第4艦隊は編成を分けて進軍することとなった。
2隻の宇宙空母で構成された機動部隊は、艦載機160機と共に衛星
カロンの裏側を迂回し、
グリトニルの前に散在する“艦艇の墓場地帯”の前への展開を目指す。
もう一つの部隊は、
ニーズヘッグ級駆逐艦のミサイルで小惑星や氷塊を破壊しながら進行。それに旗艦アームスヴァルトニルが続き、その後ろに2隻の輸送艦が続いた。
こちらは寡兵ではあるが、アームスヴァルトニルと輸送艦に20機の艦載機を搭載しており、敵の戦闘機を迎撃すべく待機していた。
カロンを迂回した2隻のブラギ級宇宙空母は、予定時刻にフェーズ1の目標地点“艦艇の墓場地帯”から1000キロあたりに到達すると、艦載機を発進させ、艦の前方に広く展開させた。
長距離精密射程の波動砲を装備する機体
シューティング・スター15機を中央に、その上下左右を多数の汎用次元戦闘機
アロー・ヘッドがカバーするようなフォーメーションを組むと、フェーズ1が終了した。
機体に乗ったパイロットの中でフェーズ2開始の合図を待った。
一方、氷塊地帯を進むファーランダー大佐のミサイル駆逐艦は、ミサイルで点在する障害物を丁寧に破壊しながら氷塊の海にトンネルを空けていき、旗艦アームスヴァルトニルの進行ルートを確保していった。
氷塊地帯の半ばに差し掛かったところで、マルホス大佐が率いる空母機動部隊からフェーズ1完了の報告がアームスヴァルトニルの艦橋に届いた。
司令官席のブルース・ディッドマン准将が僅かにヒロコを見ると、彼女は作戦モニターを食い入るように見ていた。
准将は軽くうなずき、オペレーターに向かってフェーズ2開始を命じた。
フェーズ2開始の命令を受け、艦艇の墓場前面の次元戦闘機は、波動砲を充填しつつ注意深く艦艇の残骸群に近づいていった。そしてシューティング・スター隊が
長距離波動砲を残骸に一斉発射すると、放たれた15条の光の束は残骸を貫き、莫大な熱と光を撒き散らして視界を白で飽和させた。
次元戦闘機のコックピットの中のパイロットはコンピュータ処理で光量が制御された映像を見ているが、このときはその処理速度が間に合わず、多くのパイロットは視界が失われたような感覚を覚えた。
やがて視界を取り戻すと、艦艇の墓場に空いた“穴”に向かってアロー・ヘッド隊が突入、一気にグリトニルに向かっていった。
最終更新:2009年08月25日 19:53