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毒をもって毒を制す

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毒をもって毒を制す ◆KuKioJYHKM



D-5、雀荘。ここに二人の青年の姿があった。
一人は熱き魂を持つデュエリスト、遊城十代。もう一人はアニロワ2nd十傑衆に名を数えられる書き手、忘却のウッカリデスだ。
彼らは「まあ立ち話も何だから」ということでこの雀荘へ移動し、そこでお互いの意見交換と支給品のチェックを行っていたのだ。

「なるほど、この殺し合いをぶっ潰すには、首輪を外す必要があるってわけか」
「ええ。運良く主催者を発見できたとしても、その直後に首輪爆破であの世行きでは話になりませんから。
 どうにかしてこれを解除しなければ、主催打倒は不可能とは言いませんがかなり厳しいでしょうね」
「しかし頭がいいなあ、ウッカリデスさん。殺し合いが始まったばっかりで、もうそこまで考えてるなんて!」
「ははは……」

単にパロロワのセオリーを言ってるだけなんだけど、とは言えず、ウッカリデスは乾いた笑みを浮かべる。

「しかし言うは易し、行うは難しです。僕には機械工学の知識とかはありません。十代君も多分そうでしょう?」
「うーん、確かに……」
「首輪を解除するには、多くのフラ……もとい、条件を揃えなくてはならないのです。
 単純に機械に強ければ分解できるというものでもありません。
 主催者も馬鹿ではありませんからね。首輪という保険を勝手に解除されないよう何らかの策を練っているはず。
 それを達成するには、並大抵でない苦労が必要でしょう。志半ばで倒れる可能性も高いと思われます。
 十代君、あなたはそれでも『対主催』の道を選びますか?」
「もちろんだ!」

ウッカリデスの問いかけに、十代はすぐさま答えを返した。

「俺は殺し合いなんてごめんだ! 絶対にあのモンスターを倒して、元の世界に帰ってやる!
 死ぬかも知れないって言ったって、それは積極的に殺し合いをやったって同じだろう?
 だったら俺は、自分が正しいと思った方に命を賭ける!」
「……わかりました。このウッカリデス、その強い決意に全力で応えることを誓いましょう。
 改めてよろしくお願いします、十代君」
「こっちこそよろしくな、ウッカリデスさん!」

ウッカリデスと十代が、がっちりと握手を交わす。

「それでウッカリデスさん、まずはどうする?」
「そうですね、とりあえず目指すべきは、月並みですが志を同じくする仲間を集めることでしょうか。
 僕も十代君も、支給品に当たりは多かったとはいえ戦うことが得意な人間ではありません。
 身体能力の高いマー……じゃなくて、殺し合いに乗った参加者に襲われたら非常に危険です。
 戦闘力の高い味方を見つけるのは急務と言えるでしょう。そして、仲間を増やすもう一つのメリットは情報です。
 殺し合いに限らず、いついかなる場合でも情報とは非常に価値のあるものですから。
 人との接触が増えれば、その分手に入る情報も多くなります。もしかしたら、そこから主催者打倒のきっかけがつかめるかもしれません」
「そうか……。そこまで考えてるとは、さすがウッカリデスさん!」
「ははは、まあ経験上というか何というか……」

再び乾いた笑いを響かせるウッカリデス。

「よし、それじゃあ早速仲間を探しに行こうぜ! あー、でも当てもなく歩き回るわけにもいかないか。
 ウッカリデスさん、目指すならどこがいいと思う?」
「そうですね……。どこがいいとは一概には言えませんが……」

荷物から地図を取り出しながら、ウッカリデスは言う。

「ここから近く、なおかつ人の集まりそうな場所……。ホテルなんていいかもしれません」
「ホテルか……。確かに人が集まりそうな感じはするな。それじゃあ、改めて行くか!」
「ああ、ちょっと待ってください!」

勢いよく走り出した十代を、ウッカリデスは慌てて追いかけた。

(やれやれ、決して悪い人じゃないんだけど……。ついて行くのが大変そうだなあ……)


◇ ◇ ◇


「しかし本当に何なんだろうなあ、このカード……」

ホテルに向かう道中、十代はそう呟いた。彼の手の中には、彼がその青春を現在進行形で捧げているゲーム「デュエルモンスターズ」のカードがある。
元はウッカリデスの支給品だったのだが、餅は餅屋、カードはデュエリストということで十代に譲られたのだ。
なおその見返りとして、ウッカリデスは十代の支給品からプラスチック爆弾を受け取っている。

「これだけ強力なカードならメインで使うデュエリストがいたっておかしくないのに、見たことも聞いたこともない……。
 ウッカリデスさん、何か知ってる?」
「いやあ、僕はデュエルモンスターズは詳しくないんで……」

そう答えたウッカリデスだが、そのカードが奇妙な存在であることは彼も理解していた。
何せ十代に渡した二枚のカードに描かれたキャラは、彼もよく知るものだったのだから。

(なんでセイバーとフェイトが、遊戯王のカードになってるんだ?
 Fateもなのはも、KON○M○関係なかったよなあ、たぶん……)

ウッカリデスが考え込んでいたその時、突如として彼らの感覚器官に大量の光と音が飛び込んできた。

「な、なんだ! 何があったんだ!」
「これは……。どうやら近くで、大規模な戦闘が起きているようですね」

うろたえる十代とは対照的に、ウッカリデスは冷静な口調で呟く。
もっとも、彼も決して動じていないわけではない。近くで戦闘が起きているということは、自分たちも巻き添えを食らう可能性が高いということだからだ。

「十代君、ここはホテルに急いで……」
「戦いなら止めに行かなきゃ! 急ごうぜ、ウッカリデスさん!」
「え?」

ウッカリデスと十代の反応は、まるで正反対。噛み合わない発言に、ウッカリデスは思わず気の抜けた声を漏らす。

「待ってください、十代君! この位置から確認できるような大技の使い手が戦っているんですよ?
 戦闘力が低い僕らが行ったところで、何が出来るんですか!」
「わかってるよ、そんなこと! だけど、俺やウッカリデスさんの知り合いが巻き込まれてるかもしれないんだ!
 見て見ぬふりをしないわけにもいかないだろう! 頼む、行かせてくれウッカリデスさん!
 何も出来そうにない状況だったら、おとなしく引き返す! だから!」
「十代君……。わかりました」

必死に頼み込む十代の姿に、ウッカリデスもやむなく折れる。

「ですが約束してください、決して命を粗末にしないと。君に死んでほしくない存在がいるように、あなたに死んでほしくないと考える人もいるはずですから」
「ああ、わかった……!」

互いに目を合わせてうなずくと、二人は光の方向へと走り出した。


◇ ◇ ◇


数分後、二人は一人の少女に出会う。セーラー服に身を包む、小柄な少女に。
ウッカリデスは、その少女を知っていた。とは言っても、知り合いではない。
彼が書き手として参加していたアニロワ2nd、その登場人物の中に彼女はいたのだ。

(ゆーちゃん……だよなあ? けど、頭から生えてるあの奇妙な物体はいったい……。
 それに、何だか目つきがやばいような気が……)

自分の知る小早川ゆたかとの違いにとまどうウッカリデスを尻目に、十代はゆたかに話しかける。

「大丈夫か、君! この近くで爆発みたいなのがあったみたいだけど、巻き込まれたりしなかったか?」
「巻き込まれた? いえ、大丈夫です」

ゆたかは淡々とした声で、十代の質問に答える。

「だって……それやったの、たぶん私ですから」
「ええ?」

続けられた言葉に、十代の表情が凍り付く。

「やったって……。君が戦ってたってこと?」
「はい。変態さんがいたんで、私が殺したんです」

「殺した」。その言葉を、ゆたかはさも世間話をしているかのように平然と口にする。

「殺した……って……。なんで、なんで君みたいな小さい子が……」
「だって、変態さんは社会の敵ですもん。人の命を奪うのは心苦しいですけど、死んでもらわないと普通の人の迷惑になりますから」

相変わらず、ゆたかの口調は平然としている。自分の考えに、一切の疑問を持っていないという様子だ。

「おかしい! おかしいよ、そんな考え! 別に変態を擁護するわけじゃないけど、殺していいはずがないだろ!」
「何もおかしくないですよ。変態に生きる資格はありません」

十代とゆたか、その言葉はどこまでも平行線をたどる。

「もう止せ、十代君。残念だが、この子はもう壊れている……。何を言っても届かないよ」
「そんな!」
「壊れてる? ひどいなあ。確かに私はちょっとおかしくなっちゃったかもしれないけど、言ってることは間違いなく正論ですよ?
 ああ、そうか。あなた達も変態なんですね? だから変態をかばうようなこと言うんですね? だったら……」
「まずい、離れ……」

ゆたかが纏う空気が変わったことを感じ取り、十代に撤退を促そうとするウッカリデス。
だが、わずかに遅かった。

「死んで☆」

ゆたかが無造作に繰り出した拳が、十代の肋骨を砕く。そのまま拳は十代の肉を抉り、内臓を貫き、背中側にまで貫通した。

「ゴハ……ッ!」

口から血の塊を吐き出し、十代は力無くその場に崩れ落ちる。

「じゅ、十代君!」
「人の心配より、自分の心配をしたらどうですか? 次はあなたですよ?」

十代を襲った惨劇に動揺するウッカリデスへ、ゆたかは壊れた笑みを浮かべながら近づいていく。

「待てよ」

だがそのゆたかを、背後からの声が呼び止める。

「俺はまだ……降参(サレンダー)してないぜ……!」
「十代君! 喋るな! じっとしていろ!」

ウッカリデスの言葉も無視し、十代はゆっくりと体を起こす。その手には、一枚のカードが握られていた。

「セイバー……。攻撃表示で……召喚……!」

途切れ途切れの声で十代が宣言すると、カードから光が飛び出す。その光は、十代の眼前で美しい金色の髪を持つ女騎士へと変化した。

            ⌒ヽ
          .ィ_´ ̄`┴ 、
        /ト、 =/ /_lト、 |
        N f/ ∧{:l レノ
    __. 「‐个、/ /l  -/
<二 ―‐ /..へ|/L-ァT:‐:‐:‐:‐ァ‐‐:、    セイバー
  ∠/⌒ /l::::::::::::7:/{ |。|゚|‐|_|_K}‐|‐|    攻 2500
      \ 二Z:::::::ト、_.イ {_L|―〉   守 2500
          T_/ ∧_.、 /ト‐‐|ニ|‐┘
          Y´_l__|./  K>|
.         _「:::::::::。_。:}  |∧|_
         /  ̄ ̄ }c_。r '´ィ‐i_i‐ト、 ヽ
       /     |:::lノY´ |::{ハ}:| ヽ|
      /      |:::|:::::|. |::{ハ}:|
「マスター、命令を」
「あの女の子を……止めてくれ……」

指示を仰ぐセイバーに対し、十代はそう告げた。

「了解しました。手荒な方法になってもかまいませんね?」
「仕方ない……な……」

十代の許しが出るとほぼ同時に、セイバーは地を蹴った。瞬く間にゆたかに肉薄すると、彼女は手にした剣を振り下ろす。
だがゆたかは、見事にそれを白刃取りして見せた。

「ほう、見た目の割にはなかなか……」
「またコスプレのオタクかあ……。かわいそうだけど、ちゃんと殺してあげないとね」

剣を押し返そうとするゆたか。だがその直後、急激に彼女の体にかかる負担が大きくなる。

「え? 向こうのパワーが上がった?」

とまどうゆたかに、十代の声が応える。彼が今握っているのは、ウッカリデスから譲られたものとは別に、彼自身に支給されたカードだ。

「魔法カード……ホーリーエルフの祝福を使用した……。これで俺のライフは回復……!
 更にセイバーは……その特殊能力により、魔法カードを発動するごとに……攻撃力が1500アップする!」

セイバー 攻 2500→4000

(くっ……。支えきれない!)

一気に五割以上上昇したセイバーのパワーに、さしものゆたかも押し負ける。
セイバーの剣はゆたかの両手を押しのけ、彼女の胸を切り裂いた。


「はっ!」

だがその結果だけで、気を緩めるセイバーではない。すぐさま剣を返し、第二撃を放つ。
ゆたかは後ろへ大きく跳躍し、それを回避した。

「やるじゃないですか……。これは本気出さないといけないかな?」

口元をわずかに緩め、ゆたかは叫ぶ。

「殖装!」

次の瞬間、ゆたかの小さな体を外殻が覆う。わずか数秒で、幼い少女は異形の怪物・ガイバーへ姿を変えた。

「ヘッドビーム!」
「遅い!」

変身が終わるとすぐさま、額から光線を放つゆたか。だがセイバーはそれをあっさりと回避し、今一度距離を詰める。
ゆたかはそれを拳で迎撃。セイバーは肩に被弾しながらも、ゆたかの顔面を斬りつける。

「きゃっ!」

怯むゆたか。対照的に、セイバーは肩を砕かれてなお攻撃の手をゆるめない。
怒濤の勢いで剣を振るい、次の一撃で右腕を断つ。更に次の一撃は、左脚を貫く。

「よくもやってくれましたね、オタクのくせに……。ちょっと怒っちゃったぞー」

わずかに不機嫌さをにじませた声で言うと、ゆたかはガイバーの重力制御能力で宙へと逃れる。
そして、胸の装甲板を開く。それこそが、ガイバー最大最強の必殺技の発射態勢であった。

「みんな消えちゃえ! メガスマッシャー!」

ゆたかの胸から、極大の破壊光線が放たれる。それはセイバーのみならず、十代やウッカリデスまでも飲み込もうとしていた。
それに対し、セイバーは眉一つ動かさず剣を構えた。そして叫ぶ。その剣の、真の名を。

「約束された勝利の剣<エクスカリバー>!」

叫びと共に、剣からはメガスマッシャーにも負けぬ光の奔流が放たれる。
絶大な破壊力を秘めた二つの光が、空中でぶつかり合う。光は一進一退の攻防を続け、やがてお互いを飲み込みあい消えていった。

「相討ち……いや、まだだ!」

すっかり傍観者と化していた十代が叫ぶと同時に、ゆたかは急降下してセイバーに襲いかかる。
迎撃しようとしたセイバーだが、真名解放の衝撃が肩の傷に響きわずかに反応が遅れる。
そしてそのわずかな遅れが、彼女の命取りとなった。

「申し訳ありません、マス……」

最期の言葉を言い終わらぬうちに、ゆたかの腕がセイバーの胸を貫く。セイバーの体は無数の光のかけらとなり、虚空に散らばっていった。

「まず一人♪」
「勝ち誇った瞬間こそが、最大の隙です!」

満足げに呟くゆたかだったが、勝利の余韻に浸る暇もなくウッカリデスが彼女の前に躍り出る。
何もここまで、彼はボーっと戦いを見ていたわけではない。介入するタイミングを伺っていたのだ。
そしてセイバーが倒された瞬間を見計らって、彼はついに動いた。
不意をつかれきょとんとするゆたかに対し、ウッカリデスはある物を投げつける。
それは、大きめの鍋だった。投げられたために風圧でふたが落ち、中に入っていたカレーがこぼれ落ちている。

「これが何だって……」

無造作に叩き落とそうとして、ゆたかは鍋の異変に気づく。

(カレーが、光っ――?)

その直後、ゆたかの体を爆炎が包んだ。

「十代君、今のうちです!」

炎に包まれるゆたかを尻目に、ウッカリデスは十代に駆け寄る。そして彼に肩を貸し、立ち上がらせた。

「ウッカリデスさん、今のはいったい……」
「君にもらったプラスチック爆弾を、僕に支給されたカレーの中に隠して投げつけただけですよ。
 そんなことより、早くここから離れましょう」
「待ってくれ、ウッカリデスさん。あの子、それこそモンスターみたいな強さだった……。
 爆弾ぐらいで死ぬかどうか……」
「そうですよー。私はまだ死んでませんよー」

ふいに響く、かわいらしい声。ウッカリデスと十代がそちらに視線をやると、そこにはゆたかが立っていた。
爆発のダメージで半身がぐちゃぐちゃに潰れているが、それもガイバーの再生能力で徐々に回復しつつある。

「ちっ、あんなになっても動けるのかよ……!」
「…………」

顔をしかめる十代。一方、ウッカリデスは無表情でゆたかを見つめている。

「今のはすっごく痛かったですよ? この分はちゃんとお返ししてから殺し……うっ!」

ゆっくりと十代たちに向かって歩いていたゆたかだったが、その膝が突然折れた。

「な……に……? おなかが痛い……。頭も痛い……。来る……。何か来る……。
 来ちゃうよぉ……。いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

半狂乱になり、泣き叫ぶゆたか。彼女の突然の異変に、十代は戸惑いの色を隠せない。
そんな中、ウッカリデスだけは冷静だった。

「とりあえず、賭けの第一段階は成功ですね」
「賭け? どういうことだ、ウッカリデスさん」
「まずはここから離れることが先決です。行きましょう」

十代を引きずるようにしてゆたかから遠ざかりながら、ウッカリデスは話し続ける。

「あのカレーがただのカレーでないことは、雀荘で説明しましたよね? あれはエニグマカレー……。
 説明書によれば、食べた者の精神もしくは肉体を劇的に変化させる、魔のカレーです。
 爆発によって飛び散ったカレーは、大量に彼女の体に付着しました。
 その状態で再生を行えば、カレーもまた彼女の体内に取り込まれることになる」
「カレーの影響がもろに出るってわけだな……」
「そういうことです。セイバーが彼女に付けた傷がふさがっていくのに気づいて即興で考えた作戦でしたが、ここまでは上手くいきました。
 しかし、ここから先は予想のしようがありません。
 人格の変化がいい方に働いて正気に戻ってくれればラッキーなんですが、逆にさらなる狂気に目覚めてしまうかもしれない。
 あるいは、更に超人的な力を手に入れてしまうかもしれない。だから、彼女の変化が終わる前に逃げるんです」
「待ってくれ、それは無責任ってもんじゃないのか……? 彼女が今以上に凶暴になって、他の参加者を襲ったらどうするんだ……」
「その可能性は否定できません。ですがこの場合、僕は自分たちの生存を最優先に考えました。約束したでしょう、命を粗末にしないと」
「確かにそうだけど……。やっぱりこんな形で放り出すのは納得できないよ……! 俺だけでも戻って……!」

支えてくれていたウッカリデスの腕をふりほどき、十代は来た道を戻ろうとする。
だが数歩歩いたところで彼はよろけ始め、そのまま倒れてしまった。

「十代君!」

慌てて駆け寄るウッカリデス。十代のそばにしゃがみ込んだ彼は、十代の体から地面へ血が溢れているのに気づく。

「これは……。傷口、ふさがってないじゃないですか!」
「ばれちゃったか……。ホーリーエルフの祝福だけじゃ……回復量が足りなかったみたいだ……」
「こんな怪我で、何が出来るって言うんですか! とりあえず、病院へ! たしか、そう遠くない位置にあったはずです!」

自分のデイパックを前に回し、ウッカリデスは代わりに十代を背負う。そして、全力で走り出した。

「降ろしてくれ……! 俺は、あの子がどうなったか確かめたいんだ……!」
「駄目です、聞く耳持ちません」

十代の抗議を、ウッカリデスは一蹴する。

「あなたは僕の仲間です。仲間の命は、何よりも重い! 君を死なせるわけにはいかないんです!」

ウッカリデスはここに来る前の殺し合いで、一人の仲間を失った。
その時味わったのは、なぜ彼を止められなかったのかという後悔と、自分に対する無力感。
もうあんな思いをするのは、ごめんだった。だからこそ、ウッカリデスは走る。
病院を目指して、ただただ全力で。


【C-5 道路/一日目 早朝】

【遊城十代@なのはロワ】
【状態】:胸部負傷、内臓にダメージ、出血多量
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式、セイバー&黒騎士の魔剣少女@ニコロワ、ホーリーエルフの祝福@ニコロワ、ランダム支給品0~1
【思考・行動】
基本方針:対主催!
1.仲間を集める
2.少女(ゆたか)がどうなったのか確かめたい。
※なのはロワ92話「Paradise Lost」より参戦。
※セイバー、ホーリーエルフの祝福は次の早朝まで使用不能です。


【忘却のウッカリデス@書き手ロワ2nd】
【状態】:健康
【装備】:なし
【所持品】:支給品一式、ランダム支給品0~1
【思考・行動】
基本方針:ロリスキーさんと、今度こそ……
1.仲間を集める
2.十代を病院に連れて行き、治療する。
※死亡後より参戦



私、どうしたんだろう……。頭の中がグルグルしてて、よくわからない。
たしか、気が付いたら見たことのない場所にいて……銀髪の男の人を殺してた?
え? なんで? なんで殺すの? 変態だから? 理由になってないよ? どういうこと?
あと、先輩の頭がぽーんって……なんで? これも私? 私が殺したの?
いや、そんなはずないよ! 出来るわけないよ! だって私はあんなすごいパンチできないもん。
きっと悪い夢だよね。あんなこと、本当に起きるわけないもんね。また熱でも出ちゃったのかな、私。こんなあり得ないシーンが頭に浮かぶなんて。
夢だよね。夢なんだよね。ねえ、そうなんだよね。変な男の人にいやなことされそうになったのも、その人を黒井先生がざくざく刺してたのも夢なんだよね?
ねえ、夢なんだよね? 誰か、そうだって言って。私は人殺しなんかしてないって言って。
怖くなって、私はわけもわからず走り出す。何でかわからないけれど、いつもよりずっとずっと速く走ることが出来る。
しかも、いくら走っても全然息が切れない。なんで? どうして?
元気になったなら、嬉しいはずなのに。怖くて怖くてどうしようもない。
私の体、どうしちゃったの? 普通じゃなくなっちゃったの? だから、人を簡単に殺せるように……。
違う! 違うったら違う! あんなの嘘だ! 本当に私が人を殺したんじゃない!
ねえ、誰か言って。「あなたは人殺しなんかしてない」って。お願いだから。
こなたお姉ちゃんでもゆいお姉ちゃんでも、岩崎さんでも田村さんでもパトリシアさんでもいいから。
誰か言って。「あなたはいつも通りの小早川ゆたかだ」って。

ねえ、誰か……。誰か……助けてよ!!


【D-5 市街地/一日目 早朝】

【小早川ゆたか@らき☆すた(原作)】
[状態]:記憶の混乱、妹萌力覚醒、身体能力劇的向上
[装備]:なし
[持物]:デイパック、支給品一式、不明支給品0-2
[方針/行動]
 基本方針:???
 0:何が何だかわからない。とにかく怖い。
 1:誰でもいいから知り合いに会いたい。
※カレーの作用により、記憶が混乱しています。今後落ち着くかもしれないし、更にひどいことになるかもしれません。
※エナジーボンボンと0号ガイバーユニットは、カレーに溶けてゆたかの体内に吸収されました。



【支給品解説】
【セイバー&黒騎士の魔剣少女@ニコロワ】
遊戯王MAD「遊戯王 AIBOvs王様・社長・凡骨・顔芸」からの登場。
今回は2枚1セットで支給されている。

○セイバー
攻撃力2500 守備力2500。
通称、騎士王、王様、腹ペコ王。
アルトリアと記載されているが、皆セイバーと呼ぶのでセイバーなのだ。
プレイヤーが魔法カードを一枚使用するたびに攻撃力1500増加。
このカードが場に存在する限り召喚プレイヤーへのダイレクトアタックは無効となる。
魔法カード、非常食を使用した場合攻撃力-5000&不機嫌に。
オレイカルコスの結界の使用でセイバーオルタナティブへと変貌する。

○黒騎士の魔剣少女(ブラックナイトマジシャンガール)
攻撃力2500 守備力200。
相手がドローするたびにレベルアップ(攻撃力+1500)。
召喚されてからの時間経過でも構わないかもしれない。
基本性能は、Lv0~1が第1期。Lv2~3が第二期。Lv4以降が第三期とする。
Lv3まで、声は大塚明夫。Lv4以降は水樹奈々となる。

【C4プラスチック爆弾@ニコロワ】
出典は「メタルギアソリッドシリーズ」。
敵の背中に貼り付けても気づかれない優れもの。ニコロワでは、日吉がこれでドラえもんを爆殺している。

【ホーリーエルフの祝福@ニコロワ】
場にでているモンスター1体につき、プレイヤーのライフを300回復。
ロワではモンスターがいなくても回復可能。

【エニグマカレー@書き手ロワ2nd】
残月の作ったカレーに、脳内補完の支給品である「厨性能支給品セット」が混入して生まれた魔の料理。
具になったのは5MeO-DIPTを使用した蜀軍30万、黒王号に乗った『ザ・ワールド』(DIO付き)、デスノート(永遠神剣『言葉』を手にした火口卿介付き)、
AV-98イングラム・核ミサイル装備型、レイジングハート・エクセリオン(かみなりさん付き)。
そしてこのカレーを食べた5名のうち、残月以外の4名には以下のような変化が発生した。
ルーキー→性格がレザード・ヴァレスに
脳内補完→692とダイナマイトネオン(共に脳内補完と同一人物)の記憶と人格が体を支配
パンタローネ→性格が吉良吉影に
お姉さま→母乳弾幕取得


052:隠し砦の三狂人 投下順 054:衰弱と不満
052:隠し砦の三狂人 時系列順 054:衰弱と不満
005:忘却の決闘者 遊城十代 085:大都会交響楽
忘却のウッカリデス
048:小早川ゆたかの遺言 小早川ゆたか 065:彼 ら の 行 方



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