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友達のお姉さん

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
 夕暮れ時のグラウンドに活気のいい掛け声が天まで届けとばかりに響き渡り、今日も一日の部活動が終わり
を告げた。あちこちの部からメンバーを引っこ抜き、頭数が揃ってようやく結成されたばかりの熱血大学野球
部でピッチャーを務める俺──佐久瀬純彦──も、キャッチャーと二人でやっていた投球練習を終え、グラウ
ンドに一礼して更衣室へと足を向ける。俺の歩みは自然と加速し、小走りになる。
 練習を終えて当然体は疲れている。六大学対抗リーグで勝利を掴み取るために、野球は未経験という者も多
い部員達は一日一日の練習で全力を出しているのだから、毎日ヘトヘトだ。それでも俺が急ぐのには理由がある。
 「…………」
 更衣室の中で着替える他の部員に悟られないように、スケジュール帳を開く。表紙をめくった裏に挟んであ
るのは、大学に通うようになってから初めてできた恋人の写真。それをチラリと見てから、俺はすぐに手帳を
閉じた。
 俺の恋人、保険会社で働いている徳子さんは、二十歳の俺より三年ほど年上の人で、知り合ったきっかけは
キャンパス内で声をかけられて保険への加入を勧められたことだった。手の届きそうな距離に来るとふわっと
漂う女性独特の柔らかい香りや、営業のテクニックなのかもしれないが聞いていると心の落ち着くような声色
や、嫌なことなんて吹き飛んでしまいそうな愛らしい笑顔に俺がノックアウトされるのに時間はかからなかっ
た。売店の前で学生に声をかける徳子さんにマメに話しかける所から始まり、徐々に長話もするようになった
頃に、なけなしの勇気を振り絞って、俺はダメ元で彼女をデートに誘った。OKを貰えたのは予想以上に嬉しか
ったし、デートの当日に勢いでした告白を受け入れてもらえた時は、夢なんじゃないかと何度も何度も自分の
頬をつねって笑われたっけ。
 「あ、もうこんな時間だ。急がなきゃ」
 汗と土埃にまみれた体をシャワーで洗い流す気持ちよさについボンヤリしてしまい、シャワールームから出
てきた所で時計を見ると、自分の中で予定していた時刻を十分近く過ぎてしまっていた。今日は練習が終わっ
たら徳子さんと夕飯を食べに行く約束なのだ。


 待ち合わせ場所になっている大学の正門へ向かって歩いていると、遠目にグレーのスーツを着た徳子さんの
後ろ姿が見えた。が、声をかけて手を振ろうかと俺が思った瞬間、その隣に同じぐらいの背格好の男が立ち止
まって話しかけるのが目に入った。
 「誰だろう、あれ?」
 目を凝らしてよく遠くの様子を窺うと、背を向けていた男が半身になった。そこに立っていたのは、グラウ
ンドで見慣れた背格好に大きな眼鏡……大学に来て最初に俺が友達になった矢部君だった。
 矢部君と徳子さんって、面識があったんだ。まず始めに頭に浮かんだのはそんなことだった。そりゃあ、同
じ大学に通っているんだから、売店の前で保険の営業をしている徳子さんの顔ぐらいは知ってたって不思議じ
ゃあないし、話だってしたこともあるだろう。
 「けど……なんで、あんなに親しそうなんだ……」
 生まれつき視力のいい俺には、徳子さんの笑顔がはっきりと見える。彼女は頻繁に笑顔を見せる人だけど、
キャンパスの大学生に声をかける時の、俗に言う営業スマイルでは無く、俺と二人でいるプライベートの時に
見られるようなリラックスした表情をしている。二人は楽しそうに会話している。その間に漂う空気が、単な
る顔見知り以上のもののように思えるのは、俺の気のせいなんだろうか。なんだかあの距離感は、俺と徳子さ
んのそれよりも近いように見えてしまう。
 ペコリと頭を下げる矢部君の肩に徳子さんの手がスッと伸びて二、三度ポンポンそこを叩くのを見た瞬間、
風邪を引いて喉を痛めた時のような、ヒリヒリと焼けるような痛みが胸の底を走った。俺がしたみたいに矢部
君が徳子さんをデートにでも誘っているように見えて、足先がソワソワしてきた。
 ──徳子さん、どうしてそんなに……
 俺が大股で一歩を踏み出して走り出そうとした時、矢部君は徳子さんに手を振りながら門から離れて行った。
 徳子さんも矢部君に手を振っていたが、すぐに俺の方を振り向いて、セミロングの髪をなびかせながら早足
でこちらに近付いてきた。



 「練習、お疲れ様」
 「あ、うん、ごめん。待たせちゃったみたいで」
 「ううん、待ってないわよ。私もさっき来たばっかりだもの」
 どう表情を作ればいいのか分からないまま平べったい言葉を返す俺とは対照的に、徳子さんの声は明るい。
 その笑顔が矢部君に見せていたのと同じ表情に思えて、掌がうっすらと汗ばんできたような気がした。
 「あの、徳子さん」
 もしかしたら、尋ねない方がいい質問なのかもしれない。それでも、どちらかといえば訊きたいと思った。
 「なあに?」
 「矢部君と、知り合いなの?」
 どう言えばいいのかと考えていた切り出しの言葉は、思いの外すんなりと出てきた。さあどうだろう、と表
情を窺ってみると、徳子さんは何に動揺するでも無くキョトンとしていた。
 「知り合いも何も、明雄は……」
 下の名前で呼び捨て。知り合いも何も、もしかして、そんな仲? 背筋に悪寒が走った。
 「明雄は私の弟よ」
 「ええっ!?」
 まるで朝の挨拶でもするかのようにそう話す徳子さんに俺は驚きを隠せず、一回り大きな声をあげてしまっ
た。しかし、俺の質問が素っ頓狂なものにでも思えたのか、徳子さんは桃色の唇の両端をきゅっと吊り上げて
噴出しそうになるのを堪えているようだった。
 「や、矢部君が徳子さんの弟?」
 「そうよ。だって名字も一緒だし。気付かなかった?」
 「いや、確かに名字は二人とも『矢部』だけど、なんていうか……」
 「似てないって思った?」
 迷わずに、俺は頷いた。


 立ち話もなんだからと駅前のファミレスに入り、腹ペコだった俺は出てきた料理を夢中で平らげてしまった
後、徳子さんが矢部君の話をするのに相槌を打っていた。
 不安と驚きの次は、矢部君と徳子さんの親しい空気が家族の持つものであったことに対する安堵。ハイペー
スで減っていく烏龍茶に、俺は喉がカラカラになっていたことをその時初めて自覚した。
 「どう? 明雄はちゃんとやってる?」
 「うん。最初に部の頭数を揃えようと思った頃から一緒だけど、お互いいい刺激になってると思うよ」
 「女の子の話とかされるでしょ」
 「……してるね。同じ授業の時とかは、よく」
 「大学に入ったら楽にモテるって思ってたみたいなのよね、あの子」
 「そういえば、俺が野球部に入ろうって誘った時も、そんなことを……」
 「やっぱり? 運動部に入るって言うから何かと思えば、女の子にモテたいからだったのね……」
 溜め息と共に、徳子さんが肩をガックリと落とした。
 「でも、部活はサボらないし真面目に頑張ってるよ」
 「まぁ、結果オーライね。動機は不純だけど、趣味一本にのめりこまないだけまだ健全でいいわ」
 「趣味?」
 「オタクって分類に入るのかしら。部屋の中とか結構凄いのよ、アニメのグッズとかで」
 「そういえば、アキバの電気街に買い物に行った時は、なんていうか、ついていけなかったな……」
 「んー……そういう所は大目に見てあげてね。悪い子じゃないから、明雄は。時々現実逃避しちゃうのが難
だけど……」
 現実逃避と言われれば、以前矢部くんに話しかけても応答が無かったことがあったなぁ。別世界に旅立っち
ゃってたっていうか。あの時の矢部君はいったいどんなことを考えていたんだろう。
 「徳子さんは、矢部君に彼女ってできそうだと思う?」
 「うーん……厳しいかもね。眼鏡をもうちょっとオシャレなのに変えるだけでも違うと思うんだけど……自
分の話ばっかしちゃう所が大きなマイナス点、かな。あと、あの『やんす』も……」
 苦笑いを浮かべながら、徳子さんはヒラヒラと掌を振った。俺の烏龍茶のグラスはもう空っぽで、ストロー
を吸ってみてもズズッとかすれた音と共に氷が震えるだけだった。


 「そういえば、俺と徳子さんのことって、矢部君は知ってるの?」
 「ううん、明雄には内緒にしてるわよ。あれこれ詮索もしてこないし」
 「そっか」
 胸を撫で下ろす。徳子さんと矢部君が姉弟だと知ったのは今日が初めてだったけど、もしかして矢部君は俺
と徳子さんの関係を知っていながら敢えて沈黙を貫いていたのかもしれない、なんてことが頭をよぎったし、
変に気を遣ってそうされているとしたらなんだか後ろめたいと思ったからだ。
 姉と付き合っているのが仲良くしている親友だと改めて知った時に矢部君がどんな気持ちになるか、一人っ
子の俺には想像できなかった。悪く思われなければいいんだけど。

 「そろそろ出ない?」
 腕時計に視線を落としてから、徳子さんが言った。壁時計を見ると、時刻は午後八時。思ったよりも長居し
ていたみたいだ。伝票に手を伸ばして値段を確認しようとすると、徳子さんが自分の財布を取り出した。
 「あ、いいよ。俺が出すから」
 「自分の食事分ぐらいは自分で出すわよ。私だって社会人なんだし」
 はて、以前買い物に行った時にネックレスを買って欲しそうにしてたのは誰だったっけ、と言いたい気持ち
を喉の奥に押し込む。彼氏としては徳子さんの分も出してあげたい所だけど、生憎今月は中々に財布事情も厳
しいので、ありがたいと言わざるを得ない。


 店を出た所で、人の喧騒を背景に、俺はあることを言うべきか言わざるべきか、迷っていた。付き合い始め
てしばらく経ち、女性経験がロクに無いなりにあれこれ考えてデートにも行った。そろそろ、丁度いい時期な
のかもしれない。
 「徳子さん」
 もう少し待った方がいいと思う気持ちもあったのだが、先程大学の門の前で矢部君と徳子さんが楽しそうに
話していたあの光景を目の当たりにしてからずっと、自分の中の何かが俺を急かしていた。危機感、と表現す
るのがいいのかもしれない。よくよく考えればただの姉弟間の会話だったんだからあの雰囲気もごく自然なこ
となんだけど、あの時胸の内に湧き起こってきたなんともスッキリしない感情は未だ治まってくれなかった。
 よし、言おう。口の中に溜まった唾を飲み込んだ。
 「今から、俺の部屋に来ない?」
 文字で並べてみたら、きっと単純な短い言葉なのだろう。しかし、それを口にした瞬間俺は全身がカッと熱
くなり、緊張が爪先から脳天まで一気にビシッと張り詰めるのを感じた。握り締めた拳に力が入る。
 「…………」
 「だ……ダメかな?」
 「……いいよ、行こっか」
 徳子さんは、数秒の沈黙の後に頷いてくれた。その頬は、うっすらと赤く染まっていた。

 駅からそう遠くない俺のアパート、その四階へ向かうエレベーターに、俺と徳子さんは互いの手を握ったま
ま何も言わずに乗り込んだ。何のアナウンスも無く自動ドアがのろのろと閉まる。細くしなやかな手が俺の手
をギュッと握り返してきた。いつも一人で乗る四角い空間に愛する徳子さんが一緒にいることが嬉しくて、誰
もいないのをいいことに細いラインの体を抱き締め、香水とシャンプーの入り混じった徳子さんの香りを胸い
っぱいに吸い込むと、腕の中で戸惑いを瞳に漂わせながらも徳子さんは俺に体重を預けてきてくれた。

 「お邪魔します」
 女の人を部屋に招くのは初めての俺は、悪い印象を持たれやしないかとそれこそ胃が締め付けられる思いな
のだが、当の徳子さんはあまり緊張していないようだ。
 「へぇ、佐久瀬くんってこういう部屋に住んでるんだ……」
 ワンルームの部屋は、あまり多くの物を持ち込んでいないせいもあってそれほど散らかってはいないはずだ。
徳子さんを俺の部屋に誘うのは今日の時点で本来予定していなかったので少々ヒヤリとしたものの、見られて
は不味い書籍類──つまりはエロ本──などはしっかりと見えない位置に隠蔽してある。狭い部屋とはいえ、
そう簡単には見つからないだろう。



 スーツの後ろ姿にうっすらと浮かび上がるお尻のライン、首元をなだらかに走る鎖骨、屈むとその胸元に見
える谷間、細くしなやかな脚。徳子さんのカラダが気にならない日は無かった。今のこの瞬間も俺の頭はその
ことでいっぱいになってしまい、逸る欲望がズボンの中を狭くし始めていた。
 「あ、野球のボールが置いてある」
 ムズ痒いような気持ちを俺が堪えていると、変化球のイメージトレーニング用に使っている硬球をテーブル
からひょいと掴みあげ、徳子さんはしげしげとそれを眺めだした。
 「ねぇねぇ、変化球投げる時ってボールの握り方が違うんでしょ?」
 「うん、そうだけど」
 「どうやって握るの?」
 好奇心に満ちた瞳が俺をじっと見つめる。
 「えっと、例えば……」
 と言いながら、俺は手っ取り早く頭に浮かんだフォークボールの握りを手で作った。フォークボールは、現
在俺が最も力を入れて練習している変化球なのだ。
 「人差し指と中指をグッと広げて、親指はボールの下に……」
 硬球を握ったままの徳子さんの手に自分の手を被せるようにしてぐいぐい指の股を広げさせ、小さな手をフ
ォークボールの握りにさせると、たちまち徳子さんが顔を引き攣らせた。
 「い、いたた……指が裂けちゃうわよ、こんなの」
 「あはは、フォークは手が大きくないとできないから……」
 「もう、分かっててさせたでしょ」
 ささやかな抗議の声を聞きながら徳子さんの手から硬球を受け取り、いつもやっているようにフォークボー
ルの形にそれを握った。やはり、手に馴染む。
 「佐久瀬くんの手って、ゴツゴツしてるよね」
 「そうかな?」
 「うん……男の手って感じがして、素敵だな」
 声のトーンを少し落としながら徳子さんが俺の手を持ち上げ、その甲に頬擦りしてきた。ぷにぷにして滑ら
かな女性の肌の感触に、緊張していた鼓動が一段と高鳴る。
 「徳子さん……」
 左手で肩を抱く。そのまま顎へ手を滑らせていくと、俺のサインを読み取った徳子さんが目を閉じた。
 「…………」
 しっとりと濡れた唇の感触と人の温もりが、首を伝って全身へ広がっていく。キスは、今までに何度かした。
でも、今から、俺はこの先へ足を踏み入れるんだ。
 「ん……っ」
 合わせたままの唇の奥へ舌を割り込ませると、徳子さんはすんなりと受け入れてくれた。抵抗されるんじゃ
ないかと思っていただけに、少し意外だった。
 「あ、っあ……ん、むっ……!」
 たっぷり唾液を含んだ舌同士がぬるぬると絡まって、唇の隙間から水音が漏れる。首から上が、ぼんやりす
るような心地良さに包まれていくのを感じる。
 息苦しさを感じ始めた所で顔を離すと、頬を上気させた徳子さんの下唇が、どちらのともつかない唾液でて
らてらと妖しく光っているのが目に入った。
 テーブルの隣に座っていた徳子さんをベッドへ運ぶべく、細身の体を抱え上げた。「女の人って軽いんだね」
と俺が言うと、「佐久瀬くんが力持ちなだけよ」と徳子さんは照れ臭そうにはにかんだ。


 ベッドに横たわる徳子さんの上にまたがる形で膝を付き、早速俺はブラウスまで脱がしにかかる……が、指
先が言うことを聞いてくれなくてもつれてしまう。こんな簡単なことに手間取っていては先に進めないだろう
と焦りがますます募る。
 「慌てたら余計につっかえちゃうわよ」
 気持ちを落ち着かせようとかぶりを振ると、徳子さんに苦笑いを浮かべられてしまった。頬が熱くなる。
 「ご、ごめん」



 「……ねぇ、佐久瀬くん。女の子とこういうことするの、初めて?」
 「っ……」
 痛い質問だった。
 「……やっぱり、分かっちゃった?」
 「まぁ、ね。付き合い始めてからの反応が凄く初々しかったし、今もかなりソワソワしてたから」
 「……う」
 口元を緩めて笑う徳子さんの明るい口調に、俺は顔から火の出る思いだった。
 「そんなに緊張しなくっても大丈夫だから。気楽に行きましょ」
 下から手が伸びてきて、俺の頭を撫でた。部屋の空気がすっと軽くなったような気がした。張り詰めていた
感情が薄まっていき、次第に体からも余計な力が抜けて楽になってきた。
 「続けてもいい?」
 ここまでさせてくれる時点でNOの返事なんて来るわけが無いだろうと思いつつ尋ねると、思ったとおり徳子
さんは首を縦に振ってくれた。
 「乱暴にしないでね」
 「そんなこと、するわけ……」
 無いだろ、と言いかけたが、それは確かに気をつけなければならないと思った。「そうだね」と返しながら
ブラウスのボタンに再び手をかける。やはりさっきは緊張でガチガチになっていたのだ。どうしてこんなこと
に苦労していたんだろうと思うぐらいにボタンはあっさりと外れていき、そのままタイトスカートのホックを
外して脚から抜き去って、全身を包んでいた衣服は下着のみとなった。
 邪魔にならない所に脱がせた服を置き、剥き出しになった体のラインに視線を落とすと、徳子さんの目が所
在無さげに宙を泳ぎ、その身は折り畳まれるように縮こまっていた。
 「そんなにじっくり見ちゃイヤ……」
 「でも」
 「あっ……」
 胸元を覆い隠す腕を軽く掴んだが、抵抗する力は感じられず、あっさりとロックが外れた。
 「結構大きいんだな」と正直に感想を漏らしながら、レースをあしらった白いブラの背に手を潜り込ませる。
 ズボンの中は張り詰めたままで、何もしていないのにジンジンと下半身全体が熱く疼くようだった。
 「えっと、これ……あれ?」
 未知の衣服。ホックで繋がっていることまでは理解しているが、どう外せばいいんだろうと指先が迷ってい
ると、ちょっと待ってと一声かけて、徳子さんが自ら両手を背中にやってパチンとそれを外してくれた。
 「……はい、いいよ」
 お膳立てしてもらった所で、ブラをゆっくりと外す。男には無い膨らみの全てが露になると、徳子さんは既
に赤くなっていた頬を一層と色濃く染めていった。
 「なんか、綺麗……だな。凄く」
 女の人の裸そのもの自体はエロ本やらエロ動画やらで目にしてきたけれど、こうして自分の目の前にそれが
あるのは初めてだ。曲線的な体つきが、なんだか神秘的にすら思える。
 実際に手を伸ばして触れてみると、先程手の甲に触れていた滑らかな肌の感触が掌全体に伝わってくる。円
い肩、細い二の腕、俺と比べると遥かに華奢な胴、くびれた腰と不規則に撫で回して行く。
 「ん……っ、ぁ……」
 溜め息のような呼吸に混ざった甘い声を聞いていると、何かが俺の中で段々と膨れ上がってきた。重力に逆
らって上を向いている乳房へと手を伸ばす。
 「わ、なんだ、これ」
 今までに掌が感じてきた何物とも違う、不可思議な柔らかさ。どこまでも指が沈んでいくが、少し力を抜け
ば弾力が奥から押し返してくる。指を沈め、掌で圧迫しを夢中になってう何度か繰り返す内、乱暴にしないよ
う言われたことを思い出し、慌てて手から力を抜いた。
 「い、痛かった?」
 よく見ると、染みの無い真っ白な肌に、自分の指の後が赤く紋になって残ってしまっていた。罪悪感が込み
上げる。


 「ちょっとだけ。でも、途中から手つきが優しくなったよね」
 ありがとう、と言いながら、徳子さんが俺の肘の辺りを掴んだ。筋肉の流れを確かめるように指先が前腕を
なぞってきて、ちょっとくすぐったい。
 「ね、続けて」
 「うん」
 また少し気が楽になった所で、乳房を掴んだ掌をぐにぐにと蠢かせ始める。底無しの柔らかさの中心部分で
段々と硬くなってくるものがあり、すかさずそこへも指を伸ばす。
 「あ、ん……ふっ、あ……あ……!」
 手で触れているだけじゃ、なんだか物足りない。そう感じて、片側の乳房にむしゃぶりついて、薄いピンク
色の乳首を口に含んで舌で転がすと、ぴくりぴくりと徳子さんが体を震わせ始めた。恋焦がれる徳子さんのこ
んな乱れた姿を見られることに、胸の内が満足感で満たされる。しかしその一方で、もっと深くという探究心
が俺の体を突き動かしていた。
 「ふあぁっ! や、だめ、吸っちゃ、あぁっ……!」
 ダメと言われれば余計にしたくなってしまうじゃないかと心の中で突っ込みを入れる。何も味なんてしない
けれど、微かに甘みに似たものを口の中に感じるような気がした。刺激を与えて硬くなった乳首を舌先で転が
して苛め続けると、もっとそうして欲しいと言わんばかりにますますそこは硬さを増してきた。
 「あ、ん……」
 唇を離して徳子さんの表情を見てみると、目尻に涙が溜まっているのが目に留まった。胸元は大きな呼吸の
度に上下していて、鎖骨の辺りまでがうっすらと桃色に染まって熱を持っているように見えた。半開きの唇が
ひどく扇情的で、吸い込まれるようにそこへ口付けした。
 「ふ、ん、んっ……ぁ」
 俺が舌を入れようとする前に、今度は向こう側からぬめった物が割り込んできた。そのまま、何に命じられ
るでもなく互いの舌を蹂躙しあう。俺の手は、キスをしながら自然に胸から平坦なお腹へと下っていった。
 「ね、佐久瀬くんも……」
 ショーツに指がかかった所で突然徳子さんにそう言われた。何のことやらと俺が頭に疑問符を浮かべている
と、着ているシャツの裾が引っ張られる感触があった。
 「あ、そうか」
 残す所はショーツ一枚という所まで脱いだ徳子さんだが、俺はと言えばまだ上着しか脱いでいない。
 徳子さんを脱がせておいてなんだが、なんだかとても恥ずかしい気持ちになりながら、シャツを脱いでぽい
と無造作に放り投げると、俺の顔を見ていた視線が僅かに下がった。
 「……男の裸って、むさくるしいだけじゃない?」
 ベルトを腰から抜きながら尋ねてみると、
 「んー、そんなこと無いわよ。引き締まった筋肉とか、角ばったシルエットとか、私は興味津々よ、男の子
のハダカって……うふふ」
 と返ってきた。
 「そんなもんかなぁ……まぁ、そんなもんか、異性だし」
 一人で納得しながらズボンを腰から下ろそうとしたが、硬くなった性器が引っかかって邪魔をして、中々ス
ムーズにいかなかった。ちらりと見てみると、徳子さんの視線はそこ一点に集中していた。見られているとい
う気恥ずかしさが身の内で膨らむ。
 「……元気ね、凄く」
 流石に凝視するのは気が引けたのか、そこから目を逸らしてから徳子さんが言った。
 「しょうがないじゃないか。徳子さんのそんな姿見たら、我慢なんてできるわけ……」
 我ながら子供っぽい口答えだと思いながら、俺も下着一枚になって再び徳子さんに向き合った。今度こそと
気を取り直して、お臍の辺りを擦りながらショーツの中へ手を滑り込ませる。
 「あっ……」
 柔らかい毛の感触の後に、程なくして潤いを指先に感じた。
 「濡れてる……」
 「だ、だって……あ、や、そこ……っ!」
 溝の感触、そこがじっとりと濡れていることを確かめながら指を躍らせていると、いきなり徳子さんの腰が
跳ね、声のトーンが上がった。
 「やっ、ダメ、ダメだってば……! そこ、そんなに……!」
 指先から伝わってくる情報に意識を集中させてみる。何やら周りの皮膚とは感触の違う突起があるのに気が
付いた。クリトリス、だろうか。どうやらここを触っているのが原因らしい。
 多分、軽く触った方がいいのだろうと思って、乳首に似た大きさのそこをくりくりと指先でソフトに捏ねる。


 「んうぅ……ん、あぁん……」
 官能的な声がベッドの上で響く。もっと聞きたい。
 「徳子さん、どう?」
 「ど、どう、って……」
 痛くないかどうか気になって感想を求めてみたのだが、徳子さんはぴたりと口をつぐんでしまった。何か悪
いことを訊いてしまったんじゃないか、とヒヤリとしていると、
 「そ、そこ……気持ちいいから、もっと……して……」
 消え入りそうなほど小さい声で徳子さんがそう言って、潤んだ瞳を明後日の方向へ向けた。
 ──ひょっとして、恥ずかしいことを言わせちゃったのかな
 少しだけ申し訳ない気持ちになりながらも、徳子さんの言う通りにそこへの刺激を続ける。なるべく優しく
しようと意識していると、微かに向こう側から腰を押し付けられたような気がした。
 「い、いいよ、もう少し強く……」
 「うん……」
 激しくしたら痛いんじゃないかと漠然と思いながらも、触れるだけに留めていた指先を押し込むような動き
に変えていく。徳子さんの反応の変化も顕著で、トーンばかりか声のボリュームも上がった。両脚に挟まれた
俺の手を更に抑えるかのように、ショーツに潜り込ませた腕に手が添えられる。
 「ん、くぅ……あ、は……い、イキそ……」
 「イキそう?」
 「う、ん……そ、あっ……イク、いっ……あぁっ……!」
 徳子さんがきつく目を閉じて、俺が刺激していたクリトリスがびくびくと震え、がくり、と腰が揺れる。背
筋を緊張させたと思いきや、数秒してその体はくたっと弛緩してベッドに沈んだ。
 女の人を絶頂に辿り着かせてあげられたんだ。そう自覚すると、安心感というか自信のようなものが溢れて
くるのを感じた。
 「徳子さん」
 「はぁ、はぁ……なぁに?」
 「大丈夫?」
 やたらと息が荒かったので、気になった。
 「うん……上手だね、佐久瀬くん……」
 初めての男の子にいかされちゃった、と、独り言のように徳子さんは付け足した。
 俺よりも余裕のある態度や口ぶりから何となく想像はついていたけれど、徳子さんはこういうこと、初めて
じゃないんだ。元カレの話なんてされたこと無かったけど、過去にそういうことをする相手がいたということ。
 徳子さんの笑顔だけじゃなく、服の下に隠れる色っぽいハダカや、エッチな表情や、乱れた喘ぎ声……そう
いうものを独り占めしていた奴がいたと分かると、顔も名前も知らないのに急にそいつのことが腹立たしくな
ってきた。
 「……くそっ」
 「どうしたの?」
 「えっと、その、俺は初めてだけど、徳子さんは……その」
 「……うん、大学生の頃に、ね。丁度、あなたと同じぐらいの歳だったわ」
 俺の言葉の意図を汲み取った徳子さんが、小さな声で言った。
 「そっか」
 「言わない方がいいと思って黙ってたんだけど……ごめんね」
 「え、なんで謝るのさ」
 「私が初めてじゃないのが気に障ったのかな、って思って」
 そんなわけ無いだろうと、俺は勢い良く首を横に振った。
 「気に障るなんて、そんなわけないだろ。ただ、なんていうのかな……嫉妬、しちゃって」
 「嫉妬?」
 「じ、自分でも情けないとは思うんだけど、初めての徳子さんをリードしたのはどんな人なんだろうって思
ったら急にムカついてきちゃって……それだけじゃないんだ。さっき徳子さんが矢部君と話してるのを見て、
家族なんだから当たり前なんだけど、楽しそうに話してるのを見たら、こう……」


 ムードが盛り下がるのを自覚しながらも、口から矢継ぎ早に言葉が出てきて止まらなかった。
 「男の嫉妬なんて、情けないよな。ごめん、変なこと言って」
 頭を下げる。
 「……そっか、妬いちゃってたんだ」
 「うん」
 「普通なら言わないのに、佐久瀬くんって全部打ち明けちゃうのね。そういう正直者な所、好きよ」
 徳子さんが優しい口調でそう言い、表情を崩して微笑んだ。
 「佐久瀬くん、私のこと好き?」
 「勿論、好きだよ」
 「うん……私も好き。今は、佐久瀬くんが一番よ」
 自然と、唇が重なる。大切なのは過去じゃなくて、今なんだ。嫉妬の黒い炎は消え去っていき、鳴りを潜め
ていた徳子さんへの愛しさが代わりに胸の内を満たしていく。
 「ね、しよ……」
 視線で促され、ショーツをするりと太腿から抜く。クリトリスへの愛撫で濡れていたそことショーツの布地
が名残惜しそうに糸を引いているのがはっきりと見て取れた。
 何一つ纏わない姿になった徳子さんの、まだ見ていなかった秘所へ視線を向ける。薄めに整えられた茂みの
下にさっきまで触っていたクリトリスが帽子を被っていて、充血してサーモンピンクになった粘膜の谷が広が
っていた。裂け目の底に、奥へと繋がっていそうな洞穴がある。
 頭がクラクラするような眺めに、ごくりと音を立てて唾を飲み込むのを抑えられなかった。自分の下着を脱
ぎ去り、張り詰めて涎をだらだら垂らした性器を中から取り出す。徳子さんの腰を掴んで、いざ、という所で
俺は重大なことを思い出した。
 「あ、やば……!」
 部屋の気温が氷点下まで急に下がったかのような心地だった。予定していなかったせいもあって、男のエチ
ケットを用意していなかったのだ。
 「の、のの、徳子さん、そのっ、俺、あれをっ」
 慌てる俺の鼻先に人差し指がちょんと添えられた。
 「まぁまぁ、落ち着いて。ところで、今日は何日だったっけ?」
 「えっと、今日は……」
 カレンダーを見て、今日の日付を伝えると、徳子さんは何秒か考え込んでから、指で○を作った。
 「大丈夫よ、そのまま来ちゃってちょうだい」
 「え、いいの?」
 「そ、今日は平気だから」
 「じゃ、じゃあ……」
 「うん。入る所間違えないでね」
 くすりと笑いながら、徳子さんが俺の照準を合わせてくれた。
 「大丈夫だって……それぐらい」
 そのまま腰を進めればいいと分かり、真っ直ぐに下半身を前へ押し込む。
 「ん、あ……あ……」
 先端に感じていた温かい熱が、どんどん腰の根元へ近づいてくる。滑りの良い感触のおかげでスムーズに進
んでいけるが、押し通ったと思ったら、異物を排除しようとでもしているのかぎゅうぎゅう締め付けてくる。
 下半身全てが痺れるような強い刺激に、奥へ進めず立ち止まってしまいそうだ。
 まだ入り込める、と思いながら根元まですっぽり埋まったかという所で、先端が行き止まりにコツンと当た
った。どうやら一番奥まで入ってくれたらしい。
 「ん……全部、入ったね……」
 覆い被さるような体勢でいた俺の首に、徳子さんの手が絡みついてきた。
 「動いても、いい?」
 「うん、いいよ」
 気軽に頷いてくれたのを見て、最奥まで押し込んだ腰を引き抜く。
 「っ……く……!」
 亀頭のくびれた部分に膣内の起伏ががつがつと引っかかり、たまらない快楽が全身を勢い良く駆け抜ける。
 先程から勃起したまま何の刺激も与えずに先走りを垂れ流しにしていたせいもあったのだろう、瞬く間に込
み上げてくる射精感を堪えながら、再び奥へ押し込む。


 「あっ……あ、ん……お、大き……い」
 「そ、そうかい?」
 眉間に皺を寄せた徳子さんは、苦しいのかもしれない。ゆっくり動かないと自分が絶頂を迎えてしまいそう
だからなのだが、自分の中で徳子さんをいたわるという理由付けをして腰を揺する速度を落とし、伝わってく
る強烈過ぎる刺激から必死に意識を逸らそうと試みた。しかし……
 「あ、はっ……! んぁ、は……激しい、よぉっ……!」
 「ご、ごめん、でも、止まらない……」
 「やっ、あ、あぁっ、あ……!」
 ゆっくり動かないと、と頭で念じるのとは裏腹に、体の半分が別の生物に支配されてしまったかのように、
ピストンの速度は落ちるどころかますます速くなってしまう。当然のことながら、我慢しようとしていた射精
の欲求も、後戻りできない所まで大きく大きく膨らんできた。
 「ん……んぅ、あ、っくぅぅ……」
 一往復する度に、粘ついた音が響く。濡れた粘膜を俺の性器が擦りたてる音だ。その音が、俺の頭から冷静
さを削ぎ落としていく。睾丸に溜め込まれた精液がもうペニスの半分ぐらいまで上ってきているように感じる。
 「のっ、徳子さん……ごめん、俺、もう……我慢が……」
 腰から下の感覚が希薄になっていき、快感の塊となった肉棒に知覚が一挙に集まっていく。
 「い……いいよっ、ガマンなんて、しないで……! はっ、はぁっ……!」
 我慢しないで、という言葉が決定的な引き金になった。
 「く……出る……っ」
 性器が爆ぜた……そう感じた。神経が焼けるほどの快楽がぞわぞわと全身に広がっていき、今まで自慰で得
ていたのはなんだったのかと思うほどの満足感や解放感が、尿道から精液の放たれる度に脳天を貫いた。
 「あ、で……出てる、中に……」
 意図しているのかいないのか、狭かった徳子さんの膣内が一際きつくなって、更なる射精を促すように壁が
まとわりついてきた。
 一度の射精だったが、白濁の塊が何回外へ放たれたか分からなかった。性器の震えがようやく収まる頃にな
って、真っ白に塗りつぶされていた視界に色が戻り始めてきた。
 「佐久瀬くん」
 「な、何?」
 「気持ちよかった?」
 「えっと……き、気持ちよかった。凄く……」
 まだボンヤリする頭でそう答えた。
 「……まだ、したい?」
 「うん、正直に言うと、もう一回ぐらい……」
 「そうよね、まだこんなに硬いもんね」
 ペニスを包む通路がキュッと狭くなった。一度の射精では全く満足しなかったようで、俺の男性機能はまだ
徳子さんの体を味わいたいと舌なめずりしていた。
 「いい?」
 俺が尋ねると、徳子さんの両脚が俺の腰に巻きついてきた。それがイエスの合図だと思って、俺は中断して
いたピストン運動を再開させた。
 「はぁぁっ……あぁん……!」
 艶やかな声が徳子さんの唇から紡ぎだされる。
 「徳子さん、なんか……声大きいよ?」
 「い……いい所で、止められちゃったから……さっき」
 「ご、ごめん……俺、だけ……」
 「いいのよ、そんな……気に、しないのっ……」
 俺も徳子さんも、途切れ途切れにしか言葉が出てこない。荒い呼吸も整わないままに、俺は蜜と精液の混合
物でぐちゃぐちゃになった膣内を掻き回し、徳子さんは襞の連なりをきつく締め付けて俺を容赦なく責め立てる。
 特に敏感な裏筋やカリのくびれが、腰を押し込む度にぬるぬるした起伏に舐め取られ、幹と亀頭の全体があ
らゆる方向から扱かれる。経験の無かった俺には──いや、経験豊富だったとしても──ひとたまりも無く、
先程あれだけ出したばかりだというのにもう射精感を意識し始めていた。
 「徳子さん、徳子さんっ……!」
 愛しい人の名前を呼ぶ。
 「純彦くん……」
 愛しい人も、瞳を潤ませながら俺の名前を呼んでくれた。こんなに近くにいて、お互い体の一部同士で繋が
っているというのに、目の前にいる人ともっと近付きたくてたまらない。どうしてなんだろう。考えても分か
らない。考えるのも億劫なぐらい、性器の繋がりから生み出される快感が意識を満たし始めていた。


645 :友達のお姉さん 10/9:2009/01/18(日) 01:58:54 ID:67+6gZDB
 「徳子さん、お、俺、また……」
 「うん……私も、そろそろだから……」
 ぶるぶると腰が震える。徳子さんの胎内も呼吸するように収縮し始めていて、腰に巻きついた脚が一層強く
俺の腰を徳子さんのそこへ押し付けさせた。
 「あ、はっ……い、っ……あ、わた、しっ……!」
 「い、イキそう……?」
 「うんっ……も、もう、だめぇ……イ、イッちゃ……」
 徳子さんはその先を言わなかった。いや、俺が唇を塞いでしまったから言えなかったと言った方が正しい。
 「んんんっ! んん……んふうぅぅっっっ!!」
 鼻から高い声が漏れてきたのと、射精感が弾けて俺が達したのは、恐らくほぼ同時だったと思う。息苦しく
て頭がぼんやりとする中で、更なる射精を促すかのように締め上げてくる肉が生み出す電撃のような快感が脳
を何度も叩く。全身がショートしてしまったかのようで、ぴくりとも腰を動かすことができないほどだった。


 「ふぅ……」
 腰を引いて、結合していた性器を外し、仰向けになっている徳子さんの隣に寝転がった。
 お互いの体は、まだ少し汗ばんでいた。
 「疲れちゃった?」
 「なんか、腰がだるいっていうか」
 慣れない動きをしたせいだろうか、呼吸と昂ぶった気持ちとが落ち着いた所でどっと体が重たくなった。繋
がり合った後の余韻を楽しみたい所だが、いかんせん気だるさが抜けてくれない。
 「私も、ちょっと疲れちゃった」
 「徳子さんも?」
 「うん、だって、激しかったんだもん……」
 うつらうつらと、徳子さんの頭が揺れる。
 「眠くなってきちゃった。今日、泊まっていくね」
 「え、俺はいいけど、明日、仕事は……ああ、そうか」
 今日は金曜日だったか。起こそうとして肩に添えた手を離す。
 「ん、そういうこと。あ、ねぇ」
 「何?」
 「野球の試合、見に行ってもいい?」
 「試合って……」
 「プロ野球じゃなくて、純彦くんたちの大学の試合ね。ピッチャーなんでしょ?」
 「そうだけど……勝てるか分からないよ? 俺たち、寄せ集めのチームだからさ」
 「勝てるかどうかじゃなくて、純粋に見たいの、純彦くんが野球してる所」
 俺の胸板に徳子さんのおでこが触れた。
 「分かった。日にちが分かったら、教えるよ」
 「うん。お願いね」
 「徳子さんが試合見にきてるって分かったら、矢部君がビックリするだろうね」
 「そうでしょうね。その時あの子も気がつくかな。ううん、そろそろ話しておいた方がいいのかも」
 「俺たちのこと?」
 俺がそう尋ねると、徳子さんはこくりと頷いた。俺も、それには賛成だ。ここまでする関係になったという
ことは伏せておくとしても、弟である矢部君に黙って徳子さんと交際を続けていくのも、なんだか気が引ける。
 「そうだね。終わったら、三人でメシでも食べに行こうか」
 「う、ん。そうしよ……」
 虚ろな声と共に、上目遣いで俺を見つめていた目蓋がそっと閉じられていく。丁度よく胸元にあったおでこ
に、少し身を屈めてつるんとしたおでこに唇を落として、「おやすみ」と囁く声をかけてみると、微かに徳子
さんから応答があった。
 そのまましばらく待っていると、程なくして規則的な寝息が聞こえてきた。
 年上のお姉さん、という印象を徳子さんへ常に持っていたが、寝顔は幼さすら感じさせるほどにあどけなか
った。今まで見られなかった姿にときめきを覚える。二人分の体温がこもった毛布の中も、暖かい。
 ──まさかと思うけど、夢じゃないよな。俺は、おそるおそる頬をつねってみた。
 右の頬には、ヒリつくような痛みが走った。

 終わり

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