するエネルギッシュな雰囲気が漂う。戦争の教訓から平和を重視する一方で、自由すぎる社会ゆえに犯罪率の高さも課題として浮上している。


セクター・テンダイ

 共立世界の西側縦軸に広がる巨大領域で、七道将星による安定した秩序が保たれる平和な宙域。七道将星は武芸と精神修行を極めた指導者たちで、民衆からは半神的な存在として敬われている。
伝統と技術が調和した社会では、刀剣型のエネルギー兵器が象徴的な存在となり、静謐で整然とした寺院都市が点在。戦争や混乱とは縁遠いこの宙域は、精神的な平穏を求める者にとっての聖地とも称される。


セクター・ヴォルセス

 星間文明統一機構の侵略によって多くの文明が滅び去り、不毛の宙域と化した危険地帯。凶悪な変異キメラによる活動が続いており、文明共立機構による渡航注意報が示された。
戦争の残骸である壊滅した惑星や漂う廃墟が広がり、事象災害と呼ばれる異常現象が頻発する。
事象災害は空間の歪みや突然のエネルギー爆発を引き起こし、航行する船団にとって最大の脅威となっている。かつての住民は放射能耐性を持つ変異種に進化し、過酷な環境の中で細々と生き延びる姿が、この宙域の荒涼とした現実を物語る。


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最終更新:2025年03月01日 12:43