(これまでのあらすじ:突如始まった殺し合い。
その参加者の中にはニンジャスレイヤーこと、フジキド・ケンジの姿もあった。
しかしこの殺し合いはただの殺し合いに非ず。なんと体を入れ替えての殺し合いなのだ。
なんたる奇妙な殺し合いか! すなわちここにいるニンジャスレイヤーはフジキド・ケンジではない。
それどこか、ニンジャの力を手に入れただけの、モータルであった)
その参加者の中にはニンジャスレイヤーこと、フジキド・ケンジの姿もあった。
しかしこの殺し合いはただの殺し合いに非ず。なんと体を入れ替えての殺し合いなのだ。
なんたる奇妙な殺し合いか! すなわちここにいるニンジャスレイヤーはフジキド・ケンジではない。
それどこか、ニンジャの力を手に入れただけの、モータルであった)
――
「どういうことだ……」
赤黒の衣装を身に纏った殺戮者、ニンジャスレイヤーが殺し合いの会場にあるビルの屋上に一人、タブレットを持ち佇む。
しかし彼が醸し出すアトモスフィアは殺戮者らしくもない戸惑い。
常の彼ならばこの状況を敵ニンジャのジツと考え、警戒を露わにするだろう。
しかしそれも仕方ない。なぜなら彼はモータル。それどころか異世界の人間なのだ。
彼の世界においてニンジャは我々から見れば信じられないがカラテとジツを使い、驚異的な戦闘力を持つ半神的存在ではない。
故にニンジャの存在を知ってもニンジャリアリティショックなど起こらない。
ただ、己の知る忍者との違いに戸惑うばかりだ。
しかし彼が醸し出すアトモスフィアは殺戮者らしくもない戸惑い。
常の彼ならばこの状況を敵ニンジャのジツと考え、警戒を露わにするだろう。
しかしそれも仕方ない。なぜなら彼はモータル。それどころか異世界の人間なのだ。
彼の世界においてニンジャは我々から見れば信じられないがカラテとジツを使い、驚異的な戦闘力を持つ半神的存在ではない。
故にニンジャの存在を知ってもニンジャリアリティショックなど起こらない。
ただ、己の知る忍者との違いに戸惑うばかりだ。
「何だよ、ニンジャソウルとかネオサイタマとか……訳分かんねえよ」
まるで昔の外国人が勘違いして作った日本のような世界観の中で繰り広げられる、訳の分からない話にしか思えない。
だがニンジャスレイヤーの物語は決して面白おかしいものではない。
むしろ凄惨で重苦しい、亡き妻と息子の仇を討つために自身と同じニンジャに挑む復讐譚だ。
そしてニンジャスレイヤーに精神を宿した者は、この復讐譚にどこか共感していた。
なぜなら、彼もまた復讐を志す者だからだ。
だがニンジャスレイヤーの物語は決して面白おかしいものではない。
むしろ凄惨で重苦しい、亡き妻と息子の仇を討つために自身と同じニンジャに挑む復讐譚だ。
そしてニンジャスレイヤーに精神を宿した者は、この復讐譚にどこか共感していた。
なぜなら、彼もまた復讐を志す者だからだ。
フジキドが妻と息子の仇を討つ者なら、彼は母の仇を討とうとする者。
彼の名前は星野愛久愛海(アクアマリン)、通称アクア。母の仇を追い求める男である。
しかし今の彼は復讐どころではなかった。
彼の名前は星野愛久愛海(アクアマリン)、通称アクア。母の仇を追い求める男である。
しかし今の彼は復讐どころではなかった。
「こんな殺し合いなんてやってる場合じゃないんだぞ……」
なぜなら、まずは殺し合いを生き残らねば復讐どころではないからだ。
ちなみに、この殺し合いに復讐相手が関わっているとは考えていなかった。
相手が何者かしらないが、こんな物理法則を超越した振る舞いができるのなら、自身の行動理由などとっくに伝わっているだろう。
にも拘わらず現在生きているのだから、関係ないだろう、とアクアは推測した。
ちなみに、この殺し合いに復讐相手が関わっているとは考えていなかった。
相手が何者かしらないが、こんな物理法則を超越した振る舞いができるのなら、自身の行動理由などとっくに伝わっているだろう。
にも拘わらず現在生きているのだから、関係ないだろう、とアクアは推測した。
そして、アクアは復讐する相手がこの殺し合いに参加者として存在する可能性は考えなかった。
そもそも彼は復讐相手がどこの誰かも知らない。だからいたとしても分からない。
ならば考えても仕方ない。いないことを、いたとしても自身に殺される前に死なないことを祈るばかりだ。
そもそも彼は復讐相手がどこの誰かも知らない。だからいたとしても分からない。
ならば考えても仕方ない。いないことを、いたとしても自身に殺される前に死なないことを祈るばかりだ。
そして、この場にいて殺し合いに否定的なのは何もアクアだけではない。
(*1))
「だ、誰だ!?」
「だ、誰だ!?」
突如聞こえた声に思わず辺りを見回すアクア。だがいくら探しても誰もいない。
しかし彼はすぐ思い至る可能性があった。
しかし彼はすぐ思い至る可能性があった。
「あんたがナラク・ニンジャか……?」
ナラク・ニンジャ。
それはニンジャスレイヤーに宿るニンジャソウル。
彼がフジキドに宿ったからこそ、ニンジャスレイヤーはニンジャスレイヤーたりえるのだ。
だが今は違う。
それはニンジャスレイヤーに宿るニンジャソウル。
彼がフジキドに宿ったからこそ、ニンジャスレイヤーはニンジャスレイヤーたりえるのだ。
だが今は違う。
(((正しくはそのナラクに精神を宿した者ですね。
私は、高遠遙一と申します。あなたは?)))
「俺は、星野愛久愛海です。
それでいきなりですが、あなたはこの殺し合いをどうする気ですか?」
(((どうする気と言われましても……星野君と同じ体に宿っているうえ、主導権は現状あなたにある。
この状況ではどうしようもありませんが、それでも言うのなら――)))
私は、高遠遙一と申します。あなたは?)))
「俺は、星野愛久愛海です。
それでいきなりですが、あなたはこの殺し合いをどうする気ですか?」
(((どうする気と言われましても……星野君と同じ体に宿っているうえ、主導権は現状あなたにある。
この状況ではどうしようもありませんが、それでも言うのなら――)))
ここで高遠は一度言葉を止める。
そして声こそ荒げないものの、彼は強い意志を籠めてこう言い切った。
そして声こそ荒げないものの、彼は強い意志を籠めてこう言い切った。
(((乗る気はありません。
こんな美しさの欠片もなく、芸術犯罪を行う余地もない場で私が好き好んで何かすると思っているのなら、主催者は底が浅い)))
「芸術……犯罪……?」
(((ええ、だってつまらないでしょう。ただ人を殺すだけなんて。
ですので私はあなたの様に誰かを殺したがっている人に犯罪計画を授け、導き、時に手助けしているのですよ)))
こんな美しさの欠片もなく、芸術犯罪を行う余地もない場で私が好き好んで何かすると思っているのなら、主催者は底が浅い)))
「芸術……犯罪……?」
(((ええ、だってつまらないでしょう。ただ人を殺すだけなんて。
ですので私はあなたの様に誰かを殺したがっている人に犯罪計画を授け、導き、時に手助けしているのですよ)))
なんてことないように語られる高遠の言葉に、思わず気が遠くなりそうになるアクア。
だってそうだろう。自分の体に宿るもう一つの精神が犯罪者だと知って、まともでいられるだろうか。
だってそうだろう。自分の体に宿るもう一つの精神が犯罪者だと知って、まともでいられるだろうか。
「あんた、ダークヒーローでも気取ってるのかよ……!?」
少なくともアクアはいられなかった。
特に、高遠の殺人教唆をしているという宣言は、アクアにとって決して許せない。
なぜなら、彼が追い求める仇もまた殺人教唆したものだからだ。
それに加え、彼には前世の記憶がある。そして前世では、彼は医者だった。
誰かを救いたいと願う、心優しき医者だった。
その優しさは復讐者となった今でも陰ることはない。
だからこそ、彼は高遠に思わず怒りを向けていた。
特に、高遠の殺人教唆をしているという宣言は、アクアにとって決して許せない。
なぜなら、彼が追い求める仇もまた殺人教唆したものだからだ。
それに加え、彼には前世の記憶がある。そして前世では、彼は医者だった。
誰かを救いたいと願う、心優しき医者だった。
その優しさは復讐者となった今でも陰ることはない。
だからこそ、彼は高遠に思わず怒りを向けていた。
一方、アクアに怒りを向けられている高遠は平然としていた。
この程度の怒りなど、彼からすれば慣れたものだ。
この程度の怒りなど、彼からすれば慣れたものだ。
高遠の言葉に何も言えなくなるアクア。
確かにその通り。どう言いつくろったところで、彼がやろうとしていることは人殺し。
俺とお前は違うと、アクアがそれを言うことはできない。
できる位人道が欠けていれば、最初から復讐など志さない。
確かにその通り。どう言いつくろったところで、彼がやろうとしていることは人殺し。
俺とお前は違うと、アクアがそれを言うことはできない。
できる位人道が欠けていれば、最初から復讐など志さない。
(((まあ、その話は今はやめておきましょう。
実の所、私もかつて母の仇を討ったことがあったので勝手にシンパシーを感じて喋りすぎました。
ここからは生き残るための質問を一つします。よろしいですね?)))
「……分かった。答えられることなら答える。」
(*4))
実の所、私もかつて母の仇を討ったことがあったので勝手にシンパシーを感じて喋りすぎました。
ここからは生き残るための質問を一つします。よろしいですね?)))
「……分かった。答えられることなら答える。」
(*4))
高遠の言葉の意味が分からないアクア。
さっきまでさんざん復讐の話をしていたのに、なぜ今になって人を殺せるか問う高遠の意図が。
さっきまでさんざん復讐の話をしていたのに、なぜ今になって人を殺せるか問う高遠の意図が。
(((別に仇といざ遭遇して殺せるか、という話ではありませんよ。
ただ、私はこの殺し合いに乗っている者が襲い掛かって来たとして、あなたにそれを返り討ちにできるかと聞いているのです)))
「それは……」
(((断っておきますが、こんな殺し合いに乗るような者がいるとは思えない、とは言わないでくださいね。
常識で考えればその通りでしょうが、だからこそ主催者の方が調整しているはずです。
シリアルキラー、主催者の手駒。あるいは願いに目をくらませる参加者をチョイスする、などして手を打っているでしょう)))
ただ、私はこの殺し合いに乗っている者が襲い掛かって来たとして、あなたにそれを返り討ちにできるかと聞いているのです)))
「それは……」
(((断っておきますが、こんな殺し合いに乗るような者がいるとは思えない、とは言わないでくださいね。
常識で考えればその通りでしょうが、だからこそ主催者の方が調整しているはずです。
シリアルキラー、主催者の手駒。あるいは願いに目をくらませる参加者をチョイスする、などして手を打っているでしょう)))
高遠の問いに言葉が出ないアクア。
彼の言い分はどこまでも正論で、そして実行できなければ死ぬのはアクアの方だろう。
そうなれば、母の仇は決して討てなくなる。
彼の言い分はどこまでも正論で、そして実行できなければ死ぬのはアクアの方だろう。
そうなれば、母の仇は決して討てなくなる。
「俺は……」
それは分かっている。頭では分かっている。
しかし、そう簡単に覚悟はできない。
しかし、そう簡単に覚悟はできない。
アクアは悩む。大いに悩む。
高遠は悩まない。そんなこと、今更躊躇しない。
そんな二人が同じ体で共闘した時、一体何が起きるのだろうか。
高遠は悩まない。そんなこと、今更躊躇しない。
そんな二人が同じ体で共闘した時、一体何が起きるのだろうか。
【星野愛久愛海@【推しの子】】
[身体]:フジキド・ケンジ@ニンジャスレイヤー
[状態]:健康、高遠への不信感
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない。
1:復讐とは関係ない殺人が俺にできるのか……?
2:高遠はどうにも信用ならない
[備考]
※参戦時期はアニメ一期終了後です
※フジキドの参戦時期は少なくとも三部終了より前です。
※アクアの了承、もしくはアクアの意識が弱くなれば高遠が身体の主導権を握れます。
※アクアが聞こえるもの、見えるものは基本的に高遠と共有されます。
[身体]:フジキド・ケンジ@ニンジャスレイヤー
[状態]:健康、高遠への不信感
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない。
1:復讐とは関係ない殺人が俺にできるのか……?
2:高遠はどうにも信用ならない
[備考]
※参戦時期はアニメ一期終了後です
※フジキドの参戦時期は少なくとも三部終了より前です。
※アクアの了承、もしくはアクアの意識が弱くなれば高遠が身体の主導権を握れます。
※アクアが聞こえるもの、見えるものは基本的に高遠と共有されます。
【高遠遙一@金田一少年の事件簿】
[身体]:ナラク・ニンジャ@ニンジャスレイヤー
[状態]:健康
[思考・状況]基本方針:殺し合いに乗る気はない。
1:しばらくは星野君に協力する。私もこんな芸術性の欠片もない殺し合いで死にたくはないので
2:復讐ですか……
3:もし星野君が人殺しを躊躇うなら、その時は変わってあげてもいい。変われるのなら
[備考]
※参戦時期は少なくとも魔術列車殺人事件終了以降です。
※ナラクの参戦時期は少なくとも三部終了より前です。
[身体]:ナラク・ニンジャ@ニンジャスレイヤー
[状態]:健康
[思考・状況]基本方針:殺し合いに乗る気はない。
1:しばらくは星野君に協力する。私もこんな芸術性の欠片もない殺し合いで死にたくはないので
2:復讐ですか……
3:もし星野君が人殺しを躊躇うなら、その時は変わってあげてもいい。変われるのなら
[備考]
※参戦時期は少なくとも魔術列車殺人事件終了以降です。
※ナラクの参戦時期は少なくとも三部終了より前です。
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