概要
汎用二足歩行兵器「アリス」は、旧ピースギアが運用していた中型二足歩行兵器である。
全高約12.5メートル、全幅約3メートルの機体であり、都市部、瓦礫地帯、地下施設、異常空間、狭隘な戦闘区域、避難民保護区域での運用を想定して設計された。
名称は「アリス」であるが、ポータル艦アリス級および同艦の疑似人格型ヒューマノイドインターフェース「ALICE-001」とは別系統の兵器である。
本機は、戦車や航空機を置き換えるための決戦兵器ではない。
その本質は、通常車両や航空機が侵入しにくい区域で活動し、味方部隊と民間人を守り、危険対象を制圧し、避難経路を確保するための汎用地上支援機である。
設計思想
アリスの設計思想は、以下の三点に集約される。
- 複雑地形で活動する
- 味方と民間人の盾になる
- 必要最小限の火力で脅威を制圧する
ピースギアの任務では、平坦な戦場だけでなく、崩壊都市、地下施設、難民居住区、隔離区域、異常空間、魔術的災害区域などでの活動が求められる。
そのため、アリスは単純な火力兵器ではなく、歩行によって障害物を越え、腕部で瓦礫を除去し、必要に応じて盾となり、非殺傷制圧や避難誘導も行える機体として設計された。
本機の目的は、敵を破壊することだけではない。
危険区域に入り、救助対象を見つけ、遮蔽物となり、撤退路を開き、必要なら敵性対象を無力化することである。
基本諸元
| 分類 |
汎用二足歩行兵器 |
| 全高 |
約12.5メートル |
| 全幅 |
約3メートル |
| 主機関 |
小型核融合機関 |
| 主用途 |
地上支援、都市戦、救助支援、制圧、護衛 |
| 標準乗員 |
1名、またはAI補助付き単座運用 |
| 制御方式 |
オペレーター操作+機体AI補助 |
| 標準武装 |
レールガン、近接剣、魔導投射機 |
| 対応環境 |
都市部、瓦礫地帯、地下施設、異常空間、封鎖区域 |
機関系統
アリスには、小型核融合機関が搭載されている。
この機関は、歩行駆動、姿勢制御、兵装、センサー、機体AI、冷却システム、防御装備へエネルギーを供給する。
核融合機関の採用により、長時間の警戒任務や重装備運用が可能となっている。
ただし、核融合機関を搭載しているからといって、無制限に高出力行動が可能なわけではない。
高機動戦闘、レールガン発射、魔導投射機の連続使用、装甲防御、AI演算を同時に行うと、冷却系と駆動系に大きな負荷がかかる。
そのため、アリスの戦闘能力は炉出力だけでなく、冷却余力、関節負荷、地形条件、オペレーターの状態によって制限される。
機体構造
アリスは、モジュール式の機体構造を持つ。
腕部、脚部、センサー、装甲、兵装、背部装備、冷却ユニットは任務に応じて換装可能である。
主な構造要素は以下の通りである。
- 高出力脚部フレーム
- 重心制御ユニット
- 複合装甲外殻
- 衝撃吸収関節
- 腕部作業マニピュレーター
- 姿勢制御スラスター
- 機体AI補助演算装置
- 冷却・排熱システム
- P-Link連携モジュール
- Q-NET通信補助装置
二足歩行構造は、装輪車両や装軌車両よりも整備負荷が大きい。
一方で、瓦礫、段差、階層構造、崩壊施設、狭い通路、避難経路確保といった場面では高い適応性を発揮する。
武装
アリスは、以下の主要兵装を標準搭載する。
- レールガン
- 近接剣
- 魔導投射機
- 非殺傷制圧装備
- 煙幕・遮蔽支援弾
- 電子戦補助装置
兵装は任務内容に応じて換装可能であり、戦闘任務、救助任務、封鎖任務、護衛任務では搭載構成が異なる。
ピースギアにおけるアリスの武装は、敵を殲滅するためだけのものではない。
味方部隊を守り、民間人への被害を抑え、危険対象を止め、撤退経路を確保するために使用される。
レールガン
レールガンは、アリスの主火力の一つである。
電磁加速によって実体弾を射出し、重装甲目標、障害物、敵性大型兵器、封鎖構造物に対して使用される。
ただし、アリス搭載型レールガンは艦艇用の大型レールガンとは異なり、地上支援機用に小型化された兵装である。
弾数、発射間隔、反動制御、冷却には制限がある。
主な用途は以下の通りである。
- 重装甲目標への牽制
- 敵性大型兵器の無力化
- 障害物の破砕
- 封鎖壁の開口
- 味方撤退路の確保
- 非爆発性の精密射撃
民間人が近い区域では、爆発物よりも被害範囲を制御しやすい実体弾として使用される場合がある。
ただし、貫通被害や二次被害の危険があるため、射線管理と背後確認は機体AIによって常時補助される。
近接剣
近接剣は、近距離での障害物処理、装甲目標への切断、敵性機械兵器への接近制圧に使用される兵装である。
ナノカーボン合金を基材とし、振動エネルギーまたは魔導補助によって切断能力を高める。
主な用途は以下の通りである。
- 瓦礫除去
- 機械兵器の武装切断
- 障害物の切開
- 敵性大型個体の接近制圧
- 緊急時の退路確保
- 損傷構造物の切断処理
近接剣は戦闘兵器であると同時に、救助活動用の大型切断装備としても使用される。
倒壊施設での救助、閉鎖扉の切開、落下構造物の除去において有効である。
ただし、近接戦闘はオペレーターと機体への負荷が大きいため、原則として最後の手段または構造物処理用として扱われる。
魔導投射機
魔導投射機は、魔力または魔導エネルギーを制御して投射する兵装である。
物理兵器が効きにくい対象、特殊防壁、異常存在、魔術的障壁に対する干渉手段として搭載される。
主な用途は以下の通りである。
- 魔術防壁への干渉
- 異常存在の牽制
- 非殺傷制圧
- 結界破壊補助
- 封鎖区域の安定化
- エネルギー体への干渉
- 魔力系センサー照射
ただし、魔導投射機は万能兵装ではない。
対象の魔力体系、環境、結界特性によって効果が大きく変化する。
また、過剰出力で使用した場合、周辺環境や民間人に影響を与える可能性があるため、使用には機体AIとオペレーターの二重確認が必要となる。
非殺傷制圧装備
アリスには、任務構成に応じて非殺傷制圧装備を搭載できる。
主な装備は以下の通りである。
- 音響制圧装置
- 電磁パルス制圧装置
- 煙幕発生装置
- 粘着拘束弾
- 低出力魔導制圧弾
- 視界遮断弾
- 電子妨害ポッド
ピースギアでは、敵対対象であっても、即時殺傷より拘束・無力化・医療確認・事情聴取を優先する場合がある。
そのため、アリスは重武装機でありながら、非殺傷制圧任務にも対応する。
高機動・高適応性
アリスは、二足歩行兵器として高い地形適応性を持つ。
脚部には高出力アクチュエーターと姿勢制御ユニットが搭載され、瓦礫地帯、段差、傾斜地、崩壊施設、狭い道路、地下通路などを移動できる。
主な機動機能は以下の通りである。
- 段差踏破
- 姿勢自動補正
- 短距離ジャンプ
- 急制動
- 障害物乗り越え
- 片脚損傷時の応急歩行
- 低重力環境での姿勢制御
- 救助対象を保持した状態での移動補助
ただし、アリスは戦闘機や高速車両のような高速移動には向かない。
二足歩行兵器としての強みは速度ではなく、複雑地形での柔軟な位置取りと作業能力にある。
防御性能
アリスの防御は、複合装甲、電磁シールド、エネルギーパルスシールド、機体AIによる回避補助を組み合わせて成立する。
主な防御機能は以下の通りである。
- 複合装甲による被弾防御
- 局所シールド展開
- 破片防御
- 熱負荷分散
- 関節部保護
- 操縦区画保護
- 救助対象保護姿勢
- 損傷区画の遮断
アリスは正面からすべての攻撃を受け止めるための機体ではない。
必要な場面で盾となり、被害を受け流し、味方や民間人を守るための防御設計を持つ。
特に救助任務では、機体を遮蔽物として使用し、避難民や医療班の移動を支援する。
オペレーターとAIの共存制御
アリスの大きな特徴は、オペレーターと機体AIによる共存制御である。
オペレーターは、機体の判断主体であり、作戦目的、移動、攻撃、救助、交渉支援の最終判断を行う。
一方、機体AIは、センサー情報、敵性反応、機体状態、オペレーターの生体情報、民間人位置、味方位置を解析し、操作補助と安全制御を行う。
機体AIはオペレーターの意思を上書きするものではない。
自律制御は、転倒防止、誤射防止、味方巻き込み防止、衝突回避、緊急退避、操縦者意識喪失時の停止・帰投に限定される。
インターフェース
アリスの操作系は、複数のインターフェースを組み合わせて構成される。
主な操作系は以下の通りである。
- HUD表示
- 音声入力
- 操縦桿
- ジェスチャー補助
- 視線入力
- P-Link連携
- 神経補助入力
- 機体AI提案表示
オペレーターの負荷を下げるため、機体AIは必要な情報だけを優先表示する。
戦闘中や救助中に情報量が多すぎると判断を妨げるため、表示内容は任務状況に応じて自動整理される。
学習能力
アリスの機体AIは、オペレーターの操作傾向、任務記録、機体損傷履歴、戦術データを学習する。
これにより、機体ごとに操縦感覚や補助挙動が変化していく。
ただし、この学習はオペレーターの意思を先読みして勝手に行動するためのものではない。
主な学習対象は以下の通りである。
- 歩行癖
- 旋回タイミング
- 照準補助の好み
- 救助時の動作傾向
- 危険回避の反応速度
- 近接戦闘時の距離感
- レールガン使用時の射撃癖
- オペレーターの疲労時挙動
学習データはオペレーターが確認・初期化できる。
また、機体AIの性格設定や対話傾向も、任務に支障がない範囲で調整可能である。
協調行動
アリスは、単独行動よりも部隊連携を前提とする機体である。
P-Link、Q-NET、母艦AI、地上部隊、ドローン、救助班と連携することで、戦闘だけでなく救助や封鎖にも対応する。
主な協調行動は以下の通りである。
- 歩兵部隊の盾になる
- 医療班の進入路を確保する
- 避難民の移動を支援する
- ドローンと連携して索敵する
- 味方射線を遮らない位置取りを行う
- 民間人区域で火力を制限する
- 損傷した味方機を回収する
- 封鎖区域の境界を保持する
アリスは戦場の中心に立つ兵器ではなく、部隊全体の安全と移動を支える重装備として機能する。
主な任務
アリスの主な任務は以下の通りである。
- 都市部制圧支援
- 瓦礫地帯での救助支援
- 地下施設突入支援
- 封鎖区域の境界維持
- 医療班・工兵班の護衛
- 避難民誘導
- 敵性大型目標の牽制
- 非殺傷制圧
- 重要施設防衛
- 異常空間内の作業支援
- 損傷構造物の切断・除去
特に、通常車両や航空機が入れない環境での救助・護衛・制圧任務に適している。
運用上の強み
アリスの強みは以下の通りである。
- 複雑地形に強い
- 人型に近い作業能力を持つ
- 瓦礫除去や構造物切断ができる
- 救助対象を直接保持できる
- 歩兵部隊の盾になれる
- 非殺傷制圧に対応できる
- モジュール換装で任務適応できる
- オペレーターとAIの協調制御が可能
- 封鎖区域や地下施設での活動に向く
アリスは、火力だけで評価される機体ではない。
人が入るには危険すぎるが、航空機や戦車では対応しにくい場所で真価を発揮する。
運用上の弱み
一方で、アリスにも弱点は存在する。
主な弱点は以下の通りである。
- 大型で目立つ
- 整備負荷が高い
- 関節部が弱点になりやすい
- 高速移動には向かない
- 平坦な戦場では戦車や航空機に劣る場合がある
- 市街地では二次被害管理が難しい
- 冷却系への依存が大きい
- オペレーターへの負荷が高い
- 機体AIへの過信は危険
- 魔導投射機は環境依存が大きい
このため、アリスは万能兵器ではなく、投入環境を選ぶ支援機として扱われる。
倫理制限
アリスは大型兵器であるため、運用には明確な倫理制限が存在する。
禁止または制限される運用は以下の通りである。
- 民間区域への無差別攻撃
- 避難民を巻き込む火力投射
- 非武装対象へのレールガン使用
- 拘束対象への過剰攻撃
- 機体AIによる自律殺傷行動
- オペレーターの医療警告を無視した継続戦闘
- 救助対象を盾にする行為
- 心理制圧目的の威圧運用
- 封鎖区域外への無許可出撃
アリスは人を守るための兵器であり、人を恐怖で支配するための兵器ではない。
共立世界における位置づけ
共立世界には、各国・各勢力ごとに高度な機動兵器、魔導機甲、無人戦闘機、義体兵器、大型作業機械が存在する。
その中でアリスは、最強の二足歩行兵器ではない。
ピースギアの任務思想に合わせ、救助、護衛、非殺傷制圧、封鎖区域対応、複雑地形作業に適応した汎用支援機として位置づけられる。
単純な戦闘能力では特化型兵器に劣る場合もある。
しかし、オペレーターとAIの共存制御、P-Link連携、救助支援能力、非殺傷制圧、モジュール換装性によって、複合任務において高い実用性を持つ。
技術成立経緯
アリスは、旧ピースギア時代における都市部・異常空間・封鎖区域での任務増加を背景に開発された。
当時、ピースギアは外惑星系戦闘だけでなく、災害都市、地下施設、次元汚染区域、難民居住区、封鎖拠点での活動を行う必要があった。
通常の戦車や航空機では侵入できない場所が多く、歩兵だけでは危険すぎる任務も増加していた。
そのため、人型に近い作業能力と、重装甲・重火力・救助支援能力を兼ね備えた二足歩行兵器としてアリスが開発された。
初期型は戦闘支援を主目的としていたが、後に救助、護衛、構造物処理、非殺傷制圧へと運用範囲が拡大された。
総評
汎用二足歩行兵器アリスは、戦場を支配するためのロボット兵器ではない。
人が入れない場所へ入り、壊れた道を開き、味方の盾となり、避難民を守り、必要なら敵性対象を止めるための重装備である。
ピースギアにおいて、二足歩行兵器とは力を誇示するための存在ではない。
危険な場所に、誰かを帰すための手を伸ばすための存在である。
制作
最終更新:2026年05月09日 17:22