さて、今日は世間一般で”くりすます”と呼ばれている日に該当する。
私、六道聖は寺育ちの人間のため、せいぜい小学校のころの行事くらいしかこの日を特別視したことはなかった。
しかし今年はみずきが唐突にパーティーをやるとのたまい、反対するかと思っていた
野球馬鹿の先輩が思いのほかあっさりとそれを承諾したことから聖タチバナ学園野球部は
みずきのおじいちゃんが所有している別荘のひとつを借りてパーティーすることになったのだ。
私、六道聖は寺育ちの人間のため、せいぜい小学校のころの行事くらいしかこの日を特別視したことはなかった。
しかし今年はみずきが唐突にパーティーをやるとのたまい、反対するかと思っていた
野球馬鹿の先輩が思いのほかあっさりとそれを承諾したことから聖タチバナ学園野球部は
みずきのおじいちゃんが所有している別荘のひとつを借りてパーティーすることになったのだ。
はっきりいって飲み食い以外に何をするかなんて全然知らないしこういう場では私が苦手とする肉類の料理が
出るのは確実だ。一般的には好きな高校生のほうが多いはずだしな。
なので私の狙いは最初からケーキをはじめとする甘味と、そして・・・
出るのは確実だ。一般的には好きな高校生のほうが多いはずだしな。
なので私の狙いは最初からケーキをはじめとする甘味と、そして・・・
『聖夜に・・・』
さて、前述の通り野球部の仲間で私たちはパーティーをしていた。
プレゼント交換とかいうよく分からないこと(某メガネ先輩の持ち込んだ品を手にしたみずきがそれを
その場で処分してメガネの逆鱗に触れたのだがズッコケ三人組+先輩に阻まれて鎮圧された。
ちなみに私はお気に入りの香りの線香を贈ったのだがこういった騒ぎのせいで誰の手に渡ったかは分からずじまいだ)
や今年一年を振りかえる忘年会的なノリの一幕もあった。
プレゼント交換とかいうよく分からないこと(某メガネ先輩の持ち込んだ品を手にしたみずきがそれを
その場で処分してメガネの逆鱗に触れたのだがズッコケ三人組+先輩に阻まれて鎮圧された。
ちなみに私はお気に入りの香りの線香を贈ったのだがこういった騒ぎのせいで誰の手に渡ったかは分からずじまいだ)
や今年一年を振りかえる忘年会的なノリの一幕もあった。
が、これはいったいどういうことなんだ・・・
私はじゃんけんに負け、やや距離のあるコンビニでおかしなどを補充して帰ってきたところだ。
もう外は暗いので大京先輩がみずきの命令でついてきた。
・・・どうせなら先輩が・・・いやなんでもないんだ。妄言だから忘れて欲しい。
もう外は暗いので大京先輩がみずきの命令でついてきた。
・・・どうせなら先輩が・・・いやなんでもないんだ。妄言だから忘れて欲しい。
「ガンダーロボ発進でやんす! そこの可愛い女の子を助けるでやんすよ!」
・・・台詞だけ聞けばいつもの眼鏡と大して変わらないかと思う。では彼の状態をもう少し具体的に語ろう。
度のキツイ眼鏡をかけた顔は真っ赤に染まり、奇妙なポーズを決めながら私のほうへ突撃してくる。
しかも声が大きい割りに足元がふらついておぼつかない。
「・・・少し寝てろ」
突撃をかわし、メガネ男の腹に一撃。人類かどうかを疑うほどの奇妙な声をあげて動かなくなった。
・・・まぁ大丈夫だろう。・・・多分。
・・・台詞だけ聞けばいつもの眼鏡と大して変わらないかと思う。では彼の状態をもう少し具体的に語ろう。
度のキツイ眼鏡をかけた顔は真っ赤に染まり、奇妙なポーズを決めながら私のほうへ突撃してくる。
しかも声が大きい割りに足元がふらついておぼつかない。
「・・・少し寝てろ」
突撃をかわし、メガネ男の腹に一撃。人類かどうかを疑うほどの奇妙な声をあげて動かなくなった。
・・・まぁ大丈夫だろう。・・・多分。
え? 結局何が言いたいか分からない? そうか、すまない。
つまりだ、どう考えても今のメガネを含め野球部の仲間たちが未成年は口にしてはいけない飲み物を
摂取することによって生じる状態になっている、つまり酔っているのだ。
っといってもやかましいほどのいびきを立てて眠っているのが大半だが。
眠っていては酔っているかどうか分からないが部屋中に充満するこの独特の臭いは酒のそれだ。
つまりだ、どう考えても今のメガネを含め野球部の仲間たちが未成年は口にしてはいけない飲み物を
摂取することによって生じる状態になっている、つまり酔っているのだ。
っといってもやかましいほどのいびきを立てて眠っているのが大半だが。
眠っていては酔っているかどうか分からないが部屋中に充満するこの独特の臭いは酒のそれだ。
「とうっ!」
「うわっ!?」
「うわっ!?」
突然顔を真っ赤にしたみずきが大京先輩に体当たりする。彼のがたいを考えればみずきが力負けするのは当然だが
今回は完全な不意打ちで見事に大京先輩が倒されてしまった。みずきも酔っているようだな・・・
倒れた勢いでスカートが・・・みずき、しましまだぞ。大京先輩の角度からは見えないのが不幸中の幸いか。
「ど、どうしたんですかみずきさんっ!」
「んふふ~あんたも飲みらさい!」
「もがっ!」
みずきは手にしていたビンを大京先輩の口に入れ、中の液体を流し込む。
・・・あれはラベルを見る限り間違いなく酒だな・・・どうしてそんなものがあるんだ・・・
今回は完全な不意打ちで見事に大京先輩が倒されてしまった。みずきも酔っているようだな・・・
倒れた勢いでスカートが・・・みずき、しましまだぞ。大京先輩の角度からは見えないのが不幸中の幸いか。
「ど、どうしたんですかみずきさんっ!」
「んふふ~あんたも飲みらさい!」
「もがっ!」
みずきは手にしていたビンを大京先輩の口に入れ、中の液体を流し込む。
・・・あれはラベルを見る限り間違いなく酒だな・・・どうしてそんなものがあるんだ・・・
「このぉ・・・みるきちゃんにかかればぁ楽勝なんだがらぁ」
酔う前に気絶した大京先輩の上からよろよろと体を立てながらみずきが言う。
ろれつがまわっていない上に言葉がところどころにごってる・・・相当出来上がってしまっている。
私はため息をわざとらしくひとつついてみずきの肩を担ぐ、そしてソファに寝かしつける。
「ふみゅ・・・ひじりぃ・・・あんらも飲みらさいよぉ・・・・・・・・・」
「全く・・・」
寝かしつけてすぐに気持ちよさそうな寝息が聞こえてくる。それと同時に私は部屋を見渡した。
そこらじゅうに酒瓶と気絶者及び爆睡中の野球部員が散乱している。さしずめみずきがもちこんだのを
飲ませ、拒否した人は先ほどの大京先輩のようになると、そういうことらしい。
おそらくみんな不慣れな酒を摂取してすぐに酔いつぶれてしまったのだろう。
いくらみずきでもそんなにきつい酒を持ってくるとは考えにくい。
せいぜい明日多少の頭痛に見舞われる程度だろう。
私はどうやら助かったようだ・・・わずか30分程度の時間に起きた惨劇を想像するだけで背筋が冷たくなる。
そんなことを考えていた私の視界のすみに先輩の姿が映った。
いつもよりも目がうつろだ、だが意識はあるようで今もグラスに酒を注いで・・・って
「何してるんだ先輩っ!」
酔う前に気絶した大京先輩の上からよろよろと体を立てながらみずきが言う。
ろれつがまわっていない上に言葉がところどころにごってる・・・相当出来上がってしまっている。
私はため息をわざとらしくひとつついてみずきの肩を担ぐ、そしてソファに寝かしつける。
「ふみゅ・・・ひじりぃ・・・あんらも飲みらさいよぉ・・・・・・・・・」
「全く・・・」
寝かしつけてすぐに気持ちよさそうな寝息が聞こえてくる。それと同時に私は部屋を見渡した。
そこらじゅうに酒瓶と気絶者及び爆睡中の野球部員が散乱している。さしずめみずきがもちこんだのを
飲ませ、拒否した人は先ほどの大京先輩のようになると、そういうことらしい。
おそらくみんな不慣れな酒を摂取してすぐに酔いつぶれてしまったのだろう。
いくらみずきでもそんなにきつい酒を持ってくるとは考えにくい。
せいぜい明日多少の頭痛に見舞われる程度だろう。
私はどうやら助かったようだ・・・わずか30分程度の時間に起きた惨劇を想像するだけで背筋が冷たくなる。
そんなことを考えていた私の視界のすみに先輩の姿が映った。
いつもよりも目がうつろだ、だが意識はあるようで今もグラスに酒を注いで・・・って
「何してるんだ先輩っ!」
「ん~? あぁ聖ちゃんおかえり~」
やや赤みを帯びた笑顔を先輩は私に向ける。いつもと違う雰囲気に思わず私はどきっとし・・・あぁーーっ!!
何を考えているんだ私!
「せ、先輩っ! 私たちはまだ未成年なんだぞ!? 酒なんてダメだ!」
「いいじゃないか今日くらい、無礼講ってやつさ」
けらけら笑いつつ、グラスに注ぎ終わった酒瓶をそばのテーブルに戻す。
「先輩はプロ入りを期待されている人材なんだぞ!? 体を壊したらどうするんだ!」
私はかなり真面目に先輩に説教しているのだが先輩は9割以上を聞き流してるようで
「あのねぇ、多少のお酒でスポーツ出来なくなったなんて普通ないでしょ?」
いや、そういう問題じゃなくてだな、法律的な問題とかだな。それに私たちはまだ成長期であって・・・!
やや赤みを帯びた笑顔を先輩は私に向ける。いつもと違う雰囲気に思わず私はどきっとし・・・あぁーーっ!!
何を考えているんだ私!
「せ、先輩っ! 私たちはまだ未成年なんだぞ!? 酒なんてダメだ!」
「いいじゃないか今日くらい、無礼講ってやつさ」
けらけら笑いつつ、グラスに注ぎ終わった酒瓶をそばのテーブルに戻す。
「先輩はプロ入りを期待されている人材なんだぞ!? 体を壊したらどうするんだ!」
私はかなり真面目に先輩に説教しているのだが先輩は9割以上を聞き流してるようで
「あのねぇ、多少のお酒でスポーツ出来なくなったなんて普通ないでしょ?」
いや、そういう問題じゃなくてだな、法律的な問題とかだな。それに私たちはまだ成長期であって・・・!
「あはは、さすが聖ちゃんは真面目だねぇ」
挙句こんなことを言って笑い出してしまった。
「でもねぇ・・・・・・俺たちもうとっくに大人の階段上っちゃってるんだろ?」
耳元で囁かれる先輩の爆弾発言に私は周囲を確認する前に顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
「お酒飲んでないのに顔真っ赤だよ聖ちゃん」
んふふ~と意地悪く笑う先輩。
「せ、せ、先輩っ! 誰かが聞いていたらどうするんだっ!!」
視線を合わすこともできずに苦し紛れに怒鳴る。
「あははは~~」
陽気に笑う先輩。今は何を言っても無駄な気がするがそれでも放ってはおけない。
アルコールの急な摂取によるショックで死に至る事例だって聞いたことがある。
と、かなり真剣に最悪の場合を想定した脳内議論を行っていた私だが・・・
「よっ・・・と」
先輩はグラスの中の液体を口の中に流し込む。
・・・!! 言ったそばから!
「私の言ったことを聞いてなかったのか?!」
先輩が一瞬硬直。こちらに意味深な視線を向けて残りを一気に口の中へ。
挙句こんなことを言って笑い出してしまった。
「でもねぇ・・・・・・俺たちもうとっくに大人の階段上っちゃってるんだろ?」
耳元で囁かれる先輩の爆弾発言に私は周囲を確認する前に顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
「お酒飲んでないのに顔真っ赤だよ聖ちゃん」
んふふ~と意地悪く笑う先輩。
「せ、せ、先輩っ! 誰かが聞いていたらどうするんだっ!!」
視線を合わすこともできずに苦し紛れに怒鳴る。
「あははは~~」
陽気に笑う先輩。今は何を言っても無駄な気がするがそれでも放ってはおけない。
アルコールの急な摂取によるショックで死に至る事例だって聞いたことがある。
と、かなり真剣に最悪の場合を想定した脳内議論を行っていた私だが・・・
「よっ・・・と」
先輩はグラスの中の液体を口の中に流し込む。
・・・!! 言ったそばから!
「私の言ったことを聞いてなかったのか?!」
先輩が一瞬硬直。こちらに意味深な視線を向けて残りを一気に口の中へ。
「!! せ、せんぱ―んむぅっ!?」
突然口をふさがれる――先輩の唇で。
妙な味の液体が私の中へと流れ込む。こ、れは・・・く、口移しというやつか?
分かりきっているはずの液体の正体の分析よりもこんなことを考えてしまう私は重症かもしれない。
まずい・・・気持ちよくて頭がぼーっとしてきた・・・ぞ・・・
突然口をふさがれる――先輩の唇で。
妙な味の液体が私の中へと流れ込む。こ、れは・・・く、口移しというやつか?
分かりきっているはずの液体の正体の分析よりもこんなことを考えてしまう私は重症かもしれない。
まずい・・・気持ちよくて頭がぼーっとしてきた・・・ぞ・・・
うふふ~予想以上だわ!
心の中で思わずこんなことを叫ぶ。
普段男女の交際に相応しい態度を取れない二人の貴重な絡みが見てみたくて
酒に偽装して睡眠薬入り水まで用意した甲斐があったわ。
メガネは二人のうちどっちかがなんとかすると思ってたら予想通りだし。
さっき聖が顔を真っ赤にした優くんの囁きが気になるけど・・・
それにしても寝たふりしてこっそり見てる私に気づかないなんてね。まぁ優くんには本物のお酒渡したし。
にしても聖ったら、普段は漫才見てても表情に大して変化が見られないのに・・・
こうしてみると聖もやっぱり女の子なのね、気持ちよさそうだったり苦しそうだったりで大変そう。
心の中で思わずこんなことを叫ぶ。
普段男女の交際に相応しい態度を取れない二人の貴重な絡みが見てみたくて
酒に偽装して睡眠薬入り水まで用意した甲斐があったわ。
メガネは二人のうちどっちかがなんとかすると思ってたら予想通りだし。
さっき聖が顔を真っ赤にした優くんの囁きが気になるけど・・・
それにしても寝たふりしてこっそり見てる私に気づかないなんてね。まぁ優くんには本物のお酒渡したし。
にしても聖ったら、普段は漫才見てても表情に大して変化が見られないのに・・・
こうしてみると聖もやっぱり女の子なのね、気持ちよさそうだったり苦しそうだったりで大変そう。
「ふぁっ・・・せ、先輩・・・」
顔を赤らめて目を細めた聖が優くんを上目遣いで見る。
女の私から見ても可愛いと思うその姿は普通の男なら瞬殺でしょうね。
「これで聖ちゃんも同罪だねぇ」
「そ、それは先輩がっ・・・あぅ・・・」
聖が優くんに頭を撫でられている。あれいいわね・・・今度やってもらおうかしら。
顔を赤らめて目を細めた聖が優くんを上目遣いで見る。
女の私から見ても可愛いと思うその姿は普通の男なら瞬殺でしょうね。
「これで聖ちゃんも同罪だねぇ」
「そ、それは先輩がっ・・・あぅ・・・」
聖が優くんに頭を撫でられている。あれいいわね・・・今度やってもらおうかしら。
少しして聖の目がまどろんでくる。もしかして一口くらいのお酒で眠くなっちゃったの?!
まぁ聖らしいって言ったらそうね。・・・半分以上は優くんに撫でられてるのもあるだろうけど。
まぁ聖らしいって言ったらそうね。・・・半分以上は優くんに撫でられてるのもあるだろうけど。
にしても珍しいものがたくさん見れたわ、ビデオカメラが欲しかったくらい。
・・・ん、なんだか私も眠くなってきちゃった。野郎たちが目覚める可能性はほぼ0だし私も寝よう。
・・・ん、なんだか私も眠くなってきちゃった。野郎たちが目覚める可能性はほぼ0だし私も寝よう。
不覚だ・・・
というのもあのあと私は先輩に寄り添う形で眠ってしまい、しかも気を利かせてくれた先輩の上着がかかっていた。
そんな状況で他の野球部員たちが先に目覚めればどういうことになるかたいていの人は理解できると思う。
「どういうことか説明するでやんすー!!」
とわめくのは昨日謎の暴走を見せたメガネだ、うん。生きてるな、問題ない。
それは置いておいてこのメガネをはじめとした多くの部員が私たちの状態の真相の説明を私たち
(主に先輩に)要求している。そしてなぜかにやにや笑っているみずき。なんだその妙な笑顔は。
私はどうしたらいいか分からず、何も言えないでいたが不意に先輩が口を開いた。
というのもあのあと私は先輩に寄り添う形で眠ってしまい、しかも気を利かせてくれた先輩の上着がかかっていた。
そんな状況で他の野球部員たちが先に目覚めればどういうことになるかたいていの人は理解できると思う。
「どういうことか説明するでやんすー!!」
とわめくのは昨日謎の暴走を見せたメガネだ、うん。生きてるな、問題ない。
それは置いておいてこのメガネをはじめとした多くの部員が私たちの状態の真相の説明を私たち
(主に先輩に)要求している。そしてなぜかにやにや笑っているみずき。なんだその妙な笑顔は。
私はどうしたらいいか分からず、何も言えないでいたが不意に先輩が口を開いた。
「みんなあのときみずきちゃんが持ってきたお酒を飲むか飲まされるかして眠っちゃっただろ?
俺は案外お酒大丈夫な性質みたいでなんとなくのんびり暴走気味の矢部くんやみずきちゃんを眺めてたんだけど、
そこに大京と聖ちゃんがお菓子を持って帰ってきたんだ」
ここでみんなは大京先輩を見て確認を取る。確信を持った表情で大京先輩は頷いた。
そして先輩は続ける。
「何を血迷ったのか矢部くんが妙な声をあげて聖ちゃんに突撃していったんだ、やばいと思ったら
聖ちゃん、一撃で黙らせちゃって面白かったなぁ」
ここで先輩やメガネ以外の部員は爆笑する。
「せ、先輩! そんなこと言わなくていい!」
「だってきっちり全部説明しないと、ここまでは大京も見てたわけだし」
「まぁ・・・そうだが・・・」
「ま・・・全く記憶にないでやんす・・・もしかして今日やたらお腹が痛いのは・・・」
もう一発食らうか? と視線でメガネに言う。
「な、なんでもないでやんす」
弱弱しい声でメガネがつぶやく。
俺は案外お酒大丈夫な性質みたいでなんとなくのんびり暴走気味の矢部くんやみずきちゃんを眺めてたんだけど、
そこに大京と聖ちゃんがお菓子を持って帰ってきたんだ」
ここでみんなは大京先輩を見て確認を取る。確信を持った表情で大京先輩は頷いた。
そして先輩は続ける。
「何を血迷ったのか矢部くんが妙な声をあげて聖ちゃんに突撃していったんだ、やばいと思ったら
聖ちゃん、一撃で黙らせちゃって面白かったなぁ」
ここで先輩やメガネ以外の部員は爆笑する。
「せ、先輩! そんなこと言わなくていい!」
「だってきっちり全部説明しないと、ここまでは大京も見てたわけだし」
「まぁ・・・そうだが・・・」
「ま・・・全く記憶にないでやんす・・・もしかして今日やたらお腹が痛いのは・・・」
もう一発食らうか? と視線でメガネに言う。
「な、なんでもないでやんす」
弱弱しい声でメガネがつぶやく。
「で、そのあと今度はみずきちゃんが大京に突撃したんだ、
純粋なパワーなら100%大京の勝ちだけど完全な不意打ちで倒されちゃってお酒を強引に飲まされたと」
あのとき目がうつろだったわりにはちゃんと一部始終を目撃して記憶している先輩に正直驚いた。
純粋なパワーなら100%大京の勝ちだけど完全な不意打ちで倒されちゃってお酒を強引に飲まされたと」
あのとき目がうつろだったわりにはちゃんと一部始終を目撃して記憶している先輩に正直驚いた。
「で、いよいよみんなが気になるそのあとだな」
先輩は普段そこまで饒舌な人間ではないがいざ語りだすと自然と人を惹きつける話上手な人だ。
まわりのみんなはすっかり黙って先輩の話に耳を傾けている。
「まず聖ちゃんは完全に出来上がってたみずきちゃんを回収してソファに寝かしつけ、そのあと周囲を見渡して
俺を発見したわけだ」
さて、肝心なのはここからだ。みずきとの偽りの交際も本物のように振舞えるポーカーフェイスの持ち主だから
嘘が見破られる可能性は私が話すよりは断然低い。
「聖ちゃんは真面目だからはじめは俺が飲むのを阻止しようとしてたんだけどやっぱり多少の興味はあったみたいで
俺がしつこくすすめたら一口だけ飲んだんだよ。そしたらお酒はだめだったみたいですぐに寝ちゃってね。
動けなくなっちゃったから上着だけかけて俺も寝たわけだ。おかげで腰のあたりが痛いけどな」
「う・・・すまない先輩」
私は先輩に謝罪をいれつつ先輩の嘘のいいわけを考察する。
・・・嘘だ。というのも後半の先輩の説明は嘘なわけだが別に私をどかすことは可能だったはずだ。
これは・・・先輩が動きたくなかったと判断していいのだろうか。
「本当にそれだけでやんすか?!」
メガネがしつこく食い下げる。
「あのねぇ矢部くん。眠ってるかわいい後輩兼俺とみずきちゃんの相棒を襲うような畜生ではないと自負してるんだけど。
まぁお酒に強い性質でよかったなと思うけどね」
先輩は普段そこまで饒舌な人間ではないがいざ語りだすと自然と人を惹きつける話上手な人だ。
まわりのみんなはすっかり黙って先輩の話に耳を傾けている。
「まず聖ちゃんは完全に出来上がってたみずきちゃんを回収してソファに寝かしつけ、そのあと周囲を見渡して
俺を発見したわけだ」
さて、肝心なのはここからだ。みずきとの偽りの交際も本物のように振舞えるポーカーフェイスの持ち主だから
嘘が見破られる可能性は私が話すよりは断然低い。
「聖ちゃんは真面目だからはじめは俺が飲むのを阻止しようとしてたんだけどやっぱり多少の興味はあったみたいで
俺がしつこくすすめたら一口だけ飲んだんだよ。そしたらお酒はだめだったみたいですぐに寝ちゃってね。
動けなくなっちゃったから上着だけかけて俺も寝たわけだ。おかげで腰のあたりが痛いけどな」
「う・・・すまない先輩」
私は先輩に謝罪をいれつつ先輩の嘘のいいわけを考察する。
・・・嘘だ。というのも後半の先輩の説明は嘘なわけだが別に私をどかすことは可能だったはずだ。
これは・・・先輩が動きたくなかったと判断していいのだろうか。
「本当にそれだけでやんすか?!」
メガネがしつこく食い下げる。
「あのねぇ矢部くん。眠ってるかわいい後輩兼俺とみずきちゃんの相棒を襲うような畜生ではないと自負してるんだけど。
まぁお酒に強い性質でよかったなと思うけどね」
結局先輩はあとは舌先三寸あることないこと言ってみんなを言いくるめてしまった。
「あ、聖! ちょっといい?」
ほとんどの部員が家路へとついたとき、みずきが不意に私を呼んだ。
「なんだ?」
みずきは私のそばへとより、とんでもないことを囁いてきたのだ。
「昨日の聖、可愛かったわよぉやっぱり聖も女の子なのね」
「な、な、な・・・!!」
まともな言葉も発することができずに私は絶句する。み、見られていた・・・
もはや不覚どころじゃない。穴があったら入りたい? それで済むようなレベルではない。
「安心して、私以外は絶対に見てないはずだから。じゃ、ばいばい聖!」
「ま、待て! みずきっ!」
ほとんどの部員が家路へとついたとき、みずきが不意に私を呼んだ。
「なんだ?」
みずきは私のそばへとより、とんでもないことを囁いてきたのだ。
「昨日の聖、可愛かったわよぉやっぱり聖も女の子なのね」
「な、な、な・・・!!」
まともな言葉も発することができずに私は絶句する。み、見られていた・・・
もはや不覚どころじゃない。穴があったら入りたい? それで済むようなレベルではない。
「安心して、私以外は絶対に見てないはずだから。じゃ、ばいばい聖!」
「ま、待て! みずきっ!」
―――あらら・・・みずきちゃんには見られてたのか・・・
―――え、何がでやんすか?
―――なんでもない。
―――気になるでやんす! 教えるでやんすよ!
―――やだよ。じゃあね矢部くん。
―――あ! 待つでやんすよ白瀬くん!
―――え、何がでやんすか?
―――なんでもない。
―――気になるでやんす! 教えるでやんすよ!
―――やだよ。じゃあね矢部くん。
―――あ! 待つでやんすよ白瀬くん!
おしまい。